求人 NEW

すべては1から

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

壁からニョキッと生えたような手すりや、重力に逆らう構造の壁など。

思わず「どうやってその形に?」と聞きたくなるような、特徴的な建築の施工管理を手がけてきたのが、株式会社TH-1です。

専門的に建築や設計を学んでこなかった自分でも、なんだかすごい!ということはわかる。

実際、これらの建築は圧倒的な知識量と綿密なコミュニケーションによって支えられているようです。

今回募集するのは図面作成のアシスタントスタッフ。経験があれば早い段階で施工管理の仕事に携わることもできるし、未経験でも大丈夫とのこと。雇用形態も、状況に応じて正社員かパートタイムかを相談できます。

難しそう…と尻込みせずに、まずはTH-1の手がける建築がどのように形になっていくのか、知ってほしいです。

TH-1のオフィスの最寄駅は、池袋から2駅の千川駅。そこから歩いて4分ほどで到着する。

オフィスの内部空間はスキップフロアで構成されていて、屋根はテントなので開放的で明るい。設計したのはTH-1代表の朝倉さんの夫であり建築家の故・朝倉則幸氏。この建築で、第11回の吉岡賞を受賞している。

2階の打ち合わせスペースで朝倉さんに話を伺う。

朝倉さんがTH-1を立ち上げたのは2005年。それ以前は別の施工会社で役員を長年勤め、自身は施工管理者をマネジメントする立場で現場を指揮してきたという。

レベルの高い施工を行うために、受注する案件は建築家が設計した建物だけに絞ってきた。

評判は口コミで広がり、営業担当はひとりもいないのに今年の予定は埋まっている状態なのだとか。

人気の理由は何なのだろう。

「ひとつは、嘘をつかない会社にしたいとの思いを分かっていただけているから。わたしの目が厳しいこともあるかと」

「もうひとつは“納まり”に関して妥協しない、という姿勢だと思います。たとえば簡単な例を出すと…」

そう言いながら、朝倉さんがオフィスの中にある手すりを指差した。

「壁からまるで生えているように手すりをつくるには、どうしたらいいと思います?」

「プレートを使って留める方法は誰にだって考えられる。だけど壁からニョキっと生えるように手すりをつくるにはどうしたらいいのか。設計者の描いた線を形ある建築として実現するために、納まりを考えるのがわたしたちの仕事なんです」

建築の図面は、設計図と施工図の大きく2つに分けられる。

設計者が公的機関や施主に提出するために作成するのが設計図。一方の施工図は、設計図をもとにしてより詳細な寸法などを描き込んだもののこと。

複数の業者や職人が関わりながらひとつの建築をつくっていく現場では、施工図が欠かせない。今回募集するのは、そんな施工図の作成に携わるスタッフだ。

実際に施工図を見せてもらう。

1分の1スケールで描かれていたり、ビス一つひとつの位置から打つ方向のことまで記されていて実に細かい。職人にきちんと指示できるように、仕上げに影響することは余すことなくすべて記しているのだという。

著名な建築家との仕事も多い。

細かい納まりやディティールの打ち合わせでは、設計者に対しても率直に提案するのが朝倉さんのスタンス。というのも、細かなことの積み重ねが建築の安全性や耐久性、仕上がりに関わるからだと思う。

「若いころから『先生、わたしはこっちのほうがきれいだと思うんですけど』なんて言って。ときには怒られながらやっていましたね」

ときには厳しく感じるかもしれない。ただ、それは裏を返せば、理不尽さや矛盾をそのままにせずに働けるということ。

「工程管理と品質管理、それからお金の管理。この3つをちゃんとやっていきたい、っていうことですよね。当たり前のことをちゃんとやる」

「その積み重ねが、自分にしかできない仕事になっていくと思うんです」

自分にしかできない仕事。

「この人が考える納まりは本当にきれいだとか、積算やらせたら一流とか。それぞれの持ち味を活かして、極めていける人がいいでしょうね。そういう人なら、自然と人もついてくるでしょうし」

とはいえ、いきなりスキルや経験は求めないそう。

まずはアシスタントとして、図面の描き方や気にかけるポイントを学びながら手を動かしていく。最初のうちは、家具図面や改修時の部分的なプランニングなど、比較的シンプルな作業からはじめることになる。

経験を積み、ゆくゆくはひとりで施工図を作成したり、現場の施工管理に就いたり。徐々にステップアップしていく未来も描けると思う。

「少しでもうちの仕事に興味を持ってもらえたら、まず会ってお話ししたいと思っているんです」

そう話すのは、主任の平川さん。

実は以前、日本仕事百貨で施工管理者を募集した際に、なかなかいい出会いに結びつかなかったという経緯がある。

「もとから建築が好きで詳しい人も、もちろんいると思います。その一方で、実際にまずやってみて『この仕事、好きなのかもな』と続けていく人も増えていると思うんですよね」

そのため今回は、CADに触ったことがない人でも大丈夫。完全週休2日制や子育てフレックスタイム支援という体制も整え、未経験者や働ける時間に制限のある人でも、まずは間口を広げて募集したいとのこと。

