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そのガラスに
心が動いたのなら

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

「我々の製品は、非日常のための特別なものではなく、日々の暮らしを楽しむためのものです。気合を入れた料理じゃなくても、いそがしい日に買ってきた惣菜を盛るだけで、食卓がちょっと明るくなるような」

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創業86年。菅原工芸硝子株式会社のガラス製品は、千葉県九十九里町の工場で、一つひとつ職人の手によってつくられています。

北は仙台、南は福岡まで、全国に9店舗を展開。「スガハラならでは」のものづくりの姿勢を守りながら、企業や他分野とのコラボレーションも柔軟に展開している会社です。

今回は、東京の松屋銀座店と青山店、福岡店、仙台店で働く販売スタッフを募集します。

 

取材に向かったのは、東京・青山にある直営店。

地下鉄表参道駅のB2出口から歩いて3分ほど。小雨の降るなか駆け込むと、照明に照らされたガラス製品の数々が出迎えてくれる。

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さまざまなカラーバリエーションを揃えた器や、独特な形をした一輪挿し、数種類の気泡を含んだグラスなど。眺めているだけでも楽しくて、思わず長居してしまいそうな空間だ。

「これらはすべて、職人の手づくりなんですよ」

そう教えてくれたのは、菅原工芸硝子代表の菅原裕輔さん。

この日は併設の「Sghr Café」がお休みということで、そちらに移動してお話を聞く。

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「うちは創業86年目になる会社です。もともとは、今でいう東京スカイツリーのすぐそばに工場があって。56年前に千葉の九十九里に移転しました」

菅原さんにとっては家業の会社。しかし、継ぐつもりはまったくなかったそう。

大学卒業後はハンドバッグの会社に入り、営業担当として百貨店を回る日々。

商談の合間に、ふとスガハラの製品を見かけることがあったという。

「小さいころから身近にものづくりの現場があったので、夏は50℃にまでなる過酷な環境のなか、すべて手づくりしていることを知っていました。だからこそ、大切につくられたものがずいぶん残念な売られ方をしているなと感じたんです」

当時もてはやされていたのは、とにかく海外ブランドのものばかり。せっかくいいものをつくっていても、日本製では売れないような状況だった。

そんな状況を目の当たりにした菅原さんは、次第に「スガハラのものづくりを伝える仕事」へと想いを寄せていく。

「ふつう、企画やデザインのセクションがあり、それを形にする技術者として職人がいる、というのが一般的なメーカーだと思います。ただ、我々のものづくりは少し変わっていて。職人がデザインまで手がけるんです」

それはなぜですか。

「ガラスの魅力をもっとも惹き出せるのは、職人ですから」

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「我々は『ガラスだから』、もっと言えば『スガハラだから』と言えるような表情をもった製品を生み出していきたいと思っています」

31名の職人のうち、11名が女性。年齢層も20〜30代の若手を中心に、この道50年になる大ベテランの方がいたりと幅広い。

ガラスの製造メーカーとしては、世界を見渡してもあまり例がない形だという。

「それぞれの職人の視点を活かして、今、とてもいいバランスでものづくりができていると思います」

ハンドメイドという軸はぶらさず、職人の数だけ色がある。

スガハラ独特の世界観は、職人一人ひとりの手によって生み出されているようだ。

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「飛び込み営業はまずしません。たまに新規で営業をかけるのは、『こんなところで使ってもらえたら素敵だな』と思うお店やレストランに出会ったときだけ。基本的には、既存のお客さまと関わる仕事になると思います」

今回募集する販売職の仕事についても聞いてみる。

「販売に関しては、お客さまからいただく反応が印象的で。どの店舗に行った方でも、『スタッフの接客が丁寧でよかった』という声をいただくことが多いんです。それはとてもうれしいことだなと思いますね」

いいものをつくるだけでは売れないことを、菅原さんは身をもって感じてきた。

ものづくりの背景を伝えたり、こだわりのポイントを語れたり。

スガハラの顔となる人が求められている。

「売るための営業トークや販売テクニックではなく、『こんなきれいなものができました。すごくいいでしょ!』って言えることが、一番力強いメッセージだと思うので」

それは、職人と同じ目線に立つとともに、スガハラのファンとしての感覚も持ち合わせているということでもあると思う。

最近は、インスタグラムで「#Sghr」とブランド名を入れて検索することにハマっているという菅原さん。

「うちの食器やグラスを使っていただいている写真がいっぱい出てくるんです。それを見ながら、いつもにやにやしています(笑)」

「何よりスガハラの製品が好きという人に来てもらいたいですね」

営業担当の村田さんも、もともとスガハラのファンだったひとり。

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「都内の雑貨屋さんで、うちのカスケードというグラスを見つけて。たまたま在庫がなく、数週間待って取り寄せてもらったんです。でも、待った分だけ愛着もわいて、よく使っていました」

転職を考えはじめたころ、グラスに描かれた「Sghr」のロゴをなんとなく検索すると、販売のパート募集の情報を見つけて応募。

1年間販売スタッフとして働いたあとに、営業担当の正社員となった。

「百貨店やレストランなど、既存のお客さまから『こんな商品ありませんか?』とご相談をいただいたり、売り方に困られているようであればディスプレイについてご提案をさせていただいたり。『この商品が使いにくい』とか『これがよかった』と声をいただいたら、それを職人さんに伝えるのも営業の仕事ですね」

