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木に人に
真っ直ぐ、向き合う

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

「老舗」という言葉は、「似せる・真似てする」を意味する「しにす」に由来しているといいます。

元の言葉の意味で考えると、「創業者や先代のやり方を真似して、そのまま続ける」となるけれど、実際には「そのまま続ける」以上のことに挑戦していかないと、生き残るのはむずかしい。

創業118年を迎える浅草の材木店、佐久間木材株式会社もそんな老舗のひとつ。

工事現場でよく見る角材だけでなく、合板やさまざまな木質材料を販売する佐久間木材。建築現場にトラックで商品を配送したり、20年前からはオンライン販売も手がけています。

今回募集するのは、木材の受注から配送に加え、オンラインストアの運営にも携わるスタッフ。最初は建材の販売からスタートして、オンライン販売や抜型用の特殊合板の事業にも関わっていくことになります。

木材に触れ、深く知り、その良さを広めていく仕事です。

 

台東区・浅草。

新御徒町駅を出て大きい通りを抜け、路地に入る。軒先や入り口に積まれた段ボールから、ものづくりの会社や工房、問屋が多くある町だと実感する。

駅から歩いて8分ほどで、佐久間木材に到着。

トラックが前にとまっていて、これから配送に向かうよう。

入り口から事務所に入ると、商材の木の見本がたくさん並んでいる。

きっちり整理整頓されたオフィスで、代表の佐久間さんが迎えくれた。

佐久間木材は、佐久間さんの曽祖父がはじめた会社で、佐久間さんで4代目になる。社会人になるまで、家業を継ぐつもりはなかったそう。

「昔は家と会社がとなり合わせで、社員たちと一緒に生活していました。材木置き場は遊び場だったし、仕事と生活のがひと続きみたいな感じで。社員のみんなは『4代目』として見るし、浅草の地域柄か近所の人もみんな知り合いで、常に見られていることがとても窮屈でしたね」

「それで家を出て、大学卒業後はマンションディベロッパーの仕事につきました。コンクリートのマンションを扱っていたんですけど、途中から木材の方がいいなって思っちゃって。でもいまさら親に継ぎたいなんて言えないしなって」

そんなとき、佐久間さんのお父さんに癌が見つかり、余命3ヶ月の宣告をされる。

「今しかないって思って、お願いして佐久間木材に入りました。会社を継いだのは、それから3年後の30歳のときでしたね」

会社のなかでは、1番年下で社歴も短い。それでも、自分ができることをやろうとパソコンを会社に持ち込み、会社案内のホームページや木材の販売サイトをつくる。それが大体20年くらい前のこと。

「当時は木材のサイズや価格を載せたり、一般のお客さんが買いに来れたりする材木屋はなかったんですよ。木の魅力をわかりやすく伝えられたら、もっといろんな人が木材のことを好きになってくれるんじゃないかと思ってはじめました」

みんなに認められたい気持ちもあったな、と振り返る佐久間さん。今ではオンライン事業が会社全体の利益の3割を占めるまで成長した。

「うちは、オンラインでの木材の販売に加えて、建材の卸売り、抜型用合板の卸売りっていう、全部で3つの事業を行っていて。抜型っていうのはこういうのね」

「紙とかをこの型でプレスして抜く。抜かれたものはお菓子のパッケージとか自動車関係のパッキンとかになるんです。これの土台部分になる合板をうちで卸しています」

薄い紙を抜くこともあるので、合板が反ってはいけない。一般的な建材よりも繊細な製品なのだそう。

「もともと無垢材でつくっていたものを、先々代が合板の方がつくりやすいんじゃないかってはじめた事業で。シェアのほぼ100%をとっていたこともあります」

普通の材木屋さんのイメージとは少し違う事業ですね。

「そうですね。人と違うことをやろうっていう意識は代々持っているんだと思います。今のお客さんとの関係も大切にしたいから、一気になにかを変えることはできないけど、今までと同じような事業をやるんじゃなくて、新しい挑戦もしていきたくて」

日本の木材を海外に輸出する事業、木材の曲線カット・穴あけ・塗装といった、個人のニーズに合わせた事業など。今後新たにチャレンジしてみたいことはたくさんある。

「まちの材木屋は減っているけど、なくなりはしないと思うんです。最初はホームセンターで木材を買っていたような人も、だんだん凝ってくるとうちのサイトから注文してくれるんですよ」

「木ってやっぱりあたたかくて、見た目も匂いも感触もいいじゃないですか。わるいところが見つからない。この良さを伝えていきたいんです」

にこにこしながらそう話す佐久間さん。本当に木が好きというのが伝わってくる。

 

続いて話を聞いた砂合(すなごう)さんも、「僕も木材が好きですよ」と話を継いでくれる。

佐久間さんと同い歳で、建材の卸売りやオンライン販売も一部担当している。物腰が柔らかく、一つひとつを丁寧に話すような方。

建材の卸売り事業では、工務店からの注文書をもとにメーカーへ発注し、届いた建材を建築現場へトラックで納品するところまでおこなっている。

納品現場で大工や施工管理の人と話すなかで注文をもらうことも多いそう。単純に納品だけするのではなく、いろいろな人とコミュニケーションすることも求められる。

「普通より短納期での注文にがんばって応えることもあれば、逆に荷下ろしを手伝ってもらったり、納期を伸ばしてもらったりと、お客さまにお願いすることもあって。なんのつながりもないと、一度きりで関係が切れてしまう。だから『今回はお願い』と言い合えるような関係性をつくることを大事にしているかな」

