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新しいものづくりに挑む

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

「仕事は楽しくやりたいし、いろんなことに挑戦したいと思ってもらえる人でないと厳しいと思いますよ」

「基本的にはみんなよく働きます。面白いし意義があるから、少々きつくてもやりたい。そう思える仕事しかやらないと決めているんです」

issue+design(イシュープラスデザイン、以下「i+d」)は、地域の課題をデザインの力で解決するNPO法人です。

P1020867 たとえば、大地震に伴う津波が起きたとき、自分の今いる場所でどう対処すべきかがわかるWebサービス「ココクル?」を開発したり。

地域の人との出会いを楽しむためのガイドブック「Community Travel Guide」をつくったり。

全国200以上の自治体の母子健康手帳をリデザインしていたり。

産業の衰退や自然災害、医療福祉や子育て・教育の問題など、対象とする課題は幅広く、地域もさまざまです。


ただ、なんでもかんでも仕事にしているというわけではありません。

大事にしているのは、「実感」と「挑戦」だと思います。

自分たちや地域の人たちが、自分ごととして「実感」しながら課題に向き合っていくこと。

そして新しいことに「挑戦」し続けること。

今回は、高知県佐川町を舞台にスタートする「さかわものづくり大学」を中心となって運営していくスタッフを募集します。

新しいことへの挑戦を楽しみつつ、困難にぶつかってもなんとか前に進もうと努力できる人ならば、特別な経験やスキルは問わないそう。

まずはi+dのこれまでの歩みについて知ってみてください。


東京・赤坂。

地下鉄の出口を出てすぐ目の前にそびえ立つ赤坂Bizタワー、そのなかの一室にi+dは拠点を構えている。

はじめに、代表の筧さんが今に至るまでの話をしてくれた。

P1020894 「もともと、博報堂でマーケティングや広告をつくる仕事をしていました。それはそれですごく楽しかったのですが、どんどんつくっては消えていく仕事なので、もう少し具体的な形で社会に残る仕事をしたいなあという想いもありましたね」

そんな想いを抱えながらニューヨークへ出張にいった際、9.11のテロが目の前で起こるという衝撃的な経験をする。

これがきっかけとなり、社会課題を解決するためのデザインを勉強し直そうと決めて、東京大学の都市工学専攻の博士課程に入った。

そして在学中の2008年、studio-Lの山崎亮さんらとともにi+dを立ち上げる。

当時は地球温暖化の問題や、洞爺湖サミットの開催に伴い、エコや途上国での水不足問題が取り沙汰されていた時期。

最初のテーマに選んだのは震災だった。

そのタイミングで震災を取り上げたのは、なぜでしょうか。

「仲間と議論するなかで、日本人がリアルに考えられる課題がいいよね、という話になったんです。日本は自然災害の多い国だから、防災の領域はノウハウもたくさんあるし、きっと世界に貢献できる課題だろうとも考えました」

阪神淡路大震災からおよそ15年が経ち、全国的に震災の記憶が薄れてきたころ。“神戸にもう一度直下型の地震が起きたとき、どんな問題が発生し、その課題解決の上でどんなデザインができるか”を考えるプロジェクトとして、完全にプライベートではじめた。

このプロジェクトから生まれた「できますゼッケン」は、ボランティアのスキルを可視化するツールとして、のちに東日本大震災でも活用されたそうだ。

SONY DSC ときを同じくして神戸市がユネスコのデザイン都市に認定、i+dと共同で予算をつけて記念プロジェクトを進めることとなった。

「基本的には、今もそのスタイルは変わっていません。いろいろな地域から課題解決のご相談をいただいて、ぼくらならこんなことができるんじゃないかという提案をする。そこに予算をつけていただいて、自治体の方々と一緒にプロジェクトを進めていく場合がほとんどですね」

ニーズの高まりをうけて、今年の6月にはNPO法人格を取得し、活動の幅はますます広がっているという。

そのなかでも今、力を入れて進めているもののひとつが、高知県佐川町でのプロジェクトだ。

「高知から特急に乗れば30分、高知空港からも車で1時間ほどなので、アクセスは比較的いいところだと思いますよ。森に囲まれていて、中心地は古い町並みの残るきれいなまちです。司牡丹という高知の有名な地酒の酒蔵があったり、牧野富太郎さんという、日本の植物学の祖と言われる方の出身地であったりもします」

風景_DSC_6205 今回募集する人は、佐川町への移住が前提となるそう。

「雇用主は佐川町です。地域おこし協力隊として週4日は『さかわものづくり大学』の運営をしつつ、残りの週1日でi+dの他のプロジェクトにも関わってもらいたいです」

「i+dはそもそも会社組織に属するという雇用形態をとっていないので、基本は佐川をベースに、神戸や東京へ出張することもあるという形になります」


具体的にはどんな働き方になっていくのだろうか。

ここからは、佐川のチームリーダーを務めている白木さんにもお話を伺う。

P1020884 i+dでは主にデザインを担当しているが、アウトプットのデザインだけでなく、その前段階のリサーチや企画、それに現地でのコミュニケーションまで、なるべく全体に携わるようにしている。

「すぐに消費されていくものではなくて、本質的に人が幸せになったり、笑顔になれることをしていたいな、という想いはありますね」

佐川町との関わりは去年から。

総合振興計画と呼ばれる、まちの10年間の計画書をつくる依頼をうけてはじまったプロジェクトだった。

佐川WS_DSC_5357_2 作成にあたり、まずその成果をどうはかるか考えることに。

「総合計画はいろんな自治体が作成していますが、その成果はなかなかはかりづらいんです。わたしたちは、“まちの人たちがどれだけ幸せになれるか”を大事にしたいと考えました」

幸せをはかる。

「慶應大学に、日本の幸福学の第一人者である前野隆司教授という方がいらっしゃって、幸福に関わる4つの因子というのを提唱しています。『やってみよう』『ありがとう』『なんとかなる』『あなたらしく』、これに『ほっとする』を加えた5指標をもとに、アンケート調査を行いました」

結果、佐川町の住民は「やってみよう」のスコアが低いことがわかってきた。

「この結果をうけて、ひとりひとりが得意なことを発揮できる環境や、なにかに挑戦していける機会をつくることなどが総合計画に反映されています。ものづくり大学が目指しているのは、まさにそういう場所ですね」

もうひとつ、ものづくり大学につながる大きな要因としてあったのが、国の地方創生総合戦略というものだった。

こちらは主に産業に関して、地方にどうやって仕事を生み、お金をまわすのかというプランを立てるもの。

「佐川町では、数年前から自伐型の林業というものを積極的にやっていました」と筧さん。

自伐型林業_08_DSC_5031 海外産の安価な輸入材に対して、森を自分で管理し、切り出してきた木を自ら販売する自伐型の林業は効率が悪いとされ、近年ではほとんどの地域で行われなくなってしまった。

人任せになった山は荒れ、日本の林業はどんどん衰退していったという。

「でもこれが意外と、個人が食べていく分にはまわっていくことがわかってきたんです。太い木は建材として高い値で売れますし、小さな間伐材はバイオマス燃料として工場に引き取ってもらえたりもします」

経済として成り立つ可能性が見えてきた自伐型林業。ただ、燃料や建材に頼る現在の形だけでは、この先経済をまわし続けるのは困難だということも見えてきていた。

そこで、林業にテクノロジーとデザインをかけ合わせたものづくりの拠点を構想しはじめる。

「たとえばレーザーカッターがあれば、木材を加工した雑貨を個人で数十個つくることも、比較的簡単にできる。資金が足りなければ、クラウドファンディングで集めることもできますし、手づくりのものを直接販売できるようなECサイトも出てきています」

「林業×テクノロジー×デザインで新しいものづくりに挑むというのが、今回のさかわものづくり大学のコンセプトですね」

このコンセプトをわかりやすく表すプロダクトとしてつくられたのが「Write More」だ。

WriteMore_12213937_532151403606878_626670826_o 絵や文字を書くときの筆記音を内蔵のマイクで拾い、大きく出力することで、書き手にフィードバックする。耳で筆記音をとらえると集中力が増すという研究結果もあるそうだが、なにより書いていて楽しくなる。

加工・組み立てなどの制作は町内の福祉事業所で行っているとのこと。

また、地元の学校に通う子どもたちに向けた「佐川ロボット動物園」というワークショップ形式の授業も企画している。

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地元の森でとれた木を加工し組み立てていく過程で、電子工作やプログラミングなどといったものづくりに親しんでもらいたい、そんな想いがこの企画には込められている。

「先生が一方的に教えるっていうよりは、自分で試行錯誤しながら仲間と一緒に学んだり、ある程度わかる人にときどき教えてもらったりするものだと思うんです。昔の寺子屋みたいな場所をイメージしています」

そのため、デザインのスキルや経験というよりも、地元の方とコミュニケーションをとったり、場をファシリテートしていく力が求められる。

WS_11430094_853598254727393_3103367663444561024_o 自分でいろいろとやってしまう人よりは、その場の人が「やってみよう」と思えるような環境づくりをする仕事になるのだろうなあ。

「ある程度経験があると、自分のもっているスキルのなかで専門性を発揮しようとする傾向が強くなりがちですよね。だから経験はなくても、なんでも挑戦する!っていうような気概や柔軟性が必要かもしれませんね」


どんな人と働きたいですか。

まずは白木さんから。

「一生懸命な人がいいですね。特別なにかに秀でてなくても、なんとか前に進もうとがんばれる人。それに対してアドバイスをくれる人とか、一緒に手を動かしてくれる人はいるはずです」

続いて筧さん。

「チャレンジを楽しめる人ですかね。新しい仕事をやるっていうことに意味があると思っているので」

「ものづくり大学もね、箱があります、なにかやります、というところから一緒に、ゼロから考えていく。それを楽しめる人にきてもらえたらうれしいです」

佐川集合写真_IMG_1612 まだ決まっていないことも多いけれど、不安よりもワクワクが感じられる。

それはきっと、机上の空論じゃなく、これまで形にしてきたデザインの数々があるからだと思います。

i+dでは、新しいものづくりに挑む仲間を募集しています。

(2015/11/16 中川晃輔)