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床に暮らす

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冬はこたつでごろごろ。夏は、畳のひんやりした肌触りに癒されたり。

床に座って過ごすスタイルは、日本ならではの生活文化だと思います。

そんな床暮らしに合うようなソファをデザインし、空間を提案しているのがローソファ専門店「HAREM(ハーレム)」

harem-1-14 「人間って、気持ちよく過ごせる空間や場所がいちばん重要なんだと思います。たとえば、コップ一つとっても、どれだけ口当たりがいいか、置いても眺めていても気持ちいいかとか。自分にとって心地いいものを誰しも自然と選んでいると思う」

「そういうものを、ぼくらはソファからつくっていきたいと思っているんです」

大阪に本店をもち、今年3月には中目黒に新店をオープンしました。

今回は、中目黒のお店で販売する人を募集します。まだまだ新しいお店だから、販売といっても役割は自分でつくっていけるようです。



中目黒駅を降りて、川沿いを歩くこと15分。

道を曲がり、見えてきたカフェの地下にHAREM中目黒店がありました。

扉を開けると、ゆったりした雰囲気。靴を脱いでお邪魔します。

harem-1-2 お客さんとの契約やスタッフが作業で使うという掘りごたつのようなスペースで、まずはローソファをデザインしているNORTH LAND DESINGS.Inc代表の伊藤さんにお話を聞きました。

いつもは大阪本社にいるそうで、この日は取材のためにわざわざ大阪からいらしてくださった。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA どうしてソファのデザインをはじめたんですか?

そう聞くと、ゆっくりと話してくれました。

「子どものころから絵が好きで。中学のときの先生は、僕が何を描いてもほめてくれたんです。そのことが、自分をこういう世界へ導いてくれたきっかけだったかな」

目の前で起こること一つひとつに向き合ってきたんだろうな、と感じさせる方。選択の一つひとつに素朴なルーツがあって、すごく安心する。

「大学は大阪芸術大学に入りました。そのときインテリアの授業で家具を扱って。中でも、椅子にすごく惹かれたんです」

「いわゆる椅子とかソファって人間にいちばん近いものですよね。タンスは収納だし、机は作業をするところで体から少し離れている。ところが椅子は常に人間に密着していて、座ったときに『楽だな』とか『気持ちいい』って感じる。ダイレクトに人間の感性に訴えかける家具として面白いと思ったんです」

そんなとき、学生に向けたインテリア会社によるソファデザインのコンテストで入賞し、その会社に就職。

本社のある福井県に移住しソファをつくり続けていると、ふと、福井という環境に目が向くようになった。

「福井県って、日本の伝統工芸がものすごく多いんですよ。すぐ近くには、川田漆器や越前和紙、それに越前焼もありました」

「いろんな伝統産業を目の前にして、ほんとうの日本人の暮らしってそういうところにヒントがあるんちゃうかって」

福井県は、日本海側に面した豪雪地帯。

「日本人といえば、こたつでごろごろですけど、もう北陸の生活なんてまさにそうなんです」

「まずはこたつありき。こたつで使えるソファを考えました」

できたのは、床にペタンと座るようなローソファ「スキップ」。

harem-1-1 「建築では、段差のついた床のことをスキップフロアっていうんですよ。これを置くだけで家のなかに簡単にスキップフロアができるというイメージで、スキップって名前にしたんです」

さっそく福井の展示会で並べてみると、当時唯一とも言えるインテリア専門誌の副編集長がとても気に入ってくれた。

どう売り出すかなど、積極的に協力してくれたそう。

「そこで販促強化のために連れてきてくれたデザイナーが、まずコンセプトをつくろう、君らの考えてることを一言で表すとなんだろう、って。そうして出てきたのが“床に暮らす”って一言だったんです」

“床に暮らす”。

この一言をコピーに掲げて広告を打った途端、スキップは爆発的に売れたという。

「ウレタン工場が、本社の家具工場の隣に必要になるほどでした」

「買ってくれたお客さんからの反応もたくさんいただきました。『ほんまに買ってよかった、子どもがすぐに寝るんですよ』って子どもが寝てる写真を送ってきてくれたり。今でも、まったく同じ反応をいただけますよ。ショールームに来た子どもも、靴脱いだらどこ走り回ってもいいんでね。まるで遊園地ですわ(笑)」

harem-1-3 ところが、その会社に9年つとめたとき、前の奥さんが亡くなってしまう。小さな子どもを抱えてのサラリーマンは難しく、独立することに。

大阪に戻ってからは、ソファのデザインもしつつ、実家でHAREM(ハーレム)というインテリアショップを始めます。

「はじめは家具や雑貨など何でも扱っていたんだけれど、それでいいのかなって思うようになってきて。いったん店を閉じることにしました」

そんなときローソファ専門店に切り替えたのが、当時HAREMの店長を務めていた岸宗さん。今は中目黒と大阪の2店舗を統括しています。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA どうしてローソファ専門店にしようと思ったんですか?

