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定番とは? 最適とは?
唯一無二の
美しさを問う

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多種多様なものがつくられ、比較しながら選択するのが当たり前のこの時代に、「ひとつのカテゴリにつき一種類の商品のみ」を扱うこのお店はかなりめずらしいと思う。

THE SHOPは、「これこそは」と思える定番の一品だけを集めたお店です。

デザインの美しさや機能性だけではなく、つくり手の働き方や自然環境への影響、文化や経済など。あらゆる観点で考え抜かれた“最適”なものを届けてきました。

今回募集するのは、店舗での接客を中心に、販促の企画やnoteでのコンテンツ制作、SNSでの広報など、ブランドのタッチポイントをつくる幅広い仕事に取り組むショップスタッフ。将来的には、適正に応じて商品のバイイングやデザイン業務などを担う可能性もあります。

あわせて、オフィスでマーケティング部門を担うスタッフも募集します。

背景にあるストーリーや考え方まで含めて、大切にものを扱っていきたい人に知ってほしい仕事です。

 

THE株式会社のオフィスは、JR目黒駅から15分ほど歩いた閑静な住宅街にある。

出迎えてくれたのは、代表の米津さん。バルコニーのある開放的な一室で話を聞かせてもらう。

「ここには最近引っ越してきて。あまり広くないので、全員は入り切らないんですよ。リモート勤務日をつくりながら、あえて異なる部署の人たちが一緒になるように出勤シフトを調整して、横のコミュニケーションが生まれるようにしています」

もともとは文具メーカーでプロダクト開発をしていた米津さん。2012年に、good design companyの水野学さん、中川政七商店の会長である中川政七さん、プロダクトデザイナーの鈴木啓太さんとともにTHEを立ち上げた。

背景には、大量生産・大量消費、そして廃棄が当たり前となっている既存のものづくり産業への課題意識があった。

「前職では、年間何百万個も販売されるような商品を開発していました。強く感じていたのは、なんでこんなにたくさんものがつくられるんだろう、本当にそんなに必要なんだろうか、ということ」

「人が新しいものを買うときって、これまで使っていたものに飽きたタイミングが多いんです。ものが溢れるこの時代に、壊れるまで使い倒す人ってほとんどいない。だからこそ、デザインや企画の力で、飽きのこない商品を提案して、長く使ってもらうことが必要だと思いました」

THEで扱うのは、普遍的に愛される“定番”のみ。日本全国の工場と連携し、グラスやカトラリー、衣服や洗濯洗剤など幅広い商品を開発してきた。

「“最適”と暮らす」というビジョンのもと、品質や機能性、美しさなど、デザイン面で考え尽くされていることはもちろん、環境負荷やつくり手への配慮、経済の循環など、さまざまな面から見て“最適”なものを提案。自社で開発するほか、既存の商品を仕入れて販売することもある。

代表的な商品のひとつが、オリジナル商品の「THE 醤油差し」。

多くの人が醤油差しに感じたことのある、液だれのストレスを解消したいという動機から開発をスタート。

老舗ガラスメーカーの技術を最大限に活かして、液だれしない機能を実現するとともに、洗練された“定番”の佇まいを生み出した。

「実は以前は直営オンラインストアもなくて。卸先への販売も、展示会で商品を説明した上で取り扱いいただくというのが基本的な営業スタイルでした」

ところがコロナ禍により、コミュニケーションの方法を変えざるを得なくなった。

「一番大きく変わったのが、ブランドのタッチポイントを増やす取り組み。SNSや売り場でのコミュニケーションなど、多様な形でお客さんに商品の魅力を伝えていくことに、この2年間力を入れてきました」

SNS投稿やnoteの記事作成、店舗ごとのLINE配信など、さまざまな媒体での発信に注力。

noteには、「原料は水だけのマルチクリーナー、本当に油汚れが落とせるの?」や「界面活性剤は本当に悪者なのか」など、リサーチや実験結果を踏まえた読み応えのある記事がずらりと並んでいる。

専門のスタッフはおらず、いずれも店舗スタッフで分担して運営。その背景にも、コロナ禍でのお店のあり方の変化があった。

「訪れるお客さんが減っても、商業施設の営業時間は変えられないから、お店は開けていないといけなくて。すると、店頭に立っているだけで終わるような日もある。せっかくTHEのものづくりや課題意識に共感して入ってくれたスタッフがいるのに、とてももったいないと感じるようになりました」

今は店舗スタッフの多くが、販売接客とそれ以外の仕事のハイブリッドで働いている。

スタッフに任せる仕事の範囲が広がったことで、米津さん自身にも変化が起きているという。

「以前は、発信する文章はすべて僕がチェックしていたんです。でも最近は、スタッフに任せて自由にやってもらっているものも多い。チャンネルによっては、そのほうが伝わることもあると僕自身も学ばせてもらって」

「ずっとものづくりだけをやってきたから、みんなを引っ張ってチームをつくるのは正直苦手なんです。でもやっと、みんなでブランドをつくっていくぞっていう入り口に立てたと思っています」

 

スタッフのみなさんは、日々どんなふうに働いているんだろう。

オフィスから15分ほどタクシーに乗り、渋谷スクランブルスクエアの8階へ。

THE SHOP SHIBUYAで待っていてくれたのは、峯村さん。普段は横浜店で店長を務めている。

金融機関の営業職や雑誌の編集者などを経験してきた峯村さん。THE SHOPを知ったのは、このお店を訪れたのがきっかけだったそう。

「母の誕生日プレゼントを探すために渋谷を歩いていて。エスカレーターを上ってくると、このお店が見えるじゃないですか。一目見て、この世界観に魅了されてしまって」

「何を大切にしているお店なのかもすぐわかったし、うちの看板商品とも言えるヘアブラシを母に購入して。その後、ほかの店舗も全部見に行って、ここで働きたいと思って応募しました」

アパレルショップでのアルバイト経験もあったことから、入社8ヶ月ですでに店長を任されている。

実際に入社しての印象はどうでしたか?

