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豊かな暮らしのはじまり

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緑色のお皿に黄色いオムレツをもったら、とってもきれいだった。

今日はお友達が遊びにくるから、いつもとちがうランチョンマットを用意しよう。

こんなふうに日常のなかに楽しみを持てることは、とても豊かなこと。

その豊かさに気づけるお店がありました。

今回紹介するのは、「私の部屋」と「キャトル・セゾン」という暮らしの雑貨をあつかうお店。

運営するのは、株式会社私の部屋リビングです。今回はそれぞれのお店の販売スタッフを募集します。

経験は問わないそうです。もっと暮らしを楽しみたいと少しでも思う人は、ぜひ読んでください。


よく晴れた平日の朝、東京・自由が丘にあるお店に伺いました。

私の部屋1 お店がオープンするまでの時間、まずは本社でお話を聞くことに。歩いてほんの数分のところに本社があります。

2代目代表の前川さんに、お店の成り立ちについて伺いました。

私の部屋3 「この雑誌がスタートだったので、ぜひ見てください。44年前なのでみなさんまだ生まれていない時代ですね」

1972年。高度経済成長を経て、人々の暮らしが物質的にとても豊かになってきたころ、雑誌「私の部屋」が創刊されました。前川さんのお父さまがはじめた雑誌です。

私の部屋3 お父さまはもともとフランス文学の研究者。豊かなフランスの生活文化を知ることで、日本にある文化の良さにも気づきます。

経済成長の過程で昔からあるよいものが失われていくなかで、日本の良い文化を守りたいと考えました。

「ものを長く使って暮らしに馴染んでいくことや、外に出かけるのではなくて部屋にいることが、本当は豊かなことなんだよっていうメッセージをこの雑誌から伝えようとしたんです」

だから、雑誌の名前は「私の部屋」。

幸いにも雑誌は好評を得て、「私の部屋」を店舗としてつくってみようという話に。その後はフランチャイズ展開をメインに日本全国で「私の部屋」がつくられていく。

これが、今の「私の部屋」のはじまりです。

一方「キャトル・セゾン」は、前川さんのお父さまがパリで見つけたお店。パリの四季に合わせて、食や部屋の中での暮らしを楽しむためのお店でした。

パリと日本、場所はちがうけれど想いは同じ。前川さんのお父さまと「キャトル・セゾン」のオーナーは意気投合し、日本でも「キャトル・セゾン」を広めていくことになる。

今では、「私の部屋」と「キャトル・セゾン」ふたつのお店が合わせて全国57店舗。

どちらもその土地に根付く“豊かな暮らし”を大切に、お店を展開してきました。

私の部屋4 お父さまの想いを継いで代表となった前川さん。今では自身も父となり、家での暮らしを楽しんでいるようです。

「休日は料理をつくるんですが、おいしいと食べるし、いやだと残す。『もっとこういうのがいい』とか言いあう。そういうやり取りってすごくいいなって思います」

「あとは食器って本当に割れるんだなあって。中高生の男の子がいるので、力がありあまっていて。だいたい毎週何かが割れたり壊れたりしていますね」

そう話す前川さんは生き生きとしていてなんだか楽しそう。こういうシンプルなことが実はとても大切なんだと感じます。

お店で働くスタッフたちにも、自分の暮らしを楽しむことの大切さを伝えているそうです。

「本当に楽しいと思えることを見つけてほしい。ひとつでいいから私はこれが好きっていうのがあると、お客さんと楽しく会話ができることにつながるから」


実際にお店で働く人たちは、どんなことを思っているのか。

私の部屋自由が丘店で働く、堤さんに話を聞いてみます。

「入る前は雑貨とか全然興味がなくて。あれば楽しいけど、別になくてもいいかなと思っていたんです。でも今は、食器が素敵になるとご飯が素敵になるんだなあって」

私の部屋5 堤さんは入ってからまだ9ヶ月ほどで、前職は美容師のアシスタント。美容室にきていたお客さんにすすめられて、「私の部屋」で働くことになったといいます。

「お客さんにも彼氏にも、みんなにすすめられて。そんなにみんなに言われるってことは、わたしはそこで働いたらいいんじゃないかと思ったんです」

思ってもみなかったきっかけ。転職するなら、ほかの仕事は考えなかったのでしょうか。

「小さいころから人と触れ合うことが好きで、接客業がいいなあって。そのなかでも美容系に行くか、アパレルに行こうか迷っていました。でも、若い人よりは年が上の人と触れ合いたいとずっと思っていたんです」

田舎育ちの堤さんにとっては、自分より年上の人たちが周りにいることがあたりまえだったという。

「私の部屋」に来るお客さんは堤さんより年が上の方が多いから、今の環境はあっている様子。

「今まで和食器に触れる機会ってあまりなかったので、わからないことも多くて。でもそういうとき、おばあちゃんが『あんた、これはこうやってつかうのよ。こう使うと素敵でしょ』って教えてくれる。それがすごい楽しい」

お客さま自身も生活を楽しんでいる方が多いから、会話から学ぶことも多いといいます。

「自分の日々の生活もちょっと工夫ができるようになって、楽しくなってきました」

家では、誕生日にお店の先輩からもらった食器を使っているそう。

私の部屋6 「すごく発色のいい緑色のお皿なんですけど、緑に合うものをつくらなきゃじゃなくって、普通につくるオムレツやエビチリがすごく素敵に見えるんです。グリーンサラダを盛ってもすごくきれいなんですよ」

