求人 NEW

飼料の会社がはじめた
育てるホテル
レストラン・ウェディング

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

植物に水をやるように。人が学ぶように。企業や場所も、育てていくものだと思います。

自分の働きかけによって新しい何かが立ち上がったり、その場所のあり方が変わったり。当事者としての手触りを感じられる場所ほど、そこに関わる意味も見出しやすい。

鹿児島・鹿屋(かのや)で2年前にオープンしたKOTOBUKI HOTELは、働く人たちがアイデアを出し合い、育てていくホテルです。

母体は、1953年に創業した株式会社寿商会。畜産の盛んな鹿児島で、飼料の販売会社として発展してきました。

8年前にカフェレストランをオープンしたのをきっかけに、鹿児島市内や宮崎県にもレストランやデリカショップを出店。自社の飼料で育った牛の精肉店やチーズ工房も構えていて、国内のチーズコンテストで金賞に輝くなど、高い評価を得ています。

今回はKOTOBUKI HOTELと、ホテルからほど近いカフェレストラン「TAKE BAKERY AND CAFE」のホール、今年新たにはじまったウェディング事業のスタッフを募集します。

ここ数年で、新規事業にも次々チャレンジしている会社です。自分の手で場や事業をつくっていく実感がもてる環境だと思います。

 

鹿屋といえば、和牛のオリンピックと言われる全国和牛能力共進会で日本一に選ばれた黒牛や、生産量日本一の黒豚など、畜産が有名。

なんと、人口よりも牛・豚の飼育頭数のほうが多いんだとか。

養殖うなぎの生産量も日本一。寿商会は、そんなまちの基幹産業である畜産・水産を支えてきた。

長年、飼料の販売に特化してきたものの、現代表の竹中貴志さんに代替わりしてからは、飲食店や精肉店、チーズ工房などを次々に出店。

循環型のビジネスモデルを構築してきた。

KOTOBUKI HOTELは、そうした流れのなかで2年前にオープンしたはじめての宿泊施設。

鹿児島空港から車で1時間15分。リムジンバスの停留所からも歩いて3分ほどの距離にある。

入口をはいってすぐ目の前にフラワーショップがあり、右手にフロント。その奥には、30〜40人は座れそうな広々としたロビーが広がっている。

コンクリートを基調としたシンプルな空間に、植栽のグリーンが映える。

ロビーの一角で、まずは総支配人の田中さんに話を聞いた。

「社長が3代目で同い年なんですけど、いろんなことにチャレンジする人で。海外にもよく行き来するなかで、視察に訪れた方々を迎えるホテルをつくりたいと以前から話していたんです」

もともと企業のオフィスなどが入っていた商業ビルをリノベーション。すぐ隣にもビルを新設し、全71室のホテルとして2年前にオープンした。

その際、設計を手掛けた建築家が、たまたま田中さんの知り合いだったそう。開業に向けて、支配人ポジションが決まっていなかったこともあり、縁あってここで働きはじめた。

「前の会社では、ホテルや飲食店の開発に携わっていました。1000人規模の企業でカフェをつくったり、老舗の旅館をリノベーションしたり。当時は開業の仕組みをつくって納品するまでが仕事で、ここまで現場に入ることは少なかったですね」

前職での経験も活かしながら、内装のコンセプトなど、ゼロベースからホテルを立ち上げる過程に携わってきた田中さん。

宿泊者だけが使える屋上のテーブルや椅子など、一部のインテリアは田中さんがセレクトしたものを使っているそう。

「ホテルにしても、レストランや加工品づくりにしても、ぼくたちは新参者というか。従来のホテルとか飲食店のあり方に則るというよりは、自分たちの手で、スタンダードをつくり直していくような考え方のメンバーが多いです」

2018年に立ち上がったチーズ工房の職人も、もともと自社のレストランで働いていたシェフを開業メンバーへ。その2年後の2020年に開催されたジャパンチーズアワードで見事金賞に輝いている。

ホテルの目と鼻の先にあるカフェレストラン「TAKE BAKERY AND CAFE」は、昨年リノベーション。コロナ禍の煽りを受けながらも、ランチを中心に、県外からも多くのお客さんが訪れるようになった。

そこには、新鮮な素材との距離感の近さや、産地としてのポテンシャルの高さも関係していると思う。そのうえで、一人ひとりが経験や業界の常識にとらわれず、いいものをつくろうと試行錯誤を重ねてきた結果が今につながっている。

今回募集したいのは、ホテルのスタッフと、レストランのホールスタッフ、そして新たにはじまるウェディング事業のスタッフ。

いずれも接客やウェディングプランナーなど、経験があれば活かせる場面ももちろんあるものの、未経験でも大丈夫だという。

「固定観念が邪魔をして分かり合えないことも多いと思っていて。まっさらなところから一緒に価値をつくっていきたいという人のほうが、うちには合っているのかなと思います」

「あとは個人プレーというより、チームで働くことが好きな人ですね。複数人で動くことが多いですし、地域のお店や企業と協業する機会も多いので」

ホテルやカフェの植栽のセレクトは、鹿屋を拠点に全国で活躍する植物チーム「Araheam」に依頼。また、地域の食材を活かした創作料理のレストラン「Bee」とともに、ディナープランを組んで運営している。

自分一人の力でどうこうするのではなく、周りの力もうまく活かしながら、新しい仕掛けをつくっていけるといい。

 

