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ビーズがひしめく
アトリエのようなお店

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そのネックレス、どうやってつくったの?

ほんの一言で、打ち解けられる。会話が弾む。

手芸やものづくり、ハンドメイドのアクセサリーが好きな人なら、そんな経験があるはず。

「初対面で、たとえ外国の方であっても、まったくの他人ではないんですよね。ビーズやものづくりが好きだっていう共通言語があれば、通じるものがあると思います」

そう話すのは、MIYUKIの副社長を務める勝岡隆史さん。

株式会社MIYUKIは、ガラスでできた小さなビーズを中心に、手芸材料の生産販売を手がけるメーカーです。

今回は、東京にある直営店「MIYUKI FACTORY」で働く販売スタッフを募集します。もともと浅草橋駅のそばで長く愛されてきた「BEADS FACTORY」を2022年にリニューアル、線路を挟んで反対側に移転したお店です。

ものづくりを楽しむ気持ちに共感できれば、経験やスキルはマストではありません。

最近は、SNSやメルマガなどWebコンテンツの発信や、ギャラリーでのイベント運営など、店舗でできることの幅も広がってきています。

自分が好きなものを、誰かと一緒に楽しみたいという気持ちに応える仕事です。



MIYUKI FACTORYは、浅草橋駅から歩いてすぐ、神田川に架かる橋の手前、小さな公園の脇にある。

通りに面した大きなガラス窓からは、ビーズを並べた棚が見える。

入り口に近い1階のスペースは、自社製品のショールームも兼ねた売り場。シードビーズと呼ばれるシンプルな小粒のビーズが瓶に入って並んでいる。

その光景は実験室か、アトリエのよう。

窓のそばには、グリーンのカウンターが設けてある。

「ここは、自然光でビーズの色味を見てもらうためのスペースです。MIYUKI FACTORYにはシードビーズだけでも6000種類くらいが揃っていて、微妙な違いも、明るいところでよく見比べてもらいたいなと思って」

1年ほど前、オープン直後に店を訪ねたとき、副社長の勝岡さんがそう教えてくれた。

MIYUKIは、もともと戦前から広島県東部でグラスビーズづくりをはじめた老舗で、創業者は勝岡さんの曽祖父にあたる。

ガラスを細かい粒状に成形し、着色などの加工を施してつくられる色とりどりのビーズ。MIYUKIの製品は、その品質の高さから海外にも多くのファンを持つ。

ビーズ手芸の愛好家、通称「ビーダー」にとって、MIYUKIの直営店は一度訪れてみたい聖地のような場所なのだそう。

1階は、自社でつくるシードビーズのショールーム。2階はチェコビーズ、アクリルビーズ、ウッドビーズやパールなど、国内外から仕入れたさまざまな素材のビーズパーツ、3階は刺繍やそのほかのクラフトツール。

4階はギャラリー、5階はワークショップなどに使うレンタルスペースと、まさにビル一棟まるごと、ものづくりを楽しむための空間になっている。

「せっかくお越しいただくなら、たくさんの種類をゆっくり見て、選べるようなお店にしたい。リニューアルで、什器のサイズや並べ方も変えたので、一つひとつが見やすくなったんですよ。常連のお客さまでも『こんな商品、はじめて見た!』って発見があるみたいです」

もともとは、2020東京オリンピックに伴うインバウンドの増加も見越して進められてきたリニューアル計画。

コロナ禍で本格始動は大きく遅れてしまったものの、この1年は助走期間として有意義だったと勝岡さんは言う。

お客さんが少ない期間を活用して、メルマガやSNSなどオンラインコンテンツづくりに取り組んだり、キットなど新商品のアイデアを練ったり。新しいファンと出会うための仕掛けづくりが進められてきた。

スタッフの言葉で綴られるビーズの世界は、読み物としてもおもしろい。

海外旅行の規制も緩和された昨年秋ごろからは、ようやくMIYUKI FACTORYでも海外からのお客さんを迎えられるようになった。

さらに2月には、刺繍アーティストの書籍出版イベントとして、4階のギャラリースペースを使って作品展示やワークショップを開催。

ビーズや手芸を愛する人たちが、国内外から集まり出会う場所をつくりたい。

当初思い描いていたお店の姿が、少しずつ形になってきた。

「以前は平日だけの営業だったんですが、月に数回、土曜日の営業もスタートしていて。ここ半年、店舗業務はかなり忙しくなりました。そういう背景もあって、スタッフを増員することになったんです」

MIYUKI FACTORYには、趣味で楽しむ個人のお客さんのほか、アパレルのデザイナーなど大口注文の顧客も訪れる。

細かいビーズを計りながら、電話応対をしたり、在庫の状況をチェックしたり、SNSのネタを探したり。

以前の取材では、現場はマルチタスクだという話も出ていましたね。

「前は本当に、展示会のブースデザインとか、営業のような仕事もお店のスタッフに手伝ってもらっていたので、みんな大変だったと思います。ここ数年は、東京にデザイン室もできたし業務の整理が進んできました」

「その分、ギャラリーでのイベントやSNSなど新しい店舗業務は増えてはいて。やることが減ったわけではないんですが、それぞれの得意不得意やスキルに合わせて役割分担ができるようになったんじゃないかな」

