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贈りものはベビーカー

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思い出に残る買いものって、あると思います。

たとえば、ものを手に入れる喜びだけでなく、ものを通してお店の人との関係もつくれる。だからこそ、「あのお店で選んでよかった」「この人から買えてよかった」と思える。

そんな時間が過ごせるお店は、いつも爽やかな空気が流れているような気がする。

3輪ベビーカーの「AirBuggy(エアバギー)」のスタッフのみなさんの話を聞いて思ったことです。

airbuggy-01 エアバギーは、15年前に日本で生まれたベビーカー。

カラフルでかわいらしいデザインに、どんな道もすんなりと進む操作性の良さ。さらに高い安全性が特徴です。

そんなエアバギーを製造、販売するのがGMPインターナショナル。今回は、直営店の販売スタッフを募集します。

ただベビーカーを売るだけではない。家族に寄り添い、子どもにとってたった一台の宝ものを届ける仕事だと思います。



この日まず訪れたのは、代々木公園前のショールーム。

「はじめまして。お会いできるのを楽しみにしていましたよ」

そう迎えてくれたのは、代表の飯田さん。優しくゆったりとした雰囲気で、言葉を一つひとつ確かめるように話す姿が印象的だ。

airbuggy-02 もともとは、ファッションやインテリアを中心に手がけるデザイナーだった飯田さん。

転機となったのは30歳のころ。友人の出産祝いを選ぶため足を運んだベビー用品店で、衝撃を受ける。

「足を踏み入れてすぐ、『なんて古めかしいのだろう』と思ったの。どの商品も決められた枠のデザインで、とても単調。お客さんもそれを当然のこととして受け止めているように見えて」

かたやファッションやインテリアは、自分の個性に合わせてたくさんの商品から自由に選べる環境が整っている。その差は歴然だった。

「だから私は、ベビー用品も選択肢を広げたいと思った。かかわる人みんなが、もっと自由に、ワクワクできる業界にしたいと強く思ったんです」

まさにそのとき、訪問先のハワイで偶然見かけたのが米国製の3輪ベビーカー。スタイリッシュなビジュアルに、赤ちゃんを乗せたまま小走りできるほどの走行性。何より、楽しそうに過ごす人々の姿に目を奪われた。

すぐさま本社に連絡をとり、代理店として日本で販売を開始した飯田さん。たちまち人気に火がつき、飛ぶように売れた。

ところがそのうち、「細い道が通りづらい」「もっと色を選びたい」といったユーザーの声を耳にするようになる。

「せっかく私たちのベビーカーを選んでくれたのだから、なんとしても実現してほしいと思った。必死に改善レポートを米国本社に送り続けたけれど、マーケットの小さな日本の声は見向きもされなかった」

「けれどそうするうちに、私のなかで『このまま諦めてはいけない、絶対にこの声を実現しなければいけない』という思いがどんどん強くなって。使命感、というのかな」

使命感。

「そう。3輪ベビーカーを日本で初めて広めたからこそ、責任を持って皆さんが本当に求めている3輪ベビーカーを届けなければならない。そのためにはもう待っていられない、ってね」

そうして設立したのが、GMPインターナショナル。飯田さんみずから設計図を握りしめ台湾の工場へ向かい、新たな3輪ベビーカーを開発することに挑戦し始めた。

そうして生まれたのが、エアバギーだ。

airbuggy-03 エアバギーの特徴は、「永遠に止まることのないプロトタイプ」。

ユーザーの声を反映しながら、15年前の発売以来、常に改良を続けてきた。

スタイリッシュなデザインはもちろん、押し心地、乗り心地、そして安全性。すべてがその声によって磨かれてきたと飯田さんはいう。

その姿勢は、ベビーカー業界のなかで圧倒的な知名度を誇るようになった現在も変わらない。

「実は、満足している商品は一つもないんです。世に送り出すたびに『ああすればよかった』と思うの。もっといいものをつくりたい、届けたい。私はその思いにずっと突き動かされているのかもしれない」

なんとも楽しそうに話す飯田さん。けれど、決して平坦な道ではなかったともいう。

どうして諦めずに進み続けられるのか聞いてみると、こんな言葉が。

「それはもう、人として、でしょうね」

人として?

「そう。商売を抜きにしても、人ってまず思いやりが大切でしょう。目の前の相手は何を必要としているか、そのために自分は何ができるか。それを考えることが、何よりも大切」

「そして私たちはメーカーです。一人ひとりがお客さまの気持ちに寄り添い、本当に求めてらっしゃるもの、これから必要とされるものを考えて届けるのが使命だと思うの」

直営店は、まさにその結晶だ。

airbuggy-04 「私たちの会社で、お客さまに一番近いところにいるのが直営店です。だからこそ、目の前の相手が何を必要としているのかを常に考え、思いやり、一人ひとりにぴったりなベビーカーを届けてほしい」

