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想いのあるひと
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ホテルがつなぐ地域の未来

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山形県・河北町(かほくちょう)。まわりは、月山(がっさん)や朝日連峰といった雄大な山々に囲まれたのどかなまち。

山から流れる天然水が育んできた土壌と、激しい寒暖差を活かして、古くは紅花の集積地として栄えていました。いまはお米や豆、フルーツ、そしてイタリア野菜など、季節ごとに豊かな農作物が育てられています。

河北町の産業を盛り上げようと事業に取り組んできたのが、地域商社かほくらし社。

河北町商工会の声掛けにより地元の建設会社や、数々の地域で事業をプロデュースしてきた株式会社さとゆめなど、町内外5社の共同出資によって立ち上がった会社です。

地域の産品販売を単体で伸ばしていくには限界がある。より高付加価値なビジネスモデルをつくるために、まちをまるごとホテルに見立てた宿泊事業を始めます。

今回募集するのは、この新しい事業を形にしていくメンバー。

具体的には、来年度オープンするホテルの立ち上げを起点に、地域の人を巻き込んでアクティビティをつくったり、SNSで情報発信をしたり。インバウンドの受け入れにも力を入れていきたいです。

目指すのは、地域住民と、国内外からの旅行客が気軽に集まれるような拠点づくり。そして町内での交流や体験を通して、訪れる人たちに河北町のファンになってもらうこと。

マネジメントや宿泊業界での経験があると仕事も進めやすいと思いますが、大切なのは地域を良くしていきたい想い。地域創生に興味のある人は、ぜひ読み進めてください。

 

東北新幹線に乗ってさくらんぼ東根駅まで向かい、車に乗り換えて10分ほどで河北町に入る。山形空港から車を走らせても同じくらいの時間で到着できるので、アクセスはいいと思う。

基幹産業は農業で、10年ほど前からは、イタリア野菜の生産に取り組んでいる。その種類は60品目を超え、都内の有名イタリアンレストランにも卸しているそう。

道中では、「スリッパ生産量日本一」「枝豆の里 河北町」と書かれた看板を発見。B級グルメで一躍注目を浴びた肉そばの暖簾も目に入る。まちとしてのセールスポイントがいっぱいあるようだ。

そんな河北町の地域創生に、2017年から関わってきたのが株式会社さとゆめ。

はじめは、首都圏の人たちに河北町の魅力を伝えていく拠点として、2019年に東京・三軒茶屋にアンテナショップ「かほくらし」をオープン。その後は地域商社「かほくらし社」を立ち上げて、河北町の産業全体を再構築してきた。

町内にあるかほくらし社事務所にて、さとゆめ代表の嶋田さんにオンラインで話を聞かせてもらう。

「河北町の産品の販路は、かほくらしをはじめ、都内の高級イタリアンレストラン、百貨店など300を超えるまで伸びてきました。次の段階では、単なるモノ売りの商社ではなく、コト売りの商社にしたいんです」

どういうことでしょう?

「流通業は、モノを売ったぶん、手数料をいただいて売り上げが伸びるわけですよね。最近は気候変動の影響もあって、農作物の収穫量が安定しないという問題もある。そもそも町内の生産者も減っていくなかで、大量生産にも限界があります」

「数を増やせないとなると、単価をあげる必要があるわけで。消費者に対して、収穫体験や生産者さんの話を直接聞くことができる機会を設けるなど、モノとコトを一緒に提供して、高付加価値型の新しいビジネスモデルをつくることにしたんです」

地域商社の事業とかけ算するような形で、嶋田さんが思いついたのはホテル事業。

コトを提供するためには、地域で長く時間を過ごしてもらう必要があるし、河北町には宿泊施設が1つしかなかったことからもニーズがあると考えた。

「河北町のことを好きになってもらったら、その後もふるさと納税で河北町を選んでみるなど、ファンになってもらえる可能性がある。それで再びまちを訪れたいと思う人を増やしていきたいんです」

ただ、ホテルひとつではファンをつくるのに時間も労力もかかるし、利益もかほくらし社に絞られてしまう。そこで導入するのが、「まちまるごとホテル」構想。

道の駅はホテルのエントランス。町営ホールはホテルの待合室、紅花資料館はホテルのギャラリー。温浴施設はホテルのスパ。肉そばのお店はホテルのレストラン、というように。

「まちの施設をホテルに見立てて宿泊客をおもてなしする。まち全体の賑わいにもつながってほしいですね」

「NIPPONIA 小菅 源流の村」「沿線まるごとホテル」と、すでに2つのまるごとホテルプロジェクトの企画開発、運営実績があるさとゆめ。

今回は、地域商社とまるごとホテルが相互に機能し合っていく、新たな取り組み。

また、県内で需要が高まっているのが、インバウンドの推進。この10年間で海外から山形県を訪れる観光客は8倍も増えている。

銀山温泉や蔵王へも1時間ほどでアクセスできる河北町は、インバウンドのホットスポットになる可能性を秘めている。地域の人も、国内外の観光客も、みんなが集まり交流できるような開かれたホテルを目指していきたい。

 

