求人 NEW

床の近くで
心地よく暮らす

「ローソファには、人を惹きつける、そんな魔力があるような気がしています」

ローソファ専門店「HAREM(ハーレム)」で取締役を務める、岸宗さんの言葉が印象に残っています。

通常のソファと比べて座面が低くなっているローソファ。

ソファに座りながらこたつに入ったり、ごろっと横になったり。

日本の暮らしを考えてみると、床は畳で、靴を脱いで上がる文化があります。本来ローソファは、日本人にとって身近なものなのかもしれません。

今回は中目黒にあるショールームで、ローソファを通して床暮らしを提案する人を募集します。

 

東京・池尻大橋。

池尻大橋駅と中目黒駅を結ぶように流れる、目黒川沿いを歩く。路地を進むと、静かな住宅街にHAREMの看板を見つけた。

地下へと続く階段を降りて、お店の扉を開ける。

奥行きのあるゆったりとした空間に、さまざまなデザインのローソファが並んでいる。靴を脱いで上がるので、友だちのお家にお邪魔するみたい。

それぞれの商品は、実際に座って試せるようになっている。

つい横になりたいなと思っていると、奥から取締役の岸宗さんが迎えてくれた。

「住んでいる和歌山を出発して、今朝東京に着いたんです。部屋は暖かいし、インナーも重ねすぎたのでつい眠くなってしまうかもしれません(笑)」

大阪出身の岸宗さん。くだけていて、話しやすい雰囲気の方。

「くつろぎながらお話ししましょう」と、こたつを囲んでお話を聞くことに。

HAREMは、岸宗さんのお父さんがインテリアデザイナーとして独立し、20年前に立ち上げたブランド。商品はすべて受注生産で、オンラインショップがメインになっており、ショールームが大阪と東京に1店舗ずつある。

昔は、漫画家を目指していたという岸宗さん。

「仕事と並行して漫画を描いていて、徹夜をして無理することもありました。そうしたらスタッフに『お店と漫画、本気なのはどっちですか』って怒られてしまって。お前たちのほうが大切や! って言って筆を置きました」

そっちの話も気になる… と好奇心を抑えつつ、どうしてローソファ専門なのか、聞いてみる。

「HAREMは、インテリアショップとしてスタートしたんです。2000年代初頭はインターネット通販が盛り上がりを見せていた時期で、弊社も通販サイトを立ち上げたところ、座面が低いソファが多く売れたんですよ」

「お店に来られる方も、僕らのソファを見て『これくらい低いソファを探していたんだよ』っておっしゃる方が多くて。需要があるんだなって気づきました」

ショップで最初に売れたという「スキップソファ」。40年ほど展開しているロングセラー商品。

床から座面までの高さは4センチ。床にぺたんと座るようなかたちで、足を伸ばしても床との段差をほとんど感じない。

「お子さまのいるご家庭でも、赤ちゃんや小さい子どもがソファから落ちてケガをする心配がないんです」

「うちの子どもも、ソファでごろんと寝かせると泣き止むんですよ。せっかく買ったベビーベッドも、ベッドの位置が高いせいで、自分がソファで寝転ぶと見えづらくて」

さらに、ここ数年でペットを飼っている人たちの需要も高まっているそう。

とくに小型犬は、ソファへの上り下りを繰り返すことで、ヘルニアや骨折が起きるリスクを高めてしまう。

「以前、座面の高いソファの影響で、飼っている犬が骨折してしまったお客さまがいらっしゃって。獣医さんに、『ソファを撤去してください』って言われたそうなんです」

「けれど、どうしてもソファは諦めきれないと。そんなとき、僕らのソファを見つけてくれて、『こんなのあったんだ!』って。それを聞いてうれしくなりました」

最近では、SNSで見つけて来店するお客さまも増えてきた。「でもまだまだ、家具を買う際にローソファが選ばれることは多くない」と、岸宗さん。

「僕らは“床で暮らす”をコンセプトに掲げています。ローソファを通して、どんな暮らしができるのかを提案することが、僕たちの使命だと思っていて」

「お子さまやペットのいるご家庭など、いろんなニーズに応えたい。そのうえで、ローソファを生活に取り入れて、長く愛用してくれる人をもっと増やしたいんです。その目標に一緒に向かっていける仲間に来てほしい」

大阪と東京を合わせても、社員は9名ほど。東京は現在2人でお店をまわしているため、今回入社する人は即戦力になると思う。販売の経験はあったらありがたい、とのこと。

「少数精鋭で関西の人が多いんですよ。なので、お互いに言いたいことを素直に伝える人が多いかな。でもイヤな感じはまったくないですね」

「たぶん接客のスタイルもあるのかな。相手に寄り添う接客を求めているので、普段のスタッフ同士のコミュニケーションも、ちょうどよいバランスで成り立っているんだと思います」

 

となりで頷く矢尾さんも、大阪出身。

「入社するとき面接をしてくれたのが岸宗さんで。面接を受けるというより、おしゃべりみたいな感覚で話せて、すごく安心した覚えがありますね」

今年で8年目になる矢尾さん。前職まで航空業界で働いていた。

仕事にやりがいを感じていたけれど、1分1秒を争う日々のなか、毎日100人以上のお客さま対応をする環境。

お客さまに寄り添ったサービスをしたいのに、人も時間も足りないからと割り切ることに悶々としていた。

得意な接客を活かしつつ、違う働き方を求めて転職することを決める。

「休みの日にインテリアショップへ、よく買い物に行っていたんです」

「こんな空間をつくったらゆったりくつろげるかなとか、将来はどんな部屋に住もうかなって想像していて」

インテリア関係の求人を探していたところ、たまたま見つけたのが、HAREMだった。

入社してみて、どうでしたか?

