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楽しい理由がある

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「フェアトレード専門の会社としても、ビジネスとしても、大事なことは途上国の生産者だけではなく、そこに関わる私たちの暮らしも成り立っているということです。一人ひとりが当事者意識をもつことが求められます」

これはシサム工房の代表である水野さんの言葉です。

これまで『フェアトレード=チャリティ』のようなイメージを持っていましたが、水野さんの話を聞いてくうちに、まだ知られていない世界中の手仕事や伝統、物を発信することなんだと思いました。

そうすることで自分たちの仕事にもなります。

s01 今回は、シサム工房で営業スタッフと店舗販売スタッフを募集します。

シサム工房は、フェアトレード事業を中心に販売から卸事業、ノベルティ事業、商品企画・開発をおこなっている会社です。

与えられた仕事だけではなく、必要だと思えば積極的に動いて、自ら仕事をつくっていくことも。

だからこそ、商品の魅力や、その背景にある物語に価値を感じている人は、自分ごとのように働ける環境なのかもしれません。



京都駅から電車を乗り継いで元田中駅へ向かいます。

駅から歩いて7分ほどで、シサム工房が見えてきました。

s02 建物の前まで来ると、スタッフらしき人が入り口に集まってダンボールを並べています。

どうやら商品を運んでいるらしい。ただ、みなさん共通しているのは、どこか楽しげに働いているということ。

事務所へ案内され、はじめに迎えてくださったのは代表の水野さん。

s03 「よかったらうちが販売しているコーヒーをどうぞ」といれてくれたのはシサム工房が手がけているシサムコーヒーでした。

「フィリピンの山岳地帯で育った豆なんです。山に暮らす人たちの現金収入プロジェクトとしてはじまったのですが、売る場所がなかったので、なんとかしてほしいということで声がかかって、2年前からコーヒーの販売もはじめました」

「そして、このマグもネパールで生産されているフェアトレード商品です」

部屋の中にコーヒーの香りが広がる。

s04 アンティーク家具が並ぶ部屋で一息ついて、お話を伺います。

「学生のころは人権問題や発展途上国の貧困問題に関心を持ち、バックパッカーとしてアジア・アフリカを旅していました。そうしたなかで、発展途上国に暮らす人たちとつながって生きていきたいと漠然とした思いをもつようになったんです」

「NGOの世界に入るべきかどうか悩んだのですが、当時はなかなか踏み切れずにいて。まずは一般企業で働いてみようと決めました」

そうしてはじめたのが、バイヤーとしての働き方でした。

バイヤーとして4年間働くなかで、一つの決断をします。

「働きながらも、やっぱりNGOの活動に触れてみたいという意識はありました。そこで、これまでのように商品を売りながら、自分の関心がある分野に関わり、情報を発信していく場をつくっていこうと思いついたんです」

自分の足で動き、考えたときに出た答え。それがシサム工房でした。

「10年後を考えたときにどっちが素直な自分でやっていけるかを考えたら、今の形が答えでしたね」

これまでの経験を活かし、ものを売る場をつくることに決める。

そこからどのようにフェアトレードへと結びついたのでしょうか。

「フェアトレードというシステムは国際開発のツールのひとつとしてとても良いなと思っていました。それがバイヤーとして働いてきたなかで一番身近になってきたんです」

水野さんが働くなかで身につけた知識・経験と、関心を向けていた途上国の人たちが、より理想的なかたちでつながっていく生き方は何か。

二つの視点から考えたときに『ものを売る』ことと、『フェアトレード』が結びつく。

s05 「ただ、実際にはじめてみると、困難だらけでした。初日はレジも打てなかったので、友人に助けてもらって。みんなに助けられながら成長できたことが、今となっては大きいですね」

その思いは、会社としての方向性も築き上げていくことになります。

「2002年に会社組織化したんですが、ファミリービジネスのままでいくか、会社組織にするのかで迷ったんです。ただ、自分がやりたいことは、フェアトレードの世界でシサム工房と生産者がもっとつながって生きていけるようになること。その可能性を深めたいと思って」

共感してくれる人を巻き込むことで、挑戦できる世界が広がっていく。

そんな考え方が、今のシサム工房をつくっていきました。

「もともと自分はできないことだらけなんで、できることを持ち寄って何かを実現することの楽しさを感じますね。ここでポジティブなことを提案してくれると、やってみよう!となる。その瞬間はなんだかすごくうれしいんですよ」
一人ひとりが自分ごとのように動ける土壌があると感じました。
また、会社としても大事にしていることがあるという。

