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まずは、一つの額縁から
やりたがりのものづくり

こんな部屋に住んでみたい、お店を持つならこんな内装にしたい。

頭の中で自由に想像する、理想の空間。

そのすべてを自分で形にできる力があったら、どれほどおもしろいだろう。

設計と施工、そこに置く家具や什器の製作まで。店舗や住宅の内装をトータルで手がける株式会社ロバートハウス。

国内外から買いつけてきたヴィンテージ品も活かしながら、唯一無二の雰囲気をもつ空間をつくりあげます。

今回募集するのは、ここで大工として働く人。現場での工事だけではなく、家具づくりや設計まで、さまざまなスキルを一から身につけることができます。

まったくの未経験も、独立志望の人も歓迎。

一つのことをじっくり極めるよりも、幅広く力を身につけたい人にぴったりの環境だと思います。

 

三鷹駅からバスで10分ほど。ロバートハウスの事務所と工房があるのは、住宅や工場が並ぶエリア。

バス停を降りて歩くとすぐに、大きな看板が目に入る。

道に面した工房の奥にある事務所へ。上から下まで、ヴィンテージ品に囲まれた空間は、不思議と気分が落ち着く。

迎えてくれたのは、代表の渡辺さん。

「緊張してます。こうやって話をする機会ってあんまりないんで」

「求人サイトでの募集が初めてで、勝手がわからなくて。でもこれを機に、きちんと勤務条件も整えたいと思っています」

あまり笑わず、ちょっとぶっきらぼうな印象。でも、一つひとつの質問に真摯に答えてくれる姿から、人柄の良さが滲み出る。

2012年にロバートハウスを立ち上げた渡辺さん。それまでは、7年ほど大手ハウスメーカーのリフォーム部で働いていた。

「若いころは、お話できないくらいダラダラしてて。20代後半になって、そろそろやばいな、手に職をつけたほうがいいなと思ったんですね」

「経験はなかったけど、親父も内装屋だったので、大工さんがいいかもって。身体動かすのもきらいじゃなかったんで。深く考えずにはじめたら、おもしろかったですね」

大工と施工管理を兼務していたこともあり、さまざまな職人と関わるように。そこでの経験が今につながっている。

「左官屋さんとかボード屋さんのおじさんに、どうやってやるんすか?って聞いて。教えてくれるけど、もちろんやらせてはくれない。でも興味があって、仲間がタバコ休憩してるときでも、ずっと見てました」

「なんでも、自分でやってみたくなる。”やりたがり”なんですよ」

だんだんと、マニュアル通りの空間をつくる大手メーカーでは物足りなくなる。

長年好きだったアンティークの家具やインテリアが活かせるような、自分の感性を落とし込んだ空間づくりがしたい。

そんな想いで独立してから、ほぼすべての業務を自分自身で担ってきた。

広告などは出したことがなく、知り合いの紹介や、HPの施工事例などを見た人からの依頼で仕事をしている。

「内装の仕事が多いけれど、僕は建物正面の外観、ファサードをつくるのが好きで。空間に溶け込む壁とか床と違って、明らかに目に見えて形に残るじゃないですか」

「いろんなところでファサードが好きって話してたら、知り合いのサインペインターが声をかけてくれたんです」

そのとき手がけたのが、グローブスペックスというインポートアイウェアの店舗。

最初はサインを取り入れたファサード製作を依頼されたものの、打ち合わせを進めるうちに、内装まで含めた一式の設計施工を任せてもらえることになった。

「店内にはでかい柱が4本あって、どうやって隠そうか、と。一部を棚にしたり、ミラーをつけたり、柱同士の上部をつなげてみたり」

「柱に囲まれた中央部分だけ、床をタイル貼りにしました。そうやって中央の空間をつくると、ここに柱がある意味が生まれるんですよね」

店舗の場合、契約からオープンまで数ヶ月と、スケジュールがタイトなことも多い。そのうえ、リノベーションだと構造上の制約があることも。

それでも、お客さんのリクエストにはできるだけ応えたいという渡辺さん。そんな姿勢がリピートにもつながっている。

「お客さんは何百万も払うわけですから、ちょっとでも気に入らなかったら、当然次は別の会社に依頼すると思うんです」

「でも2店舗目もお願いしたいとか、改装も頼みたいとか、声をかけていただけることが多くて。自分の仕事を認めてもらえたのかなって、うれしいですね」

現在、現場工事は外部の大工さんの力を借りて行なっている。ただ、建築業界全体が人手不足なこともあり、長年付き合いのある大工さんも、スケジュールの確保がむずかしくなっているそう。

ロバートハウスメンバーは、渡辺さんと事務や設計をメインに担うスタッフさんのみ。社内にもう1人大工が増えるだけで、安定して仕事に取り掛かかれる。今回の募集にはそんな背景がある。

「これまでも社内に大工はいたけど、大体3年くらい経つと辞めていっちゃうんですよ」

ほかの業界に転職する人もいれば、家具や内装ボード専門の会社に移る人も。独立して、ロバートハウスから仕事を請け負っている人もいる。

「うちは本当にいろんなことをやるから。なにか一つだけやりたいっていう人には、ちょっと向かないかもしれない。でも、なんでもやってみたい人には、めちゃくちゃおもしろい職場だと思います」

「同じことを何年も繰り返して修行する、みたいな話あるじゃないですか。それが僕はよくわかんなくて。そんなに極めなくても、一定のレベルを満たせたら、ほかに広げるほうがいいじゃんって。できるだけ自社で完結するほうが、コストも下がってお客さんのためにもなりますよ」

これまで働いてきたスタッフは、ほとんどが未経験からの入社。

まずは渡辺さんの補助からはじめ、機械の安全な使い方など、少しずつ覚えていく。

工事期間中は社用車で現場に直行直帰。重い資材を運ぶことも多いので、慣れるまではそれだけでも大変かもしれない。

「未経験からでも全然いいんですよ。とりあえず、現場に一緒に来てもらうところから。あとは必ず、工房で額をつくってもらってます」

…額?

