求人 NEW

出版されたばかりなのに
新著『生きるように働く』の
編集部をつくります

「本ができたら、それは著者のものではなく、みんなのものになる」

新しく出版する本について打ち合わせしているときに、ミシマ社の三島さんが話した言葉です。

その言葉がずっと心に残っていて、「本と建築は似ているかもしれない」と思いました。

建築というものは、建築家の作品ではなく、そこに住む人のもの。もっと言えば、街にも強く影響を与えるから、公共的な役割も担っている。

建築は、そもそもパブリックな性格を持っている。

さらに意識的に建築を開放していくと、面白い現象が起きる。

たとえば縁側を貸したり、地域に開放したりすると、いろんな人が関わりはじめる。たとえば、コーヒー屋さんをはじめる人が現れるかもしれないし、小さな学校がはじまることもあるかもしれない。自分たちが運営しているリトルトーキョーも、毎晩のように「しごとバー」を開催されているし、先日開催した「マニアフェスタ」には中に入りきれないくらい人が集まった。

余白は創造のきっかけになり、場所をオープンにすることで、面白がって関わる人たちが現れて、いいハプニングが起きる。

本だって同じかもしれない。作者と読者の垣根をはらって、とことんフラットにしたら何が起きるだろう?

今回はわたくしナカムラケンタの新著『生きるように働く』を世界に開いて、縁側のような場所「生きるように働く編集部」をつくろうと思います。新著を買ってくれた人は誰でも参加できます。

「なぜ本が出版されたばかりなのに編集部をつくるの?」と思うかもしれませんが、本そのものだけじゃなく、いわゆる2次創作など、そこから起きたことも含めて本なんじゃないかと思うんです。

生きるように働く編集部は基本的にオンラインにつくります。

そこでは新著の感想を話し合えるし、雑談もできる。求人サイトを運営しているくらいだから仕事の相談に乗ることもできるし、日本仕事百貨で働く人も生まれるかもしれない。そうやっていろいろなことを話していると、新しいことが生まれていくから、プロジェクトや会社を立ち上げることもあるんじゃないか。

心強い仲間たちも参加してくれることになりました。

装丁をお願いしたBAUMの宇田川裕喜くん、昨年『発行文化人類学』を出版した小倉ヒラクくん、そして本の中にも登場する6次元のナカムラクニオさんです。これ以上ない、最高の3人だと思います。

まずはfacebookグループにオンライン編集部をつくってみようと思います。ときどきインターネットを飛び出して集まる場所もつくります。あとは無計画に自由に、いろんなことが起きる場所にしたい。

今回はそんなちょっと変わった編集部に参加する人を募集します。

 

新著『生きるように働く』は5章から成り立っている。第1章の「種を蒔き、水をやる」からはじまり、第2章「芽が出て、葉が開く」、第3章「根を張り、幹を伸ばす」、第4章「枝を張り、葉が茂る」、そして第5章が「森になる」というように、種から発芽して成長し、森になっていくことをモチーフにしている。

その第5章で、6次元のナカムラクニオさんは次のように話している。

「いろんなことをお客さんから学びましたね。すべてお客さんがやってくれたんですよ。プランみたいなのかがほとんどなくて」

6次元は40年前にできた伝説のジャズバー「梵天」の跡地をリノベーションしたブックカフェ。荻窪駅から歩いて3分ほどのところにある。細長い階段を上がると、広がるのは温かい木の内装、ぼんやりと光るランプ、そして壁一面の本棚。

ここはブックカフェであり、ときどき学校のようにもなり、ギャラリーもあって、何ものでもないようでいて、何にでもなるような場所。しかも、それはナカムラクニオさんの言葉のとおり、お客さんがつくってきた場所なのだ。

「読書会は衝撃だったんです。これも、はじめは頼まれたんですよ。読書会やりたいんです、って言われて、よくわからなかったんですけど。(中略)読書会を頻繁にやるようになったら村上春樹さんの読書会も多くなって、ハルキストが集まるお店みたいにマスコミに紹介されるようにもなっていきました。ノーベル文学賞の発表の日なんかはお店に中継車まで来るし。そういうのもなんか面白いなと思うんですよね」

まさに本を提供する側=本屋と、提供される側=読者という役割があやふやになっている場所かもしれない。

さらにクニオさんはこんなことも話しています。

「イベントが終わったあと、しばらく場所を開放していたこともよくありました。するとみんな残って会話を楽しんでくれる。終わったらすぐに『はい、終わりです』ってしてしまうと余韻が残らないから。余韻を残しながら、タイミングを見計らいながら終わらせることは大切ですね」