ただ、まったくの未経験からいきなりこの環境に飛び込んで本当にいいのか、まだ少し不安があります。

「たしかに、最初はわからないことだらけだと思います。でもそれはきっと、建築を学んできた人でも一緒で」

「自分たちの売りは特殊物件の施工管理なので、毎回が挑戦なんです。これはどうしようか?と必ず試行錯誤する部分が出てくる。セオリーが通用しないこともあるので、未経験でも吸収力のある方であれば、短期間で力をつけられる環境だと思います」

業界の常識や一般的なセオリーが、かえって柔軟な思考を妨げることもある。

いきなりひとりで任されることはないので、スピード感をもってトライ&エラーを繰り返すこと。そして、明確な正解のないなかで、自分の頭で考えたアイデアを図面に落とし込んでいく力が求められる。

建築のみならず、自分の手で新しいモノや仕組みをつくることに携わってきた人は、その経験をここで活かせるかもしれない。

働く環境として、社内の雰囲気はどうでしょう。

「人として嫌な人がいない。上司だからといって威張る人もいないですし、みんなのびのび、働きやすくやっているのかなと。基本的には、人間関係で揉めることはないと思いますよ」

長期の案件の場合、現場の周辺に事務所を借りて普段はバラバラに働くことも。

だからこそ月に1回は全員でミーティングを開いたり、社員の誕生日会を毎回行なったりと、顔を合わせる機会を大事にしているそうだ。年に一度は社員旅行にも出かける。

また、設計事務所や施工会社など、一緒に仕事をする人たちをオフィスに招待して、手づくりの料理でもてなすこともあるという。

第一印象はシュッとした感じがしていたので、ちょっと意外だった。

「コミュニケーションが大事なんです」と朝倉さん。

「基本的に人と関わる仕事なんですよね。たとえば食は、人間の欲望のなかでも一度にたくさんの人と共有できるものだから、社内外問わず自然と距離が縮まりますし」

「職人さんに対してだって、わたしたちより経験のあるプロフェッショナルに、こうやってくださいとお願いするわけだから。率先して手伝ったり、ゴミを運んだり。そうした気配りが、どんな仕事にも必ずつながっています」

いい関わり合いが、いい仕事を生む。

TH-1という会社は、異なる人たちの間にあって、そこからいい関わり合いがはじまるきっかけをつくっているのかもしれない。

今回の募集について、仕事内容は何かといえば図面の作成やプランニングなのだけど、こうしたいい関わり合いは全員でつくっていくことになると思う。ひたすら図面だけに向き合う仕事、というわけではなさそうだ。

今年で入社2年目になる五十嵐さんにも話を聞いた。

大学で建築設計を学び、TH-1には新卒で入社。

「実家が工務店ということもあって、自分にとって建築の原風景は現場だったんです。だから最初は大工になろうと考えていました」

「ただ、設計の経験も活かしつつ、施工に携わりたいと思うようになって。TH-1のことは学生のころから知っていたので、募集はかかっていなかったんですが、直接連絡をして入社しました」

最初は先輩が担当する現場に同行し、ゴミ出しや資材運びを手伝うところからのスタートだった。

「現場に慣れてきたら、すぐに1つの案件を任されました。もちろん上司はつくんですけど、けっこう急だなぁと思って。分からないことだらけだったので不安でしたけど、やってみるしかないなって」

実際にやってみて、どうでした?

「責任をもって1件担当することで、見え方が変わるというか。自分で考えて失敗した、うまくいったという経験があると、そのあとの動きも変わってくるんですね」

TH-1のスタッフは、五十嵐さんのように、もともと建築を学んできた人の割合が多い。未経験者から広く募集する今回は、会社としてもある意味チャレンジなのだと思う。

「この会社は個人をすごく尊重してくれるところがいいなと思っています。今26歳なんですけど、そんな若い人間に任せてもらえるっていうのはありがたいですし、自分のように働いている人って世の中にあまりいないと思うんです」

「ここではかなりいい経験ができているなって感じます」

昨年に入社したばかりの小松さんも、五十嵐さんの言葉に続ける。

以前は設計事務所に約4年勤めていたという。

「設計をやっていたときはつくる過程があまり見えなかったけど、ここは現実的にゼロからつくらなきゃいけない。それって結構大変なんですけど、しっかり身につけていけば設計も納まりもできる人間になれると思うので。将来に向けて本当にいい経験ができていますね」

ゆくゆくは独立も考えているとのこと。

未経験の人はもちろん、小松さんのように設計事務所に勤めていて、施工の過程にも関わっていきたいという人。あるいは現場で施工に携わるなかで、その前段階の設計やプランニングに興味が湧いてきたという人でも、TH-1で働くことは視野を広げることにつながるはず。

まずは一つひとつの仕事に向き合っていく。

経験を積み重ねていくことで、ほかの人には真似できない自分だけの仕事になるのだと思います。

(2018/6/20 取材 中川晃輔)