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2015年、大切にしたいことばたち (第2回)

新年コラム02
2015年もさまざまな方たちとの出会いを通して、たくさんの素敵なことばに触れてきました。

全4回でご紹介する「大切にしたいことばたち」。2回目となる今回は編集スタッフの浦川と遠藤による対談形式でご紹介していきたいと思います。

 

 

僕の思いとしては、この仕事をしながら生きていくということを意識してほしくて。仕事と暮らしがリンクするような人だとうれしいですし、そういう人の意見や思いはしっかり受けとめたいと思っています
シサム工房/水野泰平さん 「楽しい理由がある」より

前半
これは、京都を中心にフェアトレード商品などを卸や企画・販売している会社、シサム工房の水野さんからいただいた言葉。

 

浦川:ここに出てくる『生きていく』とは、自分自身や家族に向けたものである一方で、フェアトレード先のアジアで商品をつくっている人々にも向けられていると思って。

遠藤:いろんな人に向けられた言葉。

浦川:フェアトレードというと、フリーマーケットとか、一過性の活動はよく見られるんだけど、ひとつのビジネスモデルとしてみんなの暮らしを安定させようとしているってすごいなと思ったんです。

遠藤:水野さんがそうしようと思ったきっかけって?

浦川:アジア圏のアンティーク家具を輸入していたバイヤー時代に、現地の物を日本で売って、自分たちだけが売り上げや物を持っていくことに水野さんは少なからず疑問を抱いていたと取材中に聞いて。

遠藤:うん。

浦川:自分たちだけでなく、アジアの方々も十分な生活ができるような仕組みをつくりたいという想いが、シサム工房を大きくしたんだと思います。しかも、規模が拡大していくなかで個人的にやっていたシサム工房を、会社組織にしてさまざまな人を巻き込んでいるんです。

後半
遠藤:他の人も巻き込むのはどうして?

浦川:おそらく、水野さんは自分のことを最優先するのではなくて、関わる人の生活を思っているんじゃないかなぁ。どうしたらより多くの人の暮らしを豊かにできるかという視点で考えている気がします。

遠藤:たしかに。仕事って自分のためだけれど、だれかに喜んでほしいとか楽にしたい、みたいなところから始まっている部分もありますよね。

浦川:最初は「だれかが喜んでくれる」「嬉しい」からはじまるけど、いつの間にか見失うときもあるというか。

遠藤:自分だけじゃなくて、関わる人の生活を良くしたいとか、貢献したいとか、それらを含めた上でちゃんとお金にしていこうという考えかたは素敵だね。

浦川:だれかの暮らしが根っこにある働き方って、当たり前のようだけどなかなか意識できない。

遠藤:忘れてしまいがちだけれど、こういう働き方をしていきたいですね。

 

 

銀座で5万払って食べるご飯もいいけど、同じ5万ならわざわざ島に行って180円のうどんを食べる、そっちのほうが僕は豊かだと思うんだ
DREAM ISLAND/連河健仁さん「島照らす人」より

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連河さんは、不動産バブルやITバブルを経験し、全部が嫌になって小豆島にやってきた人。今はDREAM ISLANDという会社で小豆島の自然を活かしたガイドやカフェを運営しています。

 

遠藤:この言葉でハッとする人って多いと思うんです。浦川くんの話にも通じるけど、働いているとやっぱりお金や、社会的なステータスを追うことがよしとされがち。それもひとつの働き方といえます。

浦川:はい。

遠藤:でも、この話をしてくれた連河さんはお金を追う働き方をしていて、会社がバブル崩壊でなくなってしまった。そのときに、自分になにも残っていないことに気づいたそう。この言葉はそういう経緯で生まれた言葉です。

浦川:そもそも、そういう働き方ってなにかを残そうという考えじゃないのかもしれないね。DREAM ISLANDという会社には、連河さんの「気づき」の部分がなによりも大切なんじゃないかと。

遠藤:連河さんが感じたという小豆島の価値には、行き帰りの過程、それこそ退屈な時間なんかも含まれていると思うんです。

浦川:含まれている。

遠藤:なぜなら、この取材のあと、小豆島でバスを待ったりフェリーに乗っている時間の感じかたは東京とは違ったから。

浦川:時間の感じ方がちがった?

遠藤:あえて携帯を触らないようにしたんです。東京にいるとすぐ携帯をさわってしまうんだけど、連河さんの言葉を聞いたあとは、「ここでフェリーに乗っている」っていうことをもっと自分のなかに刻みたいなと思いました。なにもしない退屈な40分だったけど、とても価値のある40分だった気がするんです。波や風、そういった些細な情報を感じることに意味がある気がして。

浦川:そうなんだ。

遠藤:この言葉を聞いたあと、気づいていないだけでもっと素敵なコトやモノって多いのかもな、と思えました。

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浦川:東京でもいいところってあるんだけど、自分たちは当たり前のように住んでいるから、視点のチャンネルが固まってしまいがちというか。遠藤さんはこの言葉で、視点のチャンネルが切り替えられたことを意識できたのかも。

遠藤:そうそう。そこにずっといると、身近なものの価値には気づけないと思うんですよ。それを気づかせる仕事ってとても素敵だと思うし、そうやって働く人も得るものが多いんじゃないかな。

浦川:実際に体験したこともあって、この言葉がすごく響いたんですね。

遠藤:個人的に仕事をするスタンスとしても、いいなと思いました。さっきの話でいうと、辞めたときに自分になにが残るかっていう問いは日本仕事百貨のやっていることに通じているような気がします。

浦川:働き方が自分の暮らしにリンクしているからこそ、連河さんの言葉にはリアリティというか、実感がすごく感じられて。そういった言葉は、生きるように働くから口にできるのかな。こういう言葉をもっと届けられるような取材をしたいね。

 


ほかにもたくさんの素敵な言葉たちに出会えました。ありがとうございます。2016年もどうぞよろしくお願いいたします。



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