現場では挨拶を丁寧にしたり、世間話をしたり。仕事以外の話をすることも。

「木材を納品したときに『持ってきてくれたか!ありがとう!』って、大工さんや職人さんが声かけてくれたときとかはうれしいですよね」

「木材の積み下ろしは力仕事なので大変なこともあります。積み下ろしを現場の人が手伝ってくれることが多くなりましたが、いないときはひとりで降ろさないといけない。トラックが狭くて入れないようなところには、長い距離を手で運んだりすることもありました」

それは大変そうですね…。

「大変です。でも、重い木材を運ぶときの体の使い方や、バランスをとる位置のコツはあるので、慣れてくるとあまり力を使わずに運べるようになります。もちろんそういうことも教えていくので、やりながら覚えていってもらえれば」

決められた量を決められた日に納める、そんな仕事が多いそう。当たり前のことをコツコツ積み重ねていく仕事なんだろうな。

1日の仕事の流れは、どんな感じなんでしょう。

「私は早めに出社しているので7時くらいには来て、7時半からその日の配送担当で朝礼をして、10分くらい掃除。それから各自倉庫に行って積み込みをして、午前中の配送に行く。会社に戻って昼の休憩をとって、午後の配送」

「15時くらいには会社に戻ってきて、事務仕事やサイトからの注文への対応をしています。17時までが定時なので、17時過ぎるとみんなその日の仕事を終えて帰りますね」

残業もほとんどなく、繁忙期などの波もあまりないそう。安定した環境で働きたいという人には合っていると思う。

また、ものを運ぶ肉体労働だけでなく、事務仕事やオンラインストア関係の仕事など、デスクワークもある。

佐久間木材では、木質材料全般を販売する「エコモク」に加え、合板を専門に販売する「@合板」、木の雑貨専門店「comoku」の3つのサイトを運営している。砂合さんは、他のスタッフと持ち回りで「@合板」の発注や問合せの対応をしているそう。

エコモクには、全社員が交代で書く「木」についてのコラムも掲載。読んでいると木に詳しくなるし、働く人の人となりも感じることができる。

 

入社前にそのすべてのコラムを読んだと明るく話してくれたのが、去年入社した新保さん。

デザインの専門学校を卒業後、工学系の学会誌の制作や輸入商社でwebサイトをつくる仕事をしていた。

「子どもたちも独立したし、もう少し自分の時間を持てるような働き方がしたいと思って。オンラインの販売に力を入れていきたいと社長がおっしゃっていたので、前の仕事の経験が活かせるかなと、佐久間木材に入りました」

新保さんは今、オンライン販売のサポートをしつつ、事務を担当している。

「最初は会社で扱っている商品を覚えたり、お客さんが言う専門用語を覚えるのに苦労しました。入って1ヶ月くらいは『やっていけるかな…』って不安でしたね」

「『タルキ1ソクお願いします』ってお客さんから言われたときは、何のことなのかまったくわからなくて。でも1ヶ月半くらいしたら、覚えたことが整理されてきたのか、すっと入ってくるようになりました」

覚えることがたくさんあるので、飽きないですよ、と新保さん。

毎日いろいろなお客さんからの問い合わせに対応して、カタログで商品を調べたり、商社に問い合わせたり。そのうちに、木への理解を深めていった。

「女性がわたしひとりだけなんですよ。材木屋さんで働く人って、職人気質で少し怖いイメージがあったけど、入ってみると全然そんなことはなくて。みんな優しくて穏やかだし、すごく丁寧に教えてくれる。それはいい意味で意外でした」

新保さんが話すように、社内の雰囲気は静かで穏やか。商品を傷つけたり、ミスをしないためにも、オフィスや材木置き場を綺麗に整理整頓している。

「年齢が上の男性ばかりですが、遠慮は全然いらないって感じですね。年齢も性別も関係なく話ができる雰囲気がありますから、質問とかはどんどんしていってほしいです」

「経験がなくても、やる気がある方が来てくれるとうれしいですね。トラックやフォークリフトも運転しやすいようにAT車に変えるとか、新しい人が働きやすいように工夫してくれているので。体を使う仕事も頭を使う仕事も、両方あるので肩肘はらず健康的に働けるんじゃないかな」

 

取材のなかで、代表の佐久間さんが「当たり前」という言葉をよく使っていたのが印象的でした。注文通りの商品を納期に収めること、整理整頓すること、お客さんやスタッフを大事にすること。老舗として積み重ねてきた大切な価値観だと思います。

真っ直ぐ木や人と向き合い、これからを一緒に模索していける人にぜひ来てほしいです。

(2022/5/25 取材 荻谷有花)
※撮影時はマスクを外していただきました。

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