もしかすると、パッと頭に思い浮かぶ「営業」の仕事とは異なるかもしれない。

企業のキャンペーンやコラボレーションする企画では、その窓口にもなるそう。

「基本的には自社の製品を販売していくことがメインですけど、新しい技術開発やブランディングにつながることであれば、一緒に取り組ませていただくこともありますね」

「個人的には、サントリーさん・ミステリー作家さん・スガハラでコラボした企画がとても印象に残っています」

その企画とは、サントリーのウイスキーを飲むためのグラスを4名のミステリー作家が考え、スガハラが形にする、というもの。

職人と作家との間で何度も打ち合わせを重ね、ときには工場を訪ねて試作したりしながら、理想のグラスをつくりあげていく。

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「小説のワンシーンであったり、好きな国であったり、みなさんそれぞれ好きな場面を想像しながら、まったく違う方向に進んでいく様子が面白くて」

「完成したあとは、作家さんが『このグラスの合う店に連れてってやる』ということで、職人さんたちを連れて銀座まで飲みにいったり。いろんな業種のいろんな方と、仕事を通じて出会えるのは面白い部分かなと思います」

とはいえ、関わる人の数が多い分、大変なこともありませんか。

「そうですね。ガラスは石を溶かした天然素材ですし、ハンドメイドですから、予期せぬことはどうしても起きます。色がきれいに出なかったり、なぜかおかしな筋が入ってしまったり」

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取引先だけでなく、過酷な環境のなかで手づくりしている職人たちにも納得して取り組んでもらえるよう、間を取り持つ場面も出てくる。

なかなか苦労の絶えない仕事だと思う。

「ご案内時には必ずリスクをお伝えするようにしますし、そういうことが起きてしまったときのために、普段から多少の無理を聞いていただけるような関係をつくっておくことも、仕事のひとつかもしれません」

そのためには当然、ものづくりの現場に関する知識も必要になってくる。

「工場を見学しに行って、体験させてもらったこともあります。職人さんが簡単そうにつくっているシンプルなグラスでも、すごく難しいんだなって」

ガラスの製造から販売、使ってみてのフィードバックまで。全体を把握し、調整する苦労もありそうだけれど、それは一方でこの会社の面白さでもあるという。

「自分でデザインした製品もあります。料理にかぶせるディッシュカバーなんですけど」

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「飲食店さんからこんなものがほしいと依頼されることが多くて。絵に描いたものを、職人さんが形にしてくれました」

社内の誰でも提案できる「アイデアシート」という仕組みがあり、出てきたアイデアをもとに商品化や企画につながることもあるんだそう。

「職人さんも“できない”とは言わずに挑戦してくれるので。新しいものが生まれやすい環境ですよね」

アイデアは、製品や企画に関するものだけではない。商品管理の方法や注文業務のシステムなど、仕組みの面でも気づいたことがあれば、提案して改善していける人がいい。

接客についても、マニュアルはない。

続いて販売スタッフの前原さんにも話を聞いた。

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服飾の学校に通い、刺繍や織物をつくっていた前原さん。

飲食や雑貨など、生活まわりの仕事を経て、スガハラにやってきた。

「業務的なことは、入ってからでも覚えられるので。思いやりを持って、お客さまの気持ちに寄り添った接客ができる方と働きたいですね」

具体的には?

「プレゼント用か、ご自分で使われるのか、とか。その際のご予算や、どんなお飲み物やお料理が好きか、などもお聞きしますね」

細かく聞くことによって、提案できる内容もより明確になっていく。

と同時に、自分で決めたいというお客さんの気持ちにも配慮して、バランスよく寄り添っていくんだそう。

「隣の『Sghr Café』ではスガハラの製品を使って料理をお出ししているので、カフェを利用されたことがきっかけで来店される方もいらっしゃいますし、逆に店内で悩まれている方をカフェにご案内することもあります。実際に使われているのを見るとイメージが湧きやすいと思うので」

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お店には、それぞれの想いを胸に、いろんな人が訪れる。

前原さんは、どんなときにやりがいを感じますか。

「やっぱり、大切な日に関われるのはうれしいですね。以前に買ったプレゼントがすごく喜ばれたからと、再び来てくださったり。引き出物を探しに来られていた方が、お子さんが生まれたあとにまた来てお祝いを買ってくださったり。喜んでいただけたときが一番うれしいです」

続けて、村田さんも一言。

「この仕事って、いくら製品をつくって売っても、誰も不幸にならないから好きなんです」

「誰かの健康を害することもないですし、つくった人も、買った人も、みんなハッピーになれる。売るぼく自身も、好きなものを扱えてうれしい。いい仕事ですよね」

「こんないいものができました。すごくいいでしょ!」

そう心から言える仕事って、なかなかないと思います。

スガハラのガラスに心が動いたなら、ぜひ、一歩。

(2017/6/13 取材 中川晃輔)

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