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新しい一日は
野菜いっぱいの朝食から

自分の家族や親しい人が、よろこんで食べてくれたのがうれしくて。

料理が好きだという人の多くは、そんな気持ちを根っこに持っているような気がします。

身近な人に料理をつくるときのように、ちゃんと細かいところまで目を配りながら、納得できるやり方で、目の前の人の一日を整える食事をつくる。

今回紹介するのは、そんな原体験に近い形で料理に携われる仕事だと思います。

募集するのは、アランヴェールホテル京都で料理人として働く人。なんと、調理は未経験でも大丈夫。

キッチンでは若いメンバーが中心となって、美味しく野菜の摂れるメニューを提案しています。

基本となる朝ごはんからはじめて、ゆくゆくはディナーやパーティメニューの提供にも関わっていく。ここに、好きだった料理の道に進んでいけるきっかけがあるかもしれません。



京都駅から地下鉄で一駅、アランヴェールホテルは五条駅のすぐそばにある。リニューアルしたての、きれいなフロントは広々している。

レストランがあるのは2階。

宿泊客の朝食時間を終えた11時ごろ、キッチンで働く3人のシェフに話を聞かせてもらった。

普段は厨房で料理に向き合っているみなさん。

職人らしい雰囲気も持ちつつ、カメラを向けるとお互いにちょっといじり合ったりする姿から、部活の先輩後輩のような関係性が垣間見える。

まず話を聞いたのは、このレストランの厨房をまとめている主任の濵口さん。

ホテルの料理場と聞いて想像していたより、みなさんお若いように見えます。

「こんなに若い人ばっかり集まっているのもめずらしいんですよ。だいたい、50代くらいの料理長がトップにいる場合が多いんですけど、僕らはみんな30歳前後で。それぞれ経験を積んできたメンバーとフラットな関係でやれるので、チームはつくりやすかったです」

その関係は、キッチンだけでなくホテルの運営を担っている人たちも同じ。

三代目として事業を受け継いでいる社長さんも、濵口さんたちと同じく30代。普段からよくレストランに来て、気さくに話をしていくのだそう。

「2018年にホテルがリニューアルして、レストランフロアも新しくなりました。今、力を入れていこうとしているのは朝食です。宿泊のお客さんだけでなく、地元の方にも食べに来てもらえるレストランになったらいいなと思って」

朝ごはんというと、ランチやディナーに比べてある種スタンダードさを求められるもの。

料理人にとってはこだわりを表現しにくいのでは?

「たかが朝ごはん、って思う方もいると思いますけど、朝ごはんって1日を元気に過ごすために大切なものだと僕は思っているんです」

アランヴェールホテルの朝食では、春夏秋冬それぞれの季節に合わせたメニューを提供している。

上賀茂や近郊で採れる伝統的な京野菜をはじめ、野菜をおいしく食べられるのが、このレストランの新しいコンセプト。

実は、私も取材前に朝ごはんをごちそうになった。

温かい卵やハムなどの定番メニューはもちろん、生野菜だけでも数種類、マリネやソテー、ひじきや豆の入ったサラダもあって。

いろいろ選べて楽しかったし、野菜もシャキシャキしていて朝の体にうれしかったです。

「朝のブッフェはだいたい全部で40〜50種類あるんです。今の時期だと彩りもカラフルな野菜が多いですし、冬は聖護院大根、秋には栗のような、季節ごとに京都の味を感じてもらえたらいいなと思って」

「たとえば今日お出ししていたピザは、京都産の鶏肉と九条ネギを具材に、西京味噌で味付けして焼いているんです」

ネギのとろみと、味噌のコク。言われてみると和風だけど、チーズのクリーミーさと相まって、海外の方にもよろこばれそう。

そのほか、ブッフェのカウンターにはいろんな野菜を使った天ぷらも並んでいた。

純和食のコースではなく、手軽に日本の味を楽しめるのもいいですね。

「アンケートでいろんな声をいただくんですけど、やっぱりおいしいものって世界共通なんだなって感じます」

「レストランが満席のときには少し不機嫌そうに待っていらっしゃるお客さんも、ご飯を食べて帰られるときには、すごい笑顔でおいしかったって言ってくださって。料理の力って、すごいなあって感じますね」

子どものころから、お母さんの手伝いで台所に立つのが好きだった濵口さん。

ここでの仕事に、家庭料理に共通する醍醐味を感じているという。

「ここは、すごく規模が大きいというわけではないし、一人ひとりのお客さんの顔も見える。やっぱり自分が頑張ってつくったものを、目の前の人がおいしいって言ってくれるのはすごくうれしいです」

「連泊される方から特別な注文をいただくこともありますし、『お客さん何人』じゃなくて、『誰々さん』って意識できる距離感というか」

自分がつくったものを届けて、よろこんでもらえるという実感。

照明の下で野菜が乾かないようにこまめに入れ替えをしたり、自分たちも盛り付けの状態をチェックしにホールに出たり。

キッチンスタッフもホールを見渡すことができる規模感で運営しているブッフェスタイルだからこそ、細部にも目を配り、ちゃんと納得できる状態で提供することができている。

「スタッフ同士の距離も近いし、誰かがトップダウンで決めていく感じではなくて。誰の意見でも、良いなと思ったら『次の日からやってみようか』くらいの気軽さで変えていけますしね」

キッチンには3人のほか、別の職場で調理を経験したアルバイトのスタッフもいる。

洋食のメニューをベースにしつつ、日本料理などほかの分野の経験者から学ぶことも多い。

「今回は即戦力であることより、素直に料理をやってみたい、うまくなりたいっていう向上心を大切にしたいです。まかない料理とかで勉強できる機会もあるし、そういう積み重ねで成長していけばいいと思うので、未経験でもいいですよ」

とはいえ、家庭料理とはレベルや感覚も違いますよね。好きという気持ちだけで大丈夫でしょうか?

