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満天のつながり

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

ついつい仕事帰りや、ふらっと寄り道をして訪れたい場所があります。

なぜなのか考えてみると、そこにいる人の存在が大きいようです。

横浜の上星川にある天然温泉「満天の湯」も、多くの人が暮らしを営む街で、生活の一部になっている場所でした。

m01 今回は、ここで一緒に働く店舗運営マネージャー兼デザイナーを募集します。

デザインスキルや店舗運営などのスキルも求められますが、それ以上に、お客様との間に生まれるつながりを意識し働く姿勢が大事になってくるように見えました。

 
横浜駅から相鉄線に乗り換えて10分、上星川駅に到着。駅を出てすぐに見えてくるのが満天の湯です。

m02 入口にはその季節に合わせた装飾が。

受付で待っていると、会議室へ案内してもらいました。

そこではじめに話を聞いたのは久下沼(くげぬま)伊織さん。現在は満天の湯全般を統括しています。

「もともと温泉が好きで、大学時代は1日に20箇所も温泉巡りをしていたこともありましたね」

m03 温泉好きという自分の長所と経験を生かせる場所で働きたいと思っていたなか、満天の湯に出会います。

とはいえ、決して順調な滑り出しではなかったそうです。

「実は、入社してすぐ、今までいた社員が全員辞めてしまったんです。オープンしてまもなく、社員は当時の支配人と私2人だけという状況でした」

「でも、逆にその環境が良かったというか。先輩に気兼ねなく自分のやりたいようにできたので。実際に現場に立ち、いろんなことに頭を使いながら働けました」

スタッフも順調に増え、さらに成長できる環境を追い求めた久下沼さん。

「そこで、同時に運営していたアミューズメント施設の事業担当を兼任しようと考えました」

温泉とアミューズメント施設。

正直、仕事にあまり関連性がないように感じます。

「私たちが運営していたアミューズメントは、接客を重視するアミューズメントでした。最新のゲーム機があるのではなくて、スタッフが寄り添って一緒に遊ぶ空間を提案するという理念です」

「『また来よう』『あの人に会いに行こう』って思うような接客をしようと心がけました。人が最大の商品で、一番のアトラクションだったんです」

そこで学んだことを、満天の湯で活用することができたんですか。

「そうですね。目の前にいるお客様をどれだけ楽しませることができるかに注力していきました」

サービスを提供するだけではなく、スタッフとのコミュニケーションを通して、繋がりをつくっていく。

そんな姿勢が、満天の湯らしさをつくっているように感じました。

それを演出できるのは、天然温泉やサウナといった施設はもちろん、ここで働いているスタッフが、何よりもその役割を担っていました。

m04 印象的な接客や企画を展開していく上で、今回募集する店舗マネージャー兼デザイン職は、欠かせない存在。

「いろんな方法で、ここに来る動機をつくることが大事になります。わくわくするとか、明日行かないと損しちゃうとか。そういう気持ちにさせないといけないんです」

いつでも行けるけど、いつでも行きたいと思わせたい。

「そのためにはお客様との何気ない会話の中でヒントを拾うことが肝になってくると思います。店舗マネージャー兼デザイン職として現場に立ちながら、お客さんの声やニーズをうまく企画に持って行ってほしいですね」

さらに、今回募集する役割は、満天の湯ではじめて募集する職種になります。

「デザインに関しては、今までは外注でお願いしてました。けれど、季節ごとに店舗装飾やポップなどを制作するとなると、どうしても対応できないんです」

日々現場に立つ人がデザインも考えることで、感覚的に共有できることは多いはず。

具体的には温浴の業務に取り組みながら、現場にたってお客さんの反応を見る。その上で装飾やデザインに反映するといった働き方になるそう。

m05 「同じ秋でも、夏終わりの秋と冬に向けての秋って全然違うじゃないですか。だから、そういったところの感覚で、変化を形にできるといいですね」

社内のアイデアを形にしつつ、お客さんにも楽しんでもらう。アイデアとニーズをつなげる役割になっていくと思います。

「デザイン的な経験やスキルよりも、探究心や貪欲さがある方が向いていると思います。あとはほかのスタッフも同じですが、機械設備も触ることが出てくると思います。普段は安定して動いていますが、イレギュラーなときには対処しなきゃいけません」

「もちろんノウハウは教えます。ものを触ることが好きっていう要素があればうれしいですね」

m06 スーパー銭湯の店舗運営全般に、日々の営業業務、デザイン、イレギュラーでの設備のメンテナンス。限られた時間内で様々な仕事があるので、タイミングによっては大変な日もありそうですね。

「ただ、何かが壊れていてパートさんの仕事に不自由が出ていても、そこがクリアになればスムーズに仕事が進むんです。さらに、『困ったら店長が直してくれる』って思ってくれたら、信頼が生まれるんですよね」

「たとえば、業者に頼めば一週間かかる修理でも、自身が2日で終わらせられれば、一週間スタッフが頭を下げ続けることは回避できるんです。そういったところに目が届いて欲しいですし、実際に現場で働くスタッフがボソッと話した言葉にヒントがあったりすると思うんですよ」

