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「どうすれば、もっとハチミツを身近に感じてもらえるだろうって悩んでいたとき『本当に提案したいのは、製品というよりライフスタイルじゃないの?』という言葉をいただいて、ああそうだ!って」
ハチミツの力を借りて、忙しい毎日を生きる人たちの心と体の健やかさ、美しさを守りたい。
Tamitu(たみつ)は、そんな思いから生まれたブランドです。
ハーブやスパイスを調合したハチミツ「Herbal honey」を届けています。
一般的な純粋ハチミツと違うのは、冷たい水にも溶けやすいということ。
炭酸水やミルクなどに溶かせば簡単にドリンクがつくれるし、サラダなど火を通さない料理の味付けにも手軽に使えます。
1日のはじまりや、疲れて帰った夜に。エネルギーとして体に吸収されやすいハチミツと、ハーブやスパイスの風味が心と体に優しく作用してくれる。
今回は、Herbal honeyの魅力を伝えるカフェで働くスタッフと、Tamituのブランド運営を担う本部スタッフを募集します。
運営メンバーはアルバイトも入れて、まだ10人ほど。一人ひとりの気づきやアイデアを活かしながら一歩一歩進んでいるところです。本部スタッフとして加わる人は特に、商品開発やPRなど多岐にわたる役割を担うことになりそう。
チームワークを大切にしながら、自分ごととしてブランドを一緒に育ててくれる人を求めています。
地下鉄表参道駅のすぐそば、ジャイルという複合ビルの地下1階に、Tamituのカフェとショップはある。
フロアにはCIBONEが手掛けるショップがあり、デザインやアートのある暮らしを想像させる空間になっている。
入り口近くのスペースにあるカフェで迎えてくれたのは、ブランドディレクターの水谷優里さん。
水谷さんのご実家は、大正元年創業の水谷養蜂園。現在はお父さんが4代目の代表を務めている。
水谷さん自身は高校時代からバレエダンサーとして海外で活躍していて、家業を意識することはほとんどなかったそう。
引退後、ハチミツの買い付けや営業に同行するようになり、自分が育ってきた環境と世の中の食卓では、ハチミツとの距離感に大きな違いがあることに気付かされた。
「もともと私の実家にはお砂糖がなくて。料理の味付けもハチミツを使いますし、ジュースの代わりに、ハチミツレモンや青梅のハチミツ漬けが常備されていたり、喉が痛いときは、生姜たっぷりのハチミツを温めて飲んだり。ハチミツは調味料であり、甘味であり、お薬にもなるものでした」
花の蜜を蜜蜂の酵素で分解してつくられるハチミツ。砂糖などほかの糖類に比べ、エネルギーに変わりやすく、体にたまりにくい。
スポーツ選手がハチミツレモンを愛用するのはそのためだ。
「子どものころは、当たり前すぎて意識もしなかったけれど、私が体調管理やスキンケアに悩むことなくバレエを続けてこられたのも、ハチミツのおかげなのかもしれません」
一方、日本人一人当たりのハチミツ消費量は平均で年間300g程度。
トーストやヨーグルトのトッピングとしては定番だけど、それ以外の場面でも常用している人は少数派なのかもしれない。
どうすれば、もっとハチミツを身近に感じてもらえるだろう。
この課題と向き合うべく、正式に水谷養蜂園の一員となった水谷さん。
商品のパッケージをリニューアルしたり、ブランドストーリーを伝えたり。試行錯誤を続ける日々が続いた。
そんなときに思い出したのは、海外で一人暮らしをはじめたころのこと。
「自分も母と同じようにハチミツを使った料理をするつもりだったんですが、ハチミツは水に溶けないので、とにかく手間がかかるんです。レモネードはお湯で溶かす必要があるし、ドレッシングをつくろうとしてもオイルとうまく混ざらないし」
「養蜂園の娘である私でさえ、これはめんどくさい!と思っていたので、一般の人たちはもっとですよね。ハチミツを広めるためには、仕事や子育てで忙しい人の目線に立った提案が必要だと思うようになりました」
誰でも簡単に、ハチミツのある暮らしを楽しめるように。
自宅のキッチンにある調理鍋で試行錯誤する日々を経て完成したのが、冷たい水にも溶けるHerbal honey。
アカシア蜜をベースに、香り高い品種の花の蜜とハーブやスパイスが調合されている。
冷たい炭酸水に加えるだけでドリンクができる。私も味見させてもらった。
甘さも感じるけれど、思ったよりスパイシーな味わいですね。
「今飲んでいただいた“000”というフレーバーは、ダマスクローズの蜂蜜にスペアミントやクミン、ハッカクなど、体の巡りをよくしてくれるスパイスを加えた調合です。インナービューティーをテーマにしたものなんですよ」
Herbal honeyには、現在4つのフレーバーがあり、その人の心と体の状態に合わせて選べるようになっている。
マヌカハニーにエルダーフラワーの風味を加えた“618”は体を整えたいときに。ラベンダーとカモミールをベースにした“512”はリラックスしたいときに。
「お薬のような即効性はないけれど、ハチミツは摂り続けることで少しずつ体をつくってくれる。ハーブやスパイスの力で気分を少し持ち上げて、日々を“健やかに美しく”過ごすお手伝いができたらいいなと思っています」
健やかに、美しく。
水谷さんが大切にしているこの言葉は、祖母である水谷太美さんから受け継いだメッセージ。Tamituというブランド名も、その名前に由来する。
