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おいしい贈りもの

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

清澄白河、リトルトーキョーの1階にある「ごはんや今日(きょう)」。

今日食べたいものをつくることをテーマにお昼ごはんをつくっています。

littletokyo-lunch-01 このお店でごはんを食べているといろんな人に出会います。

ご近所さんや日本仕事百貨で紹介しているクライアントさん、そして読者さんも。この日は4階のオフィスで働くスタッフがずらりとカウンター席に座っていました。

今回は、ここでアルバイトスタッフとして一緒に働く人を募集します。

調理の経験はあるほうがいいです。普通に飲食店で働くこととは違うものを求めている人や、ごはんや関わり合いを通して目の前の人を笑顔にしたいと思う人にきてもらえたらと思います。

少しでも興味がわいたら、ぜひ読んでみてください。



リトルトーキョーは5階建ての建物で、1階に飲食店、上の階には日本仕事百貨のスタッフが働く事務所やイベントスペースがあります。

littletokyo-lunch-02 仕事がひと段落して1階に降りると、この日もお客さんで賑わっていた。

手際よく食事の用意を進めながら、一人ひとりのお客さんに丁寧に応えていたのが高橋さん。

礼儀正しく、声が大きいのはソフトボール部のキャプテンだったからかもしれない。話していると、笑顔とテンポの良さについ引き込まれてしまう。近所のみなさんに好かれるのも納得だ。

littletokyo-lunch-03 ランチではメインのおかずに小鉢が3品、それにごはんとお味噌汁がつく。

この日はいわしの梅煮をメインに、秋ナスの煮浸しやキャベツときのこのお味噌汁など秋らしいメニューが並ぶ。

どんなことに気をつけて料理をつくっているんだろう。

「普段家で料理をするときは、時間に追われてちょっとだけ雑になったりすることもあると思うんです。だから、ここではできるだけ丁寧につくりたいなと思っていて」

丁寧につくる。

「お出汁も一からちゃんととったり、野菜を茹でるときは食感に気をつけたり。旬のものをなるべく取り入れて、味付けのバランスにも気をつけています」

littletokyo-lunch-04 高橋さんは大学を出てから飲食店や雑貨屋で働いていた。独学で身につけた料理を、もう少しやりたいと思っていたときに、この仕事に出会ったという。

「新卒で働いた飲食店では、調理済みの食材もつかっていたんです。でももう少し手間をかけたいと思っていて。ほかにも食材から考えたり、生産者に会ったりしながらお店をつくってほしいと求人記事に書いてあって、すごくワクワクしました」

実際に働いてみてどうだった?

「お店を立ち上げるってすごく大変なことだろうと覚悟して入って。だけど細かく指示が出るわけじゃないので、想像以上に着地点を見つけるのが難しかったですね」

すでに形が決められたものをつくるのと、一から自分でつくるのとでは全然違う。雇われるというよりも、自分のお店を持つような感じだった。

地域のお店を訪ねて仕入先を開拓したり、器も予算との兼ね合いを考えながら選んだり。

手書きのおしながきも高橋さんの発案。どんな思いで今日のメニューをつくっているのか知ることができたら面白いのでは、という考えからはじめたことだ。

littletokyo-lunch-05 最初の頃は、どれくらいの量を仕込めばいいのか見当がつかなくて、失敗してしまうこともあった。今も、試行錯誤は毎日続いている。

自分がお客さんだったらどんなものを食べたいだろう?どんなふうに接してもらったら気持ちいいだろう?

自分やお客さんの視点で考え、さらに実際に形にしていくことが求められる。

「ここでの経験すべてが自分の成長につながっていると感じています。あとは、本当に人につきますね。お客さんに支えられています」

「少しずつ常連さんも増えてきて、今日は友達を連れてきたよとか、丁寧につくっているのが伝わるよって声をかけてもらうと、やっていてよかったなと思います」

まもなくオープンから1年。最近ではお店を運営しながら梅シロップづくりのワークショップを企画するなど、少しずつ土台は出来上がってきているものの、まだまだ手が足りなくてやりきれていないことがあるという。

littletokyo-lunch-06 「今は金曜から日曜日の3日間、お昼ご飯をつくっていますけど、今後はもっと営業日を増やしたいし、生産者と消費者をつなぐようなイベントも開催していきたいです。新しく入る人には献立づくりやイベントの企画なども含めて、一緒に考えていってほしいですね」

高橋さんのように働くことは難しく感じるかもしれないけれど、自分で考えていけるからこそ仕事の喜びや新しい発見があるように思う。



アルバイトスタッフのはつみさんは、自分なりに考えることを楽しんでいるひとり。

littletokyo-lunch-07 結婚を機に東京にやってくるまでは、10年ほど大阪で美容師をしていたという。同じ接客業とはいえ、全然違う世界から飛び込んできた。

「美容師は外側のビューティーをつくる仕事ですけど、内側からのビューティーというものにも注目していて。そこに関わる仕事をやってみたいと思ったんです」

その中でも、ごはんや 今日を選んだのはどうして?

