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ようこそ!豆菓子の世界へ

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

「今でこそ豆菓子の店も増えてますけど、僕らが革命を起こしたと本気で思っていますから。カラフルできれい、かわいいという概念を豆菓子に持ち込んだのは、僕らがパイオニアだと思います」

そう話すのは、株式会社大阪屋製菓の代表取締役社長である水野さん。

osakayaseika01 色もかたちもさまざまな豆菓子は、見ているだけでなんだか楽しい。こんなのあるんだよ、と友達に話してみたいし、プレゼントにも喜ばれそうです。

昔から作りつづけてきた豆菓子に、新しい風を吹き込んだ大阪屋製菓。

ここで、本社にあるショールームのショップ化とWebショップの企画や運営に関わる人、新商品の企画や販路開拓を担当する人を募集します。

経験は問いません。食べることが好きな人。商品企画や店舗のマネジメントに興味がある人にとっては、きっとまたとないチャンスです。

ぜひ続けて読んでみてください。



鹿児島空港から、リムジンバスで鹿児島の中心地、天文館通へ。そこから市電にゆられること10分ほどで、鹿児島駅に到着。

osakayaseika02 歩いていくと、大阪屋製菓の社屋を見つけた。あたりにはなんだか香ばしい香りがただよっている。

「社名が大阪屋なので、地元の人ですら鹿児島でつくっていると思っていない人が多いんですよ」

そう苦笑まじりに話してくれたのが、水野さん。

osakayaseika03 大阪屋製菓は、水野さんのおじいさまが大阪から鹿児島にIターンをして、昭和29年にはじめた会社。大阪にいたころは、豆や雑穀を扱う卸問屋だったそう。

豆菓子屋さんで修行をして技術を身につけたあと、親戚が書いてくれた紹介状を頼りに、縁もゆかりもない鹿児島の土地で商売をはじめることにした。

「リヤカーを引いて、半日かかるような大隅半島まで配達にも行っていた。最初は本当に、食っていくためにはじめたと思います」

南九州では、豆菓子を駄菓子屋さんで量り売りするのが主流。種類はあまり多くなかった。

それなら、ピーナツに味噌をかけてみたり、砂糖をからめてみたらどうだろうか。そんなふうにつくった豆菓子は、今までにない味ですぐに人気になったそう。

その当時から現在までのロングセラー商品が「雀の卵」と「南国珍々豆」。いただいてみると、どちらもついつい手が止まらなくなってしまう。

osakayaseika04 昭和の終わりからはコンビニや大型スーパーなど、全国展開をする店が増えていく。

「全国に卸そうと大量生産すると、普通は品質が悪くなっていく。でもうちは味や品質、価格にはずっとこだわりを持ってやってきました」

たとえば雀の卵は、安いトウモロコシ粉を使って味が変わらないよう、米粉を使い続けてきた。

雀の卵や南国珍々豆を含め、いろいろな味が小袋で楽しめる「雀の学校シリーズ」は、発売当初から今までずっと1袋20円で販売している。

「豆の選別や焙煎も、機械を使いながら全行程を人の手で管理・製造しています。時代の波に乗りながらも、のまれないようにしたいからです」

osakayaseika05 誠実に商売を続けてきた大阪屋製菓に、水野さんが戻ってきたのは今から15年前のこと。

実家を継ぐつもりはなく、東京のIT企業でシステムを提案したりする企画営業として働いていた。

とはいえ仕事を続けるか悩んでいたことと、父親に帰ってきてほしいと言われた時期が重なり、自分にできることがあるならと実家に戻ることを決めたといいます。

水野さんが戻ってきたころ、会社の業績は下降気味。ピーク時の6割程度まで、売上は下がっていた。

「会社で働く人たちやその家族を養っていくことはもちろん、僕自身も給料や気持ちの面でもっと豊かさを感じたい。そのためには、なにか会社を盛り上げるような取り組みが必要だと思ったんです」

そんなときに舞い込んできたのが、東京のデパートで行われる鹿児島物産展の話。とんとん拍子で出店が決まったものの、結果は思ったほど売れなかった。

「準備不足でしたね。装飾もなく、商品だけを持って行きましたから。他のお店はテーブルに腰巻巻いたり、POPを置いたり。唖然として、ロフトにシーツ買いに走りました」

出店のたびに魅力的に見える陳列方法や人を呼ぶためのアピールの仕方など、まわりの意見ももらいつつ、工夫を重ねたといいます。

「そのうちに、お菓子売り場には常温で日持ちがして、小包装で使い勝手のいいものがあまりないと気づいたんです。うちはスーパーの仕事をしていたので、小包装にする機械がある」

その機械で新しい商品をつくろうとはじめたのが、BeansNutsというブランドだ。

osakayaseika06 「コンセプトづくりやデザインのディレクション、百貨店への売り込みも自分でやりました」

未経験で成し遂げたことなのに、水野さんはこともなげに話す。

必要に迫られたのも大きな理由だろうけど、これまでの失敗をそこで終わらせず次につなげようとか、常にアンテナを張ってできることはなんでもやってみよう、という姿勢が新たな機会を生み出しているように思います。