まだ女性の社会進出が珍しかった時代に3代目社長を務めた太美さん。
ハチミツを花の種類ごとに小瓶で販売する「テーブルハニー」を日本ではじめて手掛けるなど、感性とアイデア力で挑戦を続け、そのバイタリティから巷では女王蜂と呼ばれることもあったそう。
「私から見てもファンキーなおばあちゃんだったので(笑)、ブランド名にするのは迷いました。ただ私は太美さんの書いた『健やかに、そして美しく』という文字を、ひと目見て、釘付けになってしまって」
「彼女自身もそれを体現した人物だったし、私たちもHerbal Honeyを通して伝えていきたい価値観だと思うようになりました」
ブランドがスタートして約2年。
新しいフレーバーの開発に加え、チョコレートやドレッシングなどの商品開発、より使いやすいボトルやサイズ展開も検討中。
また、表参道のお店から離れた地域に遠くに暮らす人たちにも届けるために、オンラインショップの企画も試行錯誤しているところ。
目標は、海外にも販路を広げること。
ハチミツのある暮らし、健やかに美しい生き方を、どうすれば多くの人に届けられるか。これから入る人に、一緒に考えてほしいと水谷さんは言う。
「私はブームじゃなく、ライフスタイルや文化をつくりたいです。それは、世界の養蜂業を支えることにもつながるし、ミツバチを増やすことは地球環境への恩返しにもなる。そこまで信じて、一緒に仕事ができる人が加わってくれるといいなと思います」
現在、Tamituの運営に関わるメンバーは、本部からアルバイトスタッフまで入れても10人ほど。
カフェの商品開発から、販促ツールの制作、オンラインショップの発送、SNSまでみんなでつくりあげていく一体感があるのは、今このチームに加わる醍醐味。
その環境を楽しみながら働いているのが細貝さん。
「僕は水谷養蜂園ではなく、カロリーという別会社に所属しているんですが、二人三脚でいろいろやらせてもらっています。ショップやブランド運営で、そのとき足りていないことをなんでもやる、みたいな立ち位置です」
もともと細貝さんは化粧品メーカーで企画販促を担当していた。
経験を積むにつれ、もっと幅広い役割を担えるプロジェクトに参加してみたいと思うようになったそう。
「ずっと同じ仕事をしていると退屈してしまう性格なので、今のポジションはすごく楽しいです。そういうふうに考えられる人って、ほかにもきっといると思います」
たとえばカフェの立ち上げのときは、備品手配から、販促物、外看板の制作まで、気づいたことをどんどん自分で提案して形にしてきた。
今回、本部スタッフとして加わる人は細貝さんに近いスタンスで働くことになると思う。SNS用素材の撮影や、新商品開発のスケジュール管理など、求められる役割は多岐にわたる。
ただ、今必要なのは必ずしもそれらのスキルをすべて備えている人ではなく、Tamituというブランドを自分ごとで考えられる人。
ハチミツについての事前知識も必要ない。
細貝さんも、この仕事をはじめるまで家にはハチミツがなかったという。
「今は毎朝スムージーにHerbal honeyを入れて飲んでいて、朝の頭には栄養を運んでくれて、夜もぐっすり眠れる。実際にそういう効果があるだけじゃなくて、そう思うことで、気分もよくなるし、ハチミツが日々のお守りみたいな存在になりました」
メンバーの間でもHerbal Honeyの使い方について、日々情報交換が行われている。
“000”をイチゴにかけると美味しいとか、春菊に“209”とごま油と韓国のりと塩胡椒を振るだけで、デリのようなサラダができるとか。
ドリンクとして飲む以外にも、まだまだポテンシャルを秘めている。ただ、見ただけではその魅力が伝わりにくい。
まず手に取ってもらうきっかけをつくるためには、お客さんとのコミュニケーションが欠かせない。
「パッケージを見て化粧品だと思われるお客さまも多いです。まずは『実はハチミツなんですよ』っていうところから、お声がけして会話を楽しみながら、興味を持ってくださった方に試食をご案内しています」
そう話してくれたのは、カフェで店長を務める栗原さん。
もともと栗原さんはアパレルショップで販売の仕事をしていて、カフェの仕事ははじめてだったそう。
Tamituのカフェメニューは、簡単な手順で提供できるので、未経験でも十分対応できる。
ただ、表参道という土地柄、感度が高いお客さんも多いので、提供のクオリティも意識したい。
「接客の仕方もそうですし、商品の並べ方、トーストの焼き加減など、細かいことをおざなりにすると、ブランドのイメージを壊してしまう。みんなで気をつけようね、ってちょうど先週も話していたところです」
お店のオープン当初は、水谷さんも店頭に立っていたものの、最近は、現場のスタッフだけで対応することも増えてきた。普段の接客がそのままブランドイメージになる。
実は、Tamituには業務マニュアルがない。
一人ひとりの感性と言葉で、お客さんに伝えてほしいという思いがあるからだ。
「Tamituのメンバーは誠実で謙虚な人が多いです。そういう仲間と一緒に働けることは私自身すごく恵まれていると思うし、お客さまから『スタッフがすごくいい人たちだった』っていうお声をいただけるのは、すごくうれしい。これからも、そういう姿勢は大事にしていきたいですね」
体に優しい甘さと、心を整える香り。
Tamituの仕事は、忙しい日々を過ごす人たちに、そっと寄り添うことなのかもしれません。
(2023/3/1 取材 高橋佑香子)
※撮影時にはマスクを外していただきました。