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できるんちゃう?

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

東京生まれの僕は、大阪のまちをちょっとだけうらやましく思いました。
それは、スマイルスタイルと出会ったから。
この人たちに会うと、「自分にも何かできそうだな!」そんな気持ちになれるんです。

スマイルスタイルは大阪を拠点として、さまざまな社会的課題にクリエイトを通して取り組むNPO法人。プロジェクトはユメコラボ、高校生がつくるいしのまきカフェ「 」、まちときどきカエル、ロイヤルオモテナシーなど。その一つ一つがわくわくさせてくれます。

今回は、「ディレクター」「事務局長」「PRマネージャー」をはじめ、これからのスマスタを一緒につくっていく人を募集します。

代表の塩山さんにお話をうかがいます。

「今一番力を入れているのが『レイブル応援プロジェクト大阪一丸』。大阪って笑いのまちのはずなのに、今では生活保護受給者数やニート状態の若者の増加などさまざまな問題だらけで、なんだか笑えない状態。そんな大阪を再び笑えるまちにするためには、まずは若い人がいきいきと働けることが大事だと思うんです。」

そんな塩山さん自身、引きこもりの時期があった。けれど、周りの人に支えられたおかげで外に出ることができた。今度は塩山さんが誰かを支える存在になりたいと思っている。

「実際にニートのなかには、働きたいという意志を持って行動している人たちがいます。けれど、そうした人たちの就業支援を企業に提案してもよい反応はかえってきません。その原因は、多くの企業でニートはただの怠けものというイメージがあったこと。そこで、意志あるニートの印象を変えるため「レイブル」(late bloomer/レイトブルーマーの略、遅咲きの意)という言葉をつくりました。」

これまでに「大阪レイブル100人会議」と称してレイブルが集まり、どんな風に働きたいか、そのためにはどういった課題があるかを話しあう場をもうけたり、理解ある企業でレイブルがインターンシップに入り、そのままエスカレーター就職を狙う「大阪レイブル超就活」といった就労支援を実施してきた。

スマスタのプロジェクトは、話を聞いているうちにわくわくして、自分も参加したくなるのが魅力の一つだと思う。巻き込み上手と言うのかな。気づくと、一緒に行動したくなっている。

眉間にシワを寄せて考えたくなるような課題を人にわかりやすく、ときに楽しみをもって伝えるのは簡単なことではない。制作過程では生みの苦しみがあると思う。どんな人がどのようにつくっているんだろう?

各プロジェクトの企画書を手がけているのがハットリくんのお面をつけた田川さん。スマスタ創立メンバーの一人で、制作チームの責任者を務めている。田川さんの役割は、制作におけるコンセプト決めや、ディレクターとしてプロジェクトの進行管理を行うこと。

以前は塩山さんが営業を行い、いただいてきた仕事のコンセプトを田川さんが考えてきた。けれど大阪一丸のプロジェクトと出会った田川さんは、クライアントと直接話がしたいと、以前よりも強く思うようになった。

「相手がほんまに思っていることは、自分の目で見て考えることが必要と思うんです。クライアントの言葉、温度観、そのときの表情。そこから、『言葉ではああ言っていたけれど、ほんまに伝えたいのはこういうことじゃない?』と考えていく。塩山から聞くのもいいんですけど、ほんまは自分で営業に出ないとダメや、芯になるコンセプトをつくる自分自身が現場に行ってこそ、企画の質は上がっていくと思うんです。」

目の前の課題や人に向き合って、よりよい提案をしたいと思うと、仕事の幅は広がるんだろうな。

仕事百貨での前回の募集を見て、スマスタに入社した箭野(やの)さんに話を聞いた。応募当時、箭野さんは大学4年だったので、半年間のインターンを経て今年の4月に入社した。「仕事が楽しくて平日が待ちきれない」というしーちゃん、こと島田さんの話を読み、こんな人たちと働きたいと応募した。

実際に働きはじめてどうですか?

「楽しいだけじゃないだろうとは思っていたけれど、今は土日の方が待ちきれへんくらい(笑)、平日は全力で働いています。ただ、毎日がすごく充実しているな、とむっちゃ感じます。」

今は、制作チームでポスターやDMのデザインをしながら、レイブル向け就職サイトであるハローライフのライターやレイブル100人会議の運営も担当している。

箭野さんはインターンをしながら、自分の同級生の就職について考えるようになったという。

「私は美大出身なんですが、周りを見ると卒業までに就職する人がほんとうに少ないんです。思いが強すぎて合う会社がなかったり、技術はあるのに自分に自信が持てなかったり。結果としてレイブル状態になっていたりもします。でも一人ひとりには魅力があって、それを人に伝える方法はないのかなぁと考えていました。」

「そこで、卒業制作では同期のインタビューコラムをつくったんです。コラムを通して、『私から見たあなたはこうだよ』ということを本人に伝えられれば、自信が持てたり、何かのきっかけになるかもしれないと思って。学生の頃は、あまり意識していませんでしたが、実はそれって企業とレイブルの間に入って関係をつなぐ、大阪一丸の取り組みにつながってきているんじゃないかなぁと思います。」

スマスタのメンバーは、実際にどのようにレイブルの人たちと関わるのだろう。

タニパンマン、こと谷口さんは今年6月からレイブルと企業の橋渡しをするコーディネーターとして働いている。印象に残っているレイブルの人はいましたか?

