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自らの由
強さ、美しさ
探求と意志

「既成概念に縛られず、自分の美意識に忠実に生きる」

ジュエリーブランドSIRI SIRI(シリシリ)を表す言葉を探しているとき、Webサイトに記されたこの一節に目が留まりました。

SIRI SIRIはガラスや籐(とう)などさまざまな素材と、職人の伝統的な技術を組み合わせて作品をつくるジュエリーブランド。

今回募集するのはブランドを伝えていく企画営業。あわせてグラフィックデザイン、オンラインストアの運営を担う人も探しています。

どのポジションもまずは業務委託で関わりつつ、お互いの仕事の進め方などを確認していくことになります。

働く上で必要なのは、つくり伝えていくことを諦めないこと。可能性と自由をどこまでも探求していくような仕事だと思います。

 

東京・西麻布にある小さなビル。

2階に上がっていくと、SIRI SIRIと記された扉の向こうにたくさんのジュエリーが並んでいる。

ガラス、籐、麻や螺鈿(らでん)などでつくられた作品たち。整然と並べられているものの、どこか無機質な感じはしない。

デザインしているのはSIRI SIRIを立ち上げた岡本さん。今はデザインを学びなおすためスイスにいるそうで、画面を通して話を聞かせてもらう。

「建築やインテリアの勉強をしていました。アンティークジュエリーが好きで身に着けていたんですが、金属アレルギーであることがわかって。自分が使えるジュエリーをつくろうと思ったのが2006年のことです」

時差もあって起きたばかりだという岡本さんは、飾り気のない雰囲気が清々しい。質問には真摯に、はっきりと答えてくれるのが印象的。

「建築やインテリアはいろんな素材を試す文化があって。金属や石を使うことが多いジュエリーも、素材にとらわれずにできるんじゃないかと思ったんです」

最初につくったものの1つが、ガラスのバングル。

耐熱ガラスでかたちをつくり、江戸切子の技術で水面を切りとったようなカットを施したもの。丸みを帯びたやわらかい印象で、ガラスでできているというのがすこし不思議な感じがする。

「表面を磨いてグラデーションをつけています。腕に馴染むように、ちょっとアシンメトリーな設計にしてあって。毎日身に着けられるよう、使い心地も大切にしています」

見た目の美しさに加えて、身に着けたときのことを想像してつくる。それは10年経った今でも、変わらない姿勢。

「作品自体の美しさというより、身に着ける人自身が最終的な要素となって完成する美しさ、みたいなものをデザインしていて。身に着ける人によって表情が変わります」

同じ建物でも人によって暮らしが変わるように、身に着ける人らしい印象になるジュエリー。

ジュエリーをつくっているというよりも、身にまとうことによって生まれる空気をつくっている感じ。

「素材や技術、自然、人や社会の動き。生活で触れるさまざまなものを観察して、キャプチャしているというか。新作を考えるときは、記憶している感覚を引き寄せてつくっています」

ときには心地悪いと感じる場所に、あえて足を運ぶこともあるそう。

美しいものをつくるために、美しいものを集めているわけではないんですね。

「それだけだと道を外れそうで。デザイナーというのは問題を解決する役目があるんです。そのためにも、まずはどんな問題があるのかということに向き合いたい」

自分が美しくないと感じるものはなんなのか。それが見えてくれば、美しいものの輪郭もより際立って感じることができる。

「自分の感覚、感性がわからないということも社会の問題だと思っていて。自分がきれいだと感じるものは表現したいことを形にして、それを身に着けてくれるがいる。この構造をつくっていくことで、感性が仕事になることを証明したいなって」

 

いわゆるコンテンポラリージュエリーは、日常で身に着けるにはハードルが高いと思われがち。

SIRI SIRIの作品にも大振りなものが多く、存在感がある。

「身に着けていることが、ある種の違和感を伴うんです。だからこそ、SIRI SIRIを着けている時点で精神的に自立しているというか。まわりを気にせず、自分の自由を探求していく人たちに身に着けてもらいたいと思っています」

岡本さんがデザインしたものは、日本の伝統的な技術と掛け合わせて作品になっていく。

図面を職人に渡してつくってもらうというよりも、どうしたらより美しいものができるのか、一緒に挑戦しながらかたちにしていくことが多いそう。

「伝統工芸や職人さんの技術を守りたいというベースはなくて。私、守るっていうこと自体があんまり好きじゃないんです。使い続けて必要とされることで、自然と続いていくものですよね」

岡本さんの言葉は、潔くて強い。

自分がいいと思うもの、美しいと感じるものがくっきりしていることが伝わってくる。

 

そんな岡本さんと一緒に2016年から共同代表として会社を経営しているのが小野さん。

小野さんはソーシャルデザインに取り組む人を紹介するWebメディアgreenz.jpで活躍する傍ら、SIRI SIRIや飲食店を経営。ほかにもさまざまなプロジェクトのプロデュースを行っている。

日本仕事百貨も縁がある、大切な友人です。

「ソーシャルやローカルの領域でチャレンジする人は、ここ数年ですごく増えてきた気がします。自分のセンスで、自分で事業をつくって生きている人が増えたらいいし、僕もそんな人たちを応援したいんです」

小野さんのもとに寄せられる相談の多くは、立ち上げ後のチームづくりや経営に関するものも。利益だけを求めるというよりも、新しい価値を提案しつつ社会の問題を解決していくようなプロジェクトが多いそう。