品質や味はもちろん、今までにない豆菓子に自信があったそう。

「ところが、そもそもお客様があまり豆菓子に興味がない。箱はいらないから、そのぶん安くしてほしいと言われました」

豆菓子をギフトにするというイメージが浸透していなかった。

「はい。ギフトとして選んでもらうためには、商品を日頃から知ってもらって定着しないといけない。ギフトシーズンだけ店があってもダメで、常設の店舗が必要なんだなと痛感しました」

「挫折は大きかったけど、さまざまな経験があったからBeansNutsで日本橋三越、kono.miという別ブランドでコレド室町に出店できたと思います」



「基本的には、いつも自分が手に取りたいかどうかを基準に考えています。季節のイベントに合わせた企画や既存の商品のブラッシュアップも、これから入る人と一緒に考えていけるといいですね」

水野さんと一緒に商品のアートディレクションを担当している、希さんも話に加わる。

osakayaseika07 主にパッケージデザインに関わっているそう。希さんも、水野さん同様デザインなどを専門に学んだ経験はないという。飄々としているけれど、なんだかすごいご夫婦だ。

BeansNuts立ち上げにあたって、大変だったことを聞いてみる。

「コレクシオンというシリーズのパッケージかな。もともとは、今のようなパッケージではなかったんですよ」

osakayaseika08 写真上部が過去のリーフレット。透明なプラスチックポットに商品が入っている。色やかたちが映えて綺麗な反面、密閉性が弱いという問題を抱えていた。

「どこからか空気が入って、賞味期限前に劣化してしまう。開けていないのにべたついてしまうこともありました」

ギフト用の外箱は大量に発注してしまっていたので、そのまま使えるようにサイズは変えず、密閉性が高いものをつくることになった。

「最終的には、ビニール袋に豆菓子を入れてケースに詰めることにしました。そこにいくまで、何度やめようと思ったことか…(笑)」

どんなふうにつくっていったんですか。

「業者の人と、ああでもないこうでもないと言いながら実際にいくつも試作品をつくりました。工作をしているような感じでしたね」

ケースの透明度が高いと、中のビニールの角がくしゃっとなっているのが見えてしまう。かといって透明度を下げすぎると、光が入らなくてお店に並べたときに商品が綺麗に見えない。

あらゆる状況を想像しながらつくり続け、ようやく納得のいくものができた。

今回募集する仕事は、どちらの仕事もこんなふうに水野さんや希さんと試行錯誤しながら考えていくことになると思う。

もう少し具体的に、日々の仕事について水野さんに教えてもらいます。

まずは実店舗とWebショップの店長。

「本社のショールームでは商品も買えますが、無人で商品が置いてある状態。Webショップも、注文品を揃えて発送するだけのもの。もっと工夫できたらお客様の印象も変わると思っています」

osakayaseika09 PR用のフライヤーを作成したり、手書きのお礼メッセージを添えてみたり。自分がされて嬉しいことやお客様の気持ちを想像して、既存の仕組みの見直しからはじめることになりそうです。

新商品の企画や、販路開拓をしていく人はどうですか。

「味の開発やパッケージをつくったり。企画から製造、デザインまで一通り体験できると思います」

同時に、新しい販路の開拓もすすめてほしい。

「たとえば鹿児島の焼酎と一緒に食べてもらうことをイメージして、商品を開発する。焼酎と一緒に食べてもらうためには、酒屋さんに置いてあったほうがいいですよね。今まで取引がなかったところに、扱ってもらえるよう営業にいくこともあります」

前例がないことだから大変だろうけど、自分のアイディアが形になって世の中に出ていくことはやりがいにつながるんじゃないかな。

お二人は、どんな人と一緒に働きたいですか。

「食べ物に興味があったり、新しいものに興味があったらそれで十分だと思います」と希さん。

「あとはめげない人かな。僕らもそれで本当に平気?といろいろ突っ込むと思うので」と水野さん。

「ただ可愛いだけじゃ、もっと可愛いものが出たらそっちに行ってしまうし、薄っぺらいものを続けるのは無理があると思う。とことん考えながら、企画を深めていってほしいです」

華やかな商品ができるまでには、地道な作業の繰り返しや躓くことも多いかもしれません。だけど水野さんや希さんも、失敗や試行錯誤を繰り返して、ゼロからブランドを作り上げてきました。

二人のそばで働くことは、きっと貴重な経験にもなると思います。



最後にもう一人紹介したいのが、池田さんです。

osakayaseika10 現在のWebショップを担当しているので、新しく働く人は池田さんから仕事を引き継ぐことになります。

「基本的に当日の出荷は承っていませんが、どうしてもという場合は対応できるようにしています。なるべく、お客様の気持ちに寄り添えるようにしたいですね」

池田さんは営業事務を担当しながら、Webショップの担当も兼任している。小さな会社だからこそ、さまざまな役割を担っている。

「この会社は、一人ひとり自立している感じなんですよね。仕事も、全然違うことをやっているので。でもお昼を一緒に食べたり、休み時間には話したりもします。そんな感じで、新しい人とも仲良くできたらいいですね」

自分から動き出すことができたら、池田さんをはじめみなさん快く迎えてくれると思います。

osakayaseika11 これからも、きっと変化を恐れずに進んでいく会社です。

共に会社を盛り上げながら、新たな豆菓子の世界を牽引していく。そんなことにわくわくするような人をお待ちしています。

(2016/7/15 並木仁美)