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貪欲に、おせっかいに
クリエイティブ業界に
飛び込む

どれだけたくさんの人と名刺を交わしても、本当にその人のことを知りたいという気持ちがなければ、つながりは築けない。

「この人は何を欲しているだろう」「この才能をもっといろんな人に伝えたい」

株式会社MIRU DESIGNがクリエイティブ業界で必要とされ続けるのは、そんなふうに人への関心や思いやりが深いからかもしれません。

よくデザイン事務所と間違えられるそうですが、MIRU DESIGNにデザイナーはいません。

この会社の仕事は、簡単に言うと人を魅了する企画をつくり、それを伝え届けること。

少し詳しく言うと、工芸品メーカーのブランディングや、家具ブランドのプロモーション、海外アーティストとのコラボレーション企画や、日本のデザインを海外の展示会で紹介するサポートなど…。

デザイナーや編集者、カメラマン、メディアやショップなど、クリエイティブな仕事をする人たちをつないで、「もの」や「こと」に光を当てていく。

ものづくりの領域を横断しながら、伝え方・届け方を考える仕事です。

今回は、そんなプロジェクトマネジメント・PRを行う正社員と仕事をサポートするインターンを募集します。



外苑前駅から歩いて5分ほど。オフィスが多く入るマンションの4階に、MIRU DESIGNの事務所はある。

代表の青木さんにお会いするのは半年ぶり。まずは最近のお仕事の話を聞いてみる。

「ロンドンを拠点に活動するアーティストのベサン・ローラ・ウッドの制作したアート作品が、青山のスパイラルカフェで展示される事になって。僕たちが空間構成のディレクションを担当したんです」

制作を依頼したのは、シャンパーニュ・メゾンであるペリエ ジュエ。

独創的な色使いの作品を得意とする彼女は、シャンパーニュがつくられるブドウからインスピレーションを受けて、藤のような房状の花をもつツリーをつくった。

大きくうねるアルミのカラフルな幹に、ビニール素材の花びら。植物らしい有機的なフォルムに対して、人工的な質感と鮮やかな色彩の組み合わせ。

「それを引き立てられる日本の空間デザイナーは誰だろうって考えて、松村和典さんにお願いすることにしました。ベサンの作品タイトル『ハイパーネイチャー』のテーマに合わせて空間に草木のようなモチーフを広げて。彼はそういうインスタレーションがうまいんですよね」

デザイナーやアーティストの活躍する現場のこと。青木さんの話は、いつもわくわくする。

ただ、こうした華やかな世界に憧れるだけでは、この仕事は難しいと思う。

展示やその後のビジネスを成功させるために、海外担当者とのミーティングや、アーティストやエージェントの意向のすり合わせなど、表に見えない部分で細やかな調整を担うのもMIRU DESIGNの仕事。

情報や物、アイデアをよりよい形で表現できるように、人や場所をつなぐ。青木さんは自分の仕事のことを「クリエイティブ産業の潤滑油」という。

すでに実績のあるデザイナーやブランドだけでなく、ときには現状に課題を抱える日本のメーカーのサポートを一からすることもある。

MIRU DESIGNではこれまでも、工芸系のメーカーを中心にいくつもブランディングを手がけてきた。

ASAHIKAWA DESIGN WEEKというデザインイベントのクリエイティブディレクションを通じて、旭川にある小さな家具メーカーに出会ったときのこと。

「すごく美しいダイニングセットをつくっているんですけど、今まではそういう素晴らしいものも、何気ない感じで置いていたんです。そのメーカーに若いグラフィックデザイナーが入ってロゴやウェブでの見せ方を工夫したら、劇的に見え方が変わりました」

「いいものをつくっている人たちほど、見せ方が手薄になることが多い。伝える、届ける、を強化するだけで、日本のメーカーのほとんどは成功できるチャンスがあると思います」

プロモーションで大切なのは、過度に華やかな演出をするのではなく、その会社の歴史や背景、もともと持っている良さを引き出しながら、光の当て方を考えていくこと。

家具の持つ魅力をクリアに伝えられるように、グラフィックデザイナーやカメラマンなどのクリエイターに声をかけ、ブランドの世界観をつくっていく。

「成功の鍵は、キャスティングと粘り強さなんです。目指す方向とメンバーがビシッと決まり、最後まで諦めない実行力があればうまくいく」

プロジェクトに合ったメンバー構成を実現できるのは、普段から青木さんがいろんな人とのつながりを大切にしているからだと思う。

自分の知りあいを、スタッフやほかの人に紹介してつなぐことも多いそう。

「普段から人に会うときは、その人がどんな性格で、一緒に何ができるか考えるんです。相手が何も言わなくても必要なものを差し出してあげられるようになりたい。『なんで僕が欲しいものがわかったの?』って言われるような」

「この仕事は、若干おせっかいな人のほうが向いていると思いますよ」

必要だと思えばボランティアでも行動する。そんな姿勢がよく表れているのが、ミラノデザインウィークに合わせたマップづくり。

ミラノデザインウィークといえば、世界中から膨大な数の出展者が集まる世界最大規模のデザインの祭典。その規模の大きさゆえに、限られた日数の中で会場をすべてまわるのは難しい。

