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縁の下の力持ち

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空飛ぶ風力発電機、好きなおばあちゃんにマフラーを編んでもらえるサービス、100万人で映画をつくるプロジェクト…

ちょっとびっくりするような見出しが並ぶ。でも、記事を読んでみると、分かる分かると頷けるような、身近な考え方からはじまっていることが多い。

そんな「自分ごと」にできそうなグッドアイデアを世界中から集めて紹介しているウェブマガジン、greenz.jp

今回は、greenz.jpを一緒につくる人の募集です。
「去年、震災もあってか、グリーンズと一緒に何かやりたいという企業さんが増えたんですね。だからお手伝いが欲しいという話になりました。」

そう話すのは、副編集長(通称:フクヘン)の小野さん。

今まで、グリーンズのメディアとしての収益は、広告枠としてバナーや記事広告を売るという方法が主だったけれど、一緒にイベントやワークショップを通してコミュニケーション戦略や商品企画、コミュニティづくりを一緒にやりたい、という依頼が増えてきた。

例えば、新しいハイブリットカーを販売することになったトヨタ自動車と一緒にやったのが、「AQUA SOCIAL FES!! Student Camp」。全国47都道府県から100名の学生を招待し、「マイプロジェクトをつくれるひとになろう!」をテーマにワークショップを開催した。これは、コンテンツの企画、運営、集客まで、全てにグリーンズが関わったそうだ。

今、そういった日々の依頼に窓口となり対応できるのは、小野さんを含めて2人しかいない。だから、企業に対して企画を提案する「プロデューサー」と「セールス」を募集したい。

「グリーンズと同じようなゴールを持った、社会をより良くしていきたいという企業さんからの依頼が多いです。そういう企業と読者を結ぶ方法って、まだ色々あると思うんです。やりながらもう少し、企業とグリーンズ(を含めたメディア)の関係だったり、新しいやり方を世の中に示せたらいいと思って。」

人手が足りないということもあるけれど、ただ今ある業務を補ってほしいわけではない。新しいやり方を一緒に考えてくれる人がいい。

実は、小野さんは仕事百貨の応募をみてグリーンズに入った人。あれから3年経ち、今度は募集する側になった。

入ったときのことを思い出してもらった。

「僕、全然思いきって転職していなくて。力んでもいなかったし、流れるようにここに来た、という感じなんですよね。」

大学時代までさかのぼると、小野さんは当時、環境政策を研究していた。エコマークによって消費者の心はどれくらい変わっているかが、卒業研究のテーマだったそうだ。

「もともとの問題意識は、世の中を良くしたい人はいっぱいいるのに、なんで世の中は良くならないのかな、という想いでした。ドイツには『ブルーエンジェル』というエコマークのようなものがあって、スーパーマーケットではブルーエンジェルのフェアをやっていたりするんですよ。1つのブランドになっているんです。でも、日本のエコマークはそうではないですよね。」

研究を通じて、世の中を良くしたいと思っている企業や商品と、良くしたいと思っている人を、どうしたら繋げられるだろう、というテーマが見えてきた。

卒業後は、広告のコンサルティングや制作を行うベンチャー企業に就職する。一見、環境問題とは離れたところに見えるけれど、なぜだろうか。

「国際協力機関や環境省に入るという考えも、一瞬頭をよぎったんです。でも、もうちょっと楽しい方がいいなと思って。」

楽しい方?

「世界の決まりをつくって守ってもらう仕事よりも、気付いた個人が社会を巻き込みながら変えていくというやり方のほうが楽しそうだと思って。決められたルールがあると、ルールに疑問が沸き前に進めなかったりする。あと、僕は学生時代にダンスをやっていたので、自分で動きながら楽しむ、身体性のあることがやりたかったんです。だからその会社を選びました。」

「入ってからは、風通しのよい会社だったので、新規事業を任せてもらえたり、好き勝手やらせてもらいました。でも、そろそろ自分でも何かしたいと思って会社を辞めて、友達とストリートからソーシャルな活動に取り組む人にインタビューするウェブマガジンをつくろうとしていました。その話は色々あって結局流れてしまったのですが。」

greenz.jpのことは、そのウェブマガジンをつくろうとしたときに参考にしていた。仕事百貨も好きで見ていた。そんなときに仕事百貨でグリーンズの求人を見つけ、応募した。
流れるように入ったけれど、そこからは少し大変だった。

というのも、小野さんが入ったのは、グリーンズが株式会社になって2年目のとき。どうやってグリーンズを事業として成立させるか、という議論の真っ最中だった。

「『グリーンズって何が売り物なんだろう?』ってところからはじまったんですよ。それで、記事でファンを増やしてメディアとして成長してきているのだから、それを武器にしてマネタイズをしよう、という話になって。」

