コラム

第1回 20代のトンネル〈前編〉

はじめまして。日本仕事百貨インターン生の野村愛です。 これから、わたしはどんなふうに働いて生きていきたいんだろう? 就職活動をする中で、そんなことを考えはじめました。 自分に素直に働いて生きるおとなを訪ねて、20代のヒントを得たい。 そんな思いから、コラム「20代のトンネル」を企画しました。 20代のときにどんなふうに自分自身と向き合い、仕事と向き合ってきたのか、その道のりを紹介していきます。

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斉藤寛子さんは学生寮『チェルシーハウス』のキュレーター、そしてキャリアアドバイザーとして、誰もが納得感を持って生きていくために仕事をしている。 斉藤さんに大切にしていることを伺うと、こう答えてくれた。 「自分の経験も踏まえて、自分の納得感っていうものをすごく大事に生きている。人と向き合うときも納得感を大事にしているし、いろんな仕事をしているけれどその軸は全部一緒。」 納得感。自分はそんなふうにできているのだろうか。こんなはずじゃなかったのにと、納得できないことのほうが多いかもしれない。あるいは、自分が納得できるかどうかを差し置いて、周りから求められることに引っ張られてしまうこともあるかもしれない。 斉藤さんはどんなふうに自分と、周りと、向き合ってきたのか、聞いてみました。 第1回 20代のトンネル〈前編〉です。

 

〈Profile〉

斉藤寛子(さいとう・ひろこ)
フリーキャリアアドバイザー。チェルシーハウス国分寺キュレーター。米国CCE,Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー。大学では発達心理学を専攻。人材紹介会社での経験も含め、これまで2000人を超える就職・転職支援に携わる中で働く前の教育の重要性を痛感し、教育改革にも携わりたいと、2011年に独立。大学・組織内でのキャリア講義・カウンセリングに従事しつつ、Teach For Japan の広報・採用担当を経て、現在はNPO法人NEW VERYの教育担当フェローとして、チェルシーハウスのコンテンツ作りに取り組んでいる。

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ーー 大学時代はどんなことをされていたんですか?

斉 藤 発達心理学を専攻して、子どもを遊ばせながら実験とかしていて。心理学の延長線上に職業があるかなって最初は思っていた。小さいころは心理カウンセラーになりたいと思っていて。だから、心理療法士の資格を取るために、大学を卒業したら大学院に行こうと思ってた。

でも、心理カウンセラーがどういう仕事なのか、実際にNGOに入って自分の目で確かめたときにすごく違和感があって。先生によって言うことが違っていたり、やっていることに根拠がないように感じてしまった。そのときに、このまま大学院に行って心理学を勉強していくことってどうなのかな?って。それで、大学の先輩方がやっていた法務教官の仕事に興味を持って、試験を受けるために予備校に通いはじめました。

ーー 心理カウンセラーから法務教官へ将来の夢が変わっていったんですね。

斉 藤 法務教官って、人を社会に送り出す仕事で。なのに、社会のことをなにも知らないわたしはどうやってその仕事をするんだろうって思って。それから、まずは社会を知ろうと思い直して、結局就活をすることになったの。

ーー なるほど。どんな就活でしたか?

斉 藤 いざ就活しようと思ったら、自分のやりたいことが分からなくなってしまって。片っ端からいろんな業界を見たけれど、やっぱり人のためなにかできたり、人をサポートするような仕事をしたいってなんとなく思ってた。

でも当時、わたしは「暴君」と呼ばれていて(笑)。直球でなんでも言ってしまうタイプというか。自分の器が小さいことはよくわかっていたから、もっと他のひとの立場を多角的にみれるように自分の器を広げたいと思って。

ーー 「暴君」!?いまの斉藤さんからは全く想像がつかないです(笑)。業界はどういうところを見ていたんですか?

斉 藤 もっと社会を広く知りたかったから、いろんな業界に開けているような商社や銀行とかも見ていて。その中で、結局人材紹介会社に就職した。 会社に入ってからは、大学時代の暴君キャラは崩壊(笑)。

仕事をする中で、相手の立場を配慮したコミュニケ-ションを学ぶの。全然違う立場の人に悪気なく失礼なことをたくさん言ってしまって。失敗を繰り返しながら、相手に寄り添うようなコミュニケ-ションを培う経験を重ねていって。会社に入るまではそんなこと全然できなかった。 colum_13

ーー 会社に入ってみえてきた「社会」ってどんなものでしたか。

斉 藤 転職支援に関わるなかで、いろんな生き方が山のようにあることに衝撃を受けたの。学生時代は「フリーランス」という生き方も知らなかったし、とても狭い世界で生きていたんだと思う。いろんな生き方があるけれど、自分の人生に納得感を持って生きているひとがあまりにも少なかった。

ーー 納得感を持てない...

斉 藤 その人が今置かれている環境の問題ではなくて、その人自身の人生に対する捉え方やスタンスが重要な要素なんじゃないかな。同じ会社で同じ部署にいても、納得感を持って仕事をしている人もいれば、不満を言ってつまらなそうに仕事をしている人もいる。だから、自分の将来に対して自信を持つことが必要だなって思った。
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ーー なるほど。斉藤さんは自分自身とどうやって向き合ってきたんですか?

斉 藤 一年目で、人材の仕事とかも大体分かってきたときに、これからどうしようって。そのときに自分の中にあるイメージからはやりたい方向が見つからなかったから、外の世界を見ていくしかないなって思って。朝活に参加するようになったの。夜の2時くらいに寝て、朝5時くらいに起きて7時くらいから朝活にいくみたいな生活をしてた。

ーー 3時間睡眠...。

斉 藤 朝活してエネルギーをもらって仕事にいけるから、仕事もはかどるの。朝活に来るぐらいだから、パワフルなひとたちが周りにいるからね。寝不足なはずなんだけど、その人たちから元気をもらって、仕事に取り組めたからすごくよかった。

ーー 仕事の外で動くなかで、やりたいことはだんだん見えてきたんですか?

斉 藤 教育を変えたいと漠然と思っていたのだけど、具体的にイメージがついていなくて。ビジネスや起業する、NPOでやるとかいろんなアプローチもあるし。だから、経営者の人たちにたくさん会いにいって、どうやったら自分が実現したい社会になるのか相談して。そうやって動いているうちに、ビジネスよりもNPOだなってだんだん方向性が見えてきたり、友達にお仕事を紹介してもらって独立してフリーランスになるチャンスが出てきた。 20dainotonnel_3

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斉藤さんが携わっている学生寮チェルシーハウスでは来春入寮説明会を開催しています。各分野の最前線で活躍する社会人メンターとの交流、いろんな生き方や社会を学べるイベント、広々としたリビングやフリースペースなど施設もとても充実しています。本気で大学生活を充実させたい学生におすすめです。

・HP:来春向けのティザーサイト
http://chelseahouse.org/

・入寮説明会:2月21日(土)  
http://chelseahouse.org/event/briefing-moveinto/