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インスピレーションは
一粒のビーズから
ものづくりの種を蒔く店

爪の先ほどのガラス粒。

子どものころ遊んだ小さな丸いビーズ、業界ではシードビーズと呼ばれているらしい。

ビーズ自体が日本の職人の技術による完成品でありながら、そこから、新しいものが生まれるパーツにもなる。

キラキラ光る粒を組み合わせて何をつくろう。

今回紹介するのは、クリエイターにそんなインスピレーションを与える仕事。

広島県に本社を持つ老舗ビーズメーカー・株式会社MIYUKIの直営店のひとつ、東京・浅草橋にあるビーズファクトリーで働く人を募集します。

お客さんに直接届ける直営店の販売スタッフと、Webや紙媒体を通じたコンテンツとして魅力を伝える編集担当。

ビーズに触るのは子どものころ以来、という人でも大丈夫。ものづくりに興味がある人を探しています。



浅草橋の駅を出るとすぐに、皮革や金具などいろんなパーツの専門店がちらほら。早速ものづくりのまちという雰囲気を感じる。

歩きはじめて5分もかからず、ビーズファクトリーに到着。

1階と2階部分は小売、3階はワークショップのためのレンタルスペース、4階から上がオフィスと倉庫。建物全体がMIYUKIのものづくりのための空間になっている。

お店に入ると、瓶に入ったビーズがずらり。キラキラ色とりどりのパーツに、思わず見入ってしまう。

「自社製品だけでも6〜7千種類くらい。海外から仕入れているパーツも入れると3万種類はあると思いますよ」

そう教えてくれたのは、MIYUKIの副社長の勝岡隆史さん。お店の4階の商談スペースで話を聞かせてもらった。

MIYUKIはもともと、勝岡さんの曽祖父である清一さんが創業した会社。戦前から広島県・福山市にある工場でガラスビーズの生産を続けてきた。

「手巻きと呼ばれる大きなガラスのビーズは、ベネチアとかにも職人がいるんですけど、こういう小さなシードビーズは今、チェコと中国と日本以外ではほとんど生産されていないんです」

ガラスを細長い管のように成形し、細かくカットすることでつくられるシードビーズ。サンプル帳を見せてもらった。

「ガラス自体に色をつけたり、穴の内側に銀メッキをして柔らかい光沢を出したり。いろんな加工のバリエーションがあるんです。まあ、色の表現はガラス工芸の歴史が長いチェコのほうが得意としているんですが、日本のビーズの特長はその形ですかね」

「一つひとつの粒が揃っているという品質の高さは、海外のメゾンのデザイナーさんにも定評があります。あとは加工の難しい形にも挑戦してきて、MIYUKIという社名よりも有名になったのがこの『デリカビーズ』というシリーズなんです」

よく見るコロンとした丸いビーズとは違い、穴のある断面がまっすぐにカットされている。

従来の丸いビーズは仕上げで断面を熱処理するため、パーツをつなげて色面をつくるとき丸みの分の隙間が生まれてしまう。その点、デリカビーズはパーツ同士の断面が平面でぴったり重なるので、細かい色面をなめらかに表現できる。

断面を加工処理できないぶん、ガラスをカットする際の高い技術が求められるという。

デリカビーズのアイデアのもとになったのは、ビーズ織。1800年代のヨーロッパでは、筒状のメタルビーズで絵柄を織りなし、装飾品として加工したバッグなどが大流行していた。

「今から40年くらい前、その材料が高価でなかなか手に入らなくなっていて、あるお客さんから『ガラスでそれを再現できませんか』っていう相談を受けた。そこから、僕の祖父と父が一緒になって、MIYUKIのデリカビーズは開発されました」

「祖父である二代目の社長はもともと技術者で、新しい形のビーズ開発に力を入れていました。二つ穴のビーズとか、いろいろアイデアを温めていて。その当時の技術では実現できずに、最近になって商品として販売しているものもあるんですよ」

勝岡さんが家業であるMIYUKIで働き始めたのは今から7年前。

長年ものづくりをしてきたベテラン社員に話を聞くなかで、工場で生まれた製品のことをもっと発信できないかと感じるようになった。

「MIYUKIのビーズは、その多くを海外へ輸出しています。ときどきエスニック調のファッションがトレンドになってビーズが注目されることはあっても、国内の市場は縮小を続けていて。もっと、ガラスビーズそのものの魅力を知ってもらえたらなと思うんです」

2014年からは、MIYUKIのビーズを使った新しい提案として、ライフスタイルアイテムのブランド「FALBE」をスタート。

「並べているだけではその魅力が伝わりにくい。もっと店内にも作品サンプルを置いたり、情報発信の仕方を工夫したりしたいんですけど、なかなか普段の業務のなかでまとまった時間を取れなくて。だから、そういうコンテンツ編集を担う人を募集したいと思ったんです」

今まで社内にいない新しい役割。まずはHPやSNSなどの投稿頻度を高めるということでもいいし、お客さんの層に合わせた紙媒体を企画してもいいかもしれない。

プロのアーティストやデザイナーを取材したり、広島の自社工場に行って、つくり手のことを発信してもおもしろそう。ものづくりだけでなく、写真やライティングの経験も活かせると思う。

