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新しくものを買うとき。当たり前のことだけど、自分はまだその使い心地を知りません。
長く大切に使いたいものなら、なおさら自分に合った良いものを選びたい。
そんなとき、お店の人はとても頼りになる存在です。
フライングソーサーのみなさんに案内してもらった料理道具は、どれも「使ってみたい」という気持ちがどんどん湧いてくるものでした。
家庭向けの料理道具専門ブランド「Flying Saucer(フライングソーサー)」。今回、Webショップの運営担当、中野にある本店の販売スタッフ、法人営業担当をそれぞれ募集します。
どれも、お客さんの暮らしを思い浮かべながら、丁寧に商品を伝えていく仕事。
料理が好きで、道具のことをもっと知りたいという人にぜひ読み進めてほしいです。
フライングソーサーの中野本店があるのは、西武新宿線の沼袋駅から歩いて10分ほどののどかな住宅街。都営大江戸線の新江古田駅からも15分ほどで到着する。
クリーム色の可愛らしい建物は、1階が店舗で2階が倉庫、3階は事務所になっている。
ガラス扉を開けて中に入ると、鍋やフライパン、グラスやカトラリーなど、ありとあらゆる料理道具やキッチン用品がきれいに並んでいる。
お店の一角にあるテーブルを挟んで話を聞いたのは、フライングソーサーを運営する東興株式会社代表の清水さん。
プロの料理人たちに向けて、業務用の食器や料理道具を提案・販売してきた東興株式会社。
創業は1961年。2代目として後を継いだ清水さんは、企業のオリジナル食器やノベルティなどの企画・製造も手がけるようになった。
特に大きな変化は、2001年に一般家庭向けの販売をはじめたこと。
「もともとここは業務用品のショールームでした。業務用の道具って、使い勝手がいいのはもちろん、デザインも研ぎ澄まされているんですよ。そういうものをほしがる一般のお客さんも、ショールームに来てくれることがだんだん増えてきたんです」
そんなニーズに応えて、お店も業務用から一般向けにリニューアル。
培ってきた経験を生かして、業務用の商品から家庭でも使いやすそうなものをピックアップ。仕入れ品と自社のオリジナル品、あわせて1800点ほどを扱ってきた。
すべての商品を実際に使用し、使い勝手に納得したものだけがお店に並んでいる。
「たとえば、よく見るボウルやバットって切り口がカールしているものが多いでしょう。でもこの商品は巻いていないんです」
本当だ。ちょっとめずらしいですね。
「薄い金属の板は曲がりやすいから、普通は耐久性を考えてカールさせるんです。でも、そこに水が溜まってカビの原因にもなってしまう」
「それを解決したのがこの商品です。板が厚くて加工にも手間がかかるから、それなりに高いけど、そのぶん衛生的で使い勝手がすごくいい。スタッフには、お客さんに対して、こんなふうに説明してほしいんですよ」
近くの棚には有名ブランドの商品も置いてある。こちらは角が巻いていて、もう少しお手頃なもの。
それぞれの商品の良いところも注意すべきところもしっかりと伝え、目の前のお客さんに本当に合っているものを選んでもらう。
「ここに置いてある商品すべてに特徴があります。働く人にはそれを、覚えるというより理解してもらいたい。それぞれの本質を掴んで、お客さんに伝えていってほしいんです」
鋳物なのに軽さが特徴のフライパン、刃当たりが優しいイチョウのまな板、卵ひとつからおいしく焼ける玉子焼き器…。次々と店内をまわって、商品を案内してくれる清水さん。
今も毎週お店に立っているそう。代表自ら現場に出続ける姿勢が、素敵だなあと思う。
今回募集するのは、この本店で働くスタッフと法人営業担当、そしてWebサイトの運営担当。
近年需要が高まっているWebサイトでの販売については、特にこれから力を入れていきたい。
「実はネット販売は21年前にはじめていて、早かったんですよ。まだ出店者が20社くらいの時代から楽天で販売していましたから」
そんなに早くから取り組んできたんですね。
「ただ、リアルの店舗がすごく忙しい時期が続いて、あまり力を入れてこられなかった。そうしたら、いつの間にかオンラインがすごく重要な時代になっちゃって。これからはもっと、手に取るように商品がわかるページづくりをしていきたいんです」
手に取るようにわかるページづくり。
清水さんにはイメージするWebサイトがあるらしい。
見せてもらったのは、フライングソーサーが商品を卸している、あるオンラインショップのページ。
商品のサイズ感や料理を載せたとき、洗ったときのイメージがわかりやすく、使い勝手のよさが想像できる。
新しく入る人は、公式オンラインショップをはじめ、楽天やAmazonなどでの情報発信や、SNSの更新を任される。
今後、公式ホームページのリニューアルも控えているから、そちらへアイデアを出してもらうこともあるかもしれない。トータルでフライングソーサーのブランド力を高めていけるといい。
「最初は真似からでいいと思うんです。やっていくうちに『自分はこういうページをつくりたい』というアイデアが出てきたら、積極的に提案してほしいと思います」
スキル面では、IllustratorやPhotoshop、HTMLでのページ作成の経験があるに越したことはない。とはいえ、そういった業務は外部に委託することもできる。
