求人 NEW

もの余り時代だからこそ
正しく見立てる
ものの価値

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

ここ数年、オンラインで買いものをする機会が圧倒的に増えました。

リアルでもインターネットでも、多くの情報が行き交い、ものが溢れている現代。何を選べばいいか、探しているだけで疲れてしまうことも正直多い。

そんなときに、「ここにあるならきっといいものだ」と思えるお店があるのは、とても心強いと思います。

藤巻百貨店は、全国各地から選び抜かれた「日本の逸品」だけを扱うセレクトショップです。

銀座と原宿神宮前に店舗を構えながらも、長年中核となっているのはオンラインショップ。

細部まで意識を巡らせて、手に取るように商品の魅力が伝わるサイトをつくってきました。

今回募集するのは、その中心を担うECコンテンツ編集ディレクター。

編集やライティング、コンテンツ制作の経験があれば役立つ場面も多いですが、何より大切なのは「見立てる」力。

どんな人がこの商品を使ったら、生活がより豊かになるだろう? 考え抜いて提案していく姿勢は、営業やマーケティング、販売など、ほかの分野の仕事とも通じる部分が多いと思います。

ものを切り口に仕事をしていきたい。そんな想いを抱いたことがある人は、経験に関わらずぜひ読み進めてみてください。

 

地下鉄の明治神宮前駅から一歩外に出ると、辺りは原宿に遊びに来た若者や外国人観光客で賑わっている。

明治通り沿いを5分ほど歩き、少し人通りが落ち着いたころ。東郷神社と原宿警察署の向かいにあるのが、「藤巻百貨店 exclusive 原宿神宮前」。

2階に上がると、鞄や財布、江戸切子などが展示されたショップがある。

スタッフの方によると、11月にオープンした店舗で、藤巻百貨店のために職人さんがつくってくれた別注品やオリジナル商品を中心に扱っているのだそう。

話を聞いていると、扉を隔てた隣のオフィスから、運営会社であるcaramo代表の中村さんが出てきてくれた。

オフィス、すごくいい立地ですね。

「以前は、コロナ禍に伴う出荷増に早く対応できるよう、物流倉庫併設のオフィスだったんです。そろそろ攻めの姿勢に入りたいなと思って都心部に物件を探しはじめたら、ここが偶然空いていて。もともとBEAMSさんが入っていて、僕からすると聖地みたいな場所なんですよ」

藤巻百貨店のはじまりは、2012年。

カリスマバイヤーと呼ばれていた故・藤巻幸大さんと中村さんが出会い、日本全国の職人がつくるいいものを選び抜いて、ECで販売しようと立ち上げた。

鞄や財布、アパレル、グラスやお酒が主な商品ラインナップで、ものへの関心が高い35〜50歳代の男性がメインターゲット。

全国のつくり手と直接つながり、自分たちが本当にいいと感じたものだけを仕入れる。取材をもとに、その商品の魅力を正しく伝えるためのコンテンツづくりに情熱を注いできた。

「僕らは『もの余り時代のもの選び』というテーマを掲げています。暮らしがすごく進化した一方で、情報が多すぎて逆にものを選びづらいという問題が生まれてきた。そこに僕らが介在することで、それぞれのライフスタイルに合ったもの選びの発見や気づきを提案しています」

たとえば、ターゲット層のひとつは、創業者の一人であり、カリスマバイヤーの藤巻幸大氏のファッションやライフスタイル、世界観に共感する人たち。彼らにとっては、藤巻百貨店が目利きしたものであれば、数多くある類似商品のなかでも安心して手に取ることができる。

「ユーザーの趣味趣向に合わせて、納得感のあるもの選びを実現できる。『藤巻百貨店のもの選びは間違いない』と思ってもらえるサービスを目指したいし、すでに今なっていると思っています」

日本の逸品をセレクトし、使うシチュエーションまで含めて提案する。いいものを日々使ってもらうことで、お客さんの暮らしを少し豊かに彩ることができる。

読みものとしても楽しめるような、文章中心のサイトづくりを長年続けてきたものの、ここ最近は変化が生まれているという。

「通信速度やスマホの性能など、テクノロジーの進化に寄り添うことで、インターネット世界のコンテンツづくりはよりよく変化してきました。大量の画像や動画を活用して、ユーザーがほしい情報をよりわかりやすく表現できるようになってきています」

「そんななかで、藤巻百貨店も商品の価値をより正しく伝えられる方法を考えて、テキスト中心の表現から、画像や動画を多用し、重要なポイントが簡単に伝えられるコンテンツづくりにチャレンジしています」

ものの魅力を、正しく伝えたい。根本の姿勢は変わらないまま、時代に合った発信のかたちを模索してきた藤巻百貨店。

今回募集するのは、その要となるECコンテンツ編集ディレクター。

商品の魅力を伝える切り口と構成を考えるコンテンツ編集と、制作の進行管理が主な業務で、商品紹介コンテンツの領域全体に関わっていく。

お客さんが商品紹介を読んで購入に至るまでの、ECサイトで最も重要な部分を担う役割。

今回担当者を募集することで、テクノロジーの進化に合わせたコンテンツ改革を推進し、事業の成長をより加速させていきたい。

進行管理では、制作にかかわるライターやカメラマン、WEB制作メンバーなどと連携が必要。

また、コンテンツ編集では、新商品が入荷すると中村さんも交えて編集会議を行い、どのような打ち出し方がいいかアイデアを交わしていく。

徹底しているのは、使う人の立場に立ったコンテンツづくり。

「職人さんから聞いたストーリーをそのまま載せるだけでは、読みものとして面白くても商品はあまり売れない。お客さんがこれを使うといかに幸せになれるのか。それを伝えるために必要なストーリーを選んで編集していきます」