最近も、スタッフがプライベートでつくっていた作品がヒントになって、新しい刺繍キットが商品として発売された。

「基本的にものづくりが好きなスタッフが多いので、日常の会話の中から『それいいね、つくってみよう』っていうことはよくあります。ただ、必ずしも全員がそういうアイデアを提供しなければいけないわけではなくて」

以前は、定例で企画会議を開いて意見を募集していたものの、それぞれ〆切に迫られてアイデアを出す義務感が強くなってしまったそう。

もっと自然に、楽しみながらアイデアを共有できる空気を大切にしたいと、方法を見直しているところ。

「やっぱり店舗スタッフの一番の仕事は、来てくださるお客さまとのコミュニケーションなので。わざわざ来てよかった、楽しかった、って思っていただけるような関わり方を工夫してみてほしいです」



海外からのお客さんが増えているなか、社内で頼りにされているのが、入社して3年目の加藤さん。英語とスペイン語が話せることから、先日も南米から来日したお客さんを案内したのだとか。

「私はもともと、海外旅行に関わる職業に就きたくて、新卒で旅行関係の会社に就職しました。ただ、コロナで思うように仕事ができずモヤモヤしていて」

「それで、小さいころから好きだった手芸の仕事をやってみようとMIYUKIに入社したんですが、思いがけずこのお店でも語学を活かせる場面が増えてうれしいです」

海外から旅行で訪れるお客さんは、一度に購入する量も多く、店頭では在庫が間に合わないことも。

「長期滞在される方なら、帰国までに本社から取り寄せることもできますし、なるべく満足していただけるようなお買い物の手伝いができたらと思います。訪日観光客とのコミュニケーションは、今、私の中で大きなテーマですね」

ちなみに店頭には翻訳アプリなどのツールもあるし、いざというときは実物を見せれば通じることも多いので、語学に自信がない人も安心してほしい。

大事なのは、誰とでも臆さずに会話を楽しんでみようというマインドだと思う。

海外から来る愛好家から、はじめてビーズに触れる人まで、MIYUKI FACTORYには日々いろんなお客さんが訪れる。

店舗の場所がわからない。在庫があるか調べてほしい。このビーズの穴に通る糸の太さを教えてほしいなど、問い合わせの内容もさまざま。

「この前は、メールで『ミモザの花をモチーフにした作品をつくりたいんだけど、黄色いビーズってどんなのがありますか』っていう問い合わせがあって。色味や加工の風合いをテキストで伝えるのはすごく難しかったです」

冒頭でも紹介したとおりMIYUKIのメイン商材であるシードビーズは、6000種類以上。微妙な加工の違い、色のグラデーションが細かく分かれている。

一口に黄色と言っても、選択肢は無数にある。

「お店で働きはじめた当初は、パールとかキラキラした珍しい加工のものに目が行きがちだったんですが、最近はシンプルな一色のビースの良さがわかるようになってきて。楓子ちゃんとも、よくそんな話をしています」



加藤さんが“楓子ちゃん”と呼ぶのは、1年後輩の清水さん。

「大学では服づくりを学んでいました。さまざまな科目を履修してみたものの、やっぱり自分で手を動かしている時間が一番楽しくて。卒論では刺繍をテーマにしました。浅草橋やMIYUKIの前の店舗にも、よく材料を買いに来ていました」

「私自身はなかなか店員さんに話しかけられなかったんですが、スタッフとして働いていると、意外とお客さまのほうから自然に声をかけてくださることが多いです。『今つけているイヤリングはどのビーズ?』っていう話から、全然関係ない世間話まで、いろんな話をしますね」

その日のファッションがきっかけで、会話が弾むことも多いという。

「私はよく髪の色を変えていて、実は先月まで真っ赤だったんです。お客さまにも『あら、青にしたの〜?』って声をかけてもらって」

アクセサリーの材料としてもよく使われるビーズ。

ワイヤーや糸に通すだけでもリングやネックレスがつくれるし、刺繍の技法で複雑な立体をつくることもできる。

スタッフもそれぞれ自作のアクセサリーを身につけていることが多い。

お客さんも、それを見てインスピレーションを受けているのかもしれないですね。

「この前お客さまから『あなたの好みでいいから、色を選んでくれる?』って言われたんです。えっ、私でいいのかな…って思いながら一緒に選んで、後日そのお客さまができた作品を見せにきてくださったときは、すごくうれしかったです」

「学生のころは同じ世代の感性にしか触れる機会がなかったけど、ここで働いていると、いろんな世代のお客さん、自分の親より上の世代の方とも交流することが多くて。刺激をもらっています」

世代や話す言葉が違っても、ビーズという共通項を通して一緒に会話を楽しめる。そんな不思議な一体感がこのお店にはある。

「わからないことは聞きあえる環境だし、キットをつくるときは未経験の人の声が参考になることも多いので、ものづくり初心者の人も気にせず入ってきてほしいです」



一人で集中して制作と向き合う時間はもちろん、誰かに見てもらったり、一緒に考えたり。

ものづくりには、いろんなよろこびがある。

2年目の春、ようやく本格始動したMIYUKI FACTORYで可能性を探ってみてください。

(2023/4/7 取材 高橋佑香子)

※一部、2022年の取材から引用、再構成しています。

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