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「不羈卓犖」の精神で
食のマーケットを切り拓く
幹部候補求む

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

食のマーケットにまだ見ぬ価値を。

“ほかより抜きん出ていて、何ものにも束縛されない”ー「不羈卓犖(ふきたくらく)」の精神で日本全国を飛び回り、地方のつくり手が東京のマーケットで新しくチャレンジできる機会をつくりつづけてきた、有限会社セレンディブ。

今回は、ここで働く新たな仲間を募集します。

募集するのは、代表・庄子さんのパートナーとして、ともにセレンディブを成長させていく人。

経営陣の一員として意見を交わしあい、まだ世にない価値を探究して、ときにはリスクをとってビジネスにつなげていく。そんな事業意欲を高く持って、経営にのぞめる人を求めています。

前提として、マーケティングの知識があり、流通業の経験を持つ人が対象になります。どちらも食品に関してだとより良いですが、知識や経験があれば未経験でもかまいません。

身近がゆえに、変動の激しい食のマーケット。「ここまでできればOK」がない仕事だからこそ、それを楽しんで取り組める人が合っていそうです。

簡単な仕事ではありません。食の世界で全力を尽くしたい人がいたら、ぜひ続きを読んでください。

あわせて、受発注・バイヤーサポート等のバックオフィス・スタッフ、繁忙期の短期アルバイトも募集します。

 

東京・牛込神楽坂。

地下鉄の出口を上がって数分歩くと、セレンディブのオフィスに着く。

インターホンを押して待つと、入社したばかりという若い男性スタッフの方が迎えてくれた。

前回訪れたのは1年前。ほかにも新しく2名が加わったそうで、以前よりにぎやかな感じがする。

「お久しぶりです」と声をかけてくれたのは、庄子さん。

百貨店のオリジナルギフトの開発や、6次化を目指す生産者をサポートするなかで生まれた商品の流通化など、食品の企画開発から流通まで幅広く手がけているセレンディブ。取引のある生産者や食品メーカーは全国で1000社にのぼる。

「これまで企画した商品が載っているギフトカタログは全部残しているんです。百貨店のほうではもう処分してしまったものもあるから、バイヤーさんたちから『カタログの図書館』と呼ばれていて(笑)」

カタログを手に取りながら、最近取り組んだ仕事について教えてくれる庄子さん。

宇和島の真鯛の藁焼きは、ミシュラン一つ星の日本料理店の料理長と産地視察するなかで生まれたこと。

具材をたっぷりのごま油で炒める台湾料理・石頭火鍋のセットは、10年前にセレンディブが企画したものをブラッシュアップ。名店のメニューを、新たな商品としてふたたび市場に送り出したことなど。

生産者やメーカーとどんな出会いがあって、商品が生まれたのか。一つひとつの商品の背景を教えてくれるときの表情は、とてもいきいきとして見える。

「私たちがふだんやっているのって、たぶん情報整理というか、方向づけなんですよ」

たとえば酪農家から、全国で販売できる商品をつくりたいと相談をもらったとして。

生乳の状態で売るなら4日しか保たないところを、全国流通に耐えられるようにしたい。アイスなのか、ヨーグルトなのか。加工して流通に乗せるなら、どんなパートナーがいいのか。

さらに、市場ではどんな商品が人気なのか。届けたいお客さんに届けるためには、どんな展開をすればいいのか。

生産者の理想に近づけるよう、経験と知識で仮説を組み立て、提案。同時に、理想の形でエンドユーザーに商品を楽しんでもらえるよう、商品のブランディングから加工、販売先の提案など、流通の設計や手配も進めていくのがセレンディブの仕事。

2代目社長として、セレンディブを率いて5年。

年々高度化する、食の世界。新たな仲間を迎え、体制を強化していくことを考えている。

新しい価値を求め続けられるなかで、庄子さんのよきパートナーとなってきたのが、先代。経営を引き継いだあともアドバイザーとして関わり続けてきた方だ。

「先代とは自分が立てた仮説のディスカッションの相手をしてもらっています。目の前の課題解決だけだったら、自分の仮説だけでも十分かもしれない。でも、それを超えた次の価値を生み出すためには、一人じゃだめなんです。ほかの人の感性と“共創”していかないと」

ほかの人の感性。

「感性って、先天的で感覚的なイメージがあるかもしれないけれど、私はそう思っていなくて。ベースとなる知識があって、初めて発揮できるもの。ロジカルな組み立てとそれを裏付ける知識がなければできないわけで」

企画に絶対的な正解がないなかで、想像力は欠かせない。けれど、市場の兆しに一足早く気づいたり、それまで市場になかった流通の方法を発想できたりするのも、知識と経験あってこそ。

打ち込めば打ち込むほど、新たな世界が見えてくる。職人の世界とも似ていると思う。

庄子さんいわく、知識は座学だけでなく、「お客さんに素直にいろんなことを聞くなかで身につく」もの。商談会で気になる生産者さんがいれば質問し、より深く知るために現地を訪問するなど、現場に足を運ぶことも欠かさない。

「背景を理解したいんですよ。商談会ってどうしても、よそゆきの言葉になるじゃないですか。現地に行くと、飾らない姿で接してくれる。たとえば牛の育て方ひとつにも、その人がどういう気持ちで畜産に取り組んでいるのか、スタンスも見えてくるんです」

