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日本が誇る職人の技術を活かして、最高の商品をつくってみませんか。
全国各地から選び抜いた「逸品」を販売し続けてきたECサイト藤巻百貨店。
サイトを運営する株式会社caramoが新しく、自社ブランドを立ち上げました。
これまでに培った顧客の購買データなどをもとに、ニーズをとらえた生活用品や、アパレル商品を企画。500人以上の日本トップクラスの職人とのつながりを活かして最高の商品をつくって販売する。
藤巻百貨店だからこそできる、オンリーワンの取り組みです。
今回は、走り出したばかりのブランドを社長と一緒に育てていくメンバーを募集します。
商品の企画から、職人の選定、販売のためのデジタルマーケティングなど。
自社ブランドの運営に携わる仕事は様々。藤巻百貨店のノウハウを学びながら、これまでの経験が活かせる仕事や、やりたいものに応じて仕事内容を決めていきます。
明治神宮前駅から明治通りを歩くこと6分。
平日の原宿は、人通りも少なくて思ったよりも落ち着いている。
個性的なファッションブランドやカフェを横目に歩いていくと、ビルの1階に藤巻百貨店の大きな文字。
出迎えてくれたのは代表の中村さん。
新ブランドのコンセプトから商品開発、マーケティングにいたるまで、今回のプロジェクトを主導していている。
「これまで藤巻百貨店が培ってきた強みを、フル活用できるプロジェクトだと思っているんです」
藤巻百貨店は11年前に中村さんと、カリスマバイヤーとして知られた故・藤巻幸大さんが立ち上げたショッピングサイト。
全国トップクラスの職人がつくる優れた商品だけを選び抜く。さらに、その魅力を藤巻百貨店ならではの切り口で丁寧に説明し、販売。ものへの関心が高い35〜50歳代の男性を中心に人気を集め、約60万人のファンを持つ人気ECサイトだ。
これまでの歩みのなかで築いた職人たちとのつながりや、商品の売り出し方、顧客のニーズに関する知識などを活かした新たな取り組みとして2022年10月新たに立ち上がったのが、自社ブランド「CENTENA(センテナ)」。
「今回のブランドは職人との共創をテーマにしています」と中村さん。
職人との共創?
「購買データなどを駆使し、お客様のニーズを捉えた商品の企画、プロダクト開発はぼくらの強み。そしてその企画を形にするのは、一流の職人たち。僕たちは、今まで培ってきた職人との強い関係性があり、それぞれの企画に一番マッチしている職人さんを選ぶことができる。そんなふうに互いの強みを生かした商品づくりをしていけば、お客さんたちにも喜んでもらえるだろうなと思って」
これまでの藤巻百貨店は、セレクトショップ。仕入れの段階で職人やメーカーに対して「こういうニーズがある」などの提案はしていたものの、あくまで商品を仕入れて販売する立場だった。
CENTENAは、藤巻百貨店がゼロから商品を企画し、商品化にこぎ付けるというもの。製造は職人に任せるものの、商品のデザインや販売は自社で行うことになる。
自社ブランドを立ち上げたことで、藤巻百貨店が考える、本当に必要とされているものを商品化できるようになった。
「たとえば」と言って、店内に飾ってあったグラスをみせてくれる。
「これは、CENTENAで出している江戸切子のワイングラスです」
「和食は世界無形遺産に登録されましたが、その時から和食と一緒にワインを飲むときにワイングラスを使うことに違和感を感じていて。日本産のワインも登場し始めてお酒も日本のものになっているのに、グラスだけ違う感じが…。そう思ったときに、ワイン専用の江戸切子があればいいんじゃないかなと」
江戸切子はロックグラスやぐい飲みが主流。そのため、職人さんにアイディアを提案したものの、「イメージがわかない」と全員から断られた。
そこで、自社製品として一から開発することに。
グラスの厚みや形状、色など、一から中村さんが企画し、一緒に商品化を目指して欲しいと依頼すると、職人さんも快く受けてくれた。
「本来のワイングラスに比べたら重いし、分厚い。でも、どっしりしていたほうが安定感もあるし、洗ったりするときも怖くない。この形はワイングラスみたいに脚もついてないから、洗うのが楽です」
使用シーンはもちろん、洗うときや、保管するときのことまで、商品が実際の生活で使われるあらゆる場面をイメージするのが、中村さんのこだわり。
さらに、そのアイディアを形にするために最適な職人とのつながりもある。
今回の企画では、グラスの土台になるガラス生地を日本トップクラスのガラスメーカー「深川硝子工芸」さんに、切子のカットは江戸切子協同組合の理事長で伝統工芸士の篠崎英明さんに依頼した。
こうして完成したグラスは大好評。一つひとつが手仕事でつくられているため、生産が追いつかず在庫切れになることもあるという。
ほかにもバッグや最近は繊維業界大手の東レ・グループと共同開発したアウターなどアパレル商品の企画もしていて、売れ行きも上々だ。
自分の企画した商品を職人さんにつくってもらえるなんて、すごく楽しそう。
「その分、プレッシャーはすごくあります。職人さんたちの大切にしている技術を背負っているんで。しくじれないという思いがありますね」
しくじれない。
「僕たちはその道のプロと一緒に仕事をしているから、僕ら自身もプロじゃないといけない。藤巻さんにお願いしたら売ってくれる、自分たちのつくったものの価値をしっかり伝えてくれるよねって信頼してもらっているので」