店舗運営マネージャー・デザイン職のポジションは、働く人にとって不自由ない環境を準備してあげることが、スタッフ同士が働きやすい環境づくりの上で大事になるのかもしれません。

 
今回募集する職種は、基本的には温浴での業務をおこなうことになります。

そこで、実際に現場で働いているスタッフにも話を聞いてみます。

はじめにチーフの林さん。

m07 「前職は人と接しない職場でした。もっと人と接したり、変化のある仕事がしたい!という衝動に駆られてたんです」

そこで、女性が働きやすそうで、家からも遠くない職場を探していたところに満天の湯が目に止まりました。

「実際に働いてみると、機械のことや衛生管理など、神経を使う仕事が多いことに驚きました。想像しないことばかり起きるので毎日が勉強ですね」

さらに、働いてみると接客の姿勢にも驚いたそう。

「きちっとした部分もあれば、友達を家に招いているような感じもあって。本当に親身になって迎えている姿勢に驚きました」

スタッフとお客さんという関係よりも、もう一歩近いという感覚。

「お仕事上の振る舞いっていうよりも、その人の立場になって接客をしているなって思います」

お客さんとスタッフの関係が、ぐっと近いということがわかる企画として教えてくれたのが、「おもてなし総選挙」というもの。

m08 年に一回、お客さまにスタッフの素晴らしい点を書いてもらうといったイベント。昨年は2000通もの声が集まった。

「今でも、いただいた手紙はファイルに入れて保存しています。時々見ては、ふふってにやけています」

「いただいた一枚の中に、『声を聞くと安心します』っていうコメントを10代の女の子が書いていて。お風呂屋さんに来て、私と会話して安心してくれたのかなって思うと、印象的な手紙でしたね」

お客さんとの印象的な出会いは、働く中でも多いそう。

「去年、足を怪我してしまったことがあって。何日かお休みした後、足を引きずりながら会社に来たときに、お客様が心配してくださって。あんまり話したことなかった人も大丈夫?って声をかけてくれたことが、とても印象に残っています」

「それまで気分が沈んでいたんですが、ここで働いて良かったって実感しました。その日の出来事は、私のターニングポイントかもしれません。あの日以来、再び頑張ろうって気持ちになれたんですよね」

m09 お客さんというよりも、一人の人として向き合っているからこそ、日常の会話やリアクションが違和感なく生まれているのかな。

「仕事内容としては大変なことは多いです。フロントは立ち業務ですし、掃除ではちょこちょこ動き回るので、体力に自信がないと厳しいかなって思います。痩せますよ」

「振り返ってみれば、どんなときも一緒に働くスタッフの存在が支えになっていました。仕事をこなしていく中で、頼ってくれたり、時には頼ったり。お互いの存在が必要と感じることが大きくなっていて。毎日飽きないんですよね。それが続いている理由でもあるかな」

 
最後に話を聞いたのは稲又さん。おもてなし総選挙で過去2回一位を獲っているとか。

m10 「1日の中でたくさんのお客様と接するので、当然いろんな方と関わります。いい人もいればご機嫌が斜めの方もいて。そんな方に対して、どうすれば『ここに来てよかったよ』って思ってくれるかなって試行錯誤しています」

実際に働いてみて何かギャップなどありましたか。

「ここは接客に力を入れているだけあって、挨拶やお辞儀の仕方、手の組み方ひとつから指導してくださって。いらっしゃいませって言うだけが接客なのではなく、ひとつひとつの行為が積み重なって、接客が生まれていると感じました」

フロントでは物販の準備や新聞の準備をおこない、風呂場ではサウナマットの交換を決まった時間ごとに交換をする。

時間によってイベントがあれば準備をしつつ、その傍らで掃除をおこなう。

そうした裏での努力もおこなうことで、誰もが満足する接客が生まれていました。

「お客様にお風呂もいいけど、あなたに会いに来たよって言われることがあって。そういうお言葉をいただくと私もうれしくなりますね」

この場所だからこそ生まれるような関係ですね。

これから入る方はどんな方がいいですか。

「この仕事って、一人でやる仕事ではないんです。お客様に対しても気配りもあれば、スタッフ同士でも気配りや声配りも大事になると思います。最初は緊張していると思うのでこちらからも声をかけますし、そういうフォローもします」

 
最後に、久下沼さんの言葉を。

「言われたことをこなす能力もひとつのスキルだと思います。しかし、スタッフ自身がお客様とのコミュニケーションを通して、要望に答えることができれば、ひとつのコミュニティーとなり、文化を発信できると思うんです」

「満天の湯は上星川のランドマークでありたいですし、あそこにいったら元気が出るよね、なんかいい雰囲気だよねって感じてもらいたくて。そうして町全体が明るくなれば、住んでいる地域の方々にも波及してくると思います」

m11 ひとつひとつの出会いを大切にし、満天のつながりを形にしているからこそ、5年10年かけて想いはかたちになっていく気がします。

満天の湯で何ができるのか。まずは訪れてみて、温泉に浸かりながら考えてみてください。

(2016/11/8 浦川彰太)