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買いものをするとき、なにか基準はありますか?
小さなことでも、自分なりのこだわりを持ってものを選んだ経験がある人なら、藤巻百貨店のあり方にきっと共感できると思います。
鞄や財布、アパレル、グラスやお酒など。日本国内でつくられた上質なプロダクトを、ECと直営店で販売している、藤巻百貨店。
今回はバイヤーを募集します。
商品の買い付けのほか、職人と一緒に新商品を開発したり、生産管理や在庫管理など商品を円滑に販売するための業務を担ったり。仕事の範囲は幅広いです。
一瞬むずかしそうに感じるけれど、「ものが好き」であれば実務経験は不問。だれもが最初は未経験から、一つずつステップを踏んで成長していける環境なので、心配はいりません。
あわせて、バイヤーが調達・開発した商品をお客さんに伝えるためのページをつくる、ECコンテンツの編集者も募集します。こちらも実務経験は問いません。
藤巻百貨店のショップ兼オフィスがあるのは、明治神宮前。
若者で賑わう駅前の交差点を抜けて、明治通りを歩いていくと、少しずつ人通りが落ち着いてくる。
暑い夏の日、並木道の木陰が気持ちいい。
5分ほど歩いて、ビルの2階にある藤巻百貨店へ。
まず話を聞いたのは運営会社caramoの代表である中村さん。
どんなことも、秩序立てて説明してくれるので納得感がある。一緒に働いたら、いそがしいなかでも質問に丁寧に答えてくれそう。そんな姿が想像できる方。
藤巻百貨店は、中村さんと、バーニーズの日本立ち上げに貢献し、カリスマバイヤーとして知られた故・藤巻幸大さんが2012年に立ち上げたECサイト。
日本国内の職人がつくる優れた商品を選び抜き、その魅力を最大限に伝えるコンテンツを作成し、販売。
読者は男性6割・女性4割で、ものへの関心が高い35〜50歳代を中心に人気を集めている。
先月、3店舗目の直営店がオープンするなど、右肩上がりの成長を続けている。
今回募集するのは、商品の調達や企画開発を担当するバイヤー。
ただ、一般的にイメージされるバイヤーの仕事には留まらないみたい。
「バイヤーと聞くと、買い付けだけをイメージする人が多いでしょう。でもそれはあくまで一部分。うちでは、取引先とのコミュニケ―ションを軸に、商品にまつわる包括的な仕事をする役割の人をバイヤーと呼んでいます」
バイヤーは、藤巻百貨店に商品を卸している各取引先を担当。
商品の調達や共同での企画開発に加え、それに付随する、生産スケジュール管理や必要資材の調達をおこなう。
発売後は、発注業務や在庫管理を行い、売上の分析や、それを踏まえた取引先との商談にも取り組む。
「業務で担当を分けるのではなく、担当取引先にまつわる仕事すべてを担っていく。B to Bの営業に近いイメージだと思います」
つくり手に技術と商品を提供してもらう代わりに、自分たちは顧客の購買情報を分析し提供する。対等な関係を築きながら、パートナーとしてともに成長してきた。
「いろんなお客さんの声を持っているからこそ、実現できるものづくりやアドバイスがあるんです」
「たとえば、靴下。これは1回買って終わりだとビジネスにはならなくて、リピートされているかが重要です。お客さんの買い方をすべて数字で追えるのがECのいいところ。それにレビューには『毎日履くので7足買ってます』なんて声もある」
顧客情報は累計20万人にものぼる。綿密な根拠を持って話ができる。
「藤巻百貨店限定の『別注品』として新色をつくろうと提案するときも、ほかの商品でこの色の売れ行きがいいとか。つくり手が知らない顧客の情報をフィードバックして、商品開発につなげていきます」
取引先のメーカーは約500社。そのなかから最適なパートナーに依頼し、こだわったものづくりが実現できる。
純粋に、すごく面白そう。
「自分たちのプロダクトでお客さんに喜んでもらう、暮らしが豊かになる。小さな会社ですし、そのベースを実感してほしい。ミッション遂行を確実なものにするために、単なる作業の一部じゃなくて、関連するその周辺業務にも関わってほしいんです」
入社後はまず、お客さんについてよく知るところから。
そのうえで先輩の業務をサポートしつつ、既存商品の調達や商品開発まで、少しずつレベルアップしていってほしい。早ければ、数年で商品開発まで手がけることもできる。
「昔から『ものが好き』で、営業経験を活かして買い付けからやってみたい人とか、未経験だけど商品開発に携わってみたい人とか。建築や設計に関わっているけれどプロダクトが好きだとか。今回は広くいろんな人を歓迎したい」
「逆にうちに合いづらいのは、ものにまったく興味がない人ですかね。ものを持つならちょっと面白いものがいいとか、こだわりやストーリーを知りたいとか。そういう人が向いているんじゃないかな」
今まさに仕事の幅を広げているのが、商品チームに所属する入社2年目の山﨑さん。
バイヤーとしての経験を積むため、主に既存取引先の商品発注や新商品提案業務を担当し、職人とのコミュニケーションを深めている。
また、買い付けた商品を採用するかどうか議論する、商品選定会議の運営も担っている。
大学では建築を学び、卒業後は夢を追いかけて音楽活動に取り組むかたわら、いくつかの会社でアルバイト。その後、藤巻百貨店に入社した。
「幼いころからものづくりに興味があって、建築を専攻しました。ただ、そのときに0から1をつくることには向いていないと感じて。つくり手を支えていくかたちでものづくりに携われる藤巻百貨店に魅力を感じました」