だからこそ商品企画などの経験がある人も、まずは藤巻百貨店のやり方を学んでもらいたい。
「商品開発の経験がある人なら、少なくとも1年以内には自分のプロダクトをつくってもらいたいなと考えています。未経験でも、お客さんのことがよく分かっていたり、商品づくりにすごく興味があったりする人だったらいい。二人三脚的な感じでアシスタントをしながら徐々に成長してもらえれば」
「あとは、商品企画だけじゃなくて、デジタルマーケティングとか、そういうのを担ってもらうのもありだと思っています。最初のうちは研修とかでノウハウを身につけてもらいながらでもいい」
中村さんは、どんな人と働きたいですか。
「一緒にはたらく人は、『どうせやるなら勝ちたいじゃん』、みたいな人がいい。プロ意識をもって取り組める人のほうが向いていると思うし、やりがいをもってやってくれるんじゃないかな」
中村さんはこれまでに、いくつかのベンチャー企業の経営に携わり上場も経験してきた人。その一方で、新事業開発の失敗など悔しい思いをしながらも、最終的には成功に導くなど熱量を持って挑戦を繰り返してきた。
「振り返ると、これまでの経験が自己成長につながったし、仕事の本当の楽しさを知ることができたと実感しています」と中村さん。
成果を求めて挑戦し続けてきた人だからこそ、成果に結びつく道筋や、ノウハウを知っている人だと思う。こういう人と一緒に働く環境は、自分をとことん成長させたい人にとって、とても刺激になると思う。
そんな中村さんが率いる藤巻百貨店は、熱量が高い人の集団と思いきや、実はマイペースな人も多い。
前田さんもその一人。穏やかな話し口調だけれど、内側に芯があるタイプかもしれない。
「実は私、結構グイグイいくタイプなんです。こっちから行けば、代表の中村はいくらでも答えてくれます」
前田さんは、入社6年目。もともとは名古屋の店舗での販売スタッフとして採用。働きが認められて1年で銀座店の店長に抜擢された。
現在は商品MDチーム、店舗運営チームのリーダーと多岐にわたって活躍中。今年からはさらに、CENTENAも担当している。
CENTENAでは、どんな仕事を担当しているんですか。
「生産管理です。たとえば江戸切子のグラスなら、グラスの生地と、ガラスに模様をつける職人さんが別なので、どの時期にグラスを何個発注して、いつ職人さんに加工をお願いするかという計画を立てています」
クリスマスや送別会シーズンなど、商品の売れ行きを計算しながら商品の発注をしていく。
「私はアイディアがぽんぽん出てくる感じではないので、ゼロから商品をつくるというよりも、その後の流れのところで関わっていきたいなと思っています」
ブランドの運営は商品の企画から、宣伝、販売、在庫管理まで、たくさんの仕事があるから、その人の強みや関心に合わせていろんな関わり方ができるかもしれない。
新しいブランドは中村さんとの二人三脚で運営していくことになる。
どんな人が向いていると思いますか。
「新しいことをやってみたい、挑戦してみたいと思って行動できる人がいいかなと思います。全然だめなときもあるけど、声を上げたら、挑戦させてもらえる環境なので」
前田さんも店舗スタッフをしていたとき、「JIB」という神戸のバッグブランドのポップアップの企画をしたそう。
企画を出したときの中村さんの反応は?
「最初は、かなりだめ出しされました(笑)。このブランドの真の魅力ってなに?って」
すると、隣で話をきいていた中村さんがすかさず発言。
「結論から言えば、やってもいいんです。でもやるなら成功させたい。スタッフにはよく『次につながる仕事をしなさい』って言っています。僕の経験でもそうですけど、取引先さんは1回目成功したら、またやりたいと思ってもらえる。でも失敗したら二度とやらない。だから絶対に一発目を成功させたい」
「そうするためには、まず、ブランドの魅力をどこまで把握できているかとか、それに合った提案ができるかとかをしっかり詰めないといけない」
なるほど。厳しいような言い方だけど、ブランドのためにも、社員のためにも成功体験を積ませてあげたいという中村さんの熱意を感じる。
「毎回、中村さんに提案するときは『よし、いける!』って思って行くんですけど、いつも全然だめですね(笑)」
「でも、もらう指摘はすごく納得しています」と前田さん。
指導を受けて、企画を何度も練り直した。
「『お客さんがわざわざ店に足を運ぶ理由が必要』と指摘をもらって、バッグに名前を入れてもらえるサービスがあることを強調しました。ほかにも、いつでも買える商品だけじゃなくて、シーズン限定の商品を押し出しました」
結果、ポップアップイベントは大盛況。その後も定期的に開催している。
職人と肩を並べて仕事をする。プロ意識があるからこそ、求められるハードルは高いし、企画や提案がすぐに通ることはなかなかない。それでも粘り強く提案し続ければ、学べることはたくさんあると思う。
新しいブランドに携わる人も、前田さんみたいに自分からいろんなことを挑戦して、粘り強く頑張れる。そんな人がいいんだろうな。
日本が誇る職人たちと、肩を並べてともに商品をつくり上げる。
だからこそ自分で商品をつくるまでの道は険しいし、緊張感もある。
でもその分、得られる達成感や経験は何事にも変え難い。そんな仕事だと思います。
(2023/11/07 取材 高井瞳)