「店舗は無機質でミニマルな雰囲気なんですけど、人はすごく温かいですね。人間関係のストレスが一切ないんです。やっぱりみんなTHEの商品が好きだし、コンセプトに対しても共感しているので、すごく感覚の合う人たちが多いです」

「365日違う服装でいたいほど服が好き」と話す峯村さん。一方、同じ横浜店で働くスタッフのなかには、毎日ほぼ同じ服装の人もいるそう。

漫画が好き、ラジオが好き、料理が好き。多様な趣味嗜好の人たちが、同じ価値観に共鳴して集まっているのが面白いという。

それぞれの個性は、お店づくりにも活かされている。

文章を読むのも書くのも好きという峯村さん。「はさみをギフトとして贈る」というテーマで販促を企画した際、それにまつわる文章をつくり、手書きしたノートを展示したことがあった。

「上司から、得意なことを活かして企画を展開してほしいと言われて。素人なので最初はためらってたんですけど、なんだか気に入ってもらえたらしくて(笑)、今はまったく別のディスプレイとして使われています。何でもやりたいと思えばやらせてくれるところには、すごく可能性を感じますね」

峯村さんの話を聞いていると、端々からブランドへの愛着が伝わってくる。

THEというブランドのどんな部分に共感しているんだろう。

「愛着を持って使われているものに対して、美を感じるんです。味がある、っていう表現もできると思うんですけど。うちで扱っているのって、そういう商品が多いというか、本当に愛着を持てる“本物のもの”だと思います」

「THEの考え方を広めたいと強く思うんですけど、極端な話、みんながTHEの服を着ていたらめちゃくちゃつまんない。一番のスタンダードというか、『どれにするか悩んだらTHEで買おう』みたいに立ち返れる場所だと思ってもらえたらうれしいですね」

もの選びの基準であり、立ち返れるところ。定番って、そういうものとも言えるかもしれない。

 

峯村さんが店舗運営の仕事を中心とする一方で、新卒入社1年目の齊藤さんは、渋谷店で働きながら広告用の動画編集なども担当している。

「美大出身で、卒業制作ではアニメーション映像をつくりました。動画制作の仕事に興味があったんですけど、それだけやる会社はちょっと違うなと思って。THEでは、広告動画をつくったり、お店のPOPをデザインしたり、いろんなことに取り組めるのがちょうどいいです」

週3〜4日は店舗、それ以外は在宅やオフィスで仕事をしている。

「もともとやりたかったことはオフィスの仕事のほうに近いですね。ただ、デザインをやるにしても、動画をつくるにしても、商品のことを知らないとアピールの仕方もわからない。ショップの仕事も全然無駄じゃないし、いろんなことを吸収していきたいと思っています」

提案する機会が多い人気商品のひとつが、「THE 洗濯洗剤」。

100%生分解する上にごく少量できれいになるので、環境負荷が少ない。と同時に、柔軟剤不要でどんな素材にもこの洗剤ひとつで対応できるという高機能を兼ね備えている。

「エコ洗剤として興味がある人と、楽に洗濯できるっていう部分に惹かれる人。それぞれのお客さんに応じて、アプローチの仕方が全然違うんです。いろんな伝え方ができるからこそ結構悩みますけど、それが楽しいですね」

接客マニュアルは最小限で、細かな教育体制が整っているわけでもない。どんなふうに商品の魅力を伝えていくか、個人に委ねられているぶん、苦労する人もいるかもしれない。

「商品の見た目はシンプルだし、POPにもたくさん情報を載せているわけじゃないから、接客ありきで良さをわかってもらうことが多い。テンプレートのない接客がしたい人にとっては面白いと思います」

「良いことかはわからないけど、接客のときにほかのお店を紹介することもあるんですよ」

ほかのお店を?

「定番って、合う人は長く使っていけるけど、なかにはやっぱり合わない人もいる。お客さんに納得いくものを買ってほしくて、『ほかにもこういう良いお店があるから、ぜひ比べてみてください』と提案することもあります」

そんなふうに案内しても、最終的には戻ってきてくれるお客さんも多いという。

個人のノルマを設けない店だから、気負いなくお客さんのことを優先して考えられるのがありがたいと、齊藤さん。

「THEに行けば丁寧に商品を説明してくれる、良いものを教えてもらえるって思ってもらえたら、自然とリピーターになってくれる。ここに通ってくれて、商品のことを知ってくれる方が増えていくのはうれしいですね」

 

“定番”とは何か? “最適”とは何か?

働く人たちが自分たちなりに咀嚼し、行動に落とし込んでいる姿が印象的でした。

THEで働くことで、自分とものとの最適な関わり方を考え、見つけていくことができると思います。

(2022/10/23 取材、2023/5/23 更新 増田早紀)

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