「業界も正社員も初めてだったんですけど、丁寧に教えてもらえたし、仕事を任せてもらえたのもありがたかったです」
最初は社内のシステムに慣れるため、発注のサポート業務を担当。徐々に担当する取引先数を増やし、実際に発注数量を決定するように。
「発注は3人で分担しています。規模の大小はありますが、自分の担当が100社程度あるので、毎日どこかしらのメーカーさんと、メールか電話でやりとりをしています」
時期だったり、ほかの商品との相性だったりで売れ方が変わっていくので、仕入れ数は変動していく。
大量生産品ではないので、入荷に時間がかかることも多いから、慎重に見極めが必要だそう。
「経験や慣れによる感覚が必要で、それを掴むには時間がかかります。数ヶ月後の在庫数や売り上げを見て、これはピッタリ売り切れたなとか、思うように伸びなかったなとか。商品数が多いぶん、たくさん経験を積めるので、先輩に意見をもらいながら試行錯誤してきました」
山﨑さんの担当取引先のひとつは、香川県の麦わら帽子メーカー。
職人さんが手編みでつくる麦わら帽子に、香川の産業である漆を塗布した、ほかにはない風合いが人気を集めている。
「約2万円と、ほかの商品と比べると高額になるんですけど、去年初めて販売して反響がよかったので、今年はラインナップを増やしました。藤巻百貨店のお客さんは、ほかの人と違うものを好む傾向があるので、そこにちょうどよくハマったのかなと思っています」
「メーカーさんに反響を伝えて喜んでもらえると、魅力を届けられて良かったなと思いますね。やりとりを重ねていくうちに、話し方が変わっていく取引先さんもいらっしゃって。信頼していただけたのかなって、感じられる瞬間はうれしいです」
これからは自ら企画する商品も増やしていきたい、と話す山崎さん。
仕事のやりがいはどんなところにありますか?
「これだけ多くの希少な商品を知れることが、まず楽しいです。伝統工芸品や職人の逸品を一堂に介して見れることもあまりないし、これも日本製なんだって発見がある商品もあって、楽しいです」
「商品のことを好きになれないと、やりがいも感じられないと思うので。ここで働くなら、いろんな商品を扱えるのをうれしく思える人がいいんじゃないかな」
日々、さまざまなプロダクトに触れながら、自分の感性をアップデートしていける。そんな環境を楽しめる人だと、やりがいを感じられるはず。
「バイヤーの提案をそのまま受け入れるだけじゃなくて、本当にそれはいいのか、どうすればお客さんに響くのかって疑問を投げかけることも必要です。バイイングに気持ちが入っていないと、ページづくりにも気持ちが入らないので」
そう話すのは、ECコンテンツチームのマネージャーである大里さん。
バイヤーが仕入れた商品をお客さんに伝えていくためのコンテンツをつくっているのが、このチーム。
画像や動画とテキストを組み合わせて、お客さんの共感を呼ぶような商品紹介を作成している。
サイトを訪れるお客さんと商品の接点を生み出し、「買いたい」と思ってもらう動機づけをする役割だ。
「うちのサイトは値引きをしないので、いかに商品の魅力をお客さんに伝えるかが重要です。商品1本で売っていくしか術がないんですね。なので、この商品の魅力はどこかを分析しながら、どんなお客さんにどんな伝え方をすれば商品が売れるか、日夜考えています」
前職は映像とWeb制作会社で働いていた大里さん。
当時は制作したものがエンドユーザーにきちんと届いているかどうか、感じにくい環境だった。
もう少しお客さんの声を感じられる仕事がしたいと転職活動をはじめたとき、学生時代の販売のアルバイトにやりがいを感じていたことを思い出す。
「自分が並べた商品をお客さんがどんどん買っていくのが快感で、あの感じをもう一度味わえないかなと思って仕事を探していたときに、藤巻百貨店を見つけました」
「ものがそもそも好きで、売れていくことも今でも好き。自分の取り組んだことが結実してうまく進んでいくのが楽しいので、11年間続けてこられました。売れるときは一気に売れるし、売れないときは凪のようだけど、その一線で戦っている感じが楽しいです」
目に見えて数字がわかるのは、シビアではあるけれど、大きなやりがいにもなる。
この日は、藤巻百貨店のなかでも人気のバッグブランドの写真撮影。オフィス併設のスタジオで、週に1〜2回はこうした撮影があるという。
カメラマンと連携してカットを決め、商品に不明点があればつくり手に電話で確認。
このバッグを持つ人はどんなものを中に入れるだろう。イメージしながら、一緒に写す備品も一つひとつ選定していく。
撮影後は、画像を加工したりテキストを書いたりして、ページにアップしていく。直接つくり手にインタビューをして、取材記事を書くこともあるという。
「一つひとつの商品の先に職人さんがいらっしゃって、直接ものづくりへのこだわりを聞くことができる。熱い想いを持っている人の商品は、いろんな人に知ってもらいたいと自然と思います。素晴らしい職人さんたちとの出会いがあるのも、この仕事の魅力のひとつです」
日々、さまざまなものとの出会いがあり、つくり手との関わりが生まれるこの仕事。
支えていくのはもちろんですが、希望すれば自分がものを生み出す側になれることも、ものが好きな人にとってはたまらない環境のはず。
自分の仕事にもこだわりを持って取り組みたい、そんな人をお待ちしています。
(2024/8/9取材 増田早紀)