「もちろん、味や衛生面などできちんと言うべきことは言いますけど、新人だからといって、罵声が飛ぶようなことはありません。ホテルの調理業界って厳しいイメージがあるかもしれないけど、うちは全然そんなことはないですよ」



私はまったくの素人なもので、実はホテルというと修行の場みたいなイメージがありました…。

ほかのホテルでの経験もある、チーフの秦野さんにも話を聞いてみた。

「修行っていうほど堅苦しいものじゃないですけど、やっぱりホテルは基本を学べる場所だと思います。未経験でも、やる気があれば。あと、料理って日々変わっていくものだと思うので好奇心があるほうがいい。食べる楽しみを持っている人であれば、いいんじゃないですかね」

同じくホテルの料理人だったお父さんの背中を見て育ったという秦野さん。進路を選ぶころには、自分も料理の道に進むことを考えるようになっていた。

「父親からは『お前は絶対無理や』って言われていて。たしかに前の職場には、厳しい人もいましたからね。今思ったらそれもありがたい存在だったなって思いますけど」

秦野さんが以前働いていたのは、アランヴェールホテルよりも規模の大きなホテル。

宴会やパーティの料理が中心で、メニューはもちろん、食材の切り方まで料理長の指示通り正確にこなしていく仕事だった。

「しばらく働いているうちに、もっと自分でもメニューを考えてみたいなと思うようになって。自分で味を見て、お客さんに出せるかどうかをみんなで考えていく。ここならそれができると思って、入社したんです」

今、レストランのベースとなっている朝食のメニューもみんなで決めた。

誰がどのメニューをというより、それぞれに意見を出し合ってブラッシュアップしてきた。



年齢や経験にかかわらずフラットに意見を出し合う。それは3人の中で最年少の安藤さんも同じ。

「そうですね。僕もいろいろ言わせてもらってます。もちろん何か言ったときに、ちゃんと受け止めて意見を返してくれる人たちだっていう安心感があるからだと思いますけど」

「自分も裁量を持って仕事ができるだけに、責任も感じます。指示された作業に集中するだけじゃなくて、自分で全体を見ながら進めていかないといけないし。そのぶん、自分でつくったものを『おいしい』と食べてもらえている実感というか、やりがいもあって」

日々の営業は朝食のブッフェがベースになっているけれど、夕食やパーティ料理をメニューから考えて提供することもある。

いろんなシーンに関わっていけることは、料理人としての経験を培うことにもなる。

朝ごはんの定番、ふんわりとしたオムレツはここへ来てから腕を磨いたのだそう。

「肉魚、野菜、新鮮な食材をちゃんと活かせるようにというか…。いつかは、これは絶対誰にも負けないっていうものを見つけられたらいいなと思いますね」



そんな3人をサポートしているのが、アルバイトの居上(いのうえ)さん。調理の仕事は、子育てを終えてからはじめたそう。

「ずっと、いつかは調理の仕事をしたいと思っていて。介護施設の調理補助はしたことがあったんですけど、本格的な料理はまだまだ経験も乏しい。今はみなさんに優しく教えていただいているところなんです」

今年の1月から働きはじめて、盛りつけや食材のカット、最近ではコールドデリと呼ばれる副菜類の味付けも担当するようになったという。

「ちょっとの塩加減で辛くなるし、家庭では見ないような調味料もあるし。難しいんですけど、完成した料理がおいしいとやっぱりうれしい。日々体がよろこんでいるなって思います。まかないも本当においしくて…」

一緒にまかないを食べる時間が、スタッフ同士の意見交換の場にもなる。この日もこれからお昼を食べて、午後の仕事に備えるのだそう。

普段、朝食だけの営業のときはお客さんが帰ったあとで翌日の仕込みをして、2時すぎに退勤。

この日はここからさらにひと仕事。インターハイのために連泊している学生さんたちの夕ご飯をつくる。

豚の煮込みに魚のムニエル。若い子にも喜ばれるようなボリュームのあるメニューを考えているのだそう。

遠征中の夕ご飯はご褒美のような時間。おいしい食事で、学生さん同士の話もはずみそう。

「どうでしょう。試合で勝った子も負けた子もいますから…(笑)」



旅行や出張で訪れたお客さんを送り出し、京都で新しい思い出をつくった人たちを迎える。

たった1日の滞在でも、自分の家のダイニングのような気持ちで過ごせるように、支えていく。

ホテルの食事って、そういうものなのかもしれない。

(2019/8/20 取材 高橋佑香子)

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