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日常を少しだけ豊かに
テキパキ届ける
ここにしかないガラス

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

日々の暮らしのなかで、ちょっといい食器に料理を盛り付けてみる。そして、ちょっといいグラスにお酒を注ぐ。

器やグラスによって、味が大きく変わるわけではないけれど、日常は少し豊かになるような気がします。

太武朗(たぶろう)工房は、主に江戸切子や江戸硝子、オリジナルの製法でつくる彫刻硝子を販売している会社です。

今回募集するのは、日々の受注に対応する商品管理と、ECサイトの運営担当。

どちらも経験は求めません。働き方も柔軟に決めていきたいとのこと。時短勤務も可能で、EC担当に関してはリモートで仕事をすることもできます。

硝子に興味があってもなくても。こだわりのものを多くの人に届けたいという人にとっては、気持ちよく働ける環境だと思います。

 

東京の東側、総武線の平井駅を降りて、路地を5分ほど歩く。住宅街を進むと、太武朗工房と書かれた看板を見つけた。

入り口を入って正面にあるテーブルで待ってくれていたのが、代表の竹田さん。

はっきりと言葉を紡ぐ、話していて気持ちのいい方。

まずは会社の成り立ちから話を聞いてみる。

「うちは先代が平成元年に立ち上げた会社で、僕が二代目になります。硝子業界でみると、すごく若い会社ですね」

「もともと父は衣料品系の仕事をしていたんですが、異業種へチャレンジしようと硝子業界に入って。人のつてもなかったので、仕入れも売り先も0からのスタートでした」

太武朗には職人がいない。硝子製品の職人さんとパートナーシップを組み、太武朗オリジナルの商品をつくってきた。

「うちはパートナーさんの協力があって、はじめて商品ができる。メインの卸先はデパートだったんですが、ここ10年弱くらいは楽天やアマゾンを介したネットでの売上が大きくなってきて。なんとかがんばって続けています」

「会社を継いだのも、そんな深い理由があったわけじゃなくて。たまたま会社の転換期だったのが大きかったのかなと。29歳くらいのときかな。これっていう理由はないんですよね」

太武朗工房がつくっているのは、伝統工芸品の江戸切子や江戸硝子、そして彫刻硝子の3つを軸にした商品。

とくに、細かい砂を当てて硝子を削るサンドブラストという技法でつくる彫刻硝子は、どれもほかのメーカーにはない太武朗工房オリジナルのものだそう。

江戸切子や江戸硝子では表現できない、絶妙な色加減と手触りが特徴。

商品を触らせてもらうと、柄の外側ではなく、内側が削れていることがわかる。

「そうそう、これは内側をサンドブラストで削っていて。この技法のおかげでこんな色や模様をつくることができる。江戸切子だけでやっているところもあるけれど、うちはそれとサンドブラストを組み合わせた製品もあるので、そういうところは太武朗工房オリジナルと言っていいと思います」

販売の面では、デパートなどの需要が小さくなりつつある一方で、ECサイトを経由した注文が増えている。この日も竹田さんは合間を縫って商品の梱包に勤しんでいた。

今回の募集は、さらに規模を大きくしていくためなんでしょうか?

「実はそういうわけでもないんだよね。うちの方針でいうと、商売を広げようっていう気はあんまりなくて。たとえばガンガン営業をかけて売り先を増やすよりは、今をベースに、大きな浮き沈みがないような商売をしたい」

「欲がないっていうわけじゃないんだけど、そうやって大きく大きくして、舵取りができずになくなってしまった会社さんを僕は見てきたから。だから安定的に商売をするのがいいと思っているし、下がったとしても致命傷じゃない、上がったとしても上げすぎない。そのバランスの良い経営は、今までもこれからも目指しているところです」

ベースをしっかり固めるために、今力を入れて取り組んでいるのが、太武朗のブランド力を高めていくこと。

今回EC担当を募集するのも、そういった背景があってのことだという。

「たとえば江戸切子でいうと、使う人が手に取ったときに、どこがつくった江戸切子なのかってわからないと思うんです。これがバカラだったらわかるじゃないですか。それはブランドだから。だからこそ、太武朗の江戸切子だとわかってもらいたい。太武朗工房っていうブランドを認知してもらうことが今の目標ですね」

現状は、全国各地の百貨店での販売と、楽天とアマゾンのストアでの販売のみ。今後は自社ECサイトでも販売できるよう、着実と準備を進めている。

「僕らがつくっているのは『器』なんです。グラスやお⽫を通じて、その空間と時間をいつもより豊かにする。それが暮らしに寄りそう器の役割だと思っていて」

「そのために、ガラスの質、⾊、形、デザイン、すべてオリジナルにこだわり続ける。太武朗⼯房にしかないハンドメイドガラスを極めていく。これが⼤切なことだと感じています」

ECサイトの制作は、外部のデザイナーと連携して進めているそう。今回募集するEC担当も、できればサイトづくりのところから関わってほしい、と竹田さん。

サイトが完成したら、商品ページの作成や受注処理などに携わっていくことになる。

「ECサイトの運営を少しやっていました、くらいの人でいいと思っていて。あとは職場をしばらく離れていて復帰したい人でもいいし、扶養内で働きたいというのもOKです。EC担当はリモートでも構わないので、働き方に関しては柔軟に受け入れていきたいと思っています」

現在出店している楽天やアマゾンも、商品の登録や管理は比較的簡単にできるため、詳しい知識はなくても大丈夫。

スキル以外で、こんな人と働きたいというイメージはありますか?