何か面白いことが起きるときって、新しいことを知って、ほかのものと組み合わさって、また新しい何かが自分の中から生まれるときのように思う。

たとえば、イベントで面白い話を聞いて、参加者同士で話していたら盛り上がって、新しいことがはじまるきっかけになるようなことがある。そして、それが連続して起きるような場所は面白い。

でもイベントが終わって「はい、解散」となったらどうだろう。参加者はつながらないから化学反応は起きないし、結果として何か新しいことが起きることもない。

 

最近はこんなふうに開いている場所が増えてきているように思う。なぜなのだろう。1つはそれがとてもインターネット的なものだからだと思う。

インターネットは、巨大な縁側のような空間と言えるかもしれない。そういう自由な器を手にいれて使いこなしていくうちに、目的もなくやってみてから考えるようなことや、受け身にならずに参加してみるということがごく当たり前になってきたように思う。

インターネットにより、誰もが主人公になれる時代になった。

さらに日本には、そういう外でもなく内でもないような、いわゆる縁側的な空間がもともとあった。「見立て」という文化もある。白黒はっきりせずに、柔軟に場所を使うという考え方に馴染みがあったことも大きいかもしれない。

ただ一方で思うことは「ご自由にどうぞ」という空間だけ用意されても何もはじまらないということ。たとえば、商店街にコミュニティスペースをつくって「自由に使ってください」とアナウンスしても、ほとんど使われないことも多い。

何が違うのだろう。

大きく違うのは、そこに「人」がいるかどうか。仕組みやコンセプトだけでは何も生まれない。一方で何かが生まれる場所の中心には熱量を持った人がいる。

小倉ヒラクくんが素敵なのは、この熱量がとても大きいこと。そして、熱量はちゃんと心に届き、広がっていく。

先日、大阪のスタンダードブックストアで出版イベントを開催したときに、連絡なしに突然来てくれてびっくりした。病み上がりだったそうなのに、ふらりと現れる。事前に連絡もなかったからびっくりして、あとからじわじわとうれしい気持ちでいっぱいになった。

彼はとても熱いものを持っているし、温かい存在なのだ。

その夜はヒラクくんにもトークイベントに参加してもらった。そのおかげで盛り上がり、2次会、3次会と楽しい夜は続いていった。楽しい時間と場所の中心には、熱量を持った人の存在は欠かせない。

 

面白いことが起きる場所には、もう1つ大切なことがある。それはファシリテーションやアフォーダンスのような考え方が含まれているデザインだと思う。

BAUMの宇田川くんは、まさにそんな仕事をする人。

わかりやすいのは、宇田川くんの仕事内容。

ぼくやヒラクくんの本の装丁をやったかと思えば、ハードサイダーに関わったり、丸の内朝大学という場をつくることもあった。実に幅広い。

なぜそんなにいろんなプロジェクトに関わるのかと言えば、きっと単にデザインするのではなく、人がどう感じて、どう行動していくのか、それをとことん想像するところから仕事がはじまっているからだと思う。

それはデザインというよりも、人に向き合うことだといえるかもしれない。

 

最後に、この編集部で大切にしようとしていることは、積極的な参加も消極的な参加も歓迎するということです。こういう「参加できる」「余白のある」場所というものは、とても現代的。今ではそういった縁側的空間が増えました。

ただ、ぼくが好きな参加できる場所には、いろいろな参加が許される空気があると感じる。バーが好きなのも、黙々と飲んでいてもいいし、誰かに話しかけることができる。それを選択できる自由がある。本屋さんも同じ。本を買わなくてもいいから入りやすい空間だと思う。

もっともぴったりなのが「ジャズバー」。ここも、ただお酒を飲んでいるだけでもいいし、セッションに参加することもある。そんな「ジャズバー」みたいな環境を、この編集部の中につくりたい。どんなふうに参加しても、居心地がいい場所にしたい。

続きは一緒に考えましょう。条件はぼくの新著『生きるように働く』を買って読んだことです。

具体的には、その本の写真と感想をtwitter、facebook、Instagramのいずれかにアップして、facebookグループ「生きるように働く編集部」に申請してください。その投稿がチケットです。

オンラインだけでなく、顔をあわせる場所も持ちたいと思います。まずは10月9日に荻窪6次元にて会いましょう。説明会とキックオフイベントを開催します。

ナカムラクニオさんに加えて、宇田川くんも参加してもらえるそうです。まずはイベントに参加してから様子を見る、というのでもいいですよ。

そのほかのイベントはこちらをご確認ください

オンラインだけでなく、お会いできることも楽しみにしています。ぜひ自由に遊ぶように参加してください。

2018/10/3 執筆 ナカムラケンタ

問い合わせ・応募する