ただ、少ない人数で運営するお店なので、編集担当の人もときにはショップのサポートに入るなど、マルチタスクに対応することもある。

ずっと机で記事を書くというよりは、お店に立って素材に触れたり、お客さんの声を聞いたり。まずはものづくりの楽しさや、素材の魅力を体感してみてほしい。

「ビーズはうちの祖業としてこれからもブレずに続けていきたいし、ものづくりのファンも増やしたい。将来的にMIYUKIをもっと知ってもらうためのチャレンジとして、今、ビーズに限らないクラフトまで、間口を広げてみようかと思っているんです」

この春から新たに取り扱いをスタートさせたのが、インプレスアートというメタルスタンプのブランド。

ニューヨーク発祥のクラフトで、スズや真鍮など柔らかい金属に、アルファベットや模様などのスタンプを刻印してアクセサリーや雑貨をつくる新感覚のDIYなのだそう。

たとえばこんなふうに、と勝岡さんは目の前でサンプルをつくってくれた。

あっという間にロゴの入ったブレスレットが完成。思っていたより、簡単につくれるんですね。

「実際にやってみないとなかなか伝わらないので、小売店でワークショップをして回っています。ここも、ぜひ新しく入る人に手伝ってほしくて」

「ビーズ以外の分野はスタートしたばかりなので、途中で路線が変わることもあるかもしれません。ただ、ビーズやクラフトの魅力を伝えるっていう本質は変わらないので、やっぱりものづくりが好きな人がいい。未経験でも大丈夫。うちには学ぶ材料がたくさんありますから」



ビーズファクトリーでの仕事は、そこからいろんな形に変化する素材に囲まれた現場。販売担当としてお客さんに接している工藤さんは、どんなことを感じているんだろう。

「このお店には、趣味として手芸を楽しむ人だけでなくプロのデザイナーさんとか、アパレルの問屋さんもいらっしゃる。そういう業者さんとのやりとりは結構難しいんですよ」

BtoBの販売の場合、BtoCに比べて量が多いので、まずは見積もりを出すところから。

納期を確認して、本社に発注をかけて。アパレルのコレクションシーズンの前などは、急ぎで買いに来るお客さんも多く、忙しそうな雰囲気についつい焦ってしまうこともあるという。

「金額を間違えないように、大量のビーズの計算をするのはちょっと大変ですね。ただ、そうやってこれから何かをつくろうとしている人と一緒に仕事ができるので、クリエイティブな刺激をもらえていると思います」

テレビの出演者の洋服や、雑貨屋に並ぶ商品を見ているとき、「MIYUKIのビーズが使われている!」と気がつくこともあるそう。

このお店のビーズが、アクセサリーや洋服の装飾として世に出ていく。完成品としてのファッションに興味がある人にとっても楽しい仕事かもしれない。

学生時代は環境デザインを学んでいたという工藤さん。普段はお店のディスプレイなども担当している。

最近、その経験が思わぬ形で生かされることになったという。

「ホビーショーに出展するときに、ブースのデザインを担当したんです。いつもは広島の本社の担当者がやっているんですが、今年はテイストを変えようということで、突然私が担当することになって」

突然だったんですか。

「ここで働いていると、いろいろ急な仕事がくるんですよ。副社長が『なあなあ〜』って(笑)」

工藤さんに「あのときは大変でしたよね」と言われて、「すみません(笑)」と勝岡さん。

「人によって感じ方は違うかもしれないけど、副社長は話しやすいですし、居心地いい職場だと思いますよ。小さい組織なのでいろいろ並行して担当するんですが、自由にやらせてもらえる部分は大きいと思います」



「そうそう」と頷きながら隣で聞いていたのは、工藤さんとほぼ同じ時期に入社した販売担当の佐藤さん。

もともと大学でデザインを学んでいたという佐藤さん。販売の仕事をするなかで、ときどき手を動かしてサンプル作品をつくることもあるという。

レジ前のちょっと目立つところに飾ったり、ポップをつけて紹介したり。

この日身につけていたイヤリングも、自分で作ったものなのだそう。

「かわいいのに、何年も棚に眠ったままになっているパーツとかもあって。こうやってサンプルをつくると目にとまりやすいし、それがきっかけで前より売れるようになるとやっぱりうれしいですね」

ちょっと変わった形のパーツも、実際に作品として見てみると「そういう使い方ができるのか」というヒントになる。

店内に飾るだけでなく、SNSで発信してもいいかもしれない。普段はなかなかお店に足を運べない人や、初心者の人にも、もっとこのお店を身近に感じてもらえるきっかけになるはず。

海外にもファンの多いMIYUKIのビーズ。ずっと直営店に来てみたかった!と、思わずハグをして帰る方もいるのだそう。

ものづくりの業界が未経験でも、英語などのコミュニケーションができれば、それもまたこのお店の新しい発信力につながっていく。

創業から80年。もっといろんな人にその魅力を届けるため、MIYUKIは新しいコミュニケーションのあり方を考えようとしています。

今は、「必ずこうあるべき」という方向に進んでいるというよりは、これから入る人のスキルや得意分野を生かして一緒に考えていきたいという段階。

お客さんとコミュニケーションをとりながら商品を扱う販売と、写真やライティングなど、自分の得意なことを生かしたコンテンツづくり。

どちらの仕事も、スタートはビーズの魅力やものづくりの楽しさを知るところから。

ビーズファクトリーから、さまざまな人の手に。一緒にものづくりの種を広げていける人を探しています。

(2019/7/4 取材 高橋佑香子)

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