こんにちは。日本仕事百貨の中嶋希実です。
徳島の南側を選んで暮らす人を訪ね、話を聞く旅。
那賀町から再び海へ、今回は牟岐町(むぎちょう)をまわります。
今回巡るなかでもいちばん面積が小さい牟岐。山の中の那賀町とは違って、ここは漁港のある町。港に立ち寄ると、あちらこちらで猫が出迎えてくれました。
廃校になった小学校を利用した地域活性化センターが、この町の地域おこし協力隊の拠点。
ここで2年前から協力隊として活動をしている小林さんにお話を伺います。
もともと牟岐町に縁があったんですか。
「実はないんですよ。出身は愛知県の一宮市で、庭師として働いたりウェブ制作の仕事をしていました」
いろんな経験をされたんですね。
「体力に自身がなくて転職したんです。でもずっと座っている仕事もどうにも合わなくて、辞めてオーストラリアに行ったのが30歳になったころですね」
オーストラリアには2年ほど滞在。そのあいだにオーガニックの文化や自然の雄大さに触れたという。
「日本の自然をあまり知らないと感じました。帰国してから、とりあえず四国を旅してみることにしたんです。まずは本で紹介されていた神山に行って、美波町にも寄って。高知県のほうまで行きました」
「ウェブ制作ができたから、旅をしながら仕事ができないかなと思って。そんなに甘くはありませんでしたけどね。ちょうど牟岐町で地域おこし協力隊の募集があるというのを聞いて、海の近くに住めるならと思って応募したんです」
サーフィンをされるんですか。
「よく言われるんですけどね、ぜんぜんできません(笑)釣りが好きなんですよ」
地域おこし協力隊として着任したものの、あまり細かな仕事が決まっていなかった。
そこで経験を活かして、まずは牟岐町の人を紹介するウェブメディアを制作。自分で写真を撮ったり取材をしながら、コンテンツを増やしていった。
「町を変えたいと思って1年ほどメディア制作を続けました。だけど町の人と関わっていくうちに、僕1人が来たところで町はなんにも変わらないと痛感したんです」
「ここには自分の力で生きている人がたくさんいます。その人たちを変えようとするんじゃなくて、自分もおもしろいことをやって突き抜けて生きるほうがいい。町をどうこうするんじゃなくて、まずは自分がしっかり生きようという想いが強くなりました」
小林さんが突き抜ける手段として選んだのが、ドローンをつかった映像制作。
「1つ買ってみて、操縦して。撮影できますってSNSにあげていったら、仕事をもらえるようになったんです。まだまだ勉強中ですが、自分のセンスを信じてやってみようと思ってます」
小林さんは近々地域おこし協力隊を辞め、個人事業主として仕事をしていくことを決めた。
自分で仕事をつくるなら、牟岐町に住んでいなくてもいいのかもしれませんね。
「そうですね。でも僕が住んでいる西又っていう地区がいいところなんですよ。お世話になっているおじちゃんやおばちゃんも好きだし、最近は猫も飼いはじめました。しばらくはここでやってみようと思ってます。よかったら見に来ますか」
ぜひ!と言ったはいいものの、小林さんの家に向かう車はぐんぐんと細い山道を進んでいきます。
「最近は狩猟の免許もとったんです。好きなことを追求しつつ、いろんな仕事をして生きていきたいですね。あ、ここが家です」
隣の家までは500メートルほど離れている。鹿に遭遇することも度々あるんだそう。
「地域おこし協力隊と言われると、地域のみなさんから頼まれたことをなんでもやらないとって思う人もいるかもしれません。けど、深入りしすぎて嫌になっちゃうこともあるじゃないですか。僕は町のことを大切に思える程度に、適度な距離は必要だと思ってやってきました」
「ちゃんと稼げるようになって町に税金を収める。そこでやっと、町の人や行政の人に『一緒におもしろいことしましょうよ』って言えるような気がしているんです。町を変えていくのは、本当の意味で独立したときなんじゃないかなって」
コーヒーをいただいた後、大好きな場所だという西又地区を案内してもらう。
ここでは昔使っていた技術を復興させようと、DIYで炭窯づくりが行われているところ。
「ただ炭窯をつくるだけではなくて、これをきっかけに人が集まる仕組みをつくりたいと思っているんです。牟岐でこれからおもしろくなる場所はここですよ」
車で山を下っていく途中にも、知り合いだというおじいちゃんに何人かすれ違う。車を停めては挨拶していく様子を見ていて、ふだんの生活を覗かせてもらったような気がした。
小林さん、ありがとうございました!
次はこの度の最終目的地、海陽町へと向かいます。
牟岐町では地域おこし協力隊を募集しています。詳しくはこちらから。
2016年度の地域おこし協力隊募集は終了いたしました。
(2016/12/23 中嶋希実)
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