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「日本仕事百貨」は、いろんな生き方・働き方を紹介する求人サイトです。たとえば、代々伝わってきた技術を継承する職人さんや離島の地域おこし協力隊、複数の分野をまたいで人の暮らしを支える企業や、新しい価値観を提案していくNPOの人たちなど。
これまでにたくさんの方々と出会い、お話をうかがってきました。
今回は、わたしたちと一緒にいろんな生き方・働き方に出会い、伝えていく学生インターンスタッフを募集します。
インターンの大きなテーマとなるのは「編集」です。具体的には、ふたつのことをやってもらいたいと考えています。
ひとつは、「日本仕事百貨」でコラムを書くことです。編集会議に参加し、通った企画は自分で取材をして原稿を書く。その経験を通して「編集」を学んでいきます。
そしてもうひとつは、スタッフの編集アシスタントです。取材に同行して一緒に話を聞いたり、録音した音声を文字に起こしたりするなかで、「日本仕事百貨」の記事がどのように「編集」されていくのかを学んでもらえたらと思っています。
そのほかに希望者は、「しごとバー」などイベントのアルバイトもあります。
「編集」を軸に、自分だったらどんなことができるか想像しながら読んでみてください。
東京・清澄白河。
もともと虎ノ門にあったシゴトヒトのオフィスは、今年の10月からここに引っ越してきた。
お寺や下町情緒を感じさせる商店街、清澄庭園などがある一方、東京都現代美術館やブルーボトルコーヒーなどといった多様なカルチャースポットも点在していて、散歩に出かけるといろいろな発見がある。
ゆったりとした空気が流れていて、まちの人もおおらかな方が多い。
なにかをはじめるにはちょうどいい余地のある環境のような気がします。
新しいオフィスは、駅から徒歩3分ほどに位置する5階建てのビル。
ここでさまざまな新しい取り組みがはじまろうとしている。
「1階が飲食店で、2階がギャラリー、3階はイベントスペース。4階は入りたいと言ってくれる人がいたのでシェアオフィスに。5階がぼくらのオフィスになるというかたち」
そう話すのは、代表のケンタさん。
この場所を「リトルトーキョー」という小さなまちに見立てて、自分のやりたいことを試したり、形にしていける場所にしたいと考えている。
虎ノ門ではじめた「しごとバー」は、これからも続けていきたいことのひとつ。
さまざまな職業の方を1日バーテンダーとしてお招きし、一緒にお酒を飲みながらざっくばらんに話すうちに、今の仕事の面白さにあらためて気づいたり、事業パートナーを見つける人も出てきたりと、いろんな出会いが生まれる場になっていった。
それぞれの分野で働く人と会って話すのは、きっといい経験になると思う。バーの仕事を手伝ってもらえればアルバイト代も出るし、カウンター越しに聞く話は普段と一味違って面白い。
「デコ屋台プロジェクトも進んでいるし、しごとバーはさらにパワーアップしていくと思うよ」
それに、人の話に耳を傾けることは必ず「編集」にも活きてくるという。
「日本仕事百貨の編集者は聞く仕事だけれど、それはインターンも同じ。素直にインプットできれば、そこからいいアウトプットが生まれると思うから」
「取材同行や文字起こしから学べることはたくさんあるだろうし、きっとコラムの内容も面白いものになっていくだろうね」
はじめは勉強のためにも、決まったテーマでコラムを1本書いてもらうことになる。その後は同じテーマで連載するのもいいし、違うテーマで企画を立ててもいい。
コラムの原稿をチェックしたり、企画のブラッシュアップをしたりするときには、わたしたちスタッフも一緒になって考えていきたいと思っています。
「自分で機会をつくってチャレンジしてほしい。失敗することもあるかもしれないけど、失敗できる機会があるというのはとても貴重なことじゃないかな」
続いて、今インターンとして関わっている人たちにも話を聞いてみました。
まずは村上さんから。
現在大学4年生の村上さん。3年生の終わりから5ヶ月ほど、スパイスの勉強をするためにひとりでインドの家庭を回っていたという、パワフルな経歴の持ち主だ。
インターンとして関わるようになってから、仕事のリアルな部分が色濃く感じられるようになったと話す。
「求人の取材に同行させてもらうと、相手の表情や声を見聞きしながら、編集される前の話が全部聞けるんですよね。その人の“人となり”を生で体感できるのは、面白さのひとつだと思います」
と同時に、シゴトヒトスタッフが取材から編集までをどう進めていくのかも知ることができる。
マニュアルがあるわけじゃないから、一緒にいろんな人と出会いながら、お互いが学び合える関係を築いていけたらいいなあ。
「そうですね。自分から主体的に関わる意志がないと、流れていっちゃうことも多いです」
インターンはこれまで、「コラムチーム」と「働き方を考える」チームのふたつに分かれて活動してきた。
「コラムチームでは、日本仕事百貨に掲載する新しいコラムの企画を立て、実際に書くことをメインにやってきました。スタッフの森田さんからフィードバックをもらって、通った企画は取材から編集まで担当しています」
過去にしごとバーのコラムを4回にわたって連載し、今後は日本仕事百貨を通じて採用に至った人のその後を追う「その後、どうですか?」を企画しているそう。
「企画を立てるときによく言われるのが、『誰にインタビューして、誰が読むの?』『どうしてそれをやりたいの?』っていうことなんです。特にどうしてやりたいのかっていう根本の部分が、実は欠けてしまいがちで」
「たとえば、日本仕事百貨の記事は過去まで遡って読むことができるけれど、応募した人がその後ほんとうに続いているのか、実際のところどう働いているのかが見えなくて気になったんです。そこから『その後、どうですか?』をやろうと考えました」
ケンタさんも、以前のスタッフ募集記事で「書き手、話し手、読み手の3つの当事者になること」が大事だと話していた。
この言葉を聞いただけではわからなくても、実際にやってみるとだんだんわかってくることのような気もする。将来編集の仕事に興味がある人には、きっと学ぶ機会の多い活動だと思う。
ちなみに村上さんは、これからどんなことをしていきたい?