特にエビチリは合うんだと、得意げに話す堤さん。そんなふうに言われると、実際に使ってみたくなってしまう。

緑色は葉っぱの色だから、昔の人が葉っぱの上に食べ物をのせていたみたいにみずみずしくきれいに見えるんだとか。

「今までは白い食器ばかり使っていたんですけど、先輩からお皿をもらったことで変わったんです」

「ほかにも、友達が来るから今日はいつもと違うランチョンマットにしようとか。そういうのが楽しくなりました」

まだ経験の少ない堤さんだけれど、「私の部屋」を通して人やものに出会って、自分なりの生活を楽しんでいるように思いました。


「キャトル・セゾン」も、良いものを長く使って暮らしを大切にする心は同じです。

今度はキャトル・セゾン横浜の店長、平津さんに話を聞きました。

私の部屋7 「やっぱりいいなと思うのは、フランス柳のバスケット」

「はじめはまっ白なんですけど、使っていくうちにどんどん艶がでてくる。皮みたいに経年変化があるので、使い方次第で自分の色になっていく。そういうところがすごくいいんです」

私の部屋8 平津さんは、一見なんてことないものでも背景があるものが好きだという。

このバスケットはもともと、お花や果物を摘むなど作業用につくられたもの。だからとても丈夫に編んであって、フランスの蚤の市ではまっ茶色になった50年もののバスケットが見つかることもあるんだとか。

買ってきた野菜をごろっと入れておくだけでも、たたんだタオルを入れておくだけでも素敵に見えるし、実用性も抜群。

「お店の商品が入荷したときに、この柳のバスケットいっぱいに商品を入れて店頭に品出ししているんです。何キロとかにもなる食器が山盛りでも全然こわれなくて、すごく丈夫です」

実際にお客さまと話すときも、自分で使ってみて感じたことを伝えているという。やっぱり実際に使った人の言葉は説得力があるし、魅力がよく伝わると思います。

「食器を運ぶのは、『うっ!』ていうくらい重いですけどね」

接客や立ち仕事のイメージが強い雑貨屋さんの仕事だけれど、実は体力がいる仕事だということも教えてくれました。

約1,500もの商品があり、それぞれの管理もするし、商品知識も覚えなければなりません。

「毎月届くカタログに目を通したり品出ししたりしながら、どんなふうに使うんだろうってみんなで話します」

私の部屋9 営業中はあまり時間が取れないから、接客以外の仕事には工夫が必要。

時間がないときはメモを残すなど、その場その場でうまくコミュニケーションをとることを心がけているそうです。

「ほかの人のことまで考えて行動できる人がいいなあと思いますね」

「たとえば使ったペンはいつもの場所にもどすとか。手さげ袋が残り少なかったら自分が担当じゃなくても補充しておこうとか」

みんなが少しずつカバーしあえば、お店はもっとうまくまわっていく。

売り場づくりでも、考えて行動することは大事だといいます。

きまりきったマニュアルはないから、どうしたら手にとってみたくなるか、店舗ごとの特徴を考えてレイアウトをしなければいけない。

たとえば「クリスマス」という大きなテーマは本社から与えられるけれど、その先の細かな設定はすべて自分で考える。これは、「私の部屋」も「キャトル・セゾン」も同じこと。

私の部屋10 思っている以上に、自分で考えることが求められる仕事だと思います。

そんななかでも、平津さんの楽しいことはなにか聞いてみました。

「やっぱり、お客さまと話しているときが一番楽しい」

「お客さまと、お孫さんがつくったぬいぐるみの話をしたことがありました。そのお客さま、わざわざその写真を持ってきてくれたんです。私をみつけると『いた!見てみてっ』てきてくれて。それだけのお話なんですけど。お買い物には全然関係ないけど、うれしかったです」

なにげない会話が、お店づくりのヒントになることもあるかもしれない。何かあったら会いにきてくれる友人のような関係になれたら、お店のためにもなるし、働くことも楽しくなると思います。


最後に、代表の前川さんが大切にしていることを教えてくれました。

「『お客さまの可能性を信じてください』っていうことをよく話すんです。どんな人も、ある日ふとしたものと出会うことで暮らしが変わっていくと思うから」

この考えのもととなった言葉は「キャトル・セゾン」の外壁に刻まれている。フランスの芸術家ジャン・コクトーの言葉です。

私の部屋11 『ただ一つの可能性は、あなた自身のなかにある』

「お客さまもそうだし、スタッフの中にもそういう可能性はいっぱいあると思うんです。だから、わからないけど挑戦してみようとか、知らない人だけど話してみようとか。そういう心を持っていてほしいと思います」

堤さんは、私の部屋に入ったことで自分の暮らしの楽しみ方を見つけることができた。

私の部屋12 平津さんは自分が暮らしを楽しんでいるから、きっと同じように楽しく暮らしているお客さまと話がはずむ。

自分自身が暮らしを楽しむことができれば、豊かな暮らしの可能性はもっと広がっていくと思う。

まずは近くのお店を訪ねてみてください。暮らしが変わるきっかけが、きっと見つかると思います。

(2016/11/25 黒澤奏恵)