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手を動かしてみたくなる
日本のビーズと
アイデアの工場

ちょっと不思議な形の、白いイヤリング。

貝のようでもあるけれど…と近づいてみると、小さな鳥の形をしたビーズが集まってできていた。

翼の風合いまで細かく表現されている小さなパーツが全部で5つ。つなぎ合わせて形にすると、また違う表情が見えてくるのもおもしろい。

つくったのは、浅草橋にある「BEADS FACTORY」というお店で働く工藤さん。ビーズに囲まれて働いていると、日々、いろんなアイデアが浮かんでくるという。

BEADS FACTORYは、国産ビーズメーカーである株式会社MIYUKIのファクトリーショップ。30,000種類以上のビーズ・パーツを扱う専門店で、海外のアーティストにもファンが多い。

今回は、ショップスタッフのほかに、未来の店長候補も合わせて募集しています。どちらも、まずはお店に入ってものづくりの楽しさに触れるところから、はじまる仕事だと思います。



JR浅草橋駅の西口を出ると、革やリボンなどクラフトパーツの専門店がたくさん。お店は、そんな通りの一角にある。

壁一面にビーズの入った袋や瓶が並ぶ。

キラキラした光沢のあるものや、マーブル模様のもの、木や貝でできたビーズもある。

特に何かつくる予定がなくても、手にとって眺めたくなる。そんな誘惑に駆られながら、まずは4階の事務所のそばの商談室で、副社長の勝岡隆史さんに話を聞かせてもらう。

勝岡さんにお会いするのは一年ぶり。変わらず、にこやかに迎えてくれた。

「前回の募集も夏だったから、ちょうど一年前ですね。おかげさまで2名の新しいスタッフを迎えることができました。2人とも、もともと趣味で手芸やものづくりをしていて。今回も、ベースに『ものづくりが好き』っていう気持ちをもった人を探しているんです」

「子どものころビーズで遊んでいたとか、ハンドメイド作品のマーケットプレイスをよく見るとか、そういうことでもいいですね。好きっていう気持ちがあれば、お店で働いているうちに、またつくってみようかなっていう興味を深めていけると思うので」

ところ狭しとビーズが並ぶ空間。たしかに、ものづくり好きにはたまらない環境だと思う。

MIYUKIの自社製品のほか、海外から輸入したパーツ、糸や留め具などの素材も扱っていて、それぞれ種類もたくさんある。

製品の特徴は、資料を読んでインプットすることもできるけど、糸のハリやコシなど微妙な風合いの違いは、実際にものをつくってみるとよくわかる。

「私はこっちが使いやすかったですよ」というスタッフの実感が聞けるのも、専門店で買い物をする醍醐味だと思う。

「今の時代オンラインショップも便利ですけど、お客さまのなかには、やっぱり現物を目で見て、光沢や色味を確認したいという方も多いです。お店のなかでビーズを選びながら、作品のアイデアを膨らませるという面もあるんでしょうね」

「でも今のお店の広さでは、十分に商品を置けなくて。MIYUKIのビーズだけでも本当は2万種類以上くらいあるんですけど、お店に出せるのはその4分の1くらい。本当はもっと『メーカー直営のお店』っていう期待に応えられるようにしたいんです」

国産ビーズメーカーとして、戦前からものづくりを続けてきたMIYUKI。精巧なカットが施された「デリカビーズ」など、独自に開発された製品は、海外にも多くのファンを持つ。

時代とともに製品のクオリティが磨かれていく一方で、趣味としてのビーズや手芸の市場は少しずつ小さくなってきた。

ファクトリーショップとして、今やるべきこと。勝岡さんは、もっと多くの人が、手芸やクラフトの楽しさに出会えるきっかけをつくりたいと考えている。

「実は来年、お店をリニューアルする計画があって。フロアを大きくして、商品数を増やして、商品棚以外にもワークショップや作業ができるスペースをつくろうかな、とかいろいろ考えていたんですよ」

アイデアを膨らませている最中に、新型コロナウイルスの流行による緊急事態宣言。お店も一ヶ月ほど休業した。

以前から感じていた課題と、休業期間を経てあらためて感じたお店の存在意義。多くの人がライフスタイルや価値観の変化を経験するなかで、お店はどうあるべきか。

勝岡さんは、あらためてリニューアルの計画を見直そうとしている。

「たとえばワークショップ用に考えていたスペースをスタジオみたいにして、オンライン配信用の動画をつくっていくっていう可能性もある。直接お店に来られない場合でも、お客さんとつながれる発信の仕方を考えられたらなと思って」

作品制作の動画配信や、オンラインワークショップもできるかもしれない。家で作業をしながらお店とつながるというのは、お客さんにとっても新鮮な体験になりそう。

リニューアルについては、勝岡さんが中心となって店舗の設計打ち合わせをしている段階。ディテールは、これから入る人も含めてアイデアを出しあって決めていきたいとのこと。

SNSなどの発信に慣れている人だと、オンラインでの企画が思いつきやすいかもしれませんね。

「ただ、うちは本当にマルチタスクなんですよね。たとえばオンライン配信をやることになっても、編集作業のためにバックヤードに長時間こもったりするのは難しい。常にお店のことを見ながら、空いた時間でいろいろやっていく感じになると思います」