「以前3回にわたって連載していた『世界仕事百貨』がすごく好きで。やっぱり国によって働き方が全然違うんですよ。インドの人とか全然働かないし(笑)」
「日本ではニートって言われるような働き方が、向こうでは当たり前だったりするんです。海外に出張するのは難しいかもしれないけれど、たとえば日本で働いている外国人にインタビューしてみたりしても面白そうですよね」
そしてもうひとり話を聞きたいのが、働き方を考えるチームの後藤さん。
美術大学に通う4年生で、日本画を専攻している。
後藤さんは、しごとバーの時間が好きだという。
「初対面の人たち同士、お互いの話に耳を傾け合っているのがすごく豊かで面白い時間だなと思って。わたしが自分からなにかを話せたっていう感じではないですけど、その場にいていろんな人の話を聞けたっていう体験が印象に残っています」
なかでも特によく覚えているのは、オペラナイトの日のこと。
「オペラ歌手の山野さんという方がいらっしゃる日で、お客さんも音楽や歌が好きな方、オーケストラで楽器を演奏されてるような方までいらっしゃいました。そんななか、はじめてしごとバーにこられた男性がひとりいらっしゃって」
聞くと、その人も歌うのが好きとのことだった。
けれども、オペラの楽譜を見たり、クラシックの話を聞いているうちに、どこか敷居の高さを感じているような雰囲気が伝わってきた。
「その方が、目の前で山野さんが歌ってくださったのを聴いて『鳥肌が立った』と。それから、『今日きてわかったことがひとつある』ともおっしゃってました」
わかったこと?
「『自分は歌うのが好きなんだってことが、改めてわかった』って、とてもうれしそうに話していました。オペラもカラオケで歌うのも、根本は同じだと感じられたみたいで」
「それだけ人の心を揺さぶる出来事がこの場で生まれているのがすごいなと、そのとき思いましたね」
講演やイベントに参加するのは敷居が高いけれど、バーだったら気軽にふらっと立ち寄れる。
だからこそいろいろな人が訪れ、思いがけず面白い出会いが生まれやすい環境になっているのだと思う。
そんな後藤さんが所属しているのは、「働き方を考える」チーム。
日本仕事百貨で過去に掲載してきた記事を読み返し、そこで大事にされている働き方、もっといえば生き様やあり方とはなにかを考え、言葉にしている。
たとえば、とある老舗旅館の女将さんは、とにかく目の前の人を喜ばせたいという一心でおもてなしをしてきたことがこれまで続いてきた秘訣だと語る。長期的な目標や広報戦略を立てなくても、口コミによって自然と縁がつながってきたという。
それは決してその人に限ったことではなくて、カウンターだけの小さなレストランを営むシェフや、つくり手さんと直接やりとりして仕入れた商品を販売する雑貨屋の店員さんも同じようなことを考えていたりする。
この人たちに共通する働き方は、「目の前の人に向き合う」ことなんじゃないか。
いろいろな仕事の記事を読み、感じたことを話し合いながら、こんなふうに少しずつ言語化する試みをしているところだそう。
「あるときケンタさんが、用意してきたように話す私を見透かして、『それって今考えてることかな?時間がかかってもいいから、相手と話をするなかでそのとき考えたことを話したほうがきっといいと思うよ』とおっしゃったことがあります」
「なにが誠実なあり方なのか考えさせられました。自信はなくても、なるべくそのときの自分なりの応えを出そうと思うようになった気がします」
生き方や働き方は人それぞれだし、答えがないもの。
だからこそ、やっぱりまずは素直に人の話に耳を傾けて、自分なりの考えを伝えることが大切なのかもしれない。
最後に、ケンタさんがこんなことを口にしていました。
「新しいリトルトーキョーもできたし、ここでいろんなことをやりたい。あとは、一緒に飲みたいね。机も自由につかっていいから、ここに入り浸ってほしい。そうするといろんな生き方・働き方に出会えると思います」
「遠慮する必要は全然なくて。毎日きてもらえたらうれしいし、卒業してからもきてくれるような人がいい。つまり、ちゃんと一対一の関係でいたいっていうことだね」
ここでなにかはじめてみたいと思った方は、まず応募してみてください。
いろんな出会いがあることを、わたしたちも楽しみにしています。
(2016/02/03 中川晃輔)