現地で発行されている雑誌やマップはあるものの、情報が多すぎて、逆に迷ってしまうという声も多かったのだそう。

そこで、MIRU DESIGNでは毎年、注目の出展者をわかりやすくまとめたマップを無料でダウンロードできる仕組みをつくった。

「今年で8年目になるんですけど、今ではバイブルだって言ってくれる人もいて。推定2万人くらいの人が使ってくれています」

収益と関わりなく、人のためを思ってはじめた取り組みが、思わぬかたちで仕事につながることもある。

それは、ミラノデザインウィークでソニーの「HIDDEN SENSES」という展示の国内向けプロモーションを担当した時のこと。

「人や生活に寄り添う新たなテクノロジーのあり方を予見させるような展覧会なんです」

人の動きに反応し、振動や音、映像などがフィードバックされ、五感に訴えるテクノロジーが体験できる、ユニークな展示。

「バイブレーションで疑似体験ができるゲームってありますよね。あれの最新版みたいな感じで、中身の入っていないポットを傾けると、振動や音響で、まるで水を注いでいるような感覚を体験できるんです」

話を聞いているだけでも、実際に見てみたいという興味をかき立てられる。

それに、世界的にも注目を集めるメーカーの企画であれば、プレス発表会の集客やメディアへの声かけなど、プロモーションの面でもさほど難しくはなさそう。

「そうですね。ただ、メディアの人たちは常にたくさんのプレスリリースを受け取っていて、情報が埋もれてしまうんですよ。飛び交う情報のなかで、気持ちよく見つけてもらえるように工夫しなきゃいけない」

そのときに、青木さんたちが活用したのが、先ほどの自主制作マップとFacebookページを連携させる仕掛けだった。

マップを掲載するFacebookページ上で展覧会を特集することで、メディアを含む多くのマップユーザーたちが、ごく自然なかたちで情報を受け取っていく。

さらに、実際に展示を見た人たちがリアクションを共有しやすい環境をつくれるのもSNSならでは。

マップのニーズを核に、新しいメディアの輪が広がっていく。

お金を出してメディアに広告してもらうのとは逆に、感謝される方法で情報を届けていくような感じですね。

「そうそう。プロモーションって、ポジティブに受け留めてもらえないと意味がない。相手が何を必要としているかを知ることはすごく大切なんです」



青木さんの話に頷きながら、隣で話を聞いていたのが昨年7月に入社した佐々木さん。

「私はここに入るまで雑誌やウェブの編集者をしていたので、すごくよくわかります。編集者が次に何を特集しようとしているのか、気軽に聞けるくらいの関係性って本当に大切です」

もともと女性向け生活情報誌を担当していたという佐々木さん。

多くの情報を届けるという仕事をするなかで、もう少しひとつのことに深く関わってみたいと思うようになった。

「MIRU DESIGNは、手ぬぐいブランドの『かまわぬ』さんとか、自分の知っているメーカーとの取り組みも多かった。雑貨やインテリアなど、ものづくりへの関心もあったのでおもしろそうだなと思って」

佐々木さんが入社して最初に担当したのは、カンディハウスという家具の会社とのイベント。

デザイナーの橋本夕紀夫さんや、建築家のアストリッド・クラインさんなどのゲストを招いて、全国5都市のお店でトークショーを開く。そのためのコーディネーションやPRを担当することになった。

「はじめてのことだったので、一つひとつ社内のスタッフに聞きながら。最初は何を聞けばいいのかもわからなくて、大変でした」

佐々木さんがもうひとつ戸惑いを感じたのは、予算やスケジュールなど責任を持って管理しなければいけない領域の幅広さ。

「特に、お金に対する意識が編集者のときとはぜんぜん違いますね。予算もスケジュールも、自分で見積もって進めていくのは大変ですけど、そうやって入口から出口まで一貫して見通せないと、プロジェクトマネジメントはできないんだとわかってきて」

「いろんなことが並行して動いていくので、常にマルチタスク。だから、やることがたくさんあっても慌てずに、優先順位をつけられることが大切ですね」

アーティストやデザイナー、メディアやカメラマン、ショップなど立場の異なるいろんな人たちを結びつける仕事。多方面への心配りは欠かせない。

多くの人が関わるからこそ、思いもよらない結果が生まれることもある。

どんなプロジェクトを実現できるかは、人との出会いをどうインプットしていくかという日ごろの姿勢によって変わってくる。

「この仕事をはじめてから、インプットに対する意識はすごく強くなって。今まで見ていなかった分野の展覧会などに足を運ぶことも増えました。ネットで調べるだけなら簡単ですけど、実際に自分で見て、体験しておきたくて」

佐々木さんをはじめ、MIRU DESIGNではこれまでにも、ほかの業種からの未経験者を多く採用してきた。

専門的なテーマを扱うことも多いこの会社で、未経験者が活躍できるのはどうしてだろう。

あらためて青木さんに、その疑問を投げかけてみた。

「要は、できる保証や経験じゃなくて、覚悟がある人かどうかっていうことじゃないですか。僕もいつも夢みたいな大きなことを言うから、『本当にやるんですか?』ってまわりがちょっと引いてることもある(笑)。だけどやっぱり、責任のない仕事ってあんまり楽しくないんです」

「大きなプロジェクトにも臆せず『えいっ』って飛び込む勇気というか。もちろん、最初から完璧にできなくてもいい。まずは貪欲に丁寧に、人に何かを届けたいと思えることが大切だと思います」

クリエイティブ業界への挑戦という敷居を越えられるのは、センスや経験だけではないのかもしれません。

(2019/1/22 取材 高橋佑香子)

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