「お店もWebも、何より想いがないとむずかしい。料理や道具が好きで、良いものだから伝えていきたい。そう思えないと、アイデアは生まれてこないでしょう」
「仕事だけ見たらリモートでできるかもしれないけれど、会社には来てほしいですね。ほかの社員ともコミュニケーションをとって、たまにはお店でリアルに接客しながら、感じたことをページに落とし込んでいってほしいと思っています」
法人営業の仕事について教えてくれたのは、入社22年の橋本さん。とくに社歴の長いメンバーのひとりだ。
「扱っているものが数も多いし特殊じゃないですか。どこにでもあるものじゃないから、まずは商品の特徴について、少しずつ覚えてもらうところからはじまるのかなと思います」
普段の業務は、取引先の飲食店や卸先への対応、企業のノベルティグッズ製作、展示会準備のような自社のオリジナル商品を売っていくための仕事。それぞれが同じくらいの割合であるそう。
飲食店の場合は、季節ごとのメニューに合わせて、その都度お皿やカトラリーの注文が入る。ナプキンなどの消耗品も取り扱っているので、御用聞きのようなかたちで定期的に状況を聞きにいく。
「たとえば『新しいお皿が必要だけど、今のラインナップだとどれも大きすぎる』っていう場合は、一回り小さいものをつくりましょうか?と提案することもできます」
「来店数を増やしたいっていう話を受けて、子ども向けのカトラリーを新しく開発中のお店もあります。子どもが来たいと思ったら必然的に大人も来店しますから、集客につながるんじゃないかなと思って提案しました」
相手の要望を聞いて、最適なものを提案していく。オリジナルの商品がつくれることで、提案の幅がぐっと広がるのはきっとおもしろいと思う。
近年は、ノベルティグッズの製作依頼も多い。
クライアントとのデザインの打ち合わせから、工場とのスケジュール管理や発送手配、エンドユーザーからの問い合わせ対応まで、広く担っている。
「このクリスマスシーズンのノベルティは、会社として30年近く受注している案件です。毎年春には次のシーズンに向けた話がはじまるので、ほとんど通年の仕事ですね。デザイナーさんの描いたデザインが食器できれいに実現できるか、とくに気をつかうようにしています」
現在、法人営業の専任スタッフは橋本さん一人。清水さんと連携して進めているものの、手がまわりきらない部分もある。
新しく法人営業として入る人は、まずはアシスタントのようなかたちで、橋本さんのサポートをすることになる。
「どの案件も、折衝した後、ものをしっかり届けるところまでが仕事です。工場から直送するのか、うちから届けるのか、納期はいつなのか。お客さんとしっかり確認して、手配していく仕事をまずはやってもらうと思います」
「セキュリティ上宅急便じゃ送れなかったり、至急必要になったりすることもあって、1ケースに50枚くらい入ったお皿を、自分たちで届けることもある。やっぱり重たいですよ。でも、そういう仕事は必ずあるので、『なんでもやりますよ』ってくらいフットワーク軽く、頼んだことは気持ちよく受け入れてくれるとうれしいですね」
全体で10人弱の小さな会社。多くのスタッフが複数の仕事を兼ねているし、社員全員が協力してさまざまな仕事に取り組んでいる。
社内のどんな仕事も、自分に関係があると思って前向きに取り組めるといい。
新しく入る人にとって、本店店長の智寿子(ちずこ)さんは、きっと頼りになる存在。代表の清水さんの奥さんで、ともに会社を形づくってきた。
「実は、結婚してからずっと専業主婦だったんですよ。このお店がオープンするタイミングで働きはじめました。社長の奥さんが小遣い稼ぎしてるって見られたくなくて、ずっとフルタイムなんです」
「専業主婦時代が長かったのは、すごく役立っているんですよ。子どものお弁当も20年近くつくっていたし、新しい商品はまず家で使ってみるので。何か説明するときも、全部自分の実体験で話せますから」
ここで販売する料理道具は、健やかな食生活のためのもの。とはいえ、毎日ちゃんと料理ができなくてもいいと、智寿子さん。
できあいのお惣菜やインスタントラーメンでも、気に入っているお皿に乗せたら、それだけで豊かな気持ちになる。たまにはそんな楽しみ方があってもいい。
「料理道具って、自分だけのために使うものなんです」
自分だけのため?
「ファッションやお化粧品は身につけて外に出るものですけど、うちで扱う商品って、家の中で人には見せずに使うもの。誰かに認めてもらうためじゃなくて、自分だけの価値観で選ぶものだと思うんです」
たとえば、布巾。
フライングソーサーで扱う布巾は、一見高価に感じるけれど、安い布巾の半分の時間で食器を拭きあげることができる。そこで生まれた時間は、ほかの好きなことに使えるかもしれない。
何年も使えるから結果的にはお得だし、ゴミを減らすことにもつながる。
「そういう価値観を持って、自分の生活を大切にできる人たちに良い道具を伝えていく。それが、私たちの掲げる”丁寧なくらし”を広げることになるのかなと思います」
フライングソーサーがコンセプトに掲げる、「丁寧なくらし 美味しい道具」。
自分の身近なところから、心地よさをつくっていく。良い料理道具は、そんな毎日を下支えするものかもしれません。
手に取るようにものを伝えるには、やっぱり自分で使ってみることから。料理好きで、その楽しさを伝えていきたいと思う人に、ぜひ仲間に加わってほしいです。
(2022/2/18 取材 増田早紀)
※撮影時はマスクを外していただきました。