飯田さんにとって、エアバギーは贈りもののようなものなのかもしれない。

「世の中にまだないものを生み出して、届け、笑顔になってもらうこと。私はその瞬間がたまらなく好きで、ここまで続けられたのかもしれないですね」




続いて訪れたのは、エアバギー代官山店。

光が差し込む店内には、ベビーカーをはじめとした様々なベビー用品が並べられている。思わず足を踏み入れたくなる雰囲気だ。

airbuggy-05 そのことをマネージャーの松本さんに伝えると、こう教えてくれた。

「とくに週末はお客さまでいっぱいになって、もっとにぎやかになるんです。ここは私の自慢のお店なんですよ」

airbuggy-06 もともと子どもや接客が好きだったという松本さん。偶然通りがかったエアバギーの店先で募集を見つけ、興味を持ったそう。

「一目で、なんてかわいいベビーカーだろうって気に入って(笑)さらにスタッフも気持ちよさそうに働いていて、すごくいい空気を感じたんです」

お店にはいろいろな人が訪れる。

出産を控え、ベビーカーを下見に来る人。出産祝いや、子どもへの贈りものを求める人も。

特に、はじめてベビーカーを検討する人には、じっくりと時間をかけて接客するという。

「エアバギーは操作性や安全性が高いぶん、他社製品に比べて重量がある。ネックになる可能性もお伝えして、外で試運転もしてもらいます。数時間一緒に考えることもありますね」

普段の移動手段はもちろん、最寄り駅や家の構造、さらにはライフスタイルまで。一つひとつ確認して、数あるなかから最適なベビーカーを提案する。

それでも、ベビーカーは決して安い買いものではない。ほとんどのお客さまは一度では購入にいたらず、複数のお店を行き来して決めるのだそう。

「それでも、押し売りは絶対にしません。大切なお子さまを乗せるものだから、納得いただけるまで寄り添いたいし、不安があれば解決したい。その先に、お客さまに『あなたから買いたい』と言っていただけることが、何よりもうれしいんです」

子どもにとってたった1台のベビーカーを、エアバギーで選ぶ。

こういう時間が生まれるのは、もちろん性能がいいというのもあるけれど、スタッフの心遣いも大きいのだと思う。

さらに、ベビーカー以外の様々なベビーグッズは各店舗のスタッフが仕入先まで足を運び、一つひとつ選んでいるのだそう。

airbuggy-06 「接客しながら、お客さまは何を求めて来店されているか、そのために何を用意したらいいのかを先回りして考えるようにしていますね」

もちろん、大変に思うこともあるという。

「週末は朝から晩までお客さまがいらっしゃるから、体力と気力が必要です。製品のアップデートも早いので、常に勉強は欠かせませんね」

「けれど私は、とにかく人が大好きなんです。ここは、ベビーカーやベビー商品を通してお客さまと一対一の関係をつくることができる。一人の人間として、ここにいたいと思うんですよ」




最後に話を聞いたのは、販売スタッフの小松さん。ベビー用品の販売店を経て、2年前エアバギーにやってきた。

「以前から、かわいいベビーカーだなと気になっていて。安全性にも気を配っているし、なんだか良さそうだと思って応募してみました(笑)」

airbuggy-07 一方で、働きはじめて意外に感じたこともあるそう。

「思っていたよりも、ずっと力仕事でしたね。10キロ近くあるベビーカーを上げ下げする作業は毎日のようにあるし、メンテナンス修理をすれば手も汚れます」

聞くと、店舗ではエアバギーの定期的なメンテナンス修理もスタッフが担当しているのだそう。

airbuggy-08 販売したらそれきり、という関係性ではないのですね。

「そうなんです。私たちがメンテナンスすることで快適に乗っていただけるし、生きた意見を本社に送って次の製品に活かしてもらうこともできる。お客さまとずっと繋がれる楽しみもあります。ギャップでもあり、良かった面でもありますね」

さらに特徴的なのが、エアバギーのスタッフは乳幼児の発達段階や成長のスピードなど、ベビーカーを超えた知識の引き出しも持っているということ。

出産前のお客さまは、ベビーカー以外にも不安がたくさんある。ときにスタッフは、アドバイザーとしての役割も求められるという。

「特にひとりめのお子さんの場合は、『首が座ってからシートを変えてください』と伝えても分からないし、かえって不安になってしまいますよね。そうしたときには知識はもちろん、『私の友人はこうでした』と体験談を伝えることもあります」

もちろん、引き出しは一朝一夕で得られるものではない。普段の生活や会話から、ヒントを得られるような人が向いているのかもしれない。

「引き出しを増やす作業は、大変に思うかもしれません。けれどお客さまにもいろんな提案ができるようになるから、接客はもっと面白くなると思う」

airbuggy-09 そんな小松さんには、忘れられないお客さまがいるという。

「代官山店がリニューアル作業中で閉まっていたときのことです。他店に出勤したら、『代官山のスタッフさんですか』と聞かれて。以前接客したお客さまが覚えてくださっていたんです」

「その日は以前伝えきれなかったお話もして。すると帰り際、『必ずリニューアルオープン当日に行って、小松さんから買います』と言ってもらえて、本当に購入してくださったんです。本当にうれしかったな」

ただベビーカーを売る存在ではない。新たな家族を迎え、支えるパートナーでもあるのだと思う。



取材を終えてお店を出ると、エアバギーを押すお母さんと子どもの姿が目に入った。

あの1台にも、スタッフとのエピソードが詰まっているのかもしれない。そう思うと、なんだかこちらまで温かい気持ちになった。

airbuggy-10 まずは一人の人として、目の前の人に贈りものをするように。

そんな働き方が、ここにはあると思います。

(2017/11/6 遠藤真利奈)

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