日々、想うこと

夜が近づいている。森の向こうの空が夕焼けに染まったと思ったらすっかり暗くなって、浅間山は夜の空に溶け込んだ。

焚き火を囲んでいるのは10人ほど。ゆらめく赤い炎の光で、みんなの顔がぼんやりと浮かびあがる。焚き火を見つめる人。数人で話している人。マシュマロを焼いている人。

「ケンタさん、マシュマロ食べますか」

スタッフの中野から声をかけられる。てっきりもらえるのかと思って「いる」と答えたら「450円です」とのこと。仕事熱心で良い。

マシュマロはトロトロフワフワになるまで焼くよりも、アルデンテくらいが好き。ということを、誰かに聞かれるわけでもなく話す。みんな聞いてくれる。

マシュマロをビスケットに挟んで食べる。完璧だ。

隣のメガネ君が、こんな話をしたい、と口を開けた。なかなか重たい内容だった。

飲み屋のカウンターでもこんなことは起きない。初対面で話しはじめるには勇気がいるし、聞いているほうだって困ってしまうかも。でも焚き火を囲んでいると大丈夫。みんな炎を見ているから、視線が集中しない。顔もぼんやりとしか見えない。でも隣にいる、という存在はしっかりと感じる。

もっと話したいと思って、小屋で営業しているスナック野良猫へ。ワインをボトルで購入して焚き火に戻りながら、こんな時間を過ごしたいからこのイベントをはじめたのだろうなと思った。(ナカムラケンタ)

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