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あいちの課題を見える化する

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自分の住む地域課題について、真剣に考えたことはありますか?

001 愛知県内の地域課題を「見える化」し、その解決に挑むNPOへ資金を融通することで、問題解決に取り組む財団が「あいちコミュニティ財団」です。

「誰かがどうにかしてくれることを待っていられなくて、自分がその解決の担い手になると覚悟を決めた人たちがNPOとして立ち上がるんです」

そう話してくれたのは、あいちコミュニティ財団の代表理事である木村真樹さん。

「しかし、そういった活動ってマイノリティーなチャレンジでもあるので、孤独感を感じるんですよ。そこで、一緒に頑張ろうと応援し、活動の認知度を高めていく支援が必要だと思ったんです」

2013年に653名の発起人から集まった寄付により設立され、2014年には公益財団法人として愛知県から認定を受けました。

多くの支援から設立されたあいちコミュニティ財団で、愛知という街がより良くなるための活動を支援する。

そんな活動をおこなう事務局スタッフを募集します。

専門的な経験や知識は問わないとのこと。

それよりも大事なのが、一生懸命さや素直に自分をさらけ出せるかということ。

設立して2年半とまだ日は浅いですが、活動内容や関わる団体さんも多岐にわたります。

ソーシャルセクターやNPO、ソーシャルビジネスといった働き方に興味がある人にとっては、さまざまな取組事例やファンドレイジングの経験もできる環境なので、成長のステップとしてはとても恵まれている場所だと思いました。

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愛知県名古屋市。

最寄りの新栄町駅から歩いて10分ほどの場所に事務所があります。
フロアは大きな空間となっており、さまざまなNPOが同じ空間で働いていました。

はじめに代表理事の木村さん。わかりやすい表現で、これまでの活動を話してくれました。

003 生まれも育ちも愛知県だった木村さん。大学は県外だったものの、地元に役立つ活動をしたいと思い、金融業へ就職する。
「融資担当だったんですが、融資をさせてもらえない時代にたまたま就職してしまって。地域の役に立ちたいという思いで入社して、融資という手段を得たものの、地域の要求に応えられなかった」

そんなとき、地元の課題解決にチャレンジしている人たちに出会い、NPOの面白さにふれる。

そこで話を伺うと、多くの人は資金に困っていることに気づく。

「そこでおかしいなと思ったんです。金融機関にはお金があるものの融通できず、同じ地域の課題解決にチャレンジしているNPOはお金がないと話していて。お金はあるのにうまく回っていなかったんです」

その現状をなんとかしたいと思い、銀行に融資を断られたNPOを融資で応援する『momo』というNPOバンクをはじめることに。

しかし、活動も順調に広がっていくなか、東日本大震災が起きる。

「そこで、これまでの活動が自己満足だと思ったんです。僕らは地域のお金を地域の課題解決に活かしていく取り組みをしていたのですが、地域で動いているお金ってもっと大きいし、このまま続けたところで世の中は変わらないと思って」

融資というのは、支援のなかでも選択肢の一つにしか過ぎない。

「実際に震災のときは寄付がすごく集まりました。問題を共有できれば、人はお金を持ち寄ることができるという経験をしたんです。その意識は、これからの愛知の未来を見据えたときにも必要な仕組みだなと思い、新たに財団を立ち上げる準備を始めました」

その準備の話を聞くと、あいちコミュニティ財団の面白さと地域に対する真剣な向き合い方が見えてきた。

「普通なら僕とスタッフがお金を持ち寄ってはじめるのが起業なんです。でも地域や社会にとって必要な仕組みをつくる上で、これは自分たちだけでお金を集めるものなのかという疑問が浮上したんです」

自分たちの地域や社会に対して関心をもつ人を増やしたい。

そんな当事者意識を育みたいと思う中で、ただ身内でお金を集めたところで地域や社会のことは他人事になるだけだと考えた木村さん。

そこでおこなったのが財団設立に必要な資金の寄付集めに挑むということでした。

「118日間かけて寄付募集をおこない、653人の方が1口1万円の寄付を、総額950万円以上をいただいて設立しました」

信じて託されたお金(“志金”)を地域の未来をつくるNPOに融通する。

一貫して信頼の中で築いてきた協力者との向き合い方が、コミュニティ財団の価値をつくっていきました。

004 「“志金”を集めるという成功体験を立ち上げ時に経験させてもらったのは非常に大事なことだと思いましたね。やっぱり『お金集め』って考えるとノルマになって大変なんですが『共感集め』と考えると、自分たちの仲間やファンを集めている感覚になって楽しくなっていくんです」

「また、資金調達する人のことを『ファンドレイザー』と呼ぶのですが、僕らの関係は『ファンド』ではなく『フレンド』だなと。だから『フレンドレイザー』って呼んでいます」

しかし、ただ応援すればいいというわけでもないようだ。

「社会的認知を上げていくことが僕らの活動ですが、わからないことは率直にわからないと伝えることも必要です」

「応援したいと思っている活動を僕らが理解できていなかったら、他の人にも全然伝わらないと思うんですよね。コミュニティの財団なので、人の関わりや仲介で、おせっかいすることも必要なんです」

少しでも疑問に感じたらコミュニケーションをおこなう対応も必要なんでしょうね。

「そうですね。そういった嫌われ役になってでも本筋を伝えていく・訴えていくということが重要なのかなと。本心で話すことを避けていたらいつまでたっても変わらないと思うので、踏み込んでいくということは必要かなと。NPOはチャレンジをしている人の集まりなので、それに負けずいろんなチャレンジを実現したい方を求めています」

 
続いて話を伺ったのは事務局長の長谷川さん。

005 はきはきと活動について話す姿を見て、自分自身の手掛けている活動や企画に対して、とてもやりがいを感じて取り組んでいるんだなと感じました。

大学生のときからNPOやボランティア活動に興味があり、就職は社会貢献に力を入れている地元の企業へ。

しかし、社内のボランティア活動に参加したものの、NPOやNGOといった外との接点はなかった。

「ちょうどその頃に木村の活動も知って。仕事以外のことで何か一歩踏みだしたいという気持ちがあったんです。ここに行ったら何か変わると思い、踏み出してみたのが『momo』に関わるようになったきっかけですね」

はじめは活動や金融に関する知識は一切無かったものの、メンバーの暖かさや人柄に惹かれて活動に関わることに。

その後、コミュニティ財団の立ち上げを機に地元の企業を退職。立ち上げて3年目を迎え、手探りの状況ではあるが取り組むべきことは数多くあるという。

006 そういったなかで、今回の役割は「プログラムコーディネーター」。

寄付者とのコミュニケーションをとりながらも、団体さんのサポートもとっていく立場になる。

また、今年度から新たに取り組みとしておこなっていく「カンパイチャリティ」というプロジェクトを担っていくスタッフとしても活動するそう。

「お店で『寄付つき商品』というものを頼むと、その売り上げの一部が寄付になるという仕組みで。たとえば、生ビール1Lにつき何円といったシステムを企画しています」

「たとえばそのプログラムのウェブサイトをつくったり、その普及啓発がどういう仕組み・仕掛けをつくっていけば良いかを一緒に考えられたらなと」

コミュニケーションスキルや状況を見てサポートにまわるといった臨機応変さも重要なのかもしれない。

 
続いて事務局スタッフの佐藤さんと山田さんにも話を伺ってみることに。

007 山田さんは静岡に住んでいましたが、名古屋に移住。

新しい環境に入ったからこそ、さまざまな課題が見えてきたと言います。

「この仕事を通して、地域の良い面と悪い面が見えてくるんです。この地域の課題を知ることで、自分の地元のいいところ・悪いところにも活かせるかなと思いました」

働くなかで、やりがいを感じるときがあるという。

「ここでいろんな人に巡り会えたことが特に充実しているなと思います。スタッフはもちろん、ボランティアさんやNPOの方々など。さまざまな方が一つのことに向かって一生懸命取り組む環境には、毎回とてもやりがいを感じています。そういう楽しさは仕事のなかで感じますね」

日常的な業務の中からそういう環境に入り込めるのはいいですね。

どういった方がこの環境に向いていると思いますか。

「小さなことでも困ったことや疑問に思ったことに対してしっかり立ち止まれる人ですね。周りや前の人がやっていたからと言ってその通りに動いてしまうと、結局自分の思いがわからなくなってしまうと思うので」

008 続いて佐藤さんも話してくれた。

「あとは、寄付者やボランティアなど、たくさんの方に関わってもらうことになるので、おもてなしができる人ですね。100点じゃなくていいので、関わる人に不快な思いをさせないということがどういうことなのかを理解している人がいいですね」

佐藤さんは、NPO・NGOスタッフを目指す人の育成プログラムに参加した際に、代表の木村さんと出会い、あいちコミュニティ財団へ。

様々な思いがある中で、ここまで続けてこられた理由があるという。

「助成先の方と、この事業が終わるまで一緒に走ろうっていうことの繰り返しなんですよね。とりあえずゴールまで行こうという感覚というか。きついことも当然ありますが、終わってみると楽しかったなと思うので、いつも期間中は全力で応援しています」

009 最後に木村さんの言葉を。

「この活動を通して、地域に参加する人を増やしたいんです。地域や社会に対する当事者性を育みたいと思っていて。地域や社会のことって他人事になりやすいんですけど、自分のことにしてもらいたいと思っています」

「そんな中で、寄付で終わらせるのではなく、ボランティアや寄付以外でも、さまざまな関わり方を模索していきたいと思っています」

愛知の街をどう変えられるのか。さまざまな団体とどんなことができるか。

その想いをかたちにできる仕事が、あいちコミュニティ財団にはあります。

(2015/8/31 浦川彰太)