「そうですね… 言葉を選ばないでいうと、効率と要領がいい人。もちろん最初からは難しいと思うけど、飲み込みが早いとか要領よく仕事を組み立てられるとか。それが一番ですかね、優先順位で言ったら」

なるほど。たとえば江戸切子とか、伝統工芸に携わりたいという人はどうですか?

「もちろんそういう気持ちがあるに越したことはないですけど、個人的には正直そこまで求めていないです。ガラスを愛している人がいいです、って体よく言えばいいんだけど、僕は思ってないことは言えない人だから(笑)」

「だから極端に言えば、ガラスが好きじゃなくてもいいんですよね。これは仕事だって割り切ってくれていい。これだけ働くからこれだけ稼がせてほしい、って言ってもらうのも歓迎です。ガラスへの愛着みたいなロマンチックなことだけじゃ続かないと思うんだよね」

話すのは苦手で… とこぼす竹田さん。とはいえ、思ったことをちゃんと言葉にしてくれるので、働く人の安心感にもつながっていると思う。

 

現在竹田さんのもとで働くスタッフは8人。そのうちのひとりが、商品管理の樋口さん。

「去年の10月から太武朗で働かせてもらっていて、以前は新卒から20年ほど卸売り商社で営業販売をしていました」

長く続けていた仕事を辞めるきっかけになったのが、コロナ禍。ちょうど自分の人生をどう歩んでいくか考えていたこともあり、希望退職を選択した。

「卸売の商社だったので、ものを扱うことが多くて。そのなかでも食器に関わる機会が多かったんです。そのときに江戸切子に触れて、すばらしいものだなと。次に仕事を選ぶなら、伝統工芸品に携わる仕事がしたいと思ったんです。そのときに偶然見つけたのが太武朗でした」

入社後は、検品・梱包・発送までを担当。すべて手作業でおこなっている。

バックスペースを見せてもらうと、所狭しと段ボールが積まれている。それぞれに番号が書かれていて、その番号から商品を探してピッキングしている。

覚えることが多いのはもちろん、ある程度の力仕事も覚悟しておいたほうがいいかもしれない。

「企業さんの記念とか、ブライダルの引き出物のご注文を受けることもあります。そういうときはみんなでばーっとやっちゃいます」

働いてみてどうですか?

「前職のときはいろんなアイテムを広く浅く扱っていたので、特定のものに集中できるのはいいなと思います。自分にとっていらない枝葉を削ぎ落とした感じ、っていうのかな。すっきりした気持ちで仕事ができている気がします」

「江戸切子も彫刻硝子も、すっごく美しいじゃないですか。毎日見ていても飽きないです。職人さんの熱意が込められたものなので、見惚れちゃう。だからこそ、手にする人にとって大切なものになるように、丁寧にお届けしていきたいなと思っています」

梱包や包装も、単純に箱に入れるだけじゃない。割れないように緩衝材を入れたり、お祝い事ならのしをつけたり。のしも外側にかけるのか、内のしなのか。名前を入れてほしいという要望があれば、どこにどう書くべきか。

他者への想像力が活きるし、贈与の作法のようなものも学べる環境なのだろうな。

「とにかく物量が多いので、時間内に終わらせるっていうのが一番難しい永遠のテーマで(笑)。たとえば年度末なんかは、異動や退職される方への贈り物として選んでもらえることが多くて、すごくいそがしいですよ」

「割れないように白い紙を内側に入れて、一個ずつグラスを巻いて。箱に入れたら包装して、一個ずつぷちぷちで巻いて、シールを貼る。流れ作業なんですけど、集中力を持って注意していないと間違えてしまうので」

ものを大切に扱う気持ちと共に、スピードも求められる環境。竹田さんが「要領がいい人がいい」と言っていた意味がわかりました。

「私の個人的な意見としては、先々の細かいことまで気遣いできる方がいいなって思います。私たちは直接お客さまと会うわけじゃないけど、送る先には商品を待っている方がいる。なので、この程度でいいかなって感覚で向き合うのは絶対に良くないと思うんです」

「たとえば水引なんかも、結び切りにするか蝶結びにするか、考えて手を動かさないとあっという間に間違えちゃう。あ、これはまずいかもって気づける人だといいですよね。一度ミスをしてしまうと、それで信頼が崩れていっちゃうので。気を引き締めて毎日臨んでいます」

もちろん緊張しっぱなしだと心も体も疲れてしまう。それを解消するための福利厚生の一つが、ランチ会。

「月に一回会社持ちで、豪華仕出し弁当を頼んでみんなで食べるっていう。なにを頼むかは当番をみんなで回すんですけど、一巡すると社長がこの辺のいいお店で奢ってくれるんですよ(笑)」

「ちょうどこの前、近くのお店で天ぷらお刺身定食をいただきました。そうやっていい空気はつくれている職場なんじゃないかな」

話を聞いたお二人とも、はっきりとした言葉で思いを語ってくれたのが印象的でした。

気持ち良くテキパキと働くなかで、働く人もブランドも、自ずと成長していくのだと思います。

(2022/6/3 取材 稲本琢仙)

※撮影時はマスクを外していただきました。

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