「スタッフが少ない分、自分の意見を取り入れてもらいやすかったり、イベントの企画もどんどんしていけたり。そういう楽しさはありますね」

そう話すのは、サービスや接客の責任者を務めている、ゲストリレーションズマネージャーの鬼塚さん。

屋上でのヨガイベントや、コーヒーショップのポップアップと英会話のイベントなど。月1で開催する定番のイベントも増えてきた。

鹿児島全域で開かれるデザインとクラフトのイベント「ash」でも、会場を提供。3週間にわたって、数組の作家の作品展示をおこなうという。

「ヨガをやっているのはもともと友人で、絶対にここに合うと思って、声をかけて。1年以上続いています。あとは、好きな雑貨屋さんのポップアップをここでやったり。イベントのときは、地元の方々も気軽に来てもらえるのがいいなと思います」

ここへ来る前は、広島や岐阜、横浜や地元の宮崎など、全国のホテルや旅館で働いてきた鬼塚さん。

直近は鹿屋市内のコールセンターで6年勤務していた。

「以前から行きつけだった『LITTLE DOOR』っていうお花屋さんが、このホテルの1階に2店舗目をオープンして。開店のお祝いに来たときに、ここで働きたいって直感で思ったんです。自分も泊まりたいし、県外の友だちにも紹介したいホテルだなって」

実際に働いてみて、どうですか。

「言葉遣いも柔軟に変えたりとか。カチッとしたホテルに比べて、お客さまとの距離感が近いように感じます。服装は、デニム指定でシャツが制服、髪型も縛りがなかったり。都会的というか、自由な雰囲気は働く自分たちにとっても心地いいですね」

ビジネスで訪れた人は、広いロビーでワーケーションしてもいいし、すぐ近くのTAKE BAKERY AND CAFEに行けば、フレッシュな牛肉やチーズを使った料理を楽しむことができる。

また、ホテルの雰囲気が流行りの韓国風だと話題になり、SNS用の写真を撮りにくる人も。

滞在する人の目的や好みによって、いろんな過ごし方ができる自由度の高さも魅力だという。

「休憩時間にTAKE BAKERY AND CAFEにコーヒーとかパンを買いに行けるのも、ここで働くちょっとした楽しみになっています。バーも運営しているので、仕事終わりに毎晩のように通い詰めるスタッフもいますよ(笑)」

ホテルのスタッフの名刺には、「フロントコンシェルジュ」という肩書きが添えられている。周辺の飲食店やおすすめスポットなど、旅の案内役も担うからには、自身もさまざまな体験を通して、鹿屋での生活を楽しめるような人が向いていると思う。

普段の接客やイベントの企画においても、自分で考えて動く余白が大きい。自由だからなんでもあり、ではなくて、自由だからこそ、目の前のお客さんに対してどう接するのか、どんなイベントだったら喜んでもらえるのか、前のめりに考えてほしい。

「人と話すことが好きな人。接客が好きっていう感覚は、大前提として持っている方が来てほしいです。日々いろんなところからお客さまがいらっしゃるので、接客が好きなら、飽きない仕事だと思います」

 

TAKE BAKERY AND CAFEでキッチンやホールを担当している岩元さんにも話を聞いた。

「5年前に、鹿児島市内にあったお店に食べに行ったんです。雰囲気もいいし、おいしいし、当時そこで料理してた先輩がかっこよくて(笑)。募集してますか?って聞いたのがきっかけで働きはじめました」

もともと料理は好きだったものの、専門学校などには通っていなかったという岩元さん。

そこからめきめきと力をつけて、今や外部のイベントや新店舗の出店など、ことあるごとに駆り出されて引っ張りだこ。11月からは、新たにはじまるウェディング事業への配属が決まっている。

ウェディング事業では、既存の結婚式場をリノベーションし、レストランウェディングを実施。式のない日には、ランチ利用もできるお店にしていく予定だという。

「お客さまの喜ぶ顔を見るのが好きですね。今働いているTAKE BAKERY AND CAFEは、キッチンは1階、フロアは2階と分かれているんですけど、自分でホールに出たりもするので。ウェディング事業部でも、お客さんの反応を見ながらやっていきたいです」

キッチンやホールは、岩元さんのように未経験からはじめる人もいれば、寿司や洋食、韓国料理などの経験豊富な先輩もいて、学びが多いという。

実践のなかで技術を盗んでいくような側面もあるので、丁寧に教わらないと動けない人はむずかしいかもしれない。

「ホテルがあることで県外からもお客さんが来てくれますし、空間がおしゃれだからモチベーションも上がりますよね。自分は料理が好きなんで。好きなことを続けられているなと思います」

肉やチーズなど、自社で生産から関わっている新鮮な食材を扱えることも、料理人としての大きなメリットのひとつ。

畜産以外の生産者とのつながりも今後増えていけば、できることの幅はさらに広がっていくと思う。

取材の終わりに、総支配人の田中さんはこんなふうに話していました。

「ホテルができてからの数年間でも、鹿屋で新しく事業やプロジェクトを立ち上げる方が増えていて。鹿屋がアツい!みたいな声を、最近は外部の方からも聞きますし、自分たちもその一端を担えていたらうれしいなと思っています」

「田舎でこういうことをしてみたい、ホテルを使って何かしたい。そういうモチベーションのある人が来てくれたらうれしいです」

畜産というまちの大きな武器と、そこに寄り添ってきた飼料会社としての歴史。しっかりとした柱があるからこそ、新しいことにも柔軟に挑戦していけるのだと感じました。

関心が生まれたら、ぜひ舌で、肌で、この土地で育まれてきた豊かさを直接感じてみてください。

(2022/10/13 取材 中川晃輔)

※撮影時はマスクを外していただきました。

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