今は、2つのフロアを4人のスタッフで切り盛りしている。みんなで集まって話す時間を取りにくいというのも、課題のひとつ。

今回新たにスタッフを迎えることで、ゆとりが生まれたら、もっとスタッフ同士で情報や意見交換がしやすい環境をつくっていきたいのだそう。

「今回募集する『店長』っていうのは新しいポジションなんですよ。今までは、それぞれが自分の作業をしているような感じだったんですけど、もっと全体を見て必要なところでサポートをしたり、バランスをとって動いたりできる人がいたらいいのかなと思っています」

「店長経験のある人がいたら歓迎ですけど、そうじゃなくても、これからマネジメントをやってみたいという人がいれば、お店のことを一緒に考えながら成長していきたいですね」



店長不在だったというお店のなかで、実質店長代理のような役割を担ってきたのが、工藤さん。

店長として入る人にとっては、きっといい相談相手になるはず。

今はお店での接客のほかに、学生時代に学んだ空間デザインのスキルを活かして、店舗のディスプレイやイベントのブース設計なども担当。

さらに、「FALBE(ファルビー)」というアクセサリーブランドの商品管理や出荷業務なども担当しているというから、本当にマルチタスク。

いろんなことを同時並行でやるのは大変そうですね。

「もう慣れました(笑)。抱え込んでしまうと辛くなるかもしれないですけど、自分のなかで優先順位をつけてやっています。あとは、周りの人に自分の今の状況について共有しておくのも、大切なことだと思います」

「お店もリニューアルしますし、ほかのお店でマネジメントを経験してきた人が新しい店長として来てくれると助かりますね。でも、やっぱり一番大事なのは、いろんなことを楽しめるっていうことかな。あとは、体力。ビーズって、瓶に入ると結構重たいから力仕事になる場面もありますね」

パーツを数えたり、計ったり。細かい作業もこの仕事ならでは。

お客さんがレジに持ってきた瓶から手際よくビーズを掬い、計量して袋に詰めていく。工藤さんは、慣れた手つきでテキパキと作業を進める。

一心に作業しているのかと思いきや、お客さんが選んだ商品を見て「この色の組み合わせ、かわいいな。こんな作品にしてみたらどうだろう」というふうに、アイデアが思いつくこともあるという。

やっぱり忙しいときでも、どこかでものづくりを楽しむ気持ちがあるんですね。

「空いた時間には、お店のなかでちょっと作品をつくったりすることもあって。同じパーツを使っても、スタッフによって全然違う作品に仕上がるのがおもしろいです」

「同じように、お客さまとの接し方にもスタッフそれぞれの個性が出ているなと思います。お客さまのなかには『誰々さん、いる?』みたいに、スタッフご指名で訪ねてこられる方もいるんですよ」



「お客さんと話すのが楽しいんです」と、ニコニコしながら教えてくれたのは、半年前に入社したという岡田さん。

「私の場合は、こっちからしゃべりかけてしまうんですよ。お客さまの身につけているものを見て、『かわいいですね』とか『手づくりですか?どうやってつくったんですか?』とか。尋ねると話してくださる方が多いから、それがまたうれしくて」

小さいころからビーズや編み物のような手芸が好きで、今はオートクチュール刺繍の教室に通っているという岡田さん。

ビーズを買いに来るお客さんも、きっと共通の話題が多くて楽しいだろうな。

「どんな色にしようか迷っているの、って相談してくださる方もいて。自分が提案したビーズを気に入って、後日『こんな作品ができたよ』ってお店まで見せに来てくださることもあるんです」

もともと好きだったビーズを扱える仕事。一方、専門店で働くことに対しては、少し緊張することもあったという。

BEADS FACTORYは、プロのクリエイターやアパレルのデザイナーなども足を運ぶお店。扱う商品が幅広く、同じ商品でも、用途によって異なる視点で質問に答えていく必要がある。

「たとえば、お洋服につけたいっていうことであれば、色落ちのことを説明しないといけない。まだまだ自分も知らないことが多くて、本を見たり、先輩に教えていただいたりして、ちょっとずつ知識を蓄えているところです」

「ファクトリーショップっていう環境は、自分にとってもすごく勉強になります。糸や道具も、実際に自分で使ってみて。お客さまが何かをつくりたいと思ったときに、それに適した材料について、自信を持って提案できるようになりたいなと思います」

お店の仕事と並行して、岡田さんは「インプレスアート」というメタルクラフトのプロモーション業務にも携わっている。

小さなハンマーを使って手軽にアクセサリーがつくれるツールで、クラフト初心者でも扱いやすいことから、徐々にニーズが広がってきているという。

「ビーズやクラフトって、やってみたいけど難しそうだなって迷っている人も多くて。私たちのお店から『一緒にやりましょう!』っていうきっかけをつくれたらいいなと思っているんです」

ものづくりの楽しさがわかるから、伝えられること。

それは接客でも、SNSでも、動画や写真などツールが変わったとしても、このお店の根っこになる部分だと思う。

ここに来ると、思わずビーズに手を伸ばしてみたくなるのは、ものづくりを楽しむ人たちが醸し出す空気感があるからかもしれません。

(2020/7/10 取材 高橋佑香子)
※撮影時にはマスクを外していただいております。

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