コラム

第10回
「その後、どうですか?」

「働きはじめた人は、その後どうしているんですか?」

日本仕事百貨を見る人から、そんな声を聞きます。

私たちは、仕事のよいところだけでなく、大変なところもありのままに伝えるように心がけています。

というのも、仕事を見つけてもらうのではなく、よりよい生き方・働き方をしてほしいと思うから。

コラム「その後、どうですか?」の第10回目です。

第10回は、株式会社温泉道場で働く永島佳奈絵さんと佐々木圭子さんです。

永島さんは入社して3年半で、2017年5月に埼玉県の熊谷市にある「おふろcafé bivouac」の支配人に就任。

佐々木さんは入社して1年半で、大宮にある「おふろcafé utatane」で副支配人を務めています。

おふたりはどうして温泉道場に入社しようと思ったのか。温泉道場に入社したことでどのような変化があったのか。おふたりがこれから目指すところとは。熊谷にあるおふろcafé bivouacでお話を伺いました。

(聞き手:インターン生 大浜匠)

-おふたりがどのような経緯で温泉道場に出会ったのか、まずは永島さんから聞かせてください。

永島 私は大学を卒業してから5年ほど定職に就かず、ブラブラ好きなことをしてきまして。なので仕事は大学生のころから働いていた水商売をはじめ、アルバイトが中心でした。それなりに充実してたのですが、どことなく満足してなくて。そのうちにあと3年で30歳になるって思ったときに、ふと就職しようと思い切ったんです。地元で何か立ち上げたい野望、ちょうど飼っていた猫が死んだタイミング、好きだった人への未練を断ち切りたいっていう裏の気持ちなんかも混ざりあって(笑)人生で一回くらいがっつり働いてみたら、何か変わるかなと思いました。

そんなとき、仲良くしていたとある会社の社長さんが日本仕事百貨を紹介してくれたんです。社長さんから「日本仕事百貨に求人出すと面白い人が来るみたいだよ」っていう話を聞いて、「面白い人を求めている会社なら、自分を雇ってくれるかも」ってピンときました。そこから日本仕事百貨を覗きはじめて、馴染みのある町の求人を見つけて。それが温泉道場でした。

-佐々木さんはどんなふうに温泉道場を知ったのですか?

佐々木 以前は都内の人材紹介会社に勤めていて、制作ディレクターの仕事をしていました。あるとき、ふと将来のことを考えたことがあって、今と同じ生活をずっと続けていくのはなんか違うなと思いまして。毎日満員電車で通勤することに飽きてきたっていうのがありました。

もともと日本仕事百貨は情報収集のために見ていたんですけど、いろんな求人のなかに温泉道場を見つけて。何ですかね…すごい面白そうなことをしている会社だなぁって思って。応募締め切り日の夜11時半だったので、「応募しなきゃ」っていう使命感で応募したのがきっかけです。

-何かが引っかかったんですね。

佐々木 そうなんです。ほんとに興味だけで応募したので、代表の山﨑さんと人事担当者との面接で応募動機を聞かれても答えられなくて。5回ぐらい「もう一度聞きますけど、なんでうちを選んだのですか?」って聞かれて、「いや、そうですよね」と (笑)

ただ、話をしていくうちに、山﨑さんは本当に社員一人ひとりの個性をちゃんと見極めていて、その人をちゃんと育てるっていうことを真剣に考えているなと思って。前職では数百社以上の社長さんや人事担当、優秀な方々にお会いしたんですけど、そのなかで生き方とか考え方に共感できるような人は数人しかいなかったんです。でも山﨑さんと話して、この人と働いたらいい意味で自分では選ばない働き方とか、面白い未来が見つかるんじゃないかなって期待しちゃって。

それでもまだ入社するか迷っていたら、「別に急がなくていいですよ、ずっと待ちますよ」って言ってくれて。普通、採用って急ぐ会社が多いのでびっくりしたんですよ。ここだったら自分の人生をかける価値があるんじゃないかって思いました。

-そうだったのですね。今、佐々木さんはおふろcafé utataneの副支配人として、日々どのようなお仕事をしているのですか?

佐々木 今は社内体制の強化を行なっています。例えばシフトの最適化、スタッフ採用、ルールづくり…。あとは労務管理などを通じて、みんなが楽しく働ける環境作りも目指してます。これに関しては会社から求められているわけではなくて、組織が上手く回る方法を考えてやっていたらそれが仕事になったという感じです。

-永島さんは、以前はおふろcafé utataneの副支配人をされていて、2017年5月からは新たにオープンしたおふろcafé bivouacの支配人になられたんですよね。今のお仕事はいかがですか?

永島 私、もともと数学とか苦手だったんですけど、今は経営のために数字とにらめっこしなきゃいけなくて、副支配人のころとはやっていることが全然違います。はっきり言うと、つらいっす、今はね(笑)。

-大変ですか?

