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知を育む倉庫

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

「倉庫」という言葉から、どんなイメージが浮かぶでしょうか。

一般的には収納・保管というイメージがあると思いますが、今回募集する川岸倉庫では文化を「発信」していく倉庫をつくろうとしています。

多様な人が集い、コミュニケーションや考えを共有するオルタナティヴスペースを目指します。
01 かつては倉庫街だった埼玉県戸田市。

今では住宅街となり、多くの人が生活をしています。

そんななか熊木英雄建築事務所の代表である熊木英雄さんが見直したのが、人と人をつなげる場でした。

「都心だと文化的に魅力のある場所があり、そこにいろんな人が集まっています。しかし、戸田市にもそんな文化を発信する場所がもっとあったほうが良いと思うのです」

「そういった機能を担う場所があれば、ここで暮らす人もより楽しくなると思いますし、何かやりたい人はここを利用して様々な可能性をつくってほしいですね」

地域のために、アイデアを提案する。そんな環境が生まれようとしています。

今回は新しくできるコワーキングスペース「川岸倉庫」を中心に働くコワーキングスペースオーガナイザーを募集します。

イベントを企画したり、地域の中心となる場づくりに興味がある人。新たな場所の立ち上げを通して自分のスキルを高めたい人が向いているかもしれません。

 
新宿駅からJR埼京線で20分、戸田公園駅に着きました。

駅から歩くこと7分。見えてきたのは倉庫のなかに建てられた変わった建物。

02 ここにはシェアオフィス&コワーキングスペースと熊幸倉庫、熊木英雄建築事務所が入っています。

なかに入ると、外見のイメージとは異なった空間が広がっていました。
k03 迎えてくださったのは代表の熊木英雄さん。

大学卒業後に設計事務所へ就職。31歳まで日本で働いたあとに、海外で働くことを決めます。

04 「イギリスの設計事務所をいくつか受け、『ノーマンフォスター』という建築事務所に受かったんです。そこではパリのプロジェクトやロンドンのヒースロー空港の設計に携わることができました。400〜500人が働くような組織の会社で、とても充実した働き方でしたね」

大きな会社で様々な設計に関わった熊木さん。2年程働いるうちに、働く環境に変化が訪れました。

「スタッフが17名という事務所から誘いがあったんです。海外に来て大きな会社で働く経験ができて充実する一方で、小さい会社での働き方も面白そうだなと思い転職しました。そこは倉庫を改築したオフィスになっていて、とても面白い環境でした。働き方や人間関係が僕の望んでいたイメージとフィットしたんです」
05 5年ほどイギリスで働いたあと、日本で会社を設立した熊木さん。場所を転々としてきたなかで感じることがあった。

「はじめは恵比寿や板橋などのシェアオフィスを借りていたんです。お手頃価格だったのでスタートアップには良かったんです。でもやっぱり自分が作った空間にお客さんを呼べるようになりたいと思ったんですよね」

「そして、そういう空間をもっと身近で無理のない経費でつくることが必要だと思ったのです。そんなときにこの場所が使える機会に巡り合いました。私にとっては自宅も近く、ラッシュアワーに疲労して通勤することもなく、家族と関わる時間も増やしたいと思い始めていたので、都心以外でも仕事ができなければいけないと考えていたんです」

そんな思いから働き方を変えようと決め、この場所に事務所をつくりました。
06 関係性が充実していたイギリスの設計事務所での経験、自身が経験したシェアオフィスの在り方が、川岸倉庫につながったのかも知れません。

同時に、建築事務所の捉え方を見直したかったと話します。

リノベーションや改築といったことを相談するにも、都心以外では設計事務所に頼むということに対して敷居が高いと思われがちです。

ここで暮らす人が設計事務所に気軽に相談できる為にはどうすれば良いのかを考えたときに、実際に手がけた空間を観てもらうことが距離を縮めるひとつの方法だと思いました。

「駅からも近かったので、イベントを通して自らが手がけた空間を間接的に来訪者に体感していただけると思いました」

そんな思いで2014年10月にここへ拠点を移す。

文化的なイベントを共有できる場、ここから文化を広げていく。そういった価値観をつくるために、いろんな可能性を受け入れます。

「知をはぐくむ場所としてこの場所を利用して頂ければと思います。またビジネスコミュニケーションの場でも在りたいと考えていますね。いろんな企業を招いたり、自社の悩みを相談したり、社内では解決できない問題をここで解決できるといった環境もつくっていけけたらと思います」

「ビジネスをやっている人たちがここにきて仕事の紹介や会社相談、そこから仕事につながるのもいいと思いますし、例えば自社のHPをリニューアルするにあたって、隣にこういう人がいるよっていう紹介やコミュニケーションを引き起せる場になればと思っています」

そういった個人や企業での関係性を良くするために、中心となる『顔』が求められる。

07 (1) コワーキングスペースをとりまくオーガナイザーとしてさまざまな企画を提案し、運営していく存在。あらゆる展開を複眼的に計画するスタッフです。

どういった人が向いているのでしょう。

「この場を利用する方々をつなげられる人がいいですね。いろいろな人と出会えることを楽しめて、人の話を聞けるヒトが向いているかな」

さまざまなものをつなげる中間的立場になる。

「あとは、地域活性化に興味がある人ですね。戸田市においていろんな方に来てもらって楽しんでもらえる新たな場所になればなと」

今回の倉庫をつくるにあたり、あることに気づく。

それは、街の変化に順応した場所づくりの重要性でした。

ただ新しいものをつくるのではなく、目の前にある資源をつかって、いかに社会に反映できるか。そんな一貫したスタンスが見えてきます。

前例がない場所では、使い方もより考えられる力が求められるのかもしれません。

「地方都市にもシェアオフィスやコワーキングスペースはいくつかあるのですが、ここではこの地域に合致したいろんな可能性を考えながら模索していける方が必要なんです」

ここを訪れてどういった場所なのかを理解し、その中でできることを探せる、フレキシビリティな力が求められます。

 
続いて話を伺ったのは熊木倫子さん。

現在は英雄さんとともに、経理やコワーキングスペースの立ち上げをサポートしています。

09 (1) ここのあり方を話してくれました。

「コワーキングスペースですから営業の帰りに立ち寄って仕事ができたり、他の利用者とコミュニケーションもでき、気分転換できる場所になってほしいですね。スタートアップオフィスとして使うこともできますし、会議室もあるのでそこを利用して打ち合わせもできます。ちょっとしたワークショップなんかもできるスペースとして活用して頂けたら良いのかなと思います」

何か具体例はありますか?

「例えば主婦の方々にも何かイベントをやるときに集まる場所って必要で。公民館とはまた違った、新しい場所としてここを利用できるようにもしたいです」

様々な方が行き来する場所では、コミュニケーションがとれる方が望ましいのでしょうね。

「そうですね。ここの雰囲気づくりにも一役買ってもらって、ふらっと来て『こういうスキルをもった方を探しているんだけど、できる人いない?』っていう相談なんかにも乗れたり、人と人を自然につなげられたりできる人が良いと思いますね」

「若い人だけが集まる場所にもしたくないですし、年配の方が訪れても対応できる方が必要なんです。来てもらえるお客さんに疎外感だけは感じて欲しくないので」

具体的にどういった仕事内容になるのでしょうか。

「普通大きな会社だとある程度やるべき仕事が与えられ、それに従っていくと思うのですが、ここは小さな会社です。そして今回は川岸倉庫の共同企業体である㈱熊幸倉庫での採用です。コワーキングスペースのオーガナイザーとしての仕事は熊幸倉庫の仕事と重なる部分も多いですので倉庫のお仕事もやることになると思います」

「代表も私もそうですが、掃除といった業務からイベント企画のような進行まですべてに携わっています。些細な業務も自ら把握して推進しなければいけないので、主体性のある方が向いているのかな」
10 ある程度の経験は必要なのでしょうか。

「コーディネーターといったスキルはそこまで求めていないのですが、やはり全体が見ることができて、利用者を把握してみんなのニーズに応えられるといいですね。最初は大変だと思いますが、話していく中で自然とできていくと思うので、何か特別なスキルが必要とまでは思っていないです」

川岸倉庫は今夏オープン予定。ある程度の資質は必要になるものの、場所としてのあり方は使っていく中で熊木さん達と一緒に見出していってほしいとのこと。

例えば月一で何か企画をしたり、オープンオフィスみたいなイベントを企画して実行することは可能ですか?

「そうですね。そういった企画を考えつく方であれば嬉しいですね。月一と言わずできる範囲でなんでもやってみてください。トライ&エラーでいいですから、それを楽しんで次に活かせるような、前向きな方がいいですね」
11 「初めての試みなので、ここが活発になるアイデアを一緒に考えたいですね。また、ずっと居たくなるような居心地の良さも求められると思っています」

新しい枠組みから、さまざまな知が育まれるのかもしれない。

ここがどういった場所になってほしいか。倫子さんが話してくれました。

「この周辺はボートレースが盛んで大会が多いんです。大会の日は多くのお客さんが訪れて行き来するので、そういう人たちにもここを利用して欲しいですね」

最後に英雄さんの言葉を。

「私たちも戸田市は地元ですから、ここで頑張っている方々と一緒に頑張りたくて。近場にカフェができたから様子を伺いにみんなでお昼を食べに行ったりすることもありますね」

「私たちの仕事やこの空間の面白さ、このエリアの魅力をこの空間を使ってもらうことで広まっていければなと思います」

12 この倉庫を通して、アイデアやワークスタイルが共進化していくのかもしれません。

可能性を広げるオーガナイザー、人と人をつなげる働き方が気になる方は是非川岸倉庫シェアオフィスに訪れてみてください。

(2015/7/14 浦川彰太)