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初めて挑戦することって、緊張します。
失敗したら…と考えると、二の足を踏んでしまう。
失敗をしても助けてくれたり、一緒にチャレンジしてくれたりする仲間がいれば、挑戦はしやすいのかもしれません。
今回紹介するビルダリッジには、そんな仲間がいます。
株式会社ビルダリッジは、主に施工管理を担う会社です。
今回募集する建築ディレクターは、未経験でも可。新築マンションの施工管理を担当しつつ、実際の現場でより良いアイデアが出てきたら、図面にない改良をどんどん加えていきます。
施工管理のベテラン社員や、未経験で入社し経験を積んだ先輩から、現場のいろはを学んでいける環境です。
建築に興味がある、新しいチャレンジをしてみたい、という人は、ぜひ続きを読んでみてください。あわせて、バックオフィス担当と、CADオペレーター・設計アシスタントも募集します。
東京・五反田。
駅から歩くことおよそ8分。首都高速2号線と交差するように通る、花房山通り沿いに、ビルダリッジの事務所が入っているビルがある。
地下にあるオフィスは、広々としていて開放的。
じっくりと個人作業に取り組む人もいれば、楽しそうに話している人もいる。静かすぎず、うるさすぎない環境のなかで、それぞれが自分の仕事に取り組んでいる印象。
はじめに話を聞いたのは、代表の越川さん。
越川さんは、2015年にPlan Cという不動産デベロッパーを友人と一緒に立ち上げ、賃貸や投資目的の新築物件をつくってきた方。
もともとPlan Cで外注していた施工管理を自分たちで行なうことで、より良いものをつくりたい。そんな想いから生まれたのが、ビルダリッジだった。
「施主さんから1億円をお預かりしたら、1億円以上の価値を得られるものをつくる。僕らにはその自信があるから、施主さんに全部を任せてもらうようにしているんです」
ビルダリッジは施工管理の会社でありながら、設計書に沿った施工はしない。
「建築って、契約してから1年半後とかに成果物が完成する。車の納車も同じくらい待つことはあっても、車そのものが変わることはない。でも建築は人の手が加わるから、つくる過程でより良く変化させることができるんですよね」
使いやすい棚にするにはどの高さがいいか、部屋が広く見えるクロスの色は何色か。
実際の工事現場を見ながら、住む人の目線に立って改良を加えていくのが、ビルダリッジの建築ディレクターの仕事。
工事のスケジュールを立てたり、職人さんへ連絡して施工の調整をしたり、資材の発注をしたり。通常の施工管理の仕事に加えて、内装のデザインを提案することも求められる。
設計書通りに工事を行えばいいわけではないので、簡単ではない。けれど、自分のアイデアが形となり、誰かに喜んでもらえたら、きっとうれしいと思う。
「人生の1/3の時間は働くことに費やすんだから、せっかくなら笑えたり、楽しめたりする仕事がいいじゃないですか」
越川さんの考えは、会社の雰囲気にも表れている。
たとえば、ビルダリッジでは月に1回、オフィスにケータリングを呼んでみんなで食事をしたり、社員とその家族の誕生日には花束を贈ったり、といった取り組みもしているのだとか。
「人生を良くしたいとか、自分を変えたいとか。そんな思いがある人は、うちで頑張ってみてほしい。ビルダリッジに来て人生が変わりましたって言われたら、僕もうれしいですね」
続いて話を聞いたのは、部長の石井さん。業界経験25年を超えるベテランで、越川さんとはビルダリッジを立ち上げる前からの付き合いなんだとか。
「新卒で入った金融関係の仕事を辞めたあと、いろいろバイトをしていたんです。偶然、仕出し弁当の配達に行った工事現場で現場監督の仕事を見て、面白そうだなと思って」
まずは小さな工務店に入社して、建築に関わることに。そこで、施工に関わる見積もりや設計士さんとのやりとりなどを担っているうちに、ビルダリッジの建築ディレクターのような、施工管理以外の仕事もできるようになった。
7年ほど前、石井さんと仕事をともにした越川さんは、石井さんの能力を見抜き、ビルダリッジを立ち上げたときに誘い入れた。
当初は年間8棟ほどだった案件数も、今では3倍以上に。案件の増加に伴い、3年ほど前から社員の採用を増やしてきた。
「ただ、うちの仕事って特殊だから、建築の経験があればいいというわけではなくて。そこで越川さんと、未経験の人を育ててみようかという話になったんです」
未経験で建築ディレクターになるって、むずかしそうですね。
「かなりスパルタだったと思います。僕らもしっかりと教える時間やスキルがなくて。まずは現場でゼロから経験して、なんとか一棟やり切ってもらうことで自信をつけてもらおうと思ったんです」
一棟を建てるには、およそ30の職種の人が施工に関わるそう。職人さんたちの作業の順番を組んだり、コミュニケーションをしたりするのも建築ディレクターの仕事。
現場に行けば、職人さんからいろんなことを聞かれることになる。
たとえば、3cm×4cmの角材の寸法を表す「インニッサン」という用語を大工さんが使っても、未経験の人には意味がわからない。