「どうしてそれをやらないといけないのか、疑問に感じても理由を知らないままやらなあかんっていうのは好きじゃなくて。ここなら自由に任せてくれて、いろんな可能性と出会えそうな感じがしたんです」

その感覚は入社後も変わっていない。「でも、体力は思っていたよりも必要でした」とはつみさん。

現在は3日分、約80食の仕込みをしている。ときにはかぼちゃの面取りを1時間、豆アジの内臓を2時間黙々とちぎり続けることもある。

きっと想像以上に地道な作業も多い職場だ。

「毎回どうしたらもっと早く仕込めるかを高橋さんと話していて。スピードが上がるのが楽しいんです。もっとできるようになりたいって意思があったら、すごく力をのばせる場所。ただ、指示を待っているだけだと何も変わらないと思います」

最近ではメニューも自分で考案したそう。メインは、ぬか漬けタルタルのチキン南蛮。

「自家製のぬか漬けがめっちゃおいしいんです。昆布とか唐辛子とか、季節によっても配合を変えていて、健康にもいいし。これをメニューに活かせないかなと考えました」

littletokyo-lunch-08 さらに夏に自分はどんなものを食べたいだろうと考えると、暑さに負けないボリューム感がありながら、酸味があって食べやすいもの。

今の自分の気持ちを大事にしつつ、食べる人のことも考えて。初めて自作したメニューをお客さんに出したときは、顔を直視できないくらい緊張した。

「反応がすぐにわかるので、彩りを褒めてもらったり、ごはんが進んでいる様子を見るとうれしかったですね」

「やっぱり毎回満足してもらえるものをお出ししないといけない。高橋さんは毎週このプレッシャーと戦っているんだという厳しさも知りました」

毎日充実している様子が、言葉の端々から伝わってくる。一方でそんなふうにはつみさんを動かしているものは何なのだろう?という興味もわいてくる。

「うーん…私は、誰かの役に立つのが好きなんです。誰かの役に立ちながら、自分のスキルも上がってお互い幸せっていうのが仕事やと思っていて。ここだとそれが実現できるんですよね」

littletokyo-lunch-09 「料理の彩りやバランスはもちろん、お花を生けて、掃除もしっかりして。お客さんの気持を想像して気持ちいい空間をつくっているんですよね。かといって、押しつけがましい感じじゃないんです」

だから自分も、おいしさと気持ちよさのちょうどいいバランスを探ってお店を運営していきたいとはつみさんは考えている。

働いている人の仕事に対する関わり方で、カウンターに座っている人が受けとる「何か」が変わってくるんだとあらためて思った。



もう一人、ごはんや 今日で働く本田さんにも話を聞いてみる。

飲食店でのアルバイト経験や、日本料理を長く習っていることもあって料理をつくることや接客に不安はなかったという本田さん。

littletokyo-lunch-10 だけど、普通の飲食店とは全く違うな、と感じたことがあったのだとか。

「思っていた以上に、人の話を聞くっていうことを求められるかもしれません」

人の話を聞く。

「たとえば、カウンターに各々一人で来ているお客さん。最初はみんな黙々と食べているんですけど、話を聞いているうちにどんな方なのかわかってくるんです」

その情報をもとに、「こちらの方は最近引っ越してきたそうなんですけど、どこかおすすめの場所あります?」と常連さんに声をかけたりする。するとだんだん「じゃああのパン屋さんは?」と会話がはじまって、お客さん同士がつながっていく。

「加減は難しいんですけど。新しいきっかけや出会いが生まれて、うまくいくとすごくおもしろい状態になるんですよ。それは想像していなかった接客の仕方だなと思いますね」

ただ飲食に特化したお店というより、ひとつの場のつくり方を学ぶような側面もある。その方法に決まったオペレーションはないし、正解もない。

だからこそ大変なこともある?

「そうですね。事前に手順や環境が100%整っていない状態でスタートしているので。その中でも何かしら自分で考えて動いていかないといけないんです」

たとえば、と話してくれたのは最近開催されたイベント「ぐるりの食卓」のこと。

ぐるりの食卓とは、日本仕事百貨で企画したイベントのひとつ。企業やチームなど一緒に働く人たちが普段食べている食卓を取材し、その食卓をリトルトーキョーでも再現する。今回は島根県の企業からゲストを招き、一緒に食事をしながら生き方や働き方について話をした。

「これまでに前例のないイベントだったから、料理やドリンクの提供方法も高橋さんと手探りでやっていました」

料理をお出ししながら、お客さんと話すこともあった。内容は、普段のランチとはまた違った声がけをするように心がけていたという。

littletokyo-lunch-11 「この会にはどんな人が来ているんだろうと想像すると、何かしら島根県に興味がある人や、いずれは移住を考えている人。だからその思いを汲み取った上で、こちらも話を振らないといけないなと思いました」

目には見えない裏側にまで思いを巡らせる。贈り物をするように働くって、こういうことからはじまるんじゃないかな。

「そんなふうに島根での暮らしについて聞いていたら、私自身がすごく島根に行ってみたくなっちゃいました」と笑う本田さん。

なんだかとても自然体というか。予想外の出来事さえも、楽しんでいるように見える。

最初は余裕がないかもしれないけれど、新しく入る人も本田さんのようにさまざまな出会いを楽しみながら働けるといい。



最後に、本田さんが話してくれたことがこのお店を表しているように感じたので紹介します。

「高橋さんをはじめ、スタッフみんながどんなに忙しくても守っていることがあって。お客さんが帰るときには扉を開けて、『ありがとうございました、お気をつけて』って必ずご挨拶をするんですよ」

littletokyo-lunch-12 「そういうことをやっていると、お客さんの顔も結構すぐ覚えられるんですよね。ごはんだけ出して終わりっていう飲食店では全然ないんです」

もしここでじっくりと働いてみたい人がいたら、ぜひ応募してみてください。

11/16(木)には、高橋さんが1日バーテンダーをするイベント、しごとバー「今日の夜食ナイト」も開催します。

この夜限りのメニューも登場予定です。おいしいごはんと一緒に、お会いできるのを楽しみにしています。

(2017/11/4 並木仁美)