永島 私は副支配人の延長線上に支配人があると思っていたんですけど、実際はそうじゃなかった。経営とか雇用、お店の成長を年単位の長いスパンで考えなくちゃいけなくて。でも、ただ先のことを見ているだけっていうのもだめで、日々身の回りのことにも気を配らなくちゃいけない。例えば、お店に置いてある観葉植物の一本一本の枯れ枝ですら、枯れていることに気づくスタッフを育成できてない私の責任なんです。

-すごくストイックですね。支配人にはいつかなろうと思っていたのですか?

永島 そんな気は全くなかったんです(笑)。会社自体にどんどん人が増えて、私がベテランと思われる位置になっていくなかで、代表の山崎に「支配人やってみる?」って言われて。そのとき支配人にならない選択肢もあったんですけど、今の自分の年齢とか結婚のこととか、いろんなことを考えたときに、せっかく話をもらったんだし、今でしょって思ったんですね。

あと私、入社当時から、いずれは独立してお店をやりたいと思っていたんですよ。

-お店を。

永島 小料理屋みたいなのをこじんまりとやるのがいいなって。けど、温泉道場は割と自由にやりたいことをやらせてくれる会社だったので、仕事をしているうちに自己実現欲求も満たされて、独立心が欠けてきていたんです。でも支配人になったら、経営者としてやらなきゃいけないことがわかってきて、“やらなきゃいけないこと”と“やりたいこと”のふたつが揃うことで仕事って成り立つんだと気づいて。最近、「あ、このポジションを3年やれば独立できる」と思ったんです。

-夢に近づいたんですね。

永島 そうなんです。ただその夢の形も変わってきていて。以前はカウンターの中で自分が料理することを思い描いていたんですけど、今は人を雇うことを考えています。結局私がこの4年間でやってきたことって、別に美味しいおばんざいをつくることではなくて、どっちかっていうと新店開発や、経営感覚に近い仕事なので。自分のやりたいことに合った人を探したりプロデュースするのがいいんじゃないかって思ったりしてます。多少はおばんざいをつくれたらいいんだろうけど、仕込みから何から全部やるのは大変じゃん、朝苦手だし(笑)

-佐々木さんも、将来について思い描いていることはありますか?

佐々木 私は島でカフェをやりたいという夢があります。温泉道場には「夢会議」という制度があって、自分の夢を叶えるためのプランをプレゼンして、代表の山﨑さんや専門家の方々がそれいいねってなれば、その夢を支援してくれるんです。私は沖縄の古宇利島でカフェをやりたいっていうプランを提案したら通ったんですよ。

それまでは漠然としか考えていなかったんですけど、夢会議に出るために真剣にカフェの収支計画を考えたりしていたら、なんだかその夢が実現可能なものに思えてきて。ただ、きちんと実現するからには支配人の経験は必要になるので、カフェをやる覚悟が決まったときに支配人にチャレンジしたいと思っています。

-スタッフさんの夢を後押ししてくれる仕組みがあるんですね。

佐々木 永島さんが支配人になったように、キャリアステップも会社が後押ししてくれますね。会社が新しい店舗を立ち上げたりして事業が少しずつ大きくなっていくなかで、何か自分から「これをやりたい」って言っている人には、代表の山﨑さんから「じゃあやってみたら?」と話があるんです。

誰かがやりたいと言ったことに対して代表の山﨑さんが「いいじゃん」と言ったものには、実は裏で実際にそれに近しいプロジェクトが進んでいて、背中を押すからにはその先の道がちゃんと用意されている気がするのは私だけでしょうか(笑)

ここにはたくさんの道があって、そこに興味を持つ人がいればどんどんビジネスは動き出すというか。網羅されているんじゃないかっていうぐらい、誰かがやりたいことはすでに温泉道場にあるんだと思います。

-代表が「いいね」と言って、プロジェクトを採用して、仕事を任せてくれる。それって温泉道場ならではの良さかもしれませんね。

佐々木 はい。新卒の子で、自分が目指していたものとは少し違う働き方に悩んでいる子がいるんですけど、温泉道場は自分の目の前にある仕事を真剣にやっていれば、本当にやりたかったことの道にちゃんと導いてくれる会社だから安心していいんじゃない、っていう話をよくしています。

-永島さんや佐々木さんのように、夢に向かって一歩を踏み出すスタッフさんがどんどん増えるといいですね。温泉道場としては、今後どのようなプロジェクトを進めていくのですか?

永島 三重県四日市に新しく、大衆演劇が見れる「四日市温泉 おふろcafé 湯守座」が2017年11月にオープンしました。温泉道場には「おふろから文化を発信する」っていう企業理念はあるんですけど、別に温泉だけにこだわる必要もなくて、例えば農業とか漁業、酒蔵の経営とかもありだよねっていう話はよくしているので、今後も新しい展開があると思います。

-それは楽しみですね。ぜひ、またお話を聞かせてください。ありがとうございました!

 

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