「こういう額縁です。これ一つにめちゃくちゃ細かい工程があって、うちにある機械を全種類使って加工する。使い方も注意点も覚えられるし、最後には形になるから、つくった本人も『できた』って達成感があるでしょ」

「見て覚えるだけよりも、実際に手を動かしたほうが数倍早く覚えますよ。社内で戦力になるまでは、半年くらい。将来独立したいなら3年以上は必要ですけどね」

未経験での入社だと、一人前になるまでに長い時間がかかりそうなもの。

もちろん真剣に取り組むことが前提の話。とはいえ「半年」と具体的に示してくれることで、自分にもできるかもしれない、と思えてくるはず。

 

「わたしのつくった額は、もうお客さんに納品しちゃいました」と話すのは、入社してもうすぐ1年になる山口さん。

事務メインではあるものの、設計やときには施工など、幅広い業務に関わっている。

「額をつくることで、いろいろな基礎を学べるんです。途中で節があったら使えなくなっちゃうから、長めに材料を用意しておくこととか」

「とくに角の部分がむずかしくて。45°でぴったりで柄を合わせないといけない。コマで溝を掘るときも、当て方で柄が変わるし、上手にやらないと木が割れちゃう。初心者はまずこのコマから、っていうのも渡辺さんが教えてくれます」

以前の仕事は、公的機関の事務職。安定していたものの、仕事内容が決まりきっていることが、山口さんには合わなかった。

「もう涙が出てきそうなくらい、おもしろくなくて(笑)。電話は全部とります!って感じでやってましたね」

退職後、ハローワークの職業訓練で興味を持ったのが内装工事。半年間、クロスや床張りを学んでみると、とても楽しかった。

身につけたスキルを活かせる職場を探しているときに、目に止まったのが近所のロバートハウス。

「自転車でよく通っていて、かわいい看板だなって。インスタもフォローしていました。でもシャッターが閉まっていることも多くて、中がどうなっているのか全然わからなくて気になっていたんです」

ある日ストーリーズで、スタッフ募集の投稿を目にする。勇気を出して連絡してみると、その日のうちに面接、採用となった。

子育て中ということもあり、働ける時間はそう長くない。会社としては、女性スタッフも事務メインの採用も初めて。

渡辺さんには、「仕事はないかもしれないから、自分で見つけて」と言われたそう。

「この1年、めまぐるしかったですね。初日から鍵を渡されて、『明日は車運転して現場来てね』とか。6年ぶりの運転なのに!って (笑)。そこからはじまり、どんどん任せてもらえることが増えていって」

「やってみる?って言ってくれたので、CADも教わって。今は打ち合わせに同席して、設計も担当しています。著名な方がクライアントだったりするので、間近で話が聞けるのはすごくおもしろいですよ」

山口さんの入社前は、図面も外注していた。入社後は社内でコミュニケーションをとれるようになり、スムーズに仕事が進むようになっている。

空間の印象から、渡辺さんはこだわりが強いのかと思っていたけれど、これまでもスタッフに委ねる部分は大きかったそう。世界観に共感する人が集まるから、大きくイメージから外れることがないのかもしれない。

「思いのほかオープンですよ、渡辺さん。新しく入る人のアイデアも活かしてもらいやすいと思います」

「それと、無知であることを受け入れてくれる人です。『わかる?』って聞かれても『知らないです』って言えるから、未経験の人もやりやすいんじゃないかな」

最近は、HPやSNSの更新にも力を入れている山口さん。こちらも、仕事の範囲が広そうだ。

「どんどんやることが出てくるので、取りこぼさないようにやるのが楽しいですね。できることは全部やろうと思ってます。わたしも、やりたがりなんでしょうね」

「いろいろやれるのが当たり前になってきちゃってるかも。もっと感謝しないと」と笑う山口さん。さっぱりと明るく、フレンドリーな雰囲気が、寡黙な渡辺さんといい意味で対照的。

これくらい「やれることはやりたい」と思えたら、吸収できることはとても多いはず。

「いろんなところに行けるし、いろんな人に会えるし、いろんなものづくりを見られるし。興味がある人にはすごくやりがいがあるし、絶対におもしろいと思います」

 

話を聞いたあと、事務所の写真を撮りながら、お気に入りのものを渡辺さんに聞いてみる。

「どれだろう… ペンギンかなあ。これはアメリカから来ました」

「いろいろ集めていると、100年前のものとかも平気で残ってるんですよ。それってすごいことだなって。自分がつくるものも、100年後まで残っていたらおもしろいなと思いますね」

ロバートハウスの仕事や世界観に共感できて、なにより「自分もやりたがりだ」と思えるなら。

きっとお二人が、いろいろなことを教えてくれると思います。

(2025/03/21取材 増田早紀)

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