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仕事は最大の自己表現
“食”の職人集団

「経験よりも、考え方とか生き方だと思うんです。自分の力を社会のなかでどんなふうに活かせるかを考えて、言葉にできる。仕事というフィールドのなかで、お互いに全身全霊をかけてチャレンジできる人との出会いを求めているので」

有限会社セレンディブは、食の世界をフィールドに、商品の企画開発から流通まで手がけている会社。全国各地の生産者や食品メーカーと一緒に商品をつくりあげ、小売店へ届けています。

今回募集するのは、バックオフィスを支える総務マネージャーと、商品提案や企画開発を行うマーケティング・マネージャー候補。

受発注や出荷のフォロー、入出金の管理など、事務的な仕事が主となりますが、セレンディブの心臓部となる重要なポジション。いずれ会社を主体的に引っ張っていきたいと思える“職人”候補を探しています。

(新型コロナウイルスの感染拡大を受け、オンラインにて取材を行いました。なお、現地の写真は提供いただいたものを使用しています)



話を聞いたのは、代表の庄子千織さんと、4月から仲間に加わった五十嵐隼さん。

セレンディブは食品をつくる生産者や食品メーカーと、小売業である百貨店や通販会社などをつないでいる、一般的に言えば流通業。

ホームページもなく、インターネットで検索しても情報がほとんど出てこない。それでも、食品業界では知られた存在らしい。

「うちは流通の真ん中で完璧な黒子の役割を果たすのが仕事です。黒子は絶対に表舞台に出ないのが価値ですから」

そう話してくれたのは、代表の庄子さん。

「わたしは6次産業化のプランナーやアドバイザーのお役目もいただいているんです。支援を必要とする全国の生産者を訪れて、食材の商品化や、流通・販売の相談やお手伝いをしています」

おなじく先輩プランナーとして活動していたのが、セレンディブを立ち上げた桶矢さん。生産者の素材を、自らの発想と実践的なアドバイスで市場にデビューさせている姿を見て、庄子さんも会社を立ち上げたのだそう。

「2年くらい自分で四苦八苦したタイミングで、『セレンディブを継いでやってみたら?庄子の体制ができるまでは手伝うから』と桶矢さんから言っていただいて、引き継がせてもらいました」

「現在は私と桶矢さん2人でフロントに立っていますが、これからは五十嵐さんに桶矢さんの分まで頑張ってもらいたいと思っているところなんです」

セレンディブが手がける代表的な仕事のひとつが、百貨店のオリジナルギフト。お中元やお歳暮など、テーマに合わせた商品を企画し、百貨店バイヤーの感性に合わせて生産者や食品メーカーと一緒に商品をつくっていく。

「わたしたちはマーケティングという手法で食材の価値を最大化することを目指しています」

食材の価値の最大化?

「全国には知られてはいないけど特徴のある素材や、他にはないめずらしい素材がたくさんあるんですよ。でも素材だけでは表舞台では輝けない。どうやってその素材の魅力を伝えるか、というのがマーケティングです」

「素材を組み合わせたり、見せ方を変えたり、可能性は無限にあると思っていて。うちはマーケティングに手間暇を惜しまず、徹底的に磨き上げようとしているから、頼りにしていただけているのかなと思います」

たとえば、と庄子さんが話してくれたのは、東京産の軍鶏を使った照り焼き丼。調理済みの状態で冷凍されており、レンジであたためるだけで食べられる。

昨年の冬から企画し、今年のお中元商品として百貨店のカタログにも掲載されているそう。

「2011年に6次産業化プランナーの現地研修があって。そのときに訪れたのが、東京しゃも生産組合さんだったんです」

「東京しゃもは肥育するのが難しく生産量も限られているので、有名な料亭などにしか販売していなかったそうで。いつかこの東京しゃもを世の中に広く知ってもらうお手伝いができたらと思っていました」

時を経て、2019年。来年のお中元のテーマで出てきたのが、オリンピックにちなんだ“東京”だった。

「東京の素材って聞いた瞬間に浮かんだのが、東京しゃもだったんです。組合長に電話して、考えている商品の企画を伝えて一緒に取り組んでいただけないかとお願いしたところ、快くお返事していただきました」

「東京しゃも」の名にふさわしい商品にするためには、どうすればいいか。

軍鶏はもともと闘鶏用のための品種で、食用種よりも肉質がしっかりしているのが特徴。味がよい一方、調理がむずかしいことから、技術のある料理人しか扱えない素材だった。

加えて、市場ではレンジアップや湯煎で調理できるような、簡便性の高い食品が人気。調理法の難しい東京しゃもを未加工のお肉として届けるのは喜ばれにくいと、庄子さんは考えたそう。

「『東京しゃも』という馴染みのない素材だからこそ、焼き鳥丼や照り焼き丼といったわかりやすいメニューで、レンジで温めるだけで食べられる商品にしました。加工してくれるところも、地鶏やジビエなどの調理に長けた食品加工の会社さんに協力をお願いしたんですよ」

「百貨店のバイヤーさんにも評価していただき、お中元の特集ページに掲載されました。東京しゃも生産組合の人たちも世の中の人に知ってもらえるきっかけができたとよろこんでくださったし、わたしも最初の志を果たせたような気持ちでうれしかったですね」

将来的には生産組合が流通の機能も持っていく、いわゆる6次化として成立できるようにサポートしていきたいそう。

商品化したあともただ売ればいいということではなく、生産者が無理なく持続していける環境づくりまで考えるのが、セレンディブの仕事のポリシー。

売り手である百貨店の期待に応えることはもちろん、つくり手である生産者にも目を向けて、双方にとってよい形を探っていくことが必要になる。

「素材を商品にするのは、ある意味簡単なんです。一番大事なのは、通訳としてその間をつなぐことだと思っていて」

通訳?
 