「『いん… なんとかを3束』って言われたんですけど、なんのことでしょう…?って未経験の子に聞かれて。なるほど、この用語の意味がわからないんだな、とか、だんだんと教えるべき内容がわかってきたんです」
そこで石井さんは、自分の代わりに現場に行ってもらい、写真を撮ること、そして現場で3つの質問を見つけることを毎日の課題として、彼らを送り出した。
「早く育ってもらいたかったし、自分でひとつの現場を担当する楽しさを味わってほしくて」
ただ、石井さんが現場に行かずとも、会社が施主から預かった案件なので、もちろん責任を持ってつくらないといけない。
表では監督を任せ、裏では撮影された画像を見ながら職人さんとやりとりをして、施工のクオリティをしっかりと担保した。
「今考えると、その子たちには目をつぶって走れ、って言ってた感じですね。ぶつかったら帰ってこい! と言いつつ、そっちに行ったらぶつかるんだよな、教えられなくてごめんね、みたいな。そんな繰り返しでしたね(笑)」
3年ほど前は未経験だった彼らが、今では頼もしい先輩として育ってきた。
「ただ、大手のゼネコンとかで働いていた子がうちに転職してくると、最初は戸惑うことが多いようで」
たとえば、棚を取り付けるにしても、「どの高さにつけるか」という規定があるのではなく、「どの高さだったら使いやすいのか」という考えが大切になる。
ビルダリッジでは、いいものをつくることが目的なので、いわゆる建築の常識やスキルがそのまま通用するわけではない。
「答えがあるものを覚えるんじゃなくて、その都度自分の頭で考える。それが評価されたら、やってよかったって思うはずなんですよ」
今では社員が約20名にまで増えてきたビルダリッジ。
「未経験から4年目になったスタッフも、工程やコストのコントロールとかは、まだまだ失敗することもあって。ハードルはたくさんありますね」
「頭でわかっていても、同じ失敗をすることもある。時間はかかっても少しずつ成長しながら、いいディレクターになっていってほしいですね」
そう話しながら石井さんの表情には、穏やかな笑顔が浮かぶ。
「僕も現場に行ったら、事務所が恋しくなりますね。会社のみんなが仲が良くて、家族みたいに感じているので」
と話すのは、入社2年目の為則(ためのり)さん。
「建築の専門学校で2級建築士の資格を取ったんですけど、就活ではどこも受からなくて。自分に何が足りなかったのか、わからないままだったんです」
そんなときに受けたビルダリッジの面接で、越川さんと出会う。
「面接で僕の自信のなさを的確に指摘されて、号泣してしまったんです。絶対落ちたと思ったら、入るかどうかは自分で決めていいと言ってくださって。そんな会社は今までなかったから、ここで働いてみたいと思いました」
はじめはアルバイトで入社。アルバイトでも社員と変わらずに、すぐ現場を持つことになったそう。
初めて担当した現場は、今年3月に大田区蒲田にできた「trias113」という、ビルダリッジの自社物件だった。
「工事中、洗面の向きを変えれば居間が広くなることに気付いて、間取りを変更しました。自分の裁量で判断したことが形にできたのは、うれしかったですね」
とはいえ、初めての担当物件は一筋縄ではいかなかった。
「工程表を組むにしても、それぞれの工事に何日ぐらい必要なのか、まったくわからなくて。先輩に聞いて計画を立てても、全然うまくいきませんでした」
たとえば、コンクリートを流し入れるための木枠を組む職人さんが、工事当日に来なかった。
次の工程であるコンクリートを入れることはおろか、その後の内装工事の日程もすべて後ろにずれることに。全体の段取りを一から考え直し、職人さんを改めて手配するなど、大変だったそう。
「早い段階で工事日程をすべて決めて、先行管理をするのが大切だと、そのときに先輩から教えてもらって。日程を組んだら、あとは小刻みに職人さんへのリマインドを繰り返す。そうすれば、今回のような失敗は起こらなかったと学びました」
失敗をしたときは、当然落ち込んでしまうかもしれない。ただ、次に活かそうと一緒に考える仲間がいれば、失敗もステップアップへのヒントになるはず。
「大変でしたけど、自分が一から育てて完成した建物なんで。できたときの感動はすごかったですね」
今では、3棟を同時に管理しているという為則さん。
朝は現場に行き、進捗確認や材料搬入の立ち会いなどをしたあと、午後は事務所で発注や請求の作業をこなす。スケジュールは毎日ぎっしりなんだとか。
「室内のデザイン設計もできるし、施工管理もできる。両方を学べる環境って、すごく貴重だと思うんです。最近入って来たインターン生で、設計と施工を両方学んで独立したいという人がいて、まさにビルダリッジがぴったりだなって思いましたね」
経験を求められることの多い建築業界で、未経験でこれだけ裁量を持って仕事を任されるのは珍しいと思います。
ビルダリッジで仲間と切磋琢磨するなかで、挑戦を恐れず、新しい自分にどんどん出会っていけるように感じました。
(2022/11/17 取材 小河彩菜)
※撮影時はマスクを外していただきました。