求人 NEW

こだわりの逸品を
届けるために
好きだからこそ、引いてみる

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

「僕にとって文章を書くという仕事は、自分の表現じゃなくて。お客さんが手に取るように、商品の質感を感じてもらうための手段なんだと思います」

そう話すのは、藤巻百貨店のコンテンツ制作を担う編集者の渡邊さん。

藤巻百貨店というのは、かつて目利きバイヤーとして名を馳せた、故・藤巻幸大さんが立ち上げたウェブ上の百貨店です。

ものにあふれた時代のなかで、日本の職人さんの技が光る逸品を一つひとつ丁寧に伝え、ファンを着実に増やしてきました。最近では、ものを仕入れて売るだけでなく、職人さんと一緒に新商品を開発するためのクラウドファンディングなど、新しい取り組みもはじめています。

今回募集する編集者、マーケター、制作ディレクターは、いずれも「ものが好き」という人なら熱中できる仕事だと思う。一方で、目の前の作業に没入しがちな人は、伸び悩んでしまう職場かもしれません。

自分は今、何のために、この業務を担当しているのか。前後に、どんな仕事のつながりがあるのか。そんなところにも好奇心を働かせられるといいと思います。

また、制作系職種に加えて、事務アシスタントも募集しています。



新橋からゆりかもめに乗り、やってきたのは東京湾岸のテレコムセンター駅。

輸送用の大型車両が通る道路の脇を歩いて、藤巻百貨店を運営する株式会社caramoの事務所を目指す。

ここをはじめて訪れたのは約半年前。ちょうど、渋谷から湾岸の新しいオフィスに移転した初日だった。

ビルの2階にあるオフィスは、もうすっかり片付いている。普段は週3でテレワークを取り入れているものの、毎週月・水は出社日。週明けの今日、デスクからは打ち合わせの声も聞こえる。

「今回は迷わずこられました?」と迎えてくれたのは、代表の中村さん。この半年、取材やオンラインの打ち合わせなどで、かなりたくさんの話をしてきた。

挨拶を交わしながら、さっそく目に留まるものが。中村さんの胸元についているメガネの形の、それはなんですか?

「これ、メガネピンです。メガネフレームに使う素材でできていて。鯖江って知ってます?福井県にある眼鏡の産地で、そこのメーカーがオリジナルでつくったものなんですよ。これが単なる飾りじゃなくてね。ちょっとメガネを外すことがあるでしょう、そのとき、ここに引っ掛けられるんです」

メガネにメガネを(笑)。かわいいですね。

ほかにも最近、和の食卓に合う切子のワイングラスをつくっていること、冬に向けて果実風味の日本酒を開発している話、動物繊維を生かしたデニムの話など、次々といろんなものの話が出てきて、つい引き込まれてしまう。

スペックだけでなく、使うシーンを想像させるような話しの運び方は、藤巻百貨店のコンテンツづくりにも共通するもの。

ただ、大事なのはその編集力や目利き力ばかりではないという。

「せっかくいいコンテンツができても、在庫不足や梱包不備では話にならないですよね。だからコンテンツ制作に携わるスタッフも、在庫管理やMDの計画など、全体を意識しながら仕事を進める必要があるんです」

「そのことは僕も、みんなに丁寧に説明しているつもりだけど、最初から理解するのは難しいと思う。でもそれでいいんです。やっているうちに、みんな全体がわかるようになる。それまでは何回同じことを質問しに来てもいいですよ。小さい会社なんだから」

もしも入社して違和感を感じたら、抱え込まず、率直に聞いてみるといいのかもしれないですね。「なんでこの仕事やんなきゃいけないんですか?」って。

社長に聞くのは、ちょっと勇気がいるかもしれないですけど(笑)。

「そうそう、いいですよ。僕は、できない、わからないっていうことは悪いことだと思わない。問題なのは、本当はできるはずなのに、手を抜いてやっているとき。僕らは職人さんとお客さん、双方の信頼を預かってお店をやっているので、適当な仕事をしたら申し訳ないじゃないですか」



経験やスキルよりも、仕事に対する向き合い方を重視するチームに。徐々にシフトチェンジしている藤巻百貨店。

マーケティングを担当している福島さんにも話を聞いてみた。

「私は普段から、ものを買うとき、いろいろ比較したり、ストーリーを調べることが好きで。それを仕事にできるっていいなと思って入社したんです」

もともと、職域に対する強いこだわりはなく、働くなかでフィットする役割を見つけたいと考えていた福島さん。

入社して半年になる今は、社内でもベテランの先輩にいろいろと教わりながら、メルマガのコンテンツづくりなどを担当している。

「メルマガは重要なタッチポイントなので、結構プレッシャーも感じています。これまでの数字を分析するのは基本なんですけど、うまくいった事例をなぞるだけではなくて、今お客さんが何を求めているのか、考えながら進めています」