「ゼロから食糧を生産するという意味では、どんな現場も尊いと思っています。でも、それぞれのこだわりがある。現場で見て、話をして。考え方や、将来の方向性、目標を聞いて、リスペクトできるか、一緒に取り組みたいと思えるか。相手もそう思ってくれるかを感じ取りに行ってるんだと思います」

今回募集するのは、庄子さんとともに営業や企画を担当していく人。先代と交わしているような「感性のやりとり」ができる人が理想だという。

「正直、頑張れば全部自分でできるようになれると思っていました」と、庄子さん。

「でもやっぱり、腕は4本ないし、一日は24時間。かかわるお客さんにとって一歩先の価値をつくり続けるためにも、人の力を借りることが欠かせないと考えるようになりました」

新しい取り組みとして、今後は、食の世界にどんなテーマや素材、商品があるのか、オンライン上でみずから情報を発信していくことも考えている。

「最近は、子ども食堂支援を組み込んだ商品など、社会課題と向き合うような企画にも積極的に取り組んでいます」

「私たちの仕事に関わってくれている事業者さんが、自由にコミュニケーションを取れる環境をつくることで、なにか新しい行動や企画を生み出していけるようになるかもしれない。それも、社会に対して私たちが提供できる価値だと思うんです」

これまでホームページは持たず、徹底して黒子を演じてきたセレンディブ。裏方から表へ踏み出す、大きな局面。新しい一歩をつくる仕事は、やりがいも大きいと思う。

 

話を聞いていると、庄子さん自身、会社の今後を考えて試行錯誤してきたように感じる。

この1年、若手スタッフが増えたり、再雇用で新たに経理のエキスパートが仲間に加わったたり。大きな変化が続いたことも関係しているのかもしれない。

「今では会社を支える大黒柱です」と紹介されたのが、入社して3年目の井出さん。バックオフィスを取り仕切りつつ、庄子さんの業務のサポートもしている。

「1年、バックオフィスの仕事に取り組むなかで、取引先さんの現場で起こることが想像できるようになってきて。たまに予測不可能なことも起こるけれど、たいていのことは先回りで対策できるようになってきました」

昨年の5月に経理の方が中心となって、受発注システムを一新。発注書作成の効率が上がり、業務に余裕が持てるようになった。

「取引先さんからの請求書を一枚一枚チェックしていると、間違いも多いんです。たとえば100個分請求されないといけないところが、98個しかないとか。システム化する前は、そういった小さな間違いに気づける余裕がなくて」

「今ではシステムデータと仕入れの請求書に相違がある場合は、取引先さんにすぐにお知らせしています。そんな積み重ねが、信頼にもつながっていくのだろうなと思います」

商品の企画だけでは完成しないし、バックオフィスだけでも完成しない。全部の仕事がつながって、セレンディブの仕事は成り立っている。

とはいえ、オフィスのなかにいるだけでは、なかなか実感を得づらい部分もあったと井出さん。

そこで昨年、庄子さんが企画したのが、現場を視察する社員研修。バックオフィスにも現場を知ってほしいと、仕事の合間を縫って、福井と富山の取引先へ。

「一緒に商品開発から協力していただいている福井の事業者さんと、白エビを加工している富山の事業者さんです。富山では、白エビを獲る漁船に乗るところから、採れた白エビを食べるところまで体験させてもらって(笑)」

そのとき、工場で目に入ったのが発注書。いつも電話でやりとりして井出さんが作成していたものが、出荷日ごとのトレーに丁寧に分けて活用されていた。

「ちゃんと役に立っているんだなって。毎日発注している商品だけど、現場を見るのは初めて。実際に現場を見ると、水揚げ、加工から出荷までに多くの工程があって、白えびの加工も機械じゃなくて、人が一つひとつ作業している。毎日の発注の重みを実感しました」

現場を見たことで、想像できることも増えた。東京に戻って、受注や出荷の現場で扱いやすくなるよう、さっそく発注書の送り方を変更。「とても助かる」と喜ばれたのだとか。

「働いてみて、一つの仕事しかやりたくない人は向いてないのかも、と感じました。私たちは、商品がないところから形にしてお届けするところまでをチームで担当しています。今取り組んでいる仕事は、全体の中のどの部分なんだろう?と想像することが大切で」

「食品の世界って、商品開発をしたいとか、食品に想いを持って入られる方が多い印象だけれど、想像以上に地味な世界。庄子さんの仕事も、あちこち出掛けて華やかなイメージがありましたけど、8割方は事務作業。会社にいるときはデスクに張りついてます」

スタッフが増えても、おそらくこの形は変わらないと思う、と井出さん。さまざまな視点を行き来することが、企画の仕事にもきっと活きるのだと思う。

取材後、庄子さんはこう話していました。

「新しい知力と感性を迎えて、どんどん進化したい。今後は、自社で販売という新たな事業もスタートさせたいと思っていて」

「これまでの経験を活かして、うちが触媒となって人や場所、コトをつなげていく。そこから生まれた新しい価値とともに、みずからマーケットと対峙していきたいですね」

変わらぬ情熱とプロ意識に加えて、未来に向けてギアを上げていくような、前向きなエネルギーを感じる取材でした。新しく加わる人の力が、セレンディブの未来を大きく切り拓いていくはず。

ここで仕事人生をかけたい。そう感じたら、ぜひ応募してください。

(2023/2/20 取材、2024/2/27 更新 阿部夏海)

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