今回募集するのは、この新たなビジネスモデルを形にしていくメンバー。

どんな資源がまちにあるのか、かほくらし社で地域おこし協力隊として働く菊地さんに聞いてみる。

かほくらし社では高校生の地域活動をサポートしたり、町内ツアーの企画・運営をしたり。積極的に地域に出て活動しているプレイヤーだ。

「町内生産者さんの話がおもしろいんですよね。たとえば、斉藤兄弟がつくる千日和牛。名前のとおり千日もの時間をかけて丁寧につくられる山形牛のことで。牛の命をもらう以上、最高の状態でいただくことが敬意だと考え、大切に育てているんです」

「その牛糞を使って町内の農家さんが野菜やお米をつくり、そのお米で日本酒をつくる酒蔵さんがある。そんなふうに地域で循環しているストーリーを聞けたら、次はあっちに行ってみよう、みたいになると思うんですよね」

ホテルという場所はありつつ、訪れる人にはまちでの滞在を楽しんでもらいたい。新しく加わる人は、地域に飛び出し、さまざまな人を巻き込みながら、宿泊客に提供するアクティビティを企画してほしい。

「紅花のPR活動をしている人がいたり、動物園のリブランディングを企画している人がいたり。まちづくりのために『150歳まで生きる!』と精力的に動いているおじさんもいる」

「知れば知るほど、元気でおもしろい人の多いまちだなと思います。でも、わにってる人が多くて」

わにっている?

「山形の言葉で、人見知り、という感じですかね。おもしろいのに恥ずかしがって表に出さないというか。うまくその魅力を伝えられるよう、引き出せるといいなと思います」

まちの人と実際に話してみると、穏やかで落ち着いた感じ。時間を一緒に過ごしていくうちに「こんなことがしたいんだよな」と、ちょっとずつ素がこぼれてくる。

きっと、暮らしのなかで関係性をじっくり育てていくのだと思う。

 

事務所をあとにして、ホテルとなる物件へ。

車で5分ほどの距離、町内でもメインの通りに面している。

もともとビジネスホテルとして使用されていた場所をリノベーションして、オープンする予定だ。

部屋数は合計で20室ほど。内装は、既存の壁や床のシートを剥いで、コンクリートや配管をむき出しにしたり、漆喰を塗ったり。つくり込んでいくよりもシンプルなデザインを考えているそう。

新しく入る人は、オペレーション作成のほか、ホテル開業後はチェックイン・アウトの対応やアクティビティの手配。ほかにもまち全体の魅力を国内外に発信するためのSNS運用など。

ホテルの立ち上げについては、これまでさとゆめでノウハウを溜めてきたチームがサポートに入ってくれるので、未経験でも大丈夫。

ホテルでの日常業務はありつつ、たとえばお酒好きの人がいたら「裏手のスナック、紹介しますよ」とお客さんに紹介するなど。日々の暮らしのなかで感じた「おもしろい」をもとに、まちのコンシェルジュ的な働きができるといい。

菊地さんは、河北町のぶどうでワインをつくったり、かほくナッツ研究会の立ち上げに携わったり。地域の人と一緒に事業をつくっているので、地域での関係構築や、事業の立ち上げなどいろいろと力になってくれると思う。

 

「河北町の魅力って、やっぱり食と人だと思うんですよね」

そう話すのは、菊地さんと同じく、かほくらし社で地域おこし協力隊として働く井上さん。

かほくらし社のオンラインストア立ち上げ、卸先への営業、ふるさと納税に出品する商品の企画など、マルチに働いている。

「昔から、有名な観光地に行って写真だけ撮って帰ってくる、みたいな。訪れる人だけが満足して帰ってしまう観光に違和感があって。訪れる人も迎える人も、お互いに幸せになれる観光ってなんだろうって考えていました」

大学生のときには、1年間休学してカンボジアの農村地域に住み、現地の観光会社に弟子入りしていた経験もある井上さん。河北町に来る前には、NIPPONIA 小菅 源流の村で短期間働いていた。

「小菅でわたしが一番魅力的だなと思ったのは、村のお父さんたちと一緒に歩く散歩のアクティビティ。その土地のことをいろいろと教えてもらえるんですけど、地域の人の温かさに触れる時間の貴重さに気づきました」

縁あって河北町に来ることになり、感じたのは食べもののおいしさ。「野菜も果物も別格です」と話す。

「山から流れる天然水があって、激しい温度差が野菜や果物の糖度を増してくれる。恵まれた環境と、こだわりを持った生産者・事業者さんの技術がつながっているので、本当にいいものができているんですよね」

たとえば、まちの産品でもあるイタリア野菜は、本格的に味わえるイタリアンレストランが町内にはないため、新しくできるホテルでメニューを考えられるといいかもしれない。

河北町で暮らすなかで、印象に残っていることがある。

「2年目のときに、いきなり仕事量が増えて。ほかにもいろいろと重なってしまって、地域を離れようかなって思ったときがあったんです。そんなときに、地域の人が親身になって支えてくれて。地域を良くしたいって思う人たちの波にわたしも巻き込まれて、もっと頑張ってみようと思えました」

1から自分で立ち上げる場面も多いから、地域を元気にしたい、自分はもっと成長したい。そんなふうに強い意志が必要になると思います。

そのぶん力はつくと思うし、このタイミングだからこそ見れる景色がある。なにより、河北町を盛り上げたいと動いてきた人たちの積み重ねがあります。

豊かなと食と想いをもった人たちと一緒に、河北町の未来をつくっていく人の挑戦をお待ちしています。

(2024/08/07 取材 杉本丞)

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