「ものや服が大量生産され、安く売られる時代で、フェアトレード商品の価値観はものの背景にあるストーリーだと実感したんです。それを丁寧に伝えていくことが、私たちが提案できる最大の方法であり、必要不可欠な価値観だと思いました」

s06 「そして、何よりそういった情報に興味がある方々に見つけてもらうのではなく、自ら伝えていくことが必要かなと思いました」

いいことをしていれば、自ずと広がっていくわけではない。

どうやって伝えているのか、具体的に聞いたら販売部門の統括をしている池澤さんが答えてくれました。

s07 「『シサコレ』といって、自社の展示会の延長でおこなっているイベントがあります。一般のお客様にむけた企画展なんですが、フェアトレード商品が出来るまでの裏側を伝えることを目的とした試みです」

「シサコレをとにかく楽しかったと話してくれるお客様が多かったのですが、なによりスタッフからも同じリアクションが生まれて。その瞬間、やってよかったなと思いましたね。僕一人では生み出せない達成感を感じました」

巻き込む範囲が大きくなると、作業の量も手間も多くなる。

加わる人が多くなるから、やりがいを感じて働ける人も増えていく。

「シサコレは、もともと販売部門の中でも小売部門の企画だったんですが、いまでは全部署のスタッフが主体的に何かしらのかたちで関わる、全社的なイベントになりました」

「異なる部署であっても、できることを持ち寄ることができたらより素晴らしいものになるし、そうすることが自分の仕事の幅を広げる事になると思うんです。」

s08 そんな環境の中で、販売スタッフはどういった人が向いているんでしょうか。

「フェアトレードを成り立たせるためには、販売をしていかないと自分たちも食べていけないですし、生産者も支えていけない。商品開発力と販売力が重要になってきます」

「商品開発力は現地の素材や技術を使って、いかに魅力的な商品をつくるかということと、知恵とアイデア、それに伴うクオリティ。販売力は商品だけに頼らない人間性や接客力、コーディネート力、バイヤーさんやお客様との関係性をいかに築けるかということです」

社会貢献という意識と同時に、ビジネスとしての意識。両方から物事を見れる視野を持ちたい人には合っているかもしれない。

営業はどういった働き方になるんだろうか。

営業スタッフとして働いている越久さんにも話を聞いてみました。

s09 「一般的な営業のイメージでしたら外回りをしたり、商談したりといった仕事内容かと思うのですが、ここでは外に出る仕事だけでなくカタログ制作や、ご注文をいただいた商品の梱包までも担当していくことになります。幅広い仕事をやってもらうので、体力的な仕事も正直多いです」

ただ、それを乗り越えたときにお客様と強い関係を築けるやりがいがあるそうです。

「自分の考えを発言しやすい雰囲気なので、気づいたことを積極的に提案してくれるような人が応募してくれたらいいな。あと、やっぱりおしゃれをして伝えることも必要だと思います。フェアトレード商品はファッションや雑貨ですので」

3年働いてきたなかで印象的な光景があるんです、と越久さん。

「商品入荷が一気にあって、それをみんなで検品・分配をおこなうんです。入荷した衣料に埋もれてホコリをとりながら、たわいもない世間話で盛り上がる」

「そんな作業姿をみると、インドを旅しているときに出会った光景と結びついたんです。みんなであぐらをかきながら、考え事や雑談をはじめる。なぜだかすごく楽しくなり、心が豊かになれたんですよね」

s10 コミュニケーションを通して得ることがある。自分の売っている物をたくさん触れば触るほど自信も生まれる。

きっと納得している仕事だからこそ、割り切らなくていい。すべての時間がつながって、いい影響が生まれているんだと思います。

「また、発言も聞いてもらえるので、自分の提案が取り入れられると、やりがいは一層感じますね」

たとえば、といって見せてくれたのは、フェアトレード全体の認知度をあげようという試みからはじめたフェアトレードショップリスト

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 「弊社の商品を扱っているかどうかは関係なく、フェアトレードに対する意識をしっかり持っているお店を紹介しています。このショップリストは店主さん自身がオーダーフォームに記載して、自分たちはこんなものを扱っていますって言わないとリストには上がらない仕組みになっているんですよ」

巻き込む環境を築きながらも、巻き込まれる側にも当事者意識を持ってもらえるような形になっている。

そうすることで、ただ巻き込むのではなく、全体がフェアトレードという情報を発信していく意識を高めている。

シサム工房のやり方で、横のつながりも広まっていました。

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最後に水野さんの言葉を紹介します。

「僕の思いとしては、この仕事をしながら生きていくということを意識してほしくて。仕事と暮らしがリンクするような人だとうれしいですし、そういう人の意見や思いはしっかり受けとめたいと思っています」

「また、途上国に暮らしている生産者たちに継続的な仕事を提供できる関係をつくりたい。そうした取り組みの中で、安定した生活を成り立たせることができる人を増やしていくことがシサム工房にとっての成功だと思いますね」

フェアトレードを通して関わる人が幸せになっていく。それは自分のことのようにうれしいこと。
楽しそうに働いている理由がわかりました。

(2016/3/02 浦川彰太)
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