たとえば、藤巻百貨店の売れ筋商品である江戸切子。

職人さんの多くは、デザインや技術的な難易度のことを取材で話すかもしれない。

「それをそのまま書くのではなく、僕らがページをつくるときは、その要素にライフスタイルシーンの話を加えていきます」

「たとえば、江戸切子を使ってウイスキーを飲む。そのウイスキーも、シングルモルトウイスキーと限定して書いていく。そうすると、そのシチュエーションで切子を使うお客さんの像がより鮮明になっていくんです」

夜、こだわりのグラスで美味しいウイスキーを飲みながら、ゆったりとした時間を過ごす大人の男性。頭の中に自然とそんなイメージが思い浮かぶ。

そんな愉しみ方に魅力を感じる人なら、きっと記事を読んで「自分のことだ」と思うはず。この切子を迎え入れた、自分の暮らしを想像しながら。

「お客さまは、購入して使いはじめたら、きっと切子に合うほかのお酒も探しはじめると思います。それによってお酒の知識がつくかもしれないし、高級な一品を買うために仕事を頑張ろうと思うかもしれない。大切に扱いたいから、ちゃんと置き場を整えるかもしれない」

「ものひとつから、生活そのものも豊かになっていくんです」

“豊かな生活”という言葉はよく耳にするけれど、ここまで解像度高く話してくれる人と出会ったのは、中村さんが初めてかもしれない。普段から、とことん具体的にイメージしている証だと思う。

とはいえ、なかには思いのほか売上が伸びない商品もある。

「ECサイトは、訪問数や購入率など、お客さまのアクションを数字で見ることができます。分析には役立つものですが、お客さまから自分を評価されているようでシビアですよ」

「でもそれが楽しみに変わるような人がいいと思うんです。ポジティブに考えれば、伝えるべきことがちゃんと伝わったのか、自分の見立てた構成が受け入れられたのか、検証できるってことだから」

数値分析で「伝わっていなかった」と客観的に判断したなら、違う切り口を考えてページを修正する。

お客さんに常に最適なものを提案しようとするこだわりと、それをフットワーク軽く行動できる人が合っているんだと思う。

 

「数字は嘘をつかないのでいつもドキドキしますが、アピールした部分がお客さんに響いたんだなとか、振り返ると面白いです」

そう話すのは、日本仕事百貨の記事をきっかけに昨年入社した宮地さん。

和雑貨や和食器のMD、その後食品会社のECサイト運営を経験したのち、藤巻百貨店へ。

「日本のものづくりって、土地に根づいて、歴史的にもずっと続いているのがおもしろいなと思って。ここで働いていると、初めて知るブランドがあったり、あまり出回らない職人さんのものに触れられたり。知らないものとの出会いがあるのがいいですね」

宮地さんが担当しているのは、藤巻百貨店が昨年ローンチした「STUNNING JAPAN」というサービス。クラウドファンディングのかたちを取ることで、職人さんやメーカーのリスクを軽減しながら、新商品開発をサポートしている。

STUNNING JAPANは、今回のコンテンツ改革のロールモデルとなったサービス。ここで実施した新たなコンテンツづくりの仮説検証を経て、サイト全体で本格的に改革に取り組むことになったという。

宮地さんが取り組んだプロジェクトのひとつが、倉敷児島のジーンズメーカーの商品。

デニム愛好家がこぞって求めるという「セルビッチデニム」を、着心地がよいストレッチ素材で開発した新商品で、大きな反響があったそう。

宮地さんは商品開発から伴走し、コンテンツの企画と進行管理、撮影のディレクションやテキスト執筆なども担当した。

男性がメインターゲットの藤巻百貨店。でも、働くスタッフは女性が多いそう。

必ずしも自分がターゲットにならないページを、どうやってつくっていくんだろう?

「まずはペルソナをしっかり決めるところからですね。そのうえで、その人たちがどういうライフスタイルで、どんなものが心に刺さるのか、リサーチしています」

「どの商品でも、調べていくと何かしら自分自身にも響くポイントが出てくるんです。より納得感をもって記事をつくれるよう、いろんな方向から商品を見て、そのポイントを探していっていますね」

どこを切り口に伝えるか、最後に決定するのもむずかしそうですね。

「そこが一番悩むところです。まず自分たちで考えて、中村さんにも見ていただいて。マーケティングチームも近くにいるので、意見を聞きながら絞っていきます」

地道に調べて、試行錯誤して。日々真剣に仕事と向き合うなかで、見立てる力は磨かれていくんだと思う。

藤巻百貨店には、どんな人が合っていると思いますか?

「ものや、そのストーリーに興味があるのはもちろん、人と話をするのが苦にならない人がいいかなって思いますね。進行管理って、いろんな人たちとコミュニケーションをとって調整していく仕事なので」

社員はすべてのチームをあわせて25人。大きな会社ではないから、それぞれの仕事が全体に及ぼす影響も大きい。

「人任せにはできないし、初めての仕事でも調べながら自分で進めなきゃいけなのは大変です。でも、何のためにやっているのかわからない仕事は、ここにはひとつもなくて。責任が大きいからこそ、結果がともなったときの達成感はすごく大きいと思います」

 

サイトが生まれて11年。かたちは変化しながらも、ものの価値を正しく伝えることを追求し、手に取った人たちの暮らしを彩ってきた藤巻百貨店。

根幹にあるその姿勢に共感できたら、きっと会社とともに成長していくことができると思います。

(2023/3/20取材 増田早紀)

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