「そのなかでSIRI SIRIは、身に着ける人が自由に生きていいと感じられること、感性を仕事にする生き方を広げていくことを、ものづくりを通して伝えています」

単に美しいジュエリーをつくって販売するだけでなく、自由に生きることを肯定するブランドであるということ。

伝統工芸の技術を持つ職人と作品づくりをすることは、結果として職人の雇用、技術の継承にもつながっていく。

「そういう一見わかりにくい、価値を説明しづらい絶妙なバランスの仕事が増えていくと、生き方や価値観の多様性が生み出されるんじゃないか。そうすることで社会の風通しもよくなるんじゃないかと思っているんです」

小野さんがSIRI SIRIの経営に関わるようになって3年。

ブランドとして考えていること、提示したい価値観を伝えていくために、あたらしい挑戦をはじめている。

たとえば言葉を通して世界観を伝えるWebマガジンを運営したり、ものづくりに関わる人たちを対象に、あたらしい職人像を探求するスクールを開催したり。今後はSIRI SIRIとして花屋や肌にやさしい下着ブランドをつくっていくことも考えているそう。

グラフィックデザイナーとして働く人は、この世界観をつくっていくことに大きく関わっていくことになると思う。

「岡本が得意なことを考えると、宿や空間をつくることにも興味があります。プロダクト以外の接点をつくる。世界観を伝えるためのチャネルとして、入り口を増やしていきたいんです」

花屋のアイデアが生まれたきっかけの1つが、直営店の店長をしているスタッフがお店に飾るリースを手づくりしていたこと。もともと植物に関わることが好きな方なんだそう。

「もちろん商品をつくって売ることはベースとしてしっかりやるんだけど、もっとスタッフの可能性も広げてみたいというか、発揮できる職場になったほうが楽しいかなって。個性を発揮して、SIRI SIRIにとってもいいことは、どんどん発言してもらいたいんです」

自由度は高いものの、提案すればやりたいことをなんでもできるということではない。

さまざまな事業に関わってきた小野さんや、SIRI SIRIのことを10年以上考えてきた岡本さんのハードルは高い。2人ともはっきりとものを言うので、ときには厳しい意見が飛び交うこともある。

「自分の意見がなかったり、待っているだけで動けない人は難しいと思います。いい仕事をするために、お互いに発言してディスカッションを重ねていきたいんです」

 

2人についていくというよりも、自分と掛け合わせながら多方面にブランドを広げていくような働き方をしているのが松本さん。

自分の仕事をしながら、週3日ほどSIRI SIRIに関わっている方。

「人におもしろさを感じて、キャリアコンサルタントやアーティスト支援の仕事をしてきました。そのあと縁があって工芸に関わるようになったんです」

今でも印象に残っているのが、津軽塗の工房を訪れたときのこと。

津軽塗は何日もかけて漆を塗り重ね、最後はそれを研ぎ出すことで複雑で美しい色を出していく技法。

「今まで塗ったもののほとんどが水に流れていくんです。美しいものをつくるために、こんなにも時間と手間をかける。そんな職人さんの姿が、とてもきれいでした」

工芸やものづくりに関わる仕事をしたいと思っていたときに出会ったのがSIRI SIRI。

今はブランドを伝えるためのコミュニケーション設計や企業とのコラボレーションコレクションのマネジメントなど、ブランドを多角的に表現するための企画やPR、営業を行っている。

営業兼PRとして関わる人は、松本さんのような仕事をすることを期待している。

「ファッション業界の流れで年に2回行っていた新作の発表を、SIRI SIRIらしさを考えて1回にする提案し、実行しています。その分、売上をどう上げるかも考えないといけなくて」

「ブランドの戦略を立てることもありますし、イベントを組んで自分で販売する現場もあります。ケースバイケースで、立案から実行まで、その時に必要なことをします」

ブランドのことを考えて、既成概念にとらわれず自分の仕事を開拓していく。

働いているというよりも、一緒にブランドをつくっていくという意志がある。

「小さな会社なので、すべて自分たちでつくっています。岡本や小野と意見がぶつかることもありますよ。私、納得しないと動けないから、言わないとはじまらなくて」

「いいものをつくるって、そういうことだと思うんです。美しいものをつくり続けていくために、諦めない空気感がありますね」

その空気が詰まった作品の1つとして紹介してくれたのが、螺鈿をつかったコレクション。

はがれやすさなどを考慮して、細かく砕いて使われることが多い素材。一枚の面で使うのは職人にとってもはじめてのことで、作品ができるまでにはいくつもの壁があったそう。

「行き止まりになったら、別の道を探る。美しいものをつくるために、誰よりも岡本が妥協しないんです。そこがSIRI SIRIっぽいし、みんなそういうところがあるんじゃないかな」

「自分にとってなにが大事かわかっているから、そこを諦めない。大変ではありますが、それが自由ということでもあると思います」

自由であるということは、自分の感覚がくっきりしていること。

それが生きる上での強さになっていくんだと思います。

(2018/12/6 取材 中嶋希実)

2月14日には話を聞かせてくれた松本さん、そして制作に関わっている福田さんをお招きしてイベント「しごとバー モノづくりを探求しナイト」を開催します。どなたでも、お気軽にいらしてください。

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