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「企画をしたいとか、地域活性化を仕事にしたいとか。島根ではそれができる場所がないと思っている人が多いと思うんです。わたしもそうだったので」
「でも、ここならめっちゃ活かせるよ! って言ってあげたい。前例踏襲なんて一旦忘れて、本当に島根のためになることであれば、どんどんチャレンジしてほしい」
そう話してくれたのは、ふるさと島根定住財団の島田さん。
中国地方の日本海側に位置する、島根県。ここに、熱意を持って、島根をより良くしようと奮闘している人たちがいます。
公益財団法人ふるさと島根定住財団は、島根県への移住・定住の総合相談窓口を担っている団体。具体的には、「若年者の県内就職支援」「UIターン支援」「地域づくり支援」という3つの柱で活動しています。
目的は人材の地元定着と、県外からの流入による人口の社会増スパイラルを生み出すこと。
今回募集するのは、企画・事務職を担う正規職員です。
上記で紹介した3つの役割を数年単位で変わりながら、現場にも足を運び課題解決を目指します。
島根に縁がある人もそうでない人も。地方創生や過疎といった社会問題に関心があり、現場で自分の力を発揮したい。そんな人にはぴったりの仕事だと思います。
羽田空港から飛行機に乗って出雲空港へ。
出雲空港から松江へは、車で40分ほどで到着する。左手には宍道湖(しんじこ)が広がっている。
島根県の県庁所在地でもある松江市。
松江駅のすぐそばにあるビルの3階に、ふるさと島根定住財団がある。
中に入ると、奥行きのあるワンフロア。相談ブースがあって、その奥には机がそれぞれ島のように並んでいる。
「こんにちは! 遠いところありがとうございます」
元気な声で迎えてくれたのが、UIターン推進課・課長の島田さん。財団に入って22年目になるベテランだ。
「今いる全メンバーで、唯一新卒で入りました。財団では三本柱で事業に取り組んでいて、『若者の就職支援』と『UIターン支援』と『地域づくり支援』。各部署を経験して、いまはUIターン推進課で仕事をしています」
島根出身の島田さん。この春、一番上の息子さんが県外に進学したとのことで、定住財団の職員としてはもどかしい気持ちでいる、と話してくれた。
「一度離れたとしても、島根に想いを馳せてくれたらいいなと思いますね」
「うちは財団として32年の歴史があって、全国でも先んじて人口問題に取り組んできました。何をすべきか突き詰めて、軽やかに大胆に実行する。それは誇れるところだと思っています」
職員数は、パートや嘱託の人も含めて68人。
県の外郭団体としては、かなり規模が大きいように感じる。
「これがね、島根の本気です(笑)。全国でも比較的早いタイミングで人口減少に転じたので、当時かなりの危機感が生まれて。知事や県職員のレジェンドたちが『本気でやるぞ』って生まれたのがこの財団です」
「行政だとやりにくい攻めたことも、外郭団体なら素早く動ける。財団の予算規模も、いま8億円くらいかな。島根はこの分野で圧倒的にお金をかけていると思います」
島根では、毎年8千人規模で人口が減少しているそう。そこで定住財団が取り組んでいるのが、他県から人を呼び込む社会増。進学のタイミングで県外へ出ることが多い学生や、島根へのUIターンを検討している社会人に対しての移住・定住施策を実施してきた。
実際に人口の動きとして、県の発表では、生まれ年に着目した年代別の人口の変化率で、2015年に20~24歳だった層は、2020年に5.7%(約1,500人)増加した。同25~29歳で5.1%(約1,500人)、同30~34歳で3.2%(約1,100人)増加。転入が転出を上回っており、地方ではまれな動向だという。この若年世代が増加傾向なのは、「移住支援策の成果」とも見てとれる。
具体的には、県外での移住イベントや学生向けインターンシップ等を実施。東京など遠くにいる人にも来てもらえるよう、交通費なども助成している。
ほかにも、YouTubeで動画を配信したり、漫画コンテンツをつくったり。さまざまな角度から情報を届けている。
「移住しませんか? って言っても、アプローチとして唐突なので届きにくい。どうしたら自然に心へ届くかっていうのを考えて、アイデアを出し合っていますね」
ほかに取り組んでいるのが、産業体験。主に第一次産業の農林漁業の担い手を全国から募集し、マッチングするというもの。多い年で年間100人ほどの単位でマッチングが成立していて、定着率も8割以上もあるそう。
「窓口で移住相談を受けて終わりではなく、仕事の希望を聞いて一緒に企業さんに行くとか、保育園も見学してみましょうとか。必要だと思ったことを提案してできる限りアテンドまでする。そこまで人的コストをかけられるのもうちの強みです」
ほかにも、学生と企業さんの交流会を居酒屋で開催したり、学生が企業に自分を売り込むスカウト型イベントでは、企業さんから学生さんにラブレターを書いてもらったり。さらには、音楽のできる職員が作曲し、ボーカルオーディションを開催してオリジナルの学生応援ラブソングをつくってみたりなど。
ざっと聞いただけでも、そんなことまでするんですか? と聞き返したくなるような企画がたくさん。
島田さんは長年働いてきてどうですか。
「最高ですね。最の高としか言えないです(笑)。仕事柄いろんな企業さんの話を聞いたりしますが、わたしにとっては財団の仕事が一番たのしいです。もちろん、泣きたくなるようなしんどい時も、腹わたが煮えくり返るようなときもありますけどね。私に合ってるんだと思います」