タイトルひとつで、お客さんの反応が大きく変わることもある。

悩んだときは、中村さんに直接助言を求めることも多いという。

「最近も、メルマガでデニム製品を紹介する回があったんですけど、ストレッチのよさやデザインなど、伝えたいことをタイトルに盛り込みすぎてしまったんです」

「そうしたら中村さんが『つくり手のこだわりより、ユーザーがどう感じるかの視点に立ったらいいよ』っていうアドバイスをくれて。従来のデニムって、硬くて窮屈に感じるものが多いので、このデニムは『とにかく履き心地がいい』っていうことに絞って伝えることにしたら反響が大きかったです」

スペックの高い商品や、職人技の詰まった伝統工芸品ほど、マニア目線で語りたくなってしまうけれど、まずはユーザー目線で考える。

誰が、いつ、どんな場面で使うか。

ときには自分とは違うライフスタイルや嗜好を持つ人たちのことも想像しながら、伝え方を考えていく。

「お客さんがどんな人たちなのかを知るために、ユーザーのレビューもよく見ます。あとは研修期間に、銀座の直営店に行ったときのことを思い出したりもしますね」

「年齢層はもちろん、どんなシチュエーションで買い物に来ているかとか、お客さんがどれだけ藤巻百貨店のことを好きでいてくれるか、“愛”みたいなものも接客を通じて感じました」

愛、いいですね。もうちょっと詳しく聞いてもいいですか?と投げかけると、少し考え込む福島さん。



「僕が答えてもいいですか?」と、隣から助け舟を出したのが1年先輩の渡邊さん。

「お店にはときどき、ネットで買ったものを身につけてきてくれるお客さんもいて。『これ、最近買ったんですよ』ってうれしそうに見せてくれる。福島さんは、たぶん、それを言いたかったんじゃないかな」

渡邊さんは、もともとフリーでライティングの仕事をしていた。

経験や興味を生かしてみたいと入社。今は外部のライターと分担しながら、記事制作を担当している。

ひと月に書く記事の本数は、多くて5本くらいだという。

「今日はちょうど商品の撮影をしているから、のぞいてみますか」と、撮影ブースを案内してくれた。カメラマンと相談しながらカットを決めていたのは、渡邊さんと同じ編集担当のスタッフだという。

「あれは、ポンチョがコンパクトに折りたためることを伝えるために、大きく広げたカットを撮っているところです。何を伝えたいか編集者がわかっていないと、写真の撮り方も決められないので、事前に具体的に絞り込むようにしています」

商品をどう伝えるか。

その計画は、毎週のMD会議からはじまる。バイヤーが持ち込んだ新商品をみんなでチェックしながら、意見交換する時間だ。

そこから編集担当が魅力を抽出して、コンテンツをつくる。お客さんをそこへ導くために、数字を見ながら道筋をつけていくのがマーケティング担当で、全体の進行管理をするのが制作ディレクター。

それぞれに分担はあるものの、横のつながりを意識しながら進めていく。

別の仕事の担当者ともつねに隣り合わせ。お互いの進捗を確認しあえるのはよさそうですね。

ちなみに、編集者である渡邊さんが、編集以外の仕事をすることはありますか?

「ないと思います。あ…!ただ、編集にひもづくいろんな業務はありますよ。たとえば、ページを完成させるために必要なシステムまわりの相談をするとか。だけど、範囲外のことをやっている感覚はないですし、これからも編集に専念していくと思います」

「最初は文章を考えるだけが仕事だったのが、ページ全体を考えるようになって、それを実現するチームのことまで考えるようになってきた。自分の範囲が広がっていっても、ベースは同じです」

最近は、職人さんたちを応援するためのクラウドファンディングもはじめた。予約制で新商品を開発する仕組みができれば、つくり手は資金を得ながら安心してものづくりに打ち込めるし、お客さんも新しい商品が生まれる現場に立ち会えるからうれしい。

伝える力を使って、共感する人をつくり手の側に巻き込んでゆく。それはものづくりの未来を支えることにもなる。

「僕はもともと服が好きで、結構メーカーも知ってるつもりだったんですけど、藤巻に入ってから全然知らなかったブランドにたくさん出会いました」

「やっぱり、いいものが身近にあると、日常が楽しくなる。たとえば職人さんのように、何かいいもの、うれしくなるものを生み出し続ける人と、ユーザーをつなぐ。そのために何ができるか、考え続けていく仕事なんだと思います」

自分の仕事を客観的に分析しながらも、ものに対する熱量も感じさせる渡邊さん。代表の中村さんはこんなふうに話していました。

「渡邊は、もともと能力もあったけど、最初は『わかりました、やります』っていう受け身の返事が多かった。それが最近は、自分から『こういうことをやりたい』って言ってくれるようになって」

「それってたぶん、いろんなものを見ていくなかで、どこか点と点がつながって全体が見えはじめた瞬間があったんじゃないかな。そこからの成長は早かったですよ」

好きなものほど、のめりこんでしまいそうになるけれど、一歩引いて考えると、もっと大きな目標が見えてくることもある。

一見関係なさそうな仕事も、まずは信じてやってみる。それが案外近道なのかもしれません。

(2021/6/7 取材 高橋佑香子)
※撮影時はマスクを外していただきました。

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