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時とともに、美しく

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職人の確かな手仕事と本物の素材。そして、最先端の設計手法。

これらをかけ合わせることで、「経年美化」する住まいづくりを手がけている会社があります。

株式会社リビングプラザは、こだわりの注文住宅と「本質改善型リフォーム」を扱う設計工務店です。

竣工写真02 時が経つにつれて資産価値が低下していくのではなく、むしろ時とともに味わいを増してゆくリビングプラザの住宅。

お客さんと対話しながら、じっくりと時間をかけてつくり上げていくそう。

そんな住宅づくりに欠かせない設計担当及び設計補佐と、現場監督になる方を募集します。いずれも経験は問いません。


向かったのは、岐阜・養老にある本社。

東京から新幹線で名古屋まで行き、東海道線と養老鉄道を乗り継いでおよそ3時間で美濃高田駅へ。思っていたよりもすぐに到着した感じがする。

迎えてくれたのは、専務取締役の大橋利紀さん。

P1120941 リビングプラザは、左官職人だった大橋さんの祖父が1947年に立ち上げた会社。

左官の仕事にはじまり、住宅設備機器の販売や水道工事の下請け、増改築のリフォームや新築など、時代に合わせて少しずつ軸足をずらしながら続いてきたという。

大橋さんは、大手建設会社で設計部と工事部を経験した後にリビングプラザへと戻り、2010年に注文住宅事業部を独立させた。

「わたしたちの家づくりには、『経年美化』『パッシブデザイン』『本質改善型リフォーム』の3本柱があります」

ひとつめの柱となるのが「経年美化」だ。

現代の日本の住宅は、一般的に年数を重ねるごとに資産価値が低下していくと考えられている。しかしリビングプラザでは、本物の素材と職人さんの手仕事を最大限に活かすことで、「時とともに味わい深くなる家づくり」を目指しているという。

現場写真001 今ではだいぶ減っているものの、このあたりは昔から職人の多い町だ。

鍛冶職人さんに手すりや表札をつくってもらったり、家具職人さんと組んで机や椅子、棚などを製作したり。関わる機会は多い。

「ただ何かをつくるというだけでなく、自分の持っている技をより知ってほしいという方がけっこういらっしゃいますね。個展やワークショップを休日に開かれる方もいます。そこにわたしたちがプライベートで参加することもあります」

リビングプラザのホームページでは【現代の『手仕事』】というコーナーを設けて、職人の知恵や技術を紹介している。

「“職人”という仕事の魅力をもっと知ってほしくて載せているんです。一人ひとりを見ると普通のおじさんだったりするんですけど、やっぱりすごいんですよね」

「弊社のこだわった設計を実現するためには、質の高い職人の技術が不可欠です。それぞれが協力し合い、ともに歩んでいます」

現場写真005 ふたつめの柱は『パッシブデザイン』。

パッシブデザインとは、光や風などの自然の力をうまく利用しながら、設備に頼り過ぎず、快適に過ごせる空間を生み出す設計手法のこと。

リビングプラザでは、全棟にこのパッシブデザインを導入しているという。

「夏場は外から熱が入ってくるので跳ね返さないといけないですし、冬場は中の熱が外に逃げないようにしないといけない。風の通りもよくしたいし、日中の光も入れたい」

「何となくの感覚値ではなく、これらをすべて定量的に計算するんです。そうすることで、エネルギーを浪費することなく、豊かで快適な暮らしができるようになるんですね」

竣工写真05 そしてみっつめの柱となるのが、建築病理学に基づいた「本質改善型リフォーム」。

「既存住宅のリノベーションや古民家再生のプロジェクトでは、事前調査を詳細に実施します。『耐震性能』『温熱性能』『劣化対策』など6項目の調査です」

現状の問題点を発見し、その原因を辿り、突き止めて治療するのが建築病理学の考え方だ。チェック項目にしたがい、定量的に評価・改善していくのだそう。

大橋さんは、こうした学問領域における国内外の専門家を訪ねたり、先進事例をリサーチして持ち帰り、スタッフと共有しているという。

ここまでのお話を聞く限り、未経験者には難しい仕事のように感じます。

「いや、経験はあまり関係ないというか。実践のなかで、足りない部分は後から補充していけば全然成り立つと思うんですよ。スタンダードな家のつくり方ではないですし、そういう意味では経験のないほうが、より柔軟に吸収できるかもしれません。志や心意気さえあればできると思います」


現スタッフも、未経験からはじめた方が多いという。設計担当の朋子さんもそのひとり。

日本仕事百科 取材006 高校卒業後、アパレルの仕事を経験。その後、職業訓練校に通ってCADを学んだそう。

「アパレルの仕事は好きだったんですけど、土日休みの仕事で新しいことをやりたいなって気持ちがあって。本当に軽い気持ちで、3ヶ月間CADの教室に通ったんです」

ただ、そこで学べたのはネジや歯車などといった工学系のCADばかりだったという。

なぜ建築のリビングプラザにやってきたのだろう?