「あるお客様の家に低いソファを納品しに行ったとき、『これくらい低いやつを探していたんだよ』って言われて。そのときはじめて、低いソファは需要があるんだなって思ったんです」

通販などを通してローソファという言葉が徐々に使われ出していたころ。

「それならローソファ専門店と言ってしまったほうが、本当にほしい人が見つけやすくなるんじゃないかと思ったんです」

まずはネットのみの販売とし、サイトをリニューアル。

すると平均訪問アクセス数は徐々に伸び、4年前と比べて5倍になった。

ゆっくりと売り上げも伸び、一旦は閉じた大阪のHAREMもショールームとして再開。

「今年、中目黒店を出したことで相乗効果が出たんでしょうかね。これまでになく売上がぐんと伸びて、いそがしくなってきました」

そこで、あたらしく販売スタッフを募集することになった。

「じつは“床で暮らす”をコンセプトに、ソファ以外にもやりたいこと、広がりそうなことがたくさんあるんです。そのためにも、まずぼくらがしっかり働ける環境をつくりたい」

「今回は、販売しつつも、一緒にHAREMをつくってくれる人を探しています」



とはいえ、基本は接客です。

どんなふうにローソファというニッチな商品が売れていくんだろう。

続けてお話を伺ったのは、大阪店店長の樋口さんです。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 「ソファは日々使うものなので、お客さんの理想の暮らしに触れることができる。色んな話が聞けておもしろいかもしれないと思って飛び込みました」

「人とお話しするのが好きなんです」という樋口さん。

接客のときも、お客様の話を引き出すようにして一緒にイメージをふくらませています。

印象的だったお客様がいるそう。

「半年前くらいに、新居の図面をもってきてくださった方がいて。段差の後ろにある窓からは、日本庭園風のお庭が見えるんですって。そこで、ソファには苔のような落ち着いた色味の生地と、ウォールナットの木枠をご提案したんです」

harem-1-7 「『ショールームのようにボサノヴァの音楽をききながらコーヒーを飲んでいます。幸せです』ってお写真つきのメールをくださって。追加で注文もしていただきました。実際にかたちになって、声が聞けて。ああ、たのしいなって思いましたね」

生活の一部になるものだから、まずはショールームで体験してもらう。

そのため、季節の花を飾ったり、明るさや空調を整えたりと、居心地のいい空間づくりを心がけているそう。

販売スタッフは、こういった接客や店内のディスプレイのほかにも、ネット販売の対応もしているそう。パソコンに向かう時間も少なくないそうです。


「ソファ屋さんというよりは“床暮らしの文化”を提案していくお店をイメージして来てもらえるといいんじゃないかな。その中で自分のやりたいことを見つけていくと、販売だけでなく自分の役割ができてくると思います」

そう話すのは、中目黒店店長の森田さん。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 前職はインテリア業界で販売をしていました。

「そこでは5年くらい働いていましたが、企業自体が大きかったので、自分のアイデアややりたいことが通りづらかったんです」

「そんなときHAREMを見つけて。インテリアの中のソファ、しかもローソファだけ、っていうところに面白さを感じました。しかも新店と聞いていたので、自分のやりたいことを発信していけるかなと思ったんです」

入ってみて、どうですか?

「なにかやってみよう、考えようというときはみんながぱっと集まってくれますし、風通しがよいですね」

さっそくイベントの企画をしているといいます。

「毎月開催しているペットイベントもそうです」

これは、接客の中で思いついたものだそう。

「お客様に来店のきっかけを聞いてみると、愛犬のためという方が多くて。とくに小型犬は、ソファから飛び降りたときに足腰を痛めてしまうことがあるそうなんです。それならペットと一緒にローソファを試していただこうと思って」

イベントは好評。現在は大阪店でも開催しています。

harem-1-10 「中目黒店は、土地柄おもしろい人もたくさんいらっしゃると思うので、これから横のつながりもつくっていきたいです。それに、これから『床暮らし』はソファ以外にも広がっていくと思います」

広がっていくというと?

「今、伊藤さんが『景色のいい屋外で居心地のいい場所をつくれたらいいよね』って、“座る”をテーマにアウトドアブランドを考えていて。試作もはじまっているんです」

また、文化面での広がりも考えられるといいます。

「これから世の中のいろんなところで更に機械化が進んだら、もっと人らしい暮らしや日本らしい暮らしが求められるかもしれません。そういうのが体験できるゲストハウスや、お祭りや農業も含めた村をつくってみたいねって話しているんです」

今年は希望者を募って田植えと稲刈りに参加したそう。

「床暮らしの先にあるいろんな可能性にワクワクしてくれる人が来てくれたらいいですね。まずは中目黒のお店のことから、一緒に考えていきたいです」

OLYMPUS DIGITAL CAMERA ここで感じる心地よさは、それぞれがやってみたいことを生かすおおらかな環境もあるのだろうな。

ローソファから気持ちよく過ごせる居場所をつくりだす。

みなさんと一緒にHAREMをつくっていきませんか。

(2016/12/7 倉島友香)