「地方と東京では、マーケットの感覚がかなり違うんです。それは物質的な違いというよりは、なにを良いと感じるかっていう感性の違いが大きいと感じていて。感性の違いを理解して間をつなぎ、ビジネスにつなげていく。それを私たちは通訳と表現しています」

「大切な素材をわたしたちに預けてくださった生産者の信頼を、しっかりと必要なところにおつなぎできるか。売れる商品をたくさんつくるということも必要ですが、一番大切なのは、そのつなぐところだと思ってます」



次に話を聞いたのは、将来の大黒柱として、今年の4月に入社した五十嵐さん。

入社前は飲食業界でECサイトの運営を担当していたそう。営業担当者としてセレンディブと商談をするなかで、一緒にやらないかと誘われたのがきっかけだった。

「誘っていただいた日の会話で印象に残っているのが、商品にはふたつの品質があるという話で」

ふたつの品質?

「ひとつは味や内容量、簡単に調理できるといった、商品自体に備わる品質。もうひとつが、おいしそうとか食べてみたいと思わせる、商品を手にとる方の感性に訴える品質であると。商品がたくさんある今の世の中では、感性に訴える商品を企画する必要があるんですよね」

「『必要だから』だけでなく、『欲しい』と思ってもらう商品に仕上げなくては手にとってもらえない。僕はそれまで製造者として商品をつくり上げることがゴールだと思っていましたが、その先でどう選んでもらうかということが、ずっと大事で。考え方の前提にこれほどギャップがあるんだって、ショックを受けました」

この人たちと一緒にチャレンジしたい。決断することに迷いはなかったと話す五十嵐さん。実際に働いてみてどうでしょう?

「毎日が勉強の連続です。今は庄子のサポートをしつつ、主に受発注の業務を担当しています」

「毎日いろんなメーカーさんや小売業者さんから問合せがあるんです。そのすべてに対応しなくてはならないので、ルーティーンの仕事はほとんどなくて。適応力と対応力が試される環境だと思います」

例えば毎日作成する発注書も、受け取った人が理解しやすいような形式にしたり、相手によっては電話で注意点を伝えたり。

機械的に処理するのではなく、目の前の仕事の先を想像して行動する。日々の仕事に向き合うなかで実践するのは、簡単なことではないと思う。

「庄子や僕は産地へ出張をしていることが多いので、留守を託せる、信頼できるパートナーを探しています。バックオフィスはセレンディブの顔であり、心臓でもあるんです」

五十嵐さんは庄子さんの下で経験を積み、ゆくゆくはセレンディブを引っ張っていく存在になることを目指している。

それには食品業界全体を俯瞰する視点とアンテナが必要だと感じているそう。

「例えば、世間が外出を自粛するようになってから通販で馬刺しがよく売れるようになりました。その変化に気が付くと、桶矢が『どうしてだと思う?』って突然聞いてくるんですよ」

馬刺しが売れる…どうしてでしょう。

「馬刺しって、飲食店でしか食べる機会がないじゃないですか。食べたくてもお店は閉まっているし、スーパーやコンビニで馬刺しを置いているところってほとんどない。だから通販で買う人が増えたのではないかなと考えています」

「販売数は発売するまでわかりませんが、自分なりの仮説を立て、結果を検証し、次のトライにつなげてゆく。これは想像以上にロジカルで、おもしろいことだと感じています」



最後に話を聞いたのは、受発注業務を行っている石塚さん。以前は接客業に携わっており、日本仕事百貨の記事を見て今年の3月に入社した。

石塚さんは主に、事務所に常駐して日々送られてくる受発注の依頼を生産者やメーカーに伝える役割を担っている。

最近で印象に残っている出来事を聞いてみると、母の日のギフトについて話してくれた。

「今年は山形のさくらんぼギフトが人気だったんですよ。注文数が普段よりも多くて、おなじ商品の注文が1日に何十件も来ることがあるので、配送先とか個数を間違えずにメーカーさんへ伝えるのは、すごく気を遣いました」

お中元やお歳暮など、贈り物の文化はまだまだ根強く残っているし、最近では母の日や父の日、内祝いなど、家族や友人の間で贈るプライベートギフトが人気になりつつあるそう。

注文数が多い時期も、まずはミスをしないように。そして自分が手を動かした作業の先にある人や仕事を思いやることが大切だと話す石塚さん。

「受動的に作業をこなすのではなく、バックオフィス全体の流れをみたり、新しいやり方の提案をしたり。適応力と対応力のある方が来てくれたら、私自身も勉強になるし心強いです」



取材の終わりがけに、先代の桶矢さんが顔を出してこんなことを話してくれました。

「仕事は社会に対する最大の自己表現だと思ってるんです。だからいろんなことに興味を持って、考えて。それが自分の力になると思うので、一緒に力をつけていきたいって思ってくれる人に来てもらいたいですね」

いわゆる事務職のイメージで来ると、ギャップがあるかもしれません。日々変化する物事に疑問と関心を持って、考える。

その積み重ねが、人と人のあいだをつなぐための信頼になるのだと思います。

(2020/5/21 オンライン取材 稲本琢仙)

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