「もともと間取り図を見るのが好きで。チラシがあると『自分の家だったらこうしたいな』って、よく妄想していたんです(笑)」

「模型づくりも今の仕事の一つなんですけど、専業主婦のときに勉強したことがあったんですよ。定規やカッターも自宅に一式あります」

専門で学んだことはなかったものの、建築やものづくりへの興味は常にあったそう。

そんな朋子さんも、ここに勤めて丸4年になる。

「はじめのころ、知らないことがあってもなかなか聞けずに、後からネットや本で調べていました。でも今は、知ったかぶりはしないように心がけています」

注文住宅でこだわった住まいづくりを行うからこそ、一般的には図面を書かないような部位にも設計図が必要になる。

「サッシの断面図があるんです。窓の断面なんて、普通に生きてても考えないですよね。でもその数ミリの世界でズレが生じると、他の部材の位置が全部変わってしまうんです」

これに加えて、大橋さんを筆頭に新しい技術や知識も取り入れているのだから、常に学び続けることは必須だと思う。

「手取り足取りというわけではないですが、専務も聞けば教えてくれるので。いろいろ吸収したいと思っている人にはいい環境かもしれません」

設計担当とはいえ、設計図を作成するだけではないようだ。

お客さんへのプレゼンを経て契約に至ると、現場の測量や写真撮影、申請作業も一通り行う。施工現場の立ち会いや完成後の見学会運営、さらには住みはじめて1年半後の点検も兼ねたヒアリングまで行っているという。

「お客さまとは契約前からその後何年間のお付き合いになります。なかにはお子さんが途中で生まれた方もいらっしゃって、久しぶりに会うと成長していたりして。仕事としてだけでなく、楽しませてもらっています」


その横で「朋子さんはすごいんですよ」と話すのは、同じく設計担当の恵さん。

「未経験からはじめて、お子さんもいて、家に帰ったら主婦になるわけで。現場で大工さんに怒られたりしながら、戻ってきたら図面も一通り丸々書く。能力の高い人じゃないとだめなんじゃないかと思ってしまうぐらい、スタッフの方はみんな優秀ですね」

日本仕事百科 取材007 のコピー 仕事以外でも多趣味な方が多い。植栽についてやたらと詳しい方がいたり、お昼休みにシルバーアクセサリー教室が開かれたり。

日頃から職人さんの手仕事に触れているから、自分でも何かつくってみたくなるんだろうか。

「それもあると思います」と朋子さん。

「そこの塗り壁もスタッフみんなで塗りました。現場にいくといろんな職人さんがいて、その作業を見るのも新鮮で面白いんですよね」

手仕事 大工2 東京の大学で建築とランドスケープデザインを学び、東京のデザイン事務所に勤めた後、ここにたどり着いた恵さん。

「図面と向き合うばかりでない設計がしたかった」という彼女も、朋子さん同様、この環境を楽しんでいるように見える。

「現場にしょっちゅう行ける設計者って、なかなかいないと思うんですよ。ここなら車で1時間以内に行けるところが多いので、実際に建てているモノを見つつ、図面を書けます。現場と図面を行ったり来たりできるのはすごくいいと思いますね」

「職人さんに会えば、一人ひとりがすごく腕のいい方なんだなっていうのがわかりますし、お話をしていて刺激になるんです。きっと設計の見方が変わると思います」

年に1回の社員旅行でも、優れた建築を巡るように計画を立てるそう。いい意味で、公私混同して楽しめる人が合っている気がする。

「お家を建てて一年半後の点検に行かせてもらうときに、いつも感心していることがあって。室内に置かれた小物とか家具が、家に馴染んでいるなっていうのをすごく感じるんですね」

家に馴染んでいる。

「毎回どのお宅に行っても、『自分の服のように家を使われているな』っていうふうに思います。それぞれスタイルは違うんですが、住みこなしているんですよね」

竣工写真06 それはきっと、住まい手自身が家を育てられるような余地を残してつくっているからだと思う。

住まい手のことを考えるのは、設計部だけではない。

主に現場監督を務める中野さんにもお話を伺う。

P1120881 「たとえばリフォーム工事では、冬場に風呂場の脱衣所が使えなきゃ寒いだろうから、すぐに仕上げて『今日からどうぞ使ってください』と言えるようにするとか。キッチンも使えないと日常生活に支障が出るだろうから、なるべく工期を短くできるように工夫しますね」

「“自分がお客さんだったら”と考えてみて、思ったことは全部してあげたいんです」

ときには厳しい局面もある。

予算が少ない場合は、お客さんの理想に沿うだけでなく、現実もしっかり伝えなければならない。確かな腕を持つ大工や職人に対して、自分の意見がちゃんと言えることも必要だ。

意思疎通不足でミスが生じてしまった際には、間に入って調整するのも仕事だという。

「毎日が失敗の連続ですよ。それをどう次に活かしていくか。一言でいえば“経験”しかないです、この仕事は」

「なんでも経験できる会社なので、楽しいと思いますよ。お客さんと打ち合わせして、現場管理もして、ときには作業も手伝います。失敗して怒られても、多少のことではへこたれない前向きな人がいいですね(笑)」

中野さんがここに勤めはじめて14年。

会社としては、創業からもうすぐ70年を迎えようとしている。

その歴史のなかで蓄積してきたものと、新しく積み重ねていこうとしているものの両方が、ここにはあると思います。

たとえ未経験でも、ここでみなさんとともに時を重ねてみたいと思った方は、ぜひ応募してみてください。

(2016/6/16 中川晃輔)