「でも、他のメンバーはコンテンツづくりには熱心だったけど、お金を儲けていくことにはあまり興味がなかったんですね。興味ないだけではなく、協力してくれない。だから最初は、『なんで協力してくれないんですか』ってよく言っていました。良い記事を書くのも大事だけど、会社を続けるために、お金稼ぐことも考えてくださいよ、と思っていました。」

はじめ、小野さんは、そんな編集命!のメンバーたちに対して孤独を感じていた。

「孤独だったのは、僕が至らなかったからだと思うんです。実力がついて、実績が伴ってはじめて、ちゃんとメンバーたちを巻き込めるようになってきました。」

「グリーンズは今年、NPO法人になったんですけど、会社をこういう風に運営しよう、という資金繰りの話も多くなって、お金の話もシビアにやっています。そういう話もしっかりできるようになりました。」

良い記事をアップして読者に喜んでもらうことも大切だけれど、それを実現するためには、グリーンズを事業として成り立たせなければいけない。そして、そこを考えるのが小野さんの仕事だ。

小野さんが好きな言葉のひとつに、「買い支える」という言葉がある。

「greenz.jpって読むのは無料じゃないですか。だから、読者のみなさんからお金をいただく方法を考えたいと思っています。雑誌って読者からお金をいただきますよね。その人たちは、その雑誌のファンだから購入する。そういう、買って支えてもらう『買い支える』仕組みをつくりたいんです。そうすれば、今ファンでいてくれる人たちが望むコンテンツをずっと提供できる。」
その一環として去年の6月からはじまったのが「green school Tokyo」。講師を招いて、アイデアを形にする方法を学ぶ学校だ。

「greenz.jpの周りには、僕らが取材対象にする人より、その記事を読んでいる人の方が圧倒的に多いはずです。そういう読者層の方々が、希望すれば取材される側にも成長していけるようなプロセスをつくりたいと思いました。」
green school Tokyoは、そんな小野さんの想いからスタートした。
「やる気があれば、事業やコンテンツをつくれる可能性は高いと思います。ただ、さっきも言ったように、他のメンバーを巻き込めるかどうか、ですよね。それはその人の熱意と根性次第です。」

どんな人に来てほしいのか、聞いてみた。

「アイデアを出せる人は沢山いるので、沢山あるアイデアをどうやって事業として成立させるかまで、一貫して考えられる人がいいですね。エディターを募集しているのであれば、面白い企画を出せるかどうかが大事だけど、求めているのはプロデューサーとセールスなので。企画を立てつつも、その事業性を考えて、ちゃんとお金を生める人がいいです。」

アイデアを出すところで終わらず、実現するところまで考えられる人。プロデューサーは、いきなり最初から最後まで考えなければいけないので、ある程度ビジネスの経験がある人がいいかもしれない。セールスは、まずはあるものを売り込むところからはじまるため、未経験でもいいそうだ。

株式会社を経て、NPO法人となったグリーンズ。今年のはじめには、ひとつの節目として『ソーシャルデザインー社会をつくるグッドアイデア集』という本も出版した。

仲間を増やして、これから小野さんが実現したいことは何だろう。

「うち、代表も編集長もすごく自由なんですよ。お金を儲けていくことよりもコンテンツづくりに熱心だし、突然沖縄か京都に移住したいとか言いだすし。前は、『そんな子供みたいなこと言わないで仕事してください』って言ってたんですけど、それは僕と同じスタンスを求めるから出るフラストレーションでしかなかったのだと思います。今は、そういう人たちなんだ、それが大切なんだ、と思っています。むしろ、こんな人たちが楽しく働けるグリーンズってすごいなと思って。」

「みんなそれぞれ夢を持っているので、僕はそれを全て成立させたい。夢物語ではなく、難易度の高いことでもチャレンジできるような、ちょっと失敗しても暖かく見守れるような、そんな環境をつくりたいんです。今、企業とのメディア事業があるからみんなのお給料が生み出せて、望むことができていると思うので、それが僕の存在意義だと思いますね。」

みんなが実現したいことを叶えるのが、小野さんの夢?

「今はそうなってますね。そのために、メディア事業やスクール事業でマネタイズをしっかりすること。ゆくゆくは、eコマース事業をやったり、宿泊施設をつくって学べるツアーを企画したりなど、僕自身がやっていきたいことも沢山あります。でも、それをやるためにまずはちゃんとメディアとしてのグリーンズを成立させていかないといけないと思っています。」

「僕、グリーンズに関わりはじめてから、雇われている感覚がないんです。それは、グリーンズが好きだからだと思うんですね。グリーンズの名前だけ借りて何かやりたいって人ではなく、内側から一緒にやってくれる人に来てほしいです。」

メディアを成立させ続けるためには、お金を稼いで事業を回さなければいけない。それは、素敵なことや面白いことだけを追求できる華やかな世界ではないけれど、一番大切なところ。小野さんと一緒にグリーンズを後ろからぐっと支えられるような人のご応募、お待ちしています。(2012/8/20up ナナコ)