「お客さまに対して1対1で、時間をかけて接客できる。じっくりと会話をしながら、理想の暮らしに近づけるような商品をご提案できることに、やりがいを感じています」

「何年も何年も長く使うものだからこそ、複数回来店して決めるお客さまも多いです。『今度は奥さん連れてきますね』みたいな。お客さまとの距離感が近いなって感じますね」

印象的だったお客さまがいるそう。

「小さいお子さんがいらっしゃるご夫婦が、以前FLO-FLO(フロフロ)っていうマット型のソファを購入されて」

「数年後、お子さんが大きくなってきたタイミングで、FLO-FLOを子ども部屋に移動して、リビングに新しく置くソファもHAREMで買いたいって。再度、ご来店くださったんです。そういうお声をいただくと、うちのお客さまだなって感じがします」

うちのお客さま、ですか。

「ローソファが暮らしに馴染んでいるというか。長く使えるものこそ、買って終わりではない。二世代、三世代先まで家の一部となって、思い出が積み重なっていくものだと思うんです」

「うちはカバーの買い替えなども承っているので、10年くらいで張り替えて引き続き使うお客さまも多いですね」

お客さまに喜んでもらえる反面、働く側として、商品の入れ替えが多くないことで新鮮な気持ちを持続させることは難しいようにも思う。

流行りものが好きな人よりも、心から良いと思える商品に愛着を持てる人だといいんだろうな。

間接照明を配置したり、癒し効果のあるアロマを焚いたり。お客さまがリラックスして、素直な言葉が出るような、雰囲気のやわらかい空間を整えるのも仕事のひとつ。

さらに、オンラインショップやSNSの更新、お客さまへのメール対応など。パソコンに向かう時間も少なくない。

矢尾さんは、どんな人に来てほしいですか?

「お客さまのお話を聞きながら、じっくりと理想の暮らしに合わせて提案していくので、まずはお客さまのイメージなどをたくさん聞いて一緒に考えられる人だとうれしいです」

「ときどき、入店してすぐに“暮らしの困りごと”についてご相談を受けることもあります。相手のお話に、臨機応変に対応できる人が合っているのかな」

 

最後に話を聞いたのが、松本さん。日本仕事百貨の記事をきっかけに入社して、今年で6年目。

新しく入る人は、矢尾さんと松本さんの2人が、頼れる先輩になる。

前回の取材をした2019年当時、松本さんが企画していた商品がかたちになったそう。

「HAREMのソファは、すべて国内の工場で製造されていますが、使用される生地は輸入品を使うものもあって。日本のデニムを使えば、素材から製造まで、すべての工程で純国産のソファができるんじゃないかって、会社に提案したんですよ」

デニムの名産地として知られる、岡山県の児島でつくられたデニムを生地に採用。耐久性のある生地で、長く使い込むほど生地に風合いが出る。

「特殊な加工をかけて、色落ちもほとんどないようにしたんです。インディゴブルーの色味を好まれるお客さまが多いですね。ウォールナットとか、茶色の木の素材と相性がいいんですよ」

「今ではカタログにも載せて、レギュラー商品になりました。社内であげた声がかたちになるのは、やりがいがありますね」

松本さんは、新卒で広告代理店に入社して7年働き、その後デザイナーズソファを販売するお店に勤めていた。

接客業への興味は、趣味でつくっていたアクセサリーが売れたことがきっかけ。

「自分が心から良いと思えるものに共感していただいて、うれしかったんです。仕事として接客をしたいと、そのときに思いました」

広告代理店の後、デザイナーズソファを販売するお店に勤めた松本さん。デザインにも興味があったものの、お店の雰囲気に馴染めない部分があった。

「前のお店で、お客さまが予算面で悩まれていたので、購入を再検討するために一旦お持ち帰りいただいたことがあったんです。そしたら、店長から『今のお客さま、あと1歩踏み込んでいれば売れたよ』って言われて」

「お客さまの意思を尊重せず、売り上げを重視するスタイルが、私には合わないなって思ったんです」

売り上げももちろん大事だけれど、HAREMでの接客の基本はお客さまにしっかりと考え抜いてもらった上で購入してもらうこと。靴を脱いで上がるシステムの時点で、ほかのお店とは少し違うように思う。

普段、どんなことを考えながら接客をしているのだろう。

「くつろいで、お座りになるお客さまには、こちらもしゃがんで目線を合わせてお話しします。ゆっくりと見たい方には、距離を取りながら一言かけるのを待つこともある」

「お客さまそれぞれに、求めていることは違いますよね。仕草や表情から、どんなことを考えているんだろうって、観察しながら気を配っています」

 

最後に一緒に働きたい人について、取締役の岸宗さんが話していました。

「些細なことでもいいので、自分の暮らしにこだわりのある人だとうれしいです」

「ローソファって、まだまだニッチな世界なので。指示を待つよりも、自分で考えて、会社にとってよりよくなることや、おもしろそうなことを一緒に考えましょう! って言える人だと、楽しく働ける会社だと思います」

暮らしに寄り添って、ローソファのある生活を広めていく。

まだまだ余白のあるこの仕事に、ワクワクしながらチャレンジできる人をお待ちしています。

(2024/01/11 取材 田辺宏太)

問い合わせ・応募する

おすすめの記事