「個性豊かな人ばかりです(笑)。そのなかでも、特に印象的な男の子がいて。インターンとして働く企業の面接中も笑うどころか、ほとんど表情がなくて。それでも理解のある会社さんで働かせてもらう事になったんですね。」

「職場がすごくいい方ばかりでした。彼が笑うように愛情を持っていじり倒してくれて。そんで彼が笑ったら本当にみんなで喜んでくれるんですね。彼は長いこと人と接する機会がなくて、笑い方がわからなくなっていた。でも働きはじめると、笑顔が出てきてどんどん変わっていきました。インターン後の役員面接は忘れられません。取締役が『きみはこれからどうしたいんや?』と聞くと、背筋をピーンとさせておっきい声で『僕は、働きたいです!』と言ったんです。彼は正社員になることを目指して、今もそのお店でアルバイトとして働いています。」

レイブルとの関わり方は就職後も続いていく。ある日スマスタのメンバーで、その彼が働くお好み焼き屋に行ってみた。彼がつくったサラダを食べて、スマスタメンバーが「おいしーい!」と大きな声で伝えると、スタッフのみなさんが「おいしい、いただきましたー!」と合いの手をいれてくれた。帰るときにその彼は、はにかみながらも見送りをしてくれたそう。

最後に、前回も登場したワクワクメルヘンクリエイターのしーちゃん、こと島田さんの話を聞いた。彼女は今どんな仕事をしているんだろう。

「私は今、高校生がつくるいしのまきカフェ「 」(かぎかっこ)というプロジェクトに取り組んでいて、11月にオープンしました。「 」では、お店の名前、コンセプト、ロゴ、メニュー、空間デザイン、イベント企画、営業、情報発信まですべてを高校生が行っています。」

しーちゃんが基本的なヒントだけ伝えると、高校生たちはどんどん自分で考えていくという。

「私たちよりも枠にとらわれず深く考えますよ。たとえば、指でかぎかっこの形をつくったロゴマークってね、両方とも手の甲を見せてるんです。だから2人いてはじめてできる形。一人ではなくて、みんなでつくっているんだということを表しているんです。そんな風に、ただかっこいい、かわいいだけじゃなくて理由が大事ということも伝えています。」

どうして理由を大事にしているんだろう。

「スマスタ自身が意識していることですが、何をするときも、“理由”がある人は強いと思うんです。“なんとなく”だとブレて続かない。どうして自分はこういうことがやりたいのか、どうしてこのデザインにしたのか。そうした理由があると人は強くなれるし、自分の居場所が見つけられたり、仕事が楽しくなってくる。「 」が高校生にとってそうした場になればと思います。」

高校生は一人一人が持っている特性をいかしてイベント企画、情報発信、マネージメントといったチームに入り活動していく。しーちゃんはDM片手に「この子はダンスが上手でね、この子はファッションが好きで、」一人一人のことを紹介してくれる。なかでも特別にうれしかったのは一人の女の子から手紙をもらったときのこと。

「彼女は昔、学校では全然前に出られなくて。面白いことも考えるんだけど、スベったらどうしようと考える子だったみたい。でも手紙には、「 」に参加してから、発言することやゼロから考えることが面白くてしょうがなくなりました、世界観が変わりました!と書かれていて。「 」はただの思い出づくりじゃなくて、ここからはじまっていく場という感じがします。彼女たちが大人になっていくときに、どこかで今の経験がいきてくれたらうれしい!」

スマスタは塩山さんいわくサッカーチーム。メンバーは背景も得意分野もばらばらだけれど、それぞれが強みをいかして点をあげていく感じがする。

「僕は営業なんですね。人と接するときに力が出るし、レイブルの問題にも強い思いを持っている。まわりには最高のパスをくれるメンバーがいて。田川がコンセプトを考えて、しーちゃんが最高のデザインに落とし込んでくれる。だから、僕は自信を持ってゴールを決めることができるんです。」

「しーちゃんがいるから「 」がある。タニパンマンがいるから大阪一丸がある。一人一人がいないと成り立たないんですね。スマスタは、何をするかよりも誰とするかを大切にしていきたい。これから一緒に働く人にも、自分の居場所を見つけていってほしい。そのための環境づくりにはみんな協力していきます。あとは自分が動けるかどうか。社会を変えていくというキーワードで、学校やカフェをやってもいいかもしれない。どんな関わり方だって考えられると思う。」

最後に伝えておきたいことはありますか?と聞くと「大変やぞぉ!」とハットリくん。そうなんだろうな。でもこの人たちとなら、なんだか乗り越えていけそうな気がする。やれる自分になっていけそうな感じがする。

まずはスマスタのみんなに会ってみてほしいです。きっと、「できるんちゃう?」って予感がしてきます。(2012/11/9 はじめup)