「それに仲間も志が高くて、いい意味でお人好しな人が多い。もちろん70人くらいいれば、意見がぶつかったりすることもあります。ただ基本は島根を良くしたい、人を応援したい。そんな人たちが集まっている。だけん、一致団結したときはすごく気持ちいいです」
ある程度の制約があるなかでも、もっとこうしてみたい、という個々人の意見やアイデアを前向きに捉える空気がある。それは働く上でのたのしさにつながっているのかもしれない。
そんな島田さんの話をとなりで笑いながら聞いていたのが、6年目になる尾崎さん。
「わたしが財団のことを知った企業ガイダンスもすごかったですよ。いろんなイベントや企画をしていて、職員さんの熱量がすごい(笑)。みなさん働いている姿がキラキラしていて」
「新卒のときに財団を受けたんですけど、そのときは倍率が100倍くらいあって合格できず。地元の経済団体に就職して働いていたんですが、もう一回チャレンジしてみようって受けたら採用してもらうことができました」
最初は地域活動支援課に配属。1年弱で総務課に移り、経理中心の仕事を担いながら、途中からは採用のことも担当することになった。
新しく入る人も、所属する課は適性次第で変わる予定。数年ごとに変わって、一通りの仕事を経験することになる。
「今は主に地域づくりのためのNPO支援に携わっています。やっぱり地域が元気でないと出て行った人も帰ってこない。多くの人に島根に来たいと思ってもらえるよう、魅力的な地域をつくっていくことは、三本柱のなかでも重要な仕事だと思っています」
実際に働いてみてどうですか。
「入職してすぐに、『動画撮るよ』って言われて。『??』みたいな(笑)。年末に忘年会をするから、そのための職員ムービーをつくっていたみたいで。まるで一本の映画をつくるように、脚本から動画編集まで超本格的で。身内だけのことも本気でやってるんですよ。年末のいそがしい時期にいそがしいことやってるなぁって」
「でもそれがめっちゃ楽しくて。こんなに職員同士の関係性が深いんだなって。上下関係はほぼ感じたことないくらい。職員同士はすごく仲が良いです」
印象に残っていることを聞いてみると、最近開催したNPO向けのセミナーの話をしてくれた。
「開催前にスタッフ同士で、いよいよ明日ですねって話していたときに、『準備は整ったね、いけるね、明日頑張ろうね』って。その瞬間にわっとやりがいが湧いてきた感じがして」
「参加者からも、この間のよかったねって言ってもらえました。セミナーをきっかけに団体さんの背中を押せたと思うと、がんばってよかったなって。現場で生の声を聞けるやりがいはすごくあります」
最後に話を聞いたのは、2年目の長岡さん。
島根出身。地元の銀行で働いていたけれど、広島への異動をきっかけに、もっと愛着のある地元のために働きたいと、退職し財団に入った。
「運良く働くことができて、もう最高です(笑)。いい意味でギャップがすごくたくさんあって。お堅いところがあるかなって思ったんですけど、企画の進め方とか、やってみたいことをかたちにできる空気とか、柔軟にアウトプットしていい雰囲気があるところだなって」
「正直、去年は気づいたら一年経っちゃった、くらい激動でした。今年もほぼ同じ仕事を任せてもらっているので、こだわりたい部分はしっかりとこだわって仕事をしていきたいと思っています」
長岡さんの仕事は、移住検討者と県内の企業・団体をつなげる、財団内では「マッチンガー」と呼ばれるスタッフをとりまとめること。
「イベントも担当していて、今週末も東京で移住相談会を実施します。あとは秋冬に地元企業さんを交えたイベントもあるので、それも担当しています」
大事にしている、と話すのは課内職員とのコミュニケーション。
「自分よりも長く働いている職員さんが多いので。新しい企画でセミナー開催とかを考えたときに、どう伝えようかとか。多少マネジメントしたことがある人の方がすんなりできるかもしれないです」
長岡さんはどんな人と一緒に働きたいですか?
「コミュニケーション能力は必要だと思っていて。とにかく人とかかわることが好きな人、ですかね。行政の人、民間の人双方の多くの方との関わりがあるので」
「企画がうまく通らなかったり、部署間で説明が不足してしまったりすると、めげそうになっちゃうこともあって。島田さんが喝を入れてくれるんですけどね(笑)。『ちゃんと対話をしなさい。わかってくれる人たちだから』と言ってくれます」
自分はまだ2年目なんで、と謙遜する長岡さん。担当した移住希望者が、たのしく島根で暮らしてくれるのがうれしいし、やりがいになる、と話してくれた。
ここで、最後に島田さん。
「わたしたちが大事にしてるものは当然あるんですが、そのままやればいいわけじゃなくて。島根のためには何ができるか。それを考えて、うちで活かしてほしい。馬鹿だと思われることでも本気でしていくと、どこまでいけるのか。一緒に課題をたのしんで解決していきたいです」
「今回の採用のテーマは『本気』なんですよ。書道家でもある財団スタッフに書いてもらってユニフォームをつくっているんですけど。あくまでわたしたちは本気なので。小さくまとまらず、元気のいい、やんちゃな子が入ってきたらいいなって思います」
島根の未来のために、“本気”で取り組む。
島根に愛着がある人も。これまで島根に縁がなかったという人も。
財団の人たちの熱量に触れることで、前向きに、そして本気になる。
面白そうと思った人は、島根に飛び込んでみてください。
(2024/6/10 取材 稲本琢仙)