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「その人がより心地よく過ごせるように、その人の人生がちょっとでもいい方向へ向かうように。かぐれは『もの』や『こと』、『人』を通して、そう在れるきっかけをつくっていけたらいいのかなと思います」かぐれは、グリーンファッションからはじまったセレクトショップ。
扱っているのは、オーガニックコットンなどの天然素材を中心とした洋服や、手仕事によって生み出される器などの生活雑貨。どれも安心して使えて、長く使い続けることのできるものたちです。
販売だけでなく、作家さんの個展やワークショップなど、暮らしを豊かにするようなイベントも行っています。
都会の中で、自然に近いものや長く日本に続いてきた知恵に出会う。
自分のからだや心を整え、ときには生き方さえも見直せる場所だと思います。
今回は、かぐれの販売スタッフを募集します。表参道・六本木・丸の内・横浜・銀座の1つのお店をベースに勤務することになります。
なにか惹かれるものがあったら、ぜひ続きを読んでみてください。
訪ねたのは、今年3月で1周年を迎える「かぐれ東急プラザ銀座」。この日は、開館時間よりも早くお店へ伺いました。
お店に入ると、無垢材の床。手仕事でつくられた鉄のラックにゆったりと並ぶお洋服や小物たち。
店の真ん中でひときわ存在感のある一枚板の木のテーブルには、陶の器とガラスのコップが置かれていました。
「この木のテーブルは、お客さまとゆっくりお話できるようにと思って、作家の海野さんにつくってもらいました。最近は、お店でお客さまのからだのお悩みを聞くことも増えてきたから」
そう話すのは、ブランドディレクターの坂田智子さん。
「かぐれの母のような人」と事前に聞いていた通り、とても愛情深い方。
もともとフリーランスのデザイナーとしてかぐれの仕事を手伝いはじめたという坂田さん。
かぐれでは、今ほど“オーガニック”が世の中に浸透していないころから天然素材の洋服を扱い、インナーや冷えとりソックス、ナチュラルコスメなど、アパレルブランドの枠にとらわれず、素材を生かした心地のよいものをつくってきました。
坂田さん自身がオーガニックに興味をもったきっかけは、なんだったのでしょう。
「自分が母親になったことが大きいですね。子どもに食物アレルギーがあったこともあって、食べものを中心にオーガニックなものを生活に取り入れるようになったんです」
とくにオーガニックコットンは、知れば知るほど広めていきたいと思うものだった。
「オーガニックコットンは、つくる過程で農薬を使わないから地球環境に負荷をかけないし、フェアトレードで取引されることで綿花畑で働く人の生活も配慮される。自分が親になったことで、子どもたちの生きる地球の未来まで考えて素材を選び、商品をつくるようになりました」
「それと、単純にオーガニックコットンは肌に触れるととても気持ちがよかったんですね」
中国の古典に出てくる一節で「衣は大薬なり」と言われるように、天然素材には、肌に触れることで体のわるいものを外に出す作用を持つものもあるそう。
体の調子が整えば、自然と気持ちも落ち着いてくるもの。
坂田さんがとくに力を入れているのが、天然素材のインナーシリーズ。
「女性は生理や出産があるので、体や心について考える機会も多いですよね。肌に触れるものにも敏感だと思います。だからこそ、洋服よりももっと肌に近いところで感じてほしいと思ったんです」
そのよさはお客さまやスタッフから徐々に伝播してゆき、かぐれのロングセラー商品になっています。
「かぐれで働きはじめて、身にまとうものを自分の感覚から選ぶようになってきた」と話すのは、スーパーバイザーの箱田万里子さん。
箱田さんは、日本とフランスで服飾デザインを学んできた方。以前は、つくりたい形をキープするためにも、化学繊維を使うことはふつうのことと思っていたといいます。
「かぐれのオーガニックコットンのレギンスを履いたとき、びっくりしました。夏に汗をかいても、まったく不快感がないんです。ためしに、前に履いていた化学繊維のタイツをはいてみると、かゆくて履いていられなくて。身につけるものでからだの状態が全然違うということを、ちゃんと感じられるようになりました」
すると、体調の変化にも、病気になる前に早めに気づけるようになったという。
「お風呂で肩を揉んだり、腰が痛くなったらマッサージしたり。時間をとって、こまめに手当てをしています。かぐれにはそういったことに詳しいスタッフも多いですし、ほんとうに自分のからだを整えることができる職場だなあって思いますね」
もちろん、一日中立ち仕事だし、忙しいこともある。
「そんな中でも、やっぱり自分たちが元気でいるということが、お客さまにお会いする一番の大前提だと思うので。からだやこころを整えることは意識しています」
お話を聞いていると、かぐれのみなさんは一つ一つ丁寧に言葉を選んでいるような印象。
だから自然と、お店にも健やかな雰囲気があるのかもしれない。
ふたたび、坂田さん。
「わたしたちはふだん、ナチュラルなものや素敵な知恵をお店で紹介しています。いいものを伝えていくためにも、わたしたちの心とからだが健やかで、輝いていることがすごく大事なんですよね」
「わたしたちは、おもてなしのスペシャリストだと思っているんですよ」
おもてなしのスペシャリスト?
「たとえば、その人のよさをいち早くみつけて、その人に一番似合う色やかたちの服を選んで、よろこんでもらう。わたし自身、人のよろこぶ姿を見ると、それが自分のエネルギーになるんです」
「自分がいいと思うものを紹介したい、人がよろこぶ姿にうれしくなる人にとって、どんどんやりがいが出てくる仕事だと思います」
ここで、お店のはじまる11時になった。
屋上へ移動して、ほかの店舗で働いているスタッフの方にもお会いしました。
かぐれ東急プラザ銀座店店長代行の織裳由加理(おりも・ゆかり)さんと、スーパーバイザーの地頭所愛(じとうしょ・あい)さんです。
入社して2年半という織裳さんは、大学では和紙漉き、卒業してからは京都の里山で3年ほど染め職人をしたそう。職人として働く中で「人間的にもっと深みを出したい」と、より人と接する機会を持とうと思い立ちます。
実家のある都心に戻り、仕事を探しているときに出会ったのがかぐれでした。
「かぐれは、伝統的・専門的すぎずにナチュラルでありつつ、都会の暮らしに添うような自然なものや暮らしを提供しているお店で。ここだったら、自分の気持ちに違和感なく働けるんじゃないかなと思ったんです」
入ってみて、どうでしたか?
「接客はもちろんですが、お客さんはどんな商品を求めているか、どういう色の配置だと心地よく感じるか。細かなことも考えるので、勉強になります」
「それから、かぐれではよくイベントを行うんです。イベントの準備から、終わった後のアンケートの集計、次の作家さんとの打ち合わせまで。業務は増えて大変なんですけど、たのしいです」
織裳さんは去年の夏、自らの経験を生かして藍染のワークショップを開催しました。
そこで、感じたことがあるといいます。
「そのワークショップには、藍染って都会でこんなに需要があるんだ!と、びっくりするくらい人が集まって。屋外で小雨が降っていたんですけど、みなさんまったく気にせず、黙々と染め続けていていたんです」
「こんなに一生懸命になれるほど自然なものや手仕事を求めている方が、これだけ都会にいる。求めている人のためにも、かぐれをもっと広めていかなくては、と思いました」
ここで、織裳さんの言葉に頷いていた地頭所さんもお話に加わります。
「由加理さんのように、かぐれには自分から何かを伝えていこうとするスタッフがたくさんいるんですよ。お料理のケータリング、ヨガのインストラクター、染色…。中には本業で自分の活動をしつつ、かぐれで働くスタッフもいます」
「これまでの経験をもとに接客したり、かぐれのアイテムを使って自身の身につけた知識を表現したり。それぞれが、いろんな可能性を広げています」
今回は、自分からも何かを伝えていきたいという人もお待ちしています。
「それに、やっぱり自分の実感をもとにした言葉は、お客さまへの伝わり方が違う気がします」と織裳さん。
「かぐれのスタッフにも、以前病気を患っていたスタッフがいて。からだのお悩みを抱えるお客さまがいらしたとき『実は昔こういう病気にかかって、でもこういう生活に変えたら今はここまで改善した』という自身の経験をお話していました。それだけでも、ほんとうに悩んでいらっしゃる方は心が救われたり、安心するんですよね」
「そんなふうに、自分でからだを整えたり、よりよく生きたいと思う人が集える場所が、かぐれなんじゃないかなと思うんです」
「かぐれ」の語源は、万葉集にもでてくる古語「帰香具礼(ゆきかぐれ)」。
「寄り集まる」という意味があるそうです。
名前のとおり、都会の中にあって、自然なものや古くからつづく知恵、そして人が寄り集まっている空間だと感じました。
みなさんの言葉に惹かれるものがあれば、ぜひ一度お店を訪ねてみてください。かぐれの人、もの、ことに触れてぴったりだと感じたら、ここで一緒にはたらいてみませんか。
(2017/3/23 倉島友香)