こんにちは。日本仕事百貨の大越元(おおこしはじめ)です。
日本仕事百貨では「生きるように働く」をテーマに求人を紹介してきました。
今回は「どこで働き、暮らしていくのだろう?」を考えたいと思います。
日本に生活する人はこれから減っていきます。2100年にはいまの半分の人口になる、という予想も。
人口が減れば、いまある町や村の形も変わっていくでしょう。たとえば平成の大合併でなくなった地名もあります。今後、また同じようなことが起きるかもしれません。集落単位で見れば、すでに人がいなくなったところもあります。東京だって目を凝らせば、空き家が目立ちはじめています。
生活する場所を選ぶ時代になりました。
これからの30年、40年、50年。誰と暮らし、働き、生きていくのか。大切なのは「人」だと思います。
この数十年間は、行政がいわゆる「地域づくり」をしてきました。けれど、任せっきりでは手の回りきらない綻びも見えています。まちをつくるのは、ハコモノでも、有名なプロデューサーでもなく、そこで暮らし働くふつうの「人」です。
今回のテーマは「山に生かされる、村で生きる」。
自分はどんなふうに地域と関わっていくのか。一つの可能性として、村を提案します。
アクセスでは劣ります。けれどそこには「自分の手で地域をつくっていけるか」「その土地に愛着が持てるか」といった要素があると思います。
2013年の3月に地域おこし協力隊の求人を行った「奈良県吉野郡・川上村」から考えてみたいと思います。
あれは小学校の社会科の授業だったと思います。
「日本の国土の70%は森林です。」そう先生から教わりました。いま改めて考えると2/3が森って、すごいなぁと。
川上村は、面積の95%が森林に覆われています。冬の寒さも厳しい。けれど、そうした環境のなかで、育つものがあります。
目の詰まった吉野杉は、酒樽用に神戸・灘五郷の酒蔵から求められてきました。
収量はわずかだけれど味のよい野菜もつくられています。そして山が育んだ水は、吉野川・紀ノ川へ。流域の人たちを潤していきます。
自然の中に人が間借りをして暮らす村と言えるかもしれません。
川上村は、明治時代に入り、にぎわいを見せるようになります。
土倉庄三郎(どくらしょうざぶろう)という人物が日本の造林業のベースとなる吉野林業を生み出したからです。その後も、高度成長期ごろまで、林業で豊かに暮らす時代が続きます。
けれど、その後は木材価格の停滞もあり、林業が急速に衰退。観光による産業づくりを図るも思うようには進みません。
人口も減っていきます。1960年には7,000人いた住民も、2013年には1,643人まで減少しました。高齢化率は、奈良県内一です。
「このままなくなっていくのだろうか。」
そんな思いも出てくるなか、川上村には新たな動きも生まれています。
2012年の9月に、栗山さんが村長に就任。
村として「生きる」選択をした村長は、2013年春に、日本仕事百貨で地域おこし協力隊を募集します。
「こちらから人を選んだらあかん、20人応募してくれたらみんな村に来てもらえ。僕らは、それぐらいの気持ちでいます。」
そう話していた村長は、4人採用予定のところを6人採用しました。
半年ぶりに、川上村を訪ねると協力隊のみんなが村内の集落を駆け回っていました。
年明けから2件の求人を掲載していきます。
※1/17掲載を開始しました。こちらもご覧ください。
“水源地の村”を観光でつなぐ
川上村は新たな歩みをはじめたばかり。答えは用意されていません。
自然に生かされる一方、村のなかでは仕事も暮らしも、自分で居場所をつくっていくことが必要になります。
それはふつうに考えたら大変なことかもしれません。
けれど、ここを訪ねると可能性も感じられます。
ある協力隊のメンバーはこう言いました。
「みんな変わろうとして、大変な時期だと思う。でも、それは30年後を見据えた“いま”の厳しさなのかもしれないですよね。」
今回は、村を色々な面から紹介していきます。
僕は定期的に訪ね、村人と話したことを掲載していきます。
また、川上村に移住している協力隊のみんなとともにイベントを企画開催していきます。まずは一緒に考えることからはじめましょう。みなさんの参加をお待ちしています。(2013/12/16)
※1/17求人記事の掲載を開始しました。こちらもご覧ください。
“水源地の村”を観光でつなぐ
みなさんはどこで働き、暮らしていきますか?「奈良県吉野郡・川上村」を舞台に、6人の移住者たちとともに考えていきませんか。
2泊3日で実際に川上村を訪れるプログラムです。
地域への移住は、仕事と生活ともに大きな変化を伴うもの。U,Iターン者に村の達人たち。人に焦点をあて、自分が川上村に働き、暮らすことをじっくり考える機会をつくります。
※1/11募集開始しました。
※2/3募集終了しました。