求人 NEW

食はいのち
フードロス削減の可能性に
流通と企画のプロとして挑む

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

日本では、毎年600万トンを超えるフードロスが生まれています。

フードロスとは、まだ食べられるのに捨てられてしまうもののこと。国民一人当たりに換算すると、毎日お茶碗一杯分の食料を捨てている計算になるそうです。

単純にもったいないし、飢餓に苦しむ人がいることを思うと、なんとかしなければならない。でも、個々人の心がけや行動を見直すだけでは限界があります。

食のつくり手と売り手、双方の間に立ってきた自分たちだからこそ、何かできないか。そんなふうに立ち上がったのが、今回紹介する有限会社セレンディブのみなさんです。

セレンディブはもともと、食品の企画開発から流通まで幅広く手がけてきた会社。生産者や食品メーカーと一緒に、食材の価値を最大化する企画を考え、百貨店や通販会社への販路をつくる。そんなつくり手と売り手の「つなぎ手」として、信頼と実績を積み重ねてきました。

あくまで黒子に徹するため、Webサイトもなく、営業もしていない。全社で5名にも満たない小さなチームながら、全国から食にまつわる相談が絶えないそうです。

今回は、そんなセレンディブの築いてきた関係性やネットワークを活かして、フードロスの課題に取り組む新規事業の担当者を募集します。フロントマンとして奔走する人、バックオフィスを支える人、どちらも求めています。

少数精鋭のチームということもあり、新規事業の立ち上げと並行して既存業務にも取り組むことになります。仕事と夢を重ねて思い切り走れる。そんな人でないとむずかしいかもしれません。

あわせて、ライターやカメラマン、Webデザイナーなど、力を貸してくれる社外の仲間も募集中です。

 

地下鉄の牛込神楽坂駅からほど近い、マンションの8階。

ここがセレンディブのオフィスになっている。

棚や冷蔵庫にはさまざまな食品が並ぶ。各地の生産者さんやメーカーさんから届いたもので、スタッフはキッチンで自由に調理して食べていいらしい。ランチを兼ねて、みんなで試食することも多い。

壁に貼られた日本地図には、あちこちに赤い丸がついている。

「印のあるところは全部、これまでにお付き合いのある産地や製造者たちなんです」と代表の庄子さんが教えてくれた。

別室に移動して、お話をうかがうことに。

17年前に創業したセレンディブ。

百貨店のオリジナルギフトの企画や、つくった商品を流通に乗せるための諸々など。食にまつわるマーケティングを幅広く手がけ、取引のある生産者や食品メーカーは全国で1000社以上にのぼる。

庄子さんは、その経営のバトンを3年前に受け継ぎ、ここまで走り続けてきた。

そんななか、コロナ禍が拡大。いまだ食の業界に大きな影響を及ぼしている。

「以前は月の半分以上、地方に出張して生産者さんとお話ししたり、加工現場を見に行ったりと動いていたんですが、これができなくなって。今までとは違うやり方で物事を考えなきゃいけないというのは、いろんな意味で修行になりましたね」

商談はオンラインに切り替え。商品企画のアドバイスも、現物が送られてきて「感想を書いて戻してください」というような、遠隔で完結する形に。

つくり手と直接出会い、対話することを大事にしてきた庄子さんにとって、この変化は大きな痛手だった。

「はじめのころは、いやいや、会わずに何をどう伝えたらいいんだ?って。人と人が出会って何かを生むことが、こんなにもすごいことだったんだと、あらためて気付かされたというか」

幸い、セレンディブの仕事は減るどころか、むしろ増えているという。

たしかに、どんなに世の中が停滞しても、みんな何かしら食べて生きている。外食が減って宅食が増えるとか、形は変わっても、食の需要の“総量”は大きく変わらないとも言える。

ただ一方で、緊急の課題も見えてきた。それは、食材の生産者とその関連業者のこと。

「ある鶏肉のブランドがあって。高級料亭など、限られた場所だけで展開してきたんです。ただこれだけ飲食店の売り上げが落ち込んでしまうと、餌屋さんや雛屋さん、屠殺の食肉業者さんなど、生産を支える関連業者さんたちみんなが倒れかかっているような状態なんですね」

もともと、そのブランドの生産組合とは10年来の関わりがある庄子さん。現場に何度も足を運び、つくり手の想いに触れてきた。

この状況を、なんとかできないか。身を斬る覚悟で考えた。

「まず我々にできることは、原料肉を買うという約束をして、生産を維持すること。そして、飲食の落ち込みで減ってしまった需要を別のところで補うことです」

そこで今、2つのことに取り組んでいる。

1つは、スーパーの惣菜に活かす可能性。新たに販路を開拓しようということ。

そしてもう1つが、缶詰の開発。高品質な畜肉を活かしつつ、賞味期限が数年に延びれば、在庫を抱えても生産組合が自ら需給調整することができるようになる。

こうした生産現場の課題解決のサポートも、これからのセレンディブにとって重要な役割のひとつだと、庄子さんは考えている。

「コロナ禍を通じて、生産者さんが直接SNSで発信する場面も見かけるようになりましたよね。でもそれは、わたしたちにはできないなと思っていて」

というと?

「わたしたちが素材を投げ売りしてしまったら、関連業者さんたちにまで利益を還元できないですよね。それに伝え方次第では、生産者さんたちががんばって築いてきたブランドを壊すことになってしまう」

「自分の身に降りかかって、はじめてつくり手の苦労がわかります。正直、何ができるだろう、どうしたらいいのだろうと夢に出てくることもあります」

従来の販路が途絶えたなかでも、食材の価値を落とさずに、適正な価格で販売し、利益を還元していく。そのためには、これまで以上のアイデアや工夫が必要になる。

新しいセレンディブの取り組みについて、庄子さんは具体的にどんなことを考えているんだろう。

「意外とつくり手さん同士って横のつながりがないんですね。だからたとえば、ある商品を見たメーカーさんから『あの素材いいね、どこから仕入れてるの?』って話になったら生産者さんを紹介したり、ある人が『うちトウモロコシ余ってるんだよね』ってことなら、飼料として買おうかって話につながったり。そういう有機的な関係性を広げたくて」

それは、セレンディブの培ってきた関係性をもとにした、オンラインコミュニティみたいなものになっていくんでしょうか。

「そういうものもひとつだし、Webサイトをつくるのか、メールマガジンか、業界誌をつくるのか…。それこそあらゆるメディアを用いて取り組んでいくことかなと思っています」

つくり手の支援のほかにも、在庫として抱えている食品を全国の子ども食堂に送る仕組みをつくったり、フードロス削減など企業の環境に対する取り組みを公表しあうような場をつくったり。

明確な形は定まっていない。セレンディブの全国的なネットワークと、つくり手・売り手双方に対してフラットな関係性。これらを活かして何ができるか、新しく入る人にもスキームづくりから関わってほしいという。

とはいえ、この少数精鋭のチームで、新規の取り組みだけに携わるということはない。

「何をするにも、ビジネスとしての信頼関係があったうえでの社会貢献なので。既存の生業と両輪でまわしていく必要があります」

今回募集するのは、既存の食品企画・流通とともに新規事業を推進するプロジェクトマネージャーと、裏方全般を取り仕切るバックオフィスマネージャー。

庄子さんのように表立って奔走する前者の仕事に光が当たりがちだけど、今回とくに重要だと考えているのはバックオフィスのほうだという。

「正直デジタル化はかなり遅れていると思います。そこの棚に並んでいるファイルが日本全国の資料で、ある意味うちの頭脳の根幹なんですけど。これ、普通はデータで管理する発想になると思うんです」

たしかに、なかなかアナログですね。

「食って生理的な行為なので、最終的にはアナログなんです。どんなにリアルな絵や画像で食べものを見ても、お腹いっぱいにはならないでしょう? それと同じで、食を扱う限り、アナログと切り離せない部分はあるなと思っていて」

「そうは言っても、デジタルに切り替えて省力化すれば、新しいことにも力を割きやすくなります。どこまで刷新できて、どこからは残すのか。これから入る人と一緒に、試行錯誤しながら見極めていきたいです」

最近、庄子さん自身も事務方の仕事を経験してみて、バックオフィスはある程度システム化が可能だと感じているそう。ただ、いきなりすべてを移行することはできないので、まずはアナログなやり方できっちりと進行しつつ、徐々に改善していける人だといい。

一方の新規事業兼フロントの担当は、食の流通の専門家として必要な知識やマーケティング、経済などの勉強をしながら、庄子さんのZoomでの商談に同席するようなところからのスタートになる。

「右から左に流すようなことはほとんどないので、手間もかかります。ある意味職人的な仕事かもしれません」

マーケティングの知見や専門的な知識はもちろん、あらゆる立場の一人ひとりが感性を働かせ、食材の価値を最大化する。それこそ、セレンディブに求められていること。

庄子さんたちの仕事ぶりを見て学び、自分でもどんどん実践していけるような人が向いていると思う。

「スピード感を大事にしているので、ビジネス経験豊富で即戦力になれるような方だとうれしい。けど、若いからこその無謀さもあるじゃないですか。自分もそうだったし、今できなくてもいずれできるようになりたいと本気で思える人なら、全然いいと思っていて」

「仕事と自分の夢を重ねられるような価値観をもった人。基本的に、何よりも仕事をすることが好きな人じゃないと一緒に夢を見れないかな、というような気持ちはありますね」

壁には、「不羈卓犖(ふきたくらく)」の文字。“ほかより抜きん出ていて、何ものにも束縛されないこと”を意味する言葉で、セレンディブで働くうえでの姿勢を表す社是なのだとか。

個人にできることは限りがある。反対に、組織の規模が大きくなるほど、しがらみや身動きのとりづらさも出てくる。

このセレンディブという小さなチームが培ってきたつながりは、現実の局面を変えていく力を持っているんじゃないかと思いました。

とくに新規事業は、新しく加わる人次第でできることは大きく変わっていきそうです。自分の手で、フードロスをはじめとする食業界の課題を可能性に変えていきたいという人を待っています。

(2021/1/25 取材 中川晃輔)
※撮影時はマスクを外していただきました。

おすすめの記事