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移り住む人たち − 郡上編 − < 前編 >

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いつか、どこか理想のまちに移り住みたい。

日本仕事百貨を読みながら、漠然とそんなことを考えている方も多いのではないでしょうか。

でも、なかなか決心はつかないもの。仕事や暮らし、行政や地域コミュニティなど、いろんな要素を並べても単純には比較できないし、言ってみればどの地域にも一長一短があります。

実際に移住した人たちは、何をきっかけに移り住み、どんなふうに暮らしているのだろう。

これから「移り住む人たち」へ、一足先に移り住んだ人たちと、その地に根を張って暮らす人たちの話を前編/後編でお届けします。

今回は岐阜県郡上市を訪ねました。


飛騨高山の城下町や下呂温泉、白川郷など、さまざまな観光スポットを抱える岐阜県。

その中央に位置する郡上市は、人口およそ4万2千人のまち。“郡上八幡”として知られる八幡町を中心に、文化的なまちなみと豊かな自然環境が交わり、独特の景観を成している。

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本数は多くないものの、1日に何本か高速バスも出ていて、名古屋駅から1時間ほどでアクセスも可能。冬季は関東や関西からのスキー客で賑わうという。

そんな郡上を語るうえで欠かせないのが、郡上おどりと祭りの存在だ。

7月の中旬から9月の上旬にかけて、毎晩どこかしらの地区で郡上おどりが開催される。とくにお盆の4日間は夜通し踊り続けるという「徹夜踊り」で、市内外から20万人もの人が訪れるという。

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「春祭りの神楽の出だしが聞こえるやん?そしたら仕事してても学校でも、手につかんわ。いかんいかんって思うんやけど」

そう話すのは、郡上に55年続く建設会社「高垣組」の専務である高垣昌幸さん。

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「踊りも祭りもさ、毎年同じもの見てるんだよ。本当に。けど、なんやかんやの風景の一部になっていて、ないといかん。ご飯食べるんやったら味噌汁がなきゃいかん、っていうのと同じで。もう刷り込みやんな」

曲が流れれば、自然と足が動き出し、落ち着かなくなってくる。

「隣の高山市の神楽、土地が違うと全然反応せんな。あ、違うって。不思議なもんやよね」

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郡上の祭りだけが体に染みついているんですね。

「我ながら、郡上の人間は何考えとるんやろうって思う。春は4、5月の河川清掃やら消防がはじまり、祭りやろ。初夏には鮎掛け。7月8月の郡上おどりが9月に終わってせいせいしたと思ったら、10月はふるさと祭り、秋の収穫祭やら冬の雪まつりもある。年中イベントでいそがしい(笑)」

もしも移住してきたら、最初は祭りや地域活動との向き合い方にギャップを感じるかもしれない。

「うちの場合は、『今日消防で出かけてきます』って会社休んどっても何も言われない。消防?ああ、ええよって。仮に同級生の身内に不幸があったら、お葬式の手伝いで2日は休みが必要やし」

休んだ分を取り戻すのも、自分次第。休みの日に働くこともあるという。

のんびり働いているかというと、そうでもないみたいだ。

「“地域貢献”と見られるかもしれないけど、普通の生活の一部で。目の前のことが全部そこにつながってる状態ってことかな」

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どんな地域にも、その地に伝わってきた伝統や文化は存在する。

郡上では、それらが日常のいたるところに染み込んでいるというか。とても身近に存在しているように感じる。

「あとは距離の近さも地域性かな。飲み屋行ったら全員知り合いとか。自分の父親より上の世代でも、〇〇ちゃんって呼ぶとか」

「移住してきた人も『どこの誰?』ってすぐ知れ渡るよ。噂が光よりも速いから(笑)」

地域コミュニティは閉鎖的になりがちとも言われるけれど、郡上の人たちは比較的オープンだそう。かつて東海から北陸へと抜ける街道の中継地点にあったことや、近年は郡上おどりやスキーなど、通年で多様な観光客が訪れることも関係しているかもしれない。


「住むにはいいところだと思いますよ」

続けて話を聞いたのは、高垣誠也さん。

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「ぼくは自分で鮎掛けもしますし、飲みに行ったり、友だちの家でバーベキューをしたり。小学校からバレーボールも続けていて、3年前やったかな、休みをいただいて全国大会にも出ました。買い物は毎日行くわけでもないし、岐阜や名古屋までならすぐに出れますしね」

「娯楽は人それぞれだと思いますけど、ぼくはいろいろと楽しみながらやれています」

郡上に生まれ育った誠也さん。大学4年間は京都で建築を学び、Uターンで郡上へと戻ってきた。

ちなみに、苗字がたまたま同じなだけで、高垣組が家業というわけではないそう。

Uターンのきっかけは、何かあったんですか。

「最初は関東や東海での就職も考えていました。でも盆と正月に帰ってくるたびに、やっぱり地元はいいなと」

どんなところがよかったんでしょう。

「同級生が多かったり、この環境に慣れ親しんでいたというのはあります。あとは、仕事していてもいいなと思えることがあって」

「ぼくは現場監督なんですが、現場に行くとお客さんがよく知ってる人で、『おお、誠也か』って下の名前で呼んでもらえたり。建てて終わらず、お客さんの身近にずっと居れるのは、郡上で働く強みだなと思います」

もちろん、人との近さがネックになることもある。実際のところ、接客業など頻繁に顔を合わせる仕事は敬遠する人が多いという。

「ぼくは祭りや地域活動も積極的に出ていったほうが楽しいと思うタイプですけど、ワーワーするのが苦手な人もいますよね。それもバランスなのかな」

ここで、写真を取り出す誠也さん。お祭りで踊る人たちの姿が写っている。

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「この人は名古屋の出身で。うちの近所に引っ越してきたんです」

「春祭りの時期に『せっかくやで、一緒に一回やってみんかい』って誘ったんですよ。最初こそ『ちょっとぼくは…』って言っとったんですけど、一回やったら楽しかったみたいで。毎回ずっと参加してくれてますね」

一概には言えないけれど、郡上に移住して孤立してさみしい、ということはあまりなさそうな気がする。外からでも飛び込める祭りや地域活動はいろいろとあるし、ひとりになりたいときには、山や川、だだっ広い田んぼに向き合うのもいい。


高垣組のみなさんに挨拶をして、今度はHUB GUJO(ハブ・グジョウ)へ。

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NPO法人HUB GUJOは、Iターンした仲間が集まって2013年に設立した団体。

紡績工場、地ビール工場と歴史を辿った建物を改装し、2017年の春に、郡上でチャレンジしたい若者の拠点となるコワーキングスペースとサテライトオフィスとしてオープンした。

テラスからは、山の上にそびえる郡上八幡城と、建物のすぐ横を流れる吉田川を同時に味わえる。室内にはなぜか卓球台があったり、キッチンがあったりと、遊び心も散りばめられていて心地よい。

ここを旦那さんとともに管理・運営している赤塚さんに話を聞いた。

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以前は名古屋に暮らしていたという赤塚さん。

郡上に移住してきたのは、今から5年前のこと。

「移住するにあたって、何か捨てなきゃいけないものがあるんじゃないか、と思われがちなんですが、別にそんなことはなくて。今はこれだけインターネットやSNSが発展している時代ですし、あまり変わらないことも多いんです」

「たとえばどこに住んでいたって、Facebookでつながってる人と『今日飲みに行こうよ』って機会はそんなにないですよね。名古屋までは1時間ほどですし、友人に会おうと思えば会いに行けない距離じゃありません。それに、ここには面白い方が集まるんですよ」

リモートワークのツールを開発している株式会社ブイキューブがサテライトオフィスを構え、マーケティングの本部長自ら実証実験をしていたり。

千葉県松戸市のスローコーヒーと、郡上でラフティングや自然体験プログラムを実施しているアースシップが一緒になって、カヌーに乗りながらコーヒーを味わうイベントを行ったり。

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移住したからこそ生まれた出会いも多かったという。

「うちに畑があるんですけど、主人がある日、山水を引いてくるって言って。そうですか、どうぞご自由にって見てたら、耕運機で深めにガーッと掘って、畑をぐるっと囲う水路をつくっちゃった。いやあ、彼は満喫してますよね」

仕事の内容にもよるけれど、こんな働き方、暮らし方もある。

「これまで積み重ねたものを全部捨てて、とかではなく。人とのつながりも、キャリアも、活かしながら働きやすい環境なんじゃないかと思います」

(中川晃輔)

>>後編につづく


興味が湧いた方は、10/14(土)にリトルトーキョーで開かれる移住セミナーと、その後のしごとバー「航空宇宙パーツナイト」にもぜひご参加ください。郡上からは、高垣組の高垣昌幸さん、高垣誠也さん、郡上螺子の高瀬さんが来てくださいます。

郡上のお酒を傾けながら、郡上のこと、仕事のこと、もっと漠然とした移住のことでも、気軽に話しましょう。

詳細は、郡上の移住・交流促進に取り組む「ふるさと郡上会」の下記HP、またはFacebookイベントページをご覧ください。11/2(木)には東京・新宿の「HAPON Shinjuku」で、11/12(日)は愛知・名古屋の「シェアカフェ ココロ」にて、それぞれセミナーを開催します。

>>セミナーへのお申込みはこちら

【セミナー情報】
◎10/14(土)@東京・清澄白河「リトルトーキョー」
ふるさと郡上会HP
複業研究家・働き方改革コンサルタントである西村創一朗さんの講演会も同時開催します。
Facebookイベントページ

◎11/2(木)@東京・新宿「HAPON Shinjuku」
ふるさと郡上会HP
Facebookイベントページ

◎11/12(日)@愛知・名古屋「シェアカフェ ココロ」
ふるさと郡上会HP
Facebookイベントページ

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