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バリューアップの匠

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

「僕の中には建築へのこだわりがずっとあるんだと思います。今の建築家はデザインの部分しかしない人ばかり。コミットできる領域が狭いから、やれることも限られるし儲けも少ない。投資、不動産、デザイン、管理運営まで建築の仕事の領域を広げてもいいんじゃないかな」

これは株式会社シェアカンパニー代表・武藤さんの言葉です。

武藤さんは日本に”リノベーション”という言葉が浸透する一因になったイデー「R-project」の一翼を担った人。
現在は仕入れた物件をリノベートしてシェアハウスやシェアオフィスとして賃貸する事業をはじめ、建物にまつわる様々な事業を展開しています。

IMG_6050 建物のデザインだけでなく、その中にどんな営みをつくるのか。知恵と工夫で建物の価値を高めることもシェアカンパニーの仕事です。

これから、今までのシェア事業にくわえてホステル事業を始めるそう。このホステルにも他にはないバリューがあるようです。

“きちんと儲けられる建築”を目指すシェアカンパニーで、ホステルスタッフ・設計士・シェアハウス事業部のスタッフそれぞれを募集しています。

設計士のようで不動産屋、不動産屋のようでホテルマン。さまざまな領域を軽々と飛び越えて「知恵と工夫でバリューアップする精神」にあふれる力強い会社だと思います。


待ち合わせは八丁堀のシェアハウス。陽のさす住宅地を進むと、駅から10分ほどで現代的なデザインのビルが現れた。

修正a この建物もシェアカンパニーが展開するシェアハウスシリーズCOURIのひとつ。都内にいくつもあるCOURIシリーズは、物件によってデザインとコンセプトを異にする。これらの賃貸がシェアカンパニーの主軸事業だ。

中に入ると広々とした共有スペースに使いやすそうなキッチンと大きなテーブルが目に飛び込む。テーブルを囲んだ入居者どうしの会話が弾みそうな、オシャレな空間が広がっていた。

待っていてくれたのは代表の武藤さん。

建築の世界に飛び込んだ大学生のころから変わらない一つの想いがあるそう。

「建築家がお金の流れから考えないと面白いものはつくれないんじゃないかと思うんです」

P1040655 街中にあふれている建築物はその多くが請負う形で設計されている。決済権限をもつ人が発言権をもち、ものづくりの感性よりもコストを取ってしまう現実がある。

もっと建築家がお金の流れにコミットしないと、つまらない建物ばかりになってしまう。

建築家の仕事はそれでいいのだろうか。

大学院卒業後は新卒で入った会社で、マンションやオフィスビル用の不動産の仕入れを学んだそう。

その土地にどんな物が建って、どのくらいの投資をしたら収益があるのかを考える。ここで、建築家として収益をあげられれば、儲からないといわれてきたものづくり側にもお金が入るはず。

当時中央区エリアを担当していた武藤さんは、八丁堀の安いビルに目をつける。

「ディベロッパーが手をつけようとしない中途半端な大きさの空ビルがあったんです。立地もいいし手を加えればかならず価値を活かせると思いました」

空ビルを改修してバリューアップするという意見は会社では受け入れてもらえなかった。今でこそリノベーションという言葉が浸透しているけれど、当時はまだまだ未開の領域。武藤さんは会社をやめて、そのビルを買ってもらえる投資家を探した。

「投資家さんに『6千万の改修工事費をかけたから、その10%をください』というと600万しか貰えないじゃないですか。それじゃ何も面白くない。だから『バリューアップしたものが売れたら売値の3割をください』という契約をしたんです」

「建物自体の費用と工事費とで1億8000万くらいかけたそのビルは、結局3億くらいで売れました。それでぼくは約束どおり3割の3000万をもらいました」

投資や不動産のことも理解したうえでコミットすれば、儲からないといわれるものづくり側にもお金が入った。

設計の工夫次第で価値がないと思われていたものから儲けがだせる。可能性を感じた。

そこからどうしてシェアハウス・シェアオフィスをやるようになったのだろう。

「建物の価値はわかりづらい部分があるんです。僕の周りに設計士はいるけどみんな裕福ではないですよ。自分の知恵やデザインを価値に変えるシステムがあんまりないんですよね」

知恵とデザインを価値に変える。

「自分たちが作りたいと思ったものをつくって。その建物が高く売れたり借りられれば、それが価値として見えるでしょう。作って終わりではなくてデザインや知恵の部分を活かした管理や運営をすることで、ものづくり側の説得力が増すと思うんです」

デザインだけでなく、そこで生まれるお金の流れ、完成後の運営の仕方すべてが建物の価値になる。その価値が見えれば建築家がもっと発言権を持てるんじゃないか。

「土地や建物、不動産が持っているいろんな要素を合わせて、どうしたら最大限価値あるものにできるかをずっと考えてきました」

_MG_1354 そうやって運営されてきたシェアハウス・シェアオフィスはちゃんとエンドユーザーのお客さんにも響き、シェアカンパニーを支える事業になっている。

投資とも絡み、正当にものづくり側が儲けられるシステムをつくっているから、シェアカンパニーの設計は「よっぽど儲かるかよっぽど楽しいことしかしないと決めている」とのこと。

シェア事業以外に、店舗や海外の新築マンションを手掛けたりもしているそうなので様々な仕事を経験できそうです。

儲けられない仕事に疑問を感じていたり、ものづくり精神を持て余している設計士の方にぜひ応募してほしいと武藤さんはおっしゃっていました。


「今日もシェアハウスの仲間と朝ランニングしてきましたよ」

そう話してくれたのは中島さん。ホステル事業部に異動する前はシェアハウス事業部で働いていました。

P1040665 中島さんはCOURIのある物件を内覧したことをきっかけに、シェアカンパニーに興味をもち未経験で入社した人。今はヨガスタジオ付きのシェアハウスに住んでいるそう。シェアカンパニーの社員の半数はシェアハウスに住んでいると教えてくれた。

シェアハウス事業部の仕事内容を伺ってみる。

「サイトを見てお問い合わせがきたお客様の対応です。内覧や契約といった通常の賃貸営業のようなことをしています」

11_12_2 通常の、とはいえシェアカンパニーのシェアハウスには、物件ごとに特徴のあるコンセプトがついていることが多い。

たとえば「DIYできる」「ペットOK」「キッチン機能が充実」「ルームシアター付き」など。

こんなコンセプトのシェアハウスも物件のバリューアップのための工夫なのだそう。

仕入れた不動産を活かしたシェアハウスだから、建物にあまり手を加えないことも、新築することもあるようです。

いろんなコンセプト・立地の物件があるから、そのお客さんがどのシェアハウスに向いているか、人を見ながら紹介することも大切だといいます。

IMG_7553 もう一つ大事な仕事が入居者のどうしのコミュニティーづくり。

「最初にルール会を開いたり、シェアハウスどうしの交流会を開いたり。いい自治ができるように誘導するといったことをしています」

新たなコミュニティーをつくるきっかけづくりをする。それは、物件で生まれるコミュニティーに愛着を持ってもらうため。

住む人にとって居心地の良い環境にすることも物件の価値になっていくのだといいます。

いくつもあるCOURI間で転居する人も多いそうなので、相談にのることもある。取材したのはいそがしい転居シーズンだったからか、中島さんの携帯電話は鳴りっぱなしだった。


そして今回シェアカンパニーで新たに始まったのが外国人向けのホステル事業。

tumblr_nxs6cg6fHU1ujnpslo1_1280 今まさに八丁堀駅すぐの築50年の古ビルをリノベーションしているところだそう。インバウンドの増加や立地の良さを活かしてその物件をホステルにすることに決めたそうです。

ここでご紹介したいのは前川さん。中島さんといっしょにホステル事業部を任されている。

P1040658 「初めての試みだけど、なんとかなる!と私は思っています」

新事業への不安はないのか聞いたらこの答え。根拠を聞いてみた。

「ホステルは初めてだけど、やっていることは今までのことと同じだと思います。やりたいのは低価格のホステルであって、ホテルとは違うとわかっているし」

八丁堀にはすでにたくさんのホテルがある。その中でこのホステルがバリューとするのは「寝てる場合じゃない!」というコンセプト。「夜遊びや色気の要素があるほうが旅は楽しくなる」という武藤さんのアイディアなのだそう。

欧米のホテルのように知らない人との出会いが生まれ、夜まで遊べる場所にしたい。

ホステルの地下は音質に特化したクラブにして、テナントで入る飲食店も客どうしのコミュニケーションが生まれるよう工夫している。疲れ切って眠るベッドの品質は最高のものにする。

生まれも育ちも全くリンクしないどうしのコミュニケーションの場をつくる。たしかにシェアハウス運営のノウハウが活かせそう。

「ホテルのようにきっちりやるというよりかは、ここでは会話を生み出せるほうがもっと大切だと思うんです」

lobby pers (1) だからホステルスタッフには、はじめから経験は必要ないとのこと。

「マニュアルどおりというよりは、創意工夫しながらお客さんを楽しませることを優先する人がいいんじゃないかな。もちろんチームだから最低限守ることはありますが、こうじゃないといけないという運営をしていたら窮屈だし創意工夫ができないから」

たとえばクラブで酔った外国人が女性に絡んでいたとして、空気を盛り下げずに注意する。それはマニュアル化できない要素。どちらかというと飲食業に近いのかもしれない。

とはいえベッドメイクやフロント業務など基本的な業務はホテルといっしょ。主な客層は外国人を想定しているので日常会話レベルの英語力は必須です。

ホテルのようなかしこまったホスピタリティーはいらないけれど、観光地を巡るだけでは得られない旅の良さを提供したい。

自分たちの知恵やコミュニケーションがこのホステルのバリューになっていくのかもしれません。


自分の知恵や工夫次第で建物が輝ける、それは設計・シェアハウス・ホステル、すべてに言えることだと思います。

建物のバリューアップを考えれば、自分のするべきことも見えてくる。

シェアカンパニーで自分自身も大きく成長したいと思えた人はぜひ応